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ミラクルおちんちん負けを認めない

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 根元までずっぽり入れるとすすり泣く声が聞こえた。気持ちがいい感情と男で感じて申し訳のない感情が入り交じっているのだろう。相手はオナホだけれどね。

 上から目線で言われるのは嫌いだ。このおちんちんは勝ち組の男なのだろう。こっちは人生負けっぱなしで、貧乏な家で生まれ育った。他の子が当たり前に塾に通っている時に、家に引き籠ってひとりで遊んでいた。大学を卒業した両親だったが、所詮Fランで就職先何て選べず奨学金を支払っていた。母親は卒業間近に妊娠し、就職を辞退し新卒採用枠を逃した。若い母親と父親で生活は何とかなったが、着ている物や持っている物は常に比較されていた。

 周りの子達は祖父母が近くにいてお金持ち。こっちは無理して都内に住んでいる貧乏夫婦の子。
 大学に行く余裕なんてなく、奨学金を使って通う気持ちになれないのは当然だろう。高卒で適当に就職をして今に至る。

「おっ、おん、ダメだ、男の尻で感じちゃ、抜け、誰を犯していると思ってるんだ」

『兄貴、本気で可愛いっす。下僕のアナルマンコ使ってください』

 この男、なかなか射精しない。こっちは動画再生と右手の手コキのマルチタスクをこなしている。ぶっちゃけ疲れて息が荒くなる。手こき時間33分。事務仕事をしている女にはキツすぎる作業だ。

 背中が痛い、肩も張っている。でも今は下僕なんだ。頑張らないといけない。

 残り時間10分で蹴りをつける。

 右手に力を入れるとゆっくり動かした。音声を消し、集中力を増す。だんだんミラチンが、何を求めているのか分かるようになった。自分の弱い所を責めて欲しいと訴えている。

 先端責め奥しこり。兄貴の鬼棒を慰めます。それがこのオナホのキャッチフレーズだ。安心の日本製を愚弄してもらっては困ってしまう。

「ふっ、ふっ、そこ気持ちがいい、男の中で達してしまう。もっと強く、腰を動かして!おっ、くる」

 タイミングがつかめず中にちょっと射精されるとすぐに抜いて精液をベッドに置いたタオルにまき散らす。初めて射精しているところを見たが、勢いが強く水鉄砲みたいだ。汗だくになって射精させたかいがあった。思わず笑みを浮かべてしまう。

『まだ早いっすよ、兄貴。次はこっちも気持ちよくしてくださいね』

 ビックンと雄々しくなると次の射精に備えて期待がこもったオーラが出ている。多分、私おちんちん言語資格一級持っているかも。起ちが早くて困ってしまう。もう右腕は筋肉痛で使い物にならない。

「もう知らん!ふんっ」

 目の前で消えてしまうと残った精子の残骸から栗の花の匂いがする。このタオルは使い物にならないなとごみ袋に捨てて、シャワーを浴びた。

 久しぶりに運動をしてぐっすり眠れた。

「偉そうな態度のおちんちんを鳴かせるのって楽しいな。ヒンヒン泣かせるかピュッピュッ鳴かせるかの違いだね」

 腹の底から笑うと口角が自然に笑みを作る。
 次の日、朝から営業している人気のパン屋さんで運よく一番で買い物が出来た。冷凍庫に入れられるくらい沢山のパンを購入し家に帰る。スマホでとあるアプリを見つけて課金した。何度か試して使っている時にそれがあった。

「お前騙したな」

『待ってたよ』

 ビックン!

 ちんちんが震え、しょんぼりしている。

 この圧倒的雄の声は人気声優のボイスチェンジャーを使って作った音声だ。ちんぽ越しでも分かるワイルドな体系(妄想)賢そうな頭脳(妄想)で考えがまとまらない事は間違いない。こいつを責めるために海外映画の吹き替えをみたり、少年雑誌の悪者キャラを研究していたんだから。

「男……?」

『中に入れたからって調子に乗るな。彼氏気取りはみっともないぞ』

「……」

 おっ、このちんぽちょっと怒ってない?予め用意した音声だけれどプライドを木っ端微塵に吹き飛ばすには、効果は絶大だ。隙だらけのちんぽは、女慣れしていないに違いない。
 プライドが高い心で童貞の男を間違った知識で埋め尽くしたい。だって私はBLが大好きで、快楽堕ちが一番好きな女なんだから。

 自分にサドな感情があるなんて知らなかった。学生時代は都合のいいように使われてバカにされ、社会に出たら仕事仲間しか会話しかしないし。冗談だよって言えるのは可愛い子や勝ち組で。

 ちんちんの前で偉そうに出来るなんて思いもしなかった。

『何か言え』

「変態野郎。直接会ったら殺してやる」

 ゾクッと背筋が凍る。この男はどんな顔をして言っているのだろう。この男をアナルでメロメロにさせるなんて最高じゃないか。大人になってから壁にぶち当たる事がなかったが、乗り越えなければいけない壁が目の前に存在する。社会復帰するために、この男を快楽堕ちさせて人生ステップアップしなければ。

『じゃあ、今日も愛し合おうじゃないか。時空を超えて、君のおちんちんと私のお尻の孔を繋げるなんてロマンティックだね』

 オジさんってたまに意味の分からないロマンティックな事を言うからな。心の中でキモイと思いながら、ちんぽをナデナデする。

 じゅぷっと潤滑油をオナホに入れて呼吸を整えた。女の手だと思わせないために絹で出来た手袋をつけて、勃起したものにオナホを挿入する。

 聞こえてこないおちんちんの心臓の音が聞こえる。

『いくぞ。準備は出来ているね』

「こい!」

『勢いは良いがちんぽは勃起させろよ。入らないだろう』

 対面試合のような雰囲気だが、やっている事はオナニーなんだよな。

 大人の玩具のお店や通販で急いで買ったオナホたちを使って、おちんちんを射精させた。快楽の拷問というのだろうか。昨日と違って最後の一滴まで絞ってあげたので、最後は無になっていた。

「おっ、おっ」

『今日はよく頑張ったじゃないか。尻の孔があったら雌にしたいくらいだ。で、君の名前は何って言うのかな?年齢や職業、全部教えて欲しいな』

 流石イケボ。命令してもいい声だ。元は私の声だが。

「わ、私の名はラース。33歳で魔法騎士だ」

『えっ精液に魔力が入っている可能性があるって危険過ぎるだろう。こっちは魔法がない世界なんだから最初に言えよ。それに33歳で性欲強いって、結婚適齢期が遅れているのか?』

 おちんちんが萎んで、ラースは何があったのか教えてくれた。
 公爵令嬢と婚約をしていたけれど、他の男と浮気をされ婚約を破棄した。彼女の妹と結婚する事になったが、渋々結婚して不貞腐れていた。初婚はラース18歳、妹は17歳。

 性欲の強いラースは迫ったが、本気で嫌がられ罵倒された。結婚生活の間勃起不全になり、妻は実家に帰ってしまいそのまま離縁。王命で命じられた結婚だったが、婚姻期間中に妊娠させられなかった為お咎め無し。セックスしてないのに子供なんて出来るわけがない。

 仕事や魔獣討伐に追われているうちに33歳になったとのこと。結婚適齢期は18歳と若いのは男尊女卑の世界観で、女は子供を産むのが仕事だからだ。

『33歳のおちんちんを相手にしていたのか。こっちは53歳のおじさんだ。申し訳ないね。妻に先立たれ、自慰をするしかない爺の相手じゃ不満だろう』

「こちらこそ偉そうな態度を取ってすまなかった」

『じゃあ、このままセフレ関係で仲良くしてもいいね。ラース君の大きなおちんちんのおかげで、久しぶりに射精が出来て気持ちがいいよ』

「セフレ?」

『セックスフレンドという意味で身体だけの関係って事さ。さて、もう一回入れされてもらって別れようか』

「おん、いつもの入ってくる!」

『まるで、犯されているかのような言い方。好きだよ』

 騙しているのは申し訳ない気持ちにならないけれど、二度も女に裏切られているから男好きになっても問題がない。オジサンになりきってラースを犯しまくるのは楽しいし、誰も傷ついていない。
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