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4.真面目だけが取り柄なので

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 翌日出勤すると同僚たちのチョーカーの下の金具にも宝石が入っている事を確認した。みんな同じことを考えていたようでチョーカーを外して、同じような宝石が付いているのか確認している。鑑定をコッソリしてみると、【盗聴】【判断に悩んだらお兄ちゃんを召喚】【厭らしい考えの人間を吹き飛ばす】【味覚調整】なんて入っていた。【味覚改変】じゃないんだとツッコミを入れてしまった。前世は催眠調教エロゲも好きだった。
 エロゲで洗脳した女は数知れず。女だけれど二次元に限り女はイケた。
 だから男の気持ちも分かる。

 おっぱいは正義だ。

 真面目だけが取り柄なので、真面目にエロゲもプレイした。

 自分のチョーカーに変な付与魔法がついていなくて良かったとホッとした。

「無くしたら大変。でも外さないと髪の毛も洗いにくいわよね」

「慣れるまで我慢しないといけないわ」

 これは不味いのではと思ったけれど、魔術師の先輩たちが勉強会を開いてくれることになった。新しい魔法はどんどん開発されているので、試しに私たちも使ってみることが多い。

「今日は身体の感度を上げて、体内の魔力純度を高める魔法を使う。ロイとアン、みんなの目の前でやってみなさい」

 急に名前を呼ばれたロイとアンは目の前で全身に触れ、前戯のようなことをしだした。感度を最大限に高めているため、触れているだけで気持ちがいいらしい。お尻を擦り付けて何度も発情中のメス顔をしたアンは、とあることに気がついて叫び声をあげた。

「どうした?」

「なんで勃起しないんですか!」

 身体をずらすとそこには盛り上がっていない普通の制服があったのだ。

「え、なんで意識があるんだ?」

「バカにしているの? おっぱいを全員の前で弄られるのはいいけれど、ロイ様だけ勃起しないのは魅力がないって事ですね。ずっと好きだったのに、大嫌い!」

 ここで私たちも声を上げることにした。

「突然セックスをしだすなんてダメですよ。ロイ様の事を好きなのはバレていましたが、勃起もしないおじさんおちんちんなんて、排泄器官の成れの果てですよ。そもそもイチャイチャするなら部屋に連れて行って、普通は処女を捨てたいですよ。次の日も休みたいし。行動が童貞が好きなエロ小説っぽいのよね」

「童貞は大好物だけれどね」

 ロイは声を出して否定し始めた。その姿が情けなくて耳を垂れ下げた大型犬のようにみえた。

「違う、俺は人前でセックスをしたいわけでは」

「人前でセックスする度胸もないのに、エッチな気持ちにさせるなんて、おまんこの事イライラさせやがって、分からせてやらんない」

「わ、わからしぇ………♡て、やらないのか」

 身長の低いアンはロイの胸に強力なビンタをすると赤い手形を残した。再び下半身に触れて勃起しない事にショックを受けてしまい、体調不良で帰ることになった。

「おまんこ期待させるだけ期待させて、ちんぽ入れないなんて暴行罪で現行犯逮捕よ」

「アンは街中にいるおじさんに処女捧げてくるってさ」

 アンが1人で帰る姿を見送るだけのロイに、女性たちが送っていけと指示をして彼は追いかけていく。彼女は女子寮に下宿している。今日は緊急の飲み会を開き帰る時間はとても遅くなる。

 アンはロイと仲直りできたようで、神妙な顔をしながらお弁当の作り方の練習を始めた。

「ちんちんって可愛いよね」

「ロイのブツは親指姫だったか」

 あの日から1週間が経ち、チョーカーを着けてくれた相手と同僚たちは仲良くしている。
 膝の上に乗っかって食事を食べさせてもらったり、手を繋いで歩いている姿も見ることが多い。マクスウェル団長は用事があって、顔を合わせていない。

 イチャイチャしているところを見たくなくて、ひとりぼっちで過ごしていた。
 入団初日にやらかしたサミュエルは、美形が大好きな性欲が強い年齢不詳の女性の元に連れられて結婚をした。7番目の側室になった彼は、連日慰み者のなり自慢だった美しさはなくなったらしい。噂で聞いていただけで本当か分からない。魔力豊富な精液がどのように使われているのか、すぐに理解できた。

 伯爵家の両親は、今回の事について魔術師団に判断を任せている。

 サミュエルは私の事を集団で馬鹿にしていたはずなのに、どうしてあんな事をしたのだろうか。伯爵令嬢の私と結婚して結納金を踏んだくれば、そこそこいい生活を送れたのにと悪い事を考えてしまう。

 今思えば、どうしてあんな奴の事を好きだと思っていたのだろうか。ありがちな金髪に二重で、喋り方も何処かの舞台俳優のようで演技がかっていた。本物の美形をみてしまってから、サミュエルの顔も思い出せなくなっている。いつまでも思い出にしがみついていられない。

 こんなに格好いい人たちに囲まれて幸せだ。

 学校を卒業した黄色いドレスの子に街中でたまたま遭遇した。支部に足りない備品を受け取るために出先で、お互い声を同時にかけたのだ。

「カティア様、お元気ですか」

「勿論です。チュリス様」

 商人の娘のチュリスは、黄色いドレスのデザインを考えてくれた女性だ。本当は髪型やお化粧も整えてくれずはずだったが、これ以上目立ちたくない私たちはダサいままドレスを着ることにした。デザインをダサくしてくれたおかげで絡まれずに済んだ。本当に感謝している。

「その、気軽にデートに行けそうな服を探していて」

「承知しました。童貞でも脱がしやすそうな簡単な下着を用意すればいいのですね」

「え、そんなこと言ってないけれど」

「カチュア様は白い下着がよろしいでしょうね」

 噛み合わない会話を繰り返して、チュリスと別れることになった。
 その時、チョーカーの宝石が怪しく輝いていた。
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