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元悪女は運命の子を産む宿命でもいいと思って生きている
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大公の運命の花嫁を妊娠したことが分かると公爵領は毎日がお祭り騒ぎだった。
関連商品を作ることで公爵領の利益になるので力を入れている。
お腹が痛くなってあっという間に子供を出産すると安産すぎるのでレイヴンに聞かれた。
「前の時に出産の手伝いをしていたからじゃないかしら。実際見ているとイメージしやすいのよね」
「温かいお湯をたらいに出し慣れていたのはそのためだったのか」
赤ちゃんはレイヴンにそっくりな黒髪に王族の金色の瞳だった。建国した時の王姉が公爵家のお嫁さんで、レイヴンの高祖母の祖母に当たる人が金色の瞳をしていたと聞いていた。子供たちには引き継がれていなかったのに出てしまった。赤ちゃんに会うためにレイヴンの両親とお忍びで元皇太子と元王子妃がやってきて赤ちゃんに会った。
「孫よ!なんと愛らしいのだろう」
「金色色の瞳をしているなんて、400年ぶりじゃないか!子供たちで誰も引き継がなかったのに。何人でも孫が欲しいくらいだ」
「アレクセイの運命なのよ。長生きして孫を見るまで死ねないわね」
「子供が2人も運命に会えるなんてなんて素晴らしいのだろう。ジュリエッタ公爵夫人ありがとう。何かあったら私たちに言ってくれ、何でも用意しよう」
可愛いとひとしきりに騒ぐと皆帰ってしまった。人見知りしない可愛い子供だが、大公が来て抱きしめられると離れず離れると泣いてしまったので、ずっと抱っこしてもらっていた。
赤ちゃんの名前はメリナと名前を命名されて育てている。
公爵家のメイドや伯爵家からやって来たハンナは子育てを手伝ってくれて、安心してまた子供を作ることが出来る。
♢
ある日、公爵の東屋で子作りをしているとメイドの叫び声が聞こえた。近くにいたメリナを抱きしめてレイヴンが近くにあった剣を腰に携えると公爵家の騎士がやってきた。
私を見ると会釈をすると騎士たちがやってきて安全な場所に誘導しようとした。
「あなた、なんだか怖いの側にいて」
一瞬躊躇ったレイヴンが一緒に屋敷の中に入る。レイヴンが執事に手紙を渡すとすぐにアレクセイ大公がやってきて公爵家の騎士を何処かに連れて行った。しばらく大公の騎士が公爵家に滞在することになった。
どういうことなのかハンナに理由を聞くと口ごもり、
「安心して過ごすことが出来ない、正直に話して」
と言うと言葉を選んで話し出した。
「ジュリエッタ様が大公閣下の運命を産んだことを逆恨みして、アリエッタ様に買収された公爵家の騎士が裏切って子供と一緒に暗殺を企てたのです」
「そんな、どうして。アリエッタはまた妊娠したんじゃないの?」
ハンナの後ろにいたメイドたちの顔が曇る。彼女たちは身元がしっかりしている貴族令嬢たちで社交界に私より詳しく、王宮の内部で働いている身内や知り合いもいる。
「アリエッタ様は王宮で贅沢をして過ごしています。妊娠していないからと言って冷たくする皇太子殿下ではありません」
「そうですわ、何も気にせず奥様は子作りに励んでください」
「今回のような出来事は二度と起こしません。勿論メイドたちの身辺調査はしっかり行われてます。お金で買収されることはありません」
メイドたちも調査をされて何人か入れ替わることになった。
アリエッタの言葉を信じた人たちが仕返しに来たのだと言っていた。どれもこれも事実無根で伯爵家のメイドや辞めたメイドたちも調査されると詳しく当時の事を話してくれた。
「男性と逢引して行為をしていた?信じられないわ。誰よ、こんなこと信じられないわ」
「見た目は派手だから勘違いされますが、お嬢様は男性と話したことは少ないです」
「騙されそうになった貴族たちも集団の前に出て話をしてくれた程度と言ってるのよ。」
「話したことが滅多にないのに、ありえないわ。ジュリエッタは自室にこもっているか、メイドの側にいたのだから。男の人とだって話したこともありません」
他にも苛められたことや無視されたことを言っていた。
どれも当時の忘れたい記憶として話していて、娼婦の娘の私がする稚拙な行為だと陰で言われていた。それでも心に傷があると思われているアリエッタを信用して動く人がいるのだ。
「全部、ジュリエッタ様がされていた事よ」
「今まで黙っていたけれど当時の日記があるのよ!私、大公様の騎士に話したわ。事実無根だって」
久しぶりに会った伯爵家のメイド達や使用人も味方になってくれている。伯爵も精神的に参ってしまって寝込んでしまっていた。ローリーは二人目を妊娠している。
「あなたぁ、元気になって!!このままじゃ名門貴族である伯爵家が経営も理解できない元娼婦の女主人が騙されちゃう。乗っ取られちゃうわああ。息子に何も教えないまま死ぬのおおお」
伯爵は母の言葉で復活すると母に経営の事を教えることや後継者育成に専念するようになり、アリエッタの事は記憶から消してしまった。
息子は二人も作っている問題はない。
私に短い言葉で謝ってきたが、一生懸命育ててきた娘が逆恨みする人間に育てる人じゃない。あれは元々の素質だと思って、同じ親として許すことにした。
こんな危険な事があったのに私たちは子作りをしていると妊娠した。
レイヴンは大喜びだった。
――数日後、隣国の国王陛下がやってきた。神託で3歳の息子の運命の花嫁がお腹の子供だと言われたとおっしゃった。
レイヴンが不貞腐れて部屋から出て来なくなったので、どうしようかと思っていると大公閣下が屋敷にやって来た。メリナを抱きしめると嬉しそうにしている。
「レイヴン、話があるのだ。これは私たちに関係する話だ」
4人でサロンに集まると人払いをしてアレクセイ大公は話し出した。
「君たちは未来から回帰している。それは私たちがしたことだ」
「私たち……?」
レイヴンの手を握っているとメリナを渡してきた。受け取ると彼は胸から小瓶を取り出した。それは私が飲んだ紅茶と同じ色をしていた。
「ジュリエッタ、あなたは運命の子供を産む宿命なんだ。それは誰かが変わりになることは出来ない。少なくとも7人の運命を産むことになっている。前の時は避妊手術されているからやり直したのだ。時間を戻すことは禁忌とされているが、他国から承認されて時間を戻す事になったのだ。レイヴン以外の子種では運命を産むことは出来ない」
運命と出会う確率は少ないが、同じ時代に生まれる確率はもっと少ないと言われている。王族は魔法を使ったり特殊な力を使うと魂が穢れていき自我が保てなくなる。運命がいると能力を使っても心が穢れることはない。と言われている。
「アリエッタに対して無性に腹が立つことが以前の世界であったはずだ。あれは自分の子供を殺す相手がいる事で気が立っていたのだ。13歳の頃には子供が産まれる器官が発達していただろう?生理中に特に腹が立っていたはずだ」
「でも今回はそんなことなかったわ。接することがなかったかしら」
「君たちはお互い殺生の関係にあるのだが、ある程度の年齢になるまで一緒にいないと運命の子供を産めないんだ。いくらでもアリエッタと距離を離す事が出来たのだが、運命の子供を産めなくなる。そうすると私たちは苦しい想いをしてしまう」
きっと何度も繰り返して出した結果がこれなんだと納得した。
レイヴンと会わない人生や子供を産まない人生を生きることは考えたくもない。
「アリエッタがいなくなったノインは苦しむことになる。だから、アリエッタは殺すことが出来ない。アリエッタは子供が産んでも流れてしまうのは、兄が何かしているのか、アリエッタが恨まれて呪われているのか分からない。兄は意地でも隠すだろう。知ろうとしたら何でもする、そういう人なんだ」
ノインとアリエッタは似たもの同志みたいだ。これで安心して過ごすことは出来る。大公殿下が帰るとレイヴンは元気になり、せっせとセックスを開始した。つかの間の休息だった。
私たちは子供を順調に産んでいる。近隣諸国の国の王たちが泣いたり笑ったり喜んだりしている。
「輪廻の輪が噛み合ってようやく出会うことが出来ました。一生離しませんよ」
「また子供を沢山作ろう。もちろん今度は逃がさない」
エルフの王も獣人族の王も外交することがないのに、赤ちゃんのために使節団を引き連れてやってきた。彼らにとってそれだけ運命に会えることが楽しみなんだろう。
他の国の外交を嫌がる貴族もいたが、国にもたらすものが大きく儲かるので表舞台から消えてしまった貴族も多い。高品質な商品が今では誰でも手に入れることが出来、生活の質が上昇した。
皇后なのに外交にも社交界にも出ないアリエッタはお飾り皇后と呼ばれている。皇太子殿下は色々言い訳している。大公の運命がいるのだから繋ぎが出来ればいいと民衆に陰で言われている。
国の運営に関しては天才的でも家庭を築くのはダメだったみたいだ。
アリエッタに会うことは実の父でも出来ないみたいだ。建国祭の時に皇太子殿下と一緒にいるところを見ていると幸せそうにしている。
王宮では排卵ショーが行われていて、正気を保つ薬を飲まされているアリエッタは何時になっても慣れることはない。当たり前の生活に戻ったら何かをして彼女は何も知らない頃に戻ることを繰り返す。
30歳になった時、子供も8人目を妊娠しているときに王宮に呼ばれた。王命なので逆らうことが許されなかったが、大公の騎士たちや公爵家の騎士が守ってくれることになった。
王宮のサロンで久しぶりに会ったアリエッタは虚ろな目をしてこちらを見ている。
「助けて……私の運命……私の」
「何を言っている。君の運命は私だ。」
気持ちが悪いので早く帰りたいことをレイヴンに話すと私たちは足早に帰ってしまった。アレクセイ大公に聞いたところ運命の番でも伴侶が複数出来ることがあるらしい。それか前世の運命だったのかもしれないと話している。
次の子供は男の子で心配していたところ、女人族の運命だったらしく早く巣立つことになる。アリエッタと番になって欲しくない。申し訳ないが、女人族の夫に早くなってもらう。
子供は後何人産めるのだろう。
炭鉱にいたころは子供の世話をしてこんなことを考えられなかった。
レイヴンは性欲が強く、後5人は産めそう。いや、それ以上産むかもしれない。妊娠するたびに大きくなる胸もお腹も彼は愛してくれている。炭鉱の頃と違って使い込んでしまった伸びたヒダも女性器も気に入っている。浮気することもなく、浮気するなら自慰をすると言って中出ししている。彼は何でも上手にできるが自慰だけは下手糞で達することが出来ないと聞いたとき、堪らなく愛おしくなった。
歴史に残ってしまうくらい産むのもいい。たしか13人産んだ女性がいたそうだ。
私はこの人生を気に入っている。
子供が全員他国に行くことが決まっていて寂しくないのかと聞かれたが、全く寂しくない。
運命の相手が産まれてから傍にいるなんて素晴らしい事だわ。
8人目の子供を出産してしばらく経つので9人目の子作りが医者から了承を貰えることになるだろう。
産んだ子供は王族の金色瞳をしていて私たちに似ていない。9人目の赤ちゃんはレイヴンに似た子供が産まれてくれたらいいなと思っている。
初めて見た時に惹かれてしまった彼の美しい紫色の瞳をした赤ちゃん。
私たちは同じことを考えていたらしく、レイヴンは私の目の色をした子供が欲しいらしい。
結婚して14年目で初めて知ることが出来た。
これだから人生は楽しいのだ。
関連商品を作ることで公爵領の利益になるので力を入れている。
お腹が痛くなってあっという間に子供を出産すると安産すぎるのでレイヴンに聞かれた。
「前の時に出産の手伝いをしていたからじゃないかしら。実際見ているとイメージしやすいのよね」
「温かいお湯をたらいに出し慣れていたのはそのためだったのか」
赤ちゃんはレイヴンにそっくりな黒髪に王族の金色の瞳だった。建国した時の王姉が公爵家のお嫁さんで、レイヴンの高祖母の祖母に当たる人が金色の瞳をしていたと聞いていた。子供たちには引き継がれていなかったのに出てしまった。赤ちゃんに会うためにレイヴンの両親とお忍びで元皇太子と元王子妃がやってきて赤ちゃんに会った。
「孫よ!なんと愛らしいのだろう」
「金色色の瞳をしているなんて、400年ぶりじゃないか!子供たちで誰も引き継がなかったのに。何人でも孫が欲しいくらいだ」
「アレクセイの運命なのよ。長生きして孫を見るまで死ねないわね」
「子供が2人も運命に会えるなんてなんて素晴らしいのだろう。ジュリエッタ公爵夫人ありがとう。何かあったら私たちに言ってくれ、何でも用意しよう」
可愛いとひとしきりに騒ぐと皆帰ってしまった。人見知りしない可愛い子供だが、大公が来て抱きしめられると離れず離れると泣いてしまったので、ずっと抱っこしてもらっていた。
赤ちゃんの名前はメリナと名前を命名されて育てている。
公爵家のメイドや伯爵家からやって来たハンナは子育てを手伝ってくれて、安心してまた子供を作ることが出来る。
♢
ある日、公爵の東屋で子作りをしているとメイドの叫び声が聞こえた。近くにいたメリナを抱きしめてレイヴンが近くにあった剣を腰に携えると公爵家の騎士がやってきた。
私を見ると会釈をすると騎士たちがやってきて安全な場所に誘導しようとした。
「あなた、なんだか怖いの側にいて」
一瞬躊躇ったレイヴンが一緒に屋敷の中に入る。レイヴンが執事に手紙を渡すとすぐにアレクセイ大公がやってきて公爵家の騎士を何処かに連れて行った。しばらく大公の騎士が公爵家に滞在することになった。
どういうことなのかハンナに理由を聞くと口ごもり、
「安心して過ごすことが出来ない、正直に話して」
と言うと言葉を選んで話し出した。
「ジュリエッタ様が大公閣下の運命を産んだことを逆恨みして、アリエッタ様に買収された公爵家の騎士が裏切って子供と一緒に暗殺を企てたのです」
「そんな、どうして。アリエッタはまた妊娠したんじゃないの?」
ハンナの後ろにいたメイドたちの顔が曇る。彼女たちは身元がしっかりしている貴族令嬢たちで社交界に私より詳しく、王宮の内部で働いている身内や知り合いもいる。
「アリエッタ様は王宮で贅沢をして過ごしています。妊娠していないからと言って冷たくする皇太子殿下ではありません」
「そうですわ、何も気にせず奥様は子作りに励んでください」
「今回のような出来事は二度と起こしません。勿論メイドたちの身辺調査はしっかり行われてます。お金で買収されることはありません」
メイドたちも調査をされて何人か入れ替わることになった。
アリエッタの言葉を信じた人たちが仕返しに来たのだと言っていた。どれもこれも事実無根で伯爵家のメイドや辞めたメイドたちも調査されると詳しく当時の事を話してくれた。
「男性と逢引して行為をしていた?信じられないわ。誰よ、こんなこと信じられないわ」
「見た目は派手だから勘違いされますが、お嬢様は男性と話したことは少ないです」
「騙されそうになった貴族たちも集団の前に出て話をしてくれた程度と言ってるのよ。」
「話したことが滅多にないのに、ありえないわ。ジュリエッタは自室にこもっているか、メイドの側にいたのだから。男の人とだって話したこともありません」
他にも苛められたことや無視されたことを言っていた。
どれも当時の忘れたい記憶として話していて、娼婦の娘の私がする稚拙な行為だと陰で言われていた。それでも心に傷があると思われているアリエッタを信用して動く人がいるのだ。
「全部、ジュリエッタ様がされていた事よ」
「今まで黙っていたけれど当時の日記があるのよ!私、大公様の騎士に話したわ。事実無根だって」
久しぶりに会った伯爵家のメイド達や使用人も味方になってくれている。伯爵も精神的に参ってしまって寝込んでしまっていた。ローリーは二人目を妊娠している。
「あなたぁ、元気になって!!このままじゃ名門貴族である伯爵家が経営も理解できない元娼婦の女主人が騙されちゃう。乗っ取られちゃうわああ。息子に何も教えないまま死ぬのおおお」
伯爵は母の言葉で復活すると母に経営の事を教えることや後継者育成に専念するようになり、アリエッタの事は記憶から消してしまった。
息子は二人も作っている問題はない。
私に短い言葉で謝ってきたが、一生懸命育ててきた娘が逆恨みする人間に育てる人じゃない。あれは元々の素質だと思って、同じ親として許すことにした。
こんな危険な事があったのに私たちは子作りをしていると妊娠した。
レイヴンは大喜びだった。
――数日後、隣国の国王陛下がやってきた。神託で3歳の息子の運命の花嫁がお腹の子供だと言われたとおっしゃった。
レイヴンが不貞腐れて部屋から出て来なくなったので、どうしようかと思っていると大公閣下が屋敷にやって来た。メリナを抱きしめると嬉しそうにしている。
「レイヴン、話があるのだ。これは私たちに関係する話だ」
4人でサロンに集まると人払いをしてアレクセイ大公は話し出した。
「君たちは未来から回帰している。それは私たちがしたことだ」
「私たち……?」
レイヴンの手を握っているとメリナを渡してきた。受け取ると彼は胸から小瓶を取り出した。それは私が飲んだ紅茶と同じ色をしていた。
「ジュリエッタ、あなたは運命の子供を産む宿命なんだ。それは誰かが変わりになることは出来ない。少なくとも7人の運命を産むことになっている。前の時は避妊手術されているからやり直したのだ。時間を戻すことは禁忌とされているが、他国から承認されて時間を戻す事になったのだ。レイヴン以外の子種では運命を産むことは出来ない」
運命と出会う確率は少ないが、同じ時代に生まれる確率はもっと少ないと言われている。王族は魔法を使ったり特殊な力を使うと魂が穢れていき自我が保てなくなる。運命がいると能力を使っても心が穢れることはない。と言われている。
「アリエッタに対して無性に腹が立つことが以前の世界であったはずだ。あれは自分の子供を殺す相手がいる事で気が立っていたのだ。13歳の頃には子供が産まれる器官が発達していただろう?生理中に特に腹が立っていたはずだ」
「でも今回はそんなことなかったわ。接することがなかったかしら」
「君たちはお互い殺生の関係にあるのだが、ある程度の年齢になるまで一緒にいないと運命の子供を産めないんだ。いくらでもアリエッタと距離を離す事が出来たのだが、運命の子供を産めなくなる。そうすると私たちは苦しい想いをしてしまう」
きっと何度も繰り返して出した結果がこれなんだと納得した。
レイヴンと会わない人生や子供を産まない人生を生きることは考えたくもない。
「アリエッタがいなくなったノインは苦しむことになる。だから、アリエッタは殺すことが出来ない。アリエッタは子供が産んでも流れてしまうのは、兄が何かしているのか、アリエッタが恨まれて呪われているのか分からない。兄は意地でも隠すだろう。知ろうとしたら何でもする、そういう人なんだ」
ノインとアリエッタは似たもの同志みたいだ。これで安心して過ごすことは出来る。大公殿下が帰るとレイヴンは元気になり、せっせとセックスを開始した。つかの間の休息だった。
私たちは子供を順調に産んでいる。近隣諸国の国の王たちが泣いたり笑ったり喜んだりしている。
「輪廻の輪が噛み合ってようやく出会うことが出来ました。一生離しませんよ」
「また子供を沢山作ろう。もちろん今度は逃がさない」
エルフの王も獣人族の王も外交することがないのに、赤ちゃんのために使節団を引き連れてやってきた。彼らにとってそれだけ運命に会えることが楽しみなんだろう。
他の国の外交を嫌がる貴族もいたが、国にもたらすものが大きく儲かるので表舞台から消えてしまった貴族も多い。高品質な商品が今では誰でも手に入れることが出来、生活の質が上昇した。
皇后なのに外交にも社交界にも出ないアリエッタはお飾り皇后と呼ばれている。皇太子殿下は色々言い訳している。大公の運命がいるのだから繋ぎが出来ればいいと民衆に陰で言われている。
国の運営に関しては天才的でも家庭を築くのはダメだったみたいだ。
アリエッタに会うことは実の父でも出来ないみたいだ。建国祭の時に皇太子殿下と一緒にいるところを見ていると幸せそうにしている。
王宮では排卵ショーが行われていて、正気を保つ薬を飲まされているアリエッタは何時になっても慣れることはない。当たり前の生活に戻ったら何かをして彼女は何も知らない頃に戻ることを繰り返す。
30歳になった時、子供も8人目を妊娠しているときに王宮に呼ばれた。王命なので逆らうことが許されなかったが、大公の騎士たちや公爵家の騎士が守ってくれることになった。
王宮のサロンで久しぶりに会ったアリエッタは虚ろな目をしてこちらを見ている。
「助けて……私の運命……私の」
「何を言っている。君の運命は私だ。」
気持ちが悪いので早く帰りたいことをレイヴンに話すと私たちは足早に帰ってしまった。アレクセイ大公に聞いたところ運命の番でも伴侶が複数出来ることがあるらしい。それか前世の運命だったのかもしれないと話している。
次の子供は男の子で心配していたところ、女人族の運命だったらしく早く巣立つことになる。アリエッタと番になって欲しくない。申し訳ないが、女人族の夫に早くなってもらう。
子供は後何人産めるのだろう。
炭鉱にいたころは子供の世話をしてこんなことを考えられなかった。
レイヴンは性欲が強く、後5人は産めそう。いや、それ以上産むかもしれない。妊娠するたびに大きくなる胸もお腹も彼は愛してくれている。炭鉱の頃と違って使い込んでしまった伸びたヒダも女性器も気に入っている。浮気することもなく、浮気するなら自慰をすると言って中出ししている。彼は何でも上手にできるが自慰だけは下手糞で達することが出来ないと聞いたとき、堪らなく愛おしくなった。
歴史に残ってしまうくらい産むのもいい。たしか13人産んだ女性がいたそうだ。
私はこの人生を気に入っている。
子供が全員他国に行くことが決まっていて寂しくないのかと聞かれたが、全く寂しくない。
運命の相手が産まれてから傍にいるなんて素晴らしい事だわ。
8人目の子供を出産してしばらく経つので9人目の子作りが医者から了承を貰えることになるだろう。
産んだ子供は王族の金色瞳をしていて私たちに似ていない。9人目の赤ちゃんはレイヴンに似た子供が産まれてくれたらいいなと思っている。
初めて見た時に惹かれてしまった彼の美しい紫色の瞳をした赤ちゃん。
私たちは同じことを考えていたらしく、レイヴンは私の目の色をした子供が欲しいらしい。
結婚して14年目で初めて知ることが出来た。
これだから人生は楽しいのだ。
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