R18 優秀な騎士だけが全裸に見える私が、国を救った英雄の氷の騎士団長を着ぐるみを着て溺愛する理由。

シェルビビ

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エリオス様に追われる

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 ファンクラブに参加して一週間後。その日は珍しくエリオス様が事務所にやってきた。一通り事務員の顔を見ると何事もなかったかのように立ち去って行った。私と目が合うと一瞬不穏な気配がしたけれど気のせいだろう。

 エリオス様は今日は騎士服を着ていて全裸じゃない。
 何があったのだろうか……。

 ***

 最近誰かに後を付けられている気がする。宿舎に戻る時、物音がするけれど人の気配があるのに誰も見当たらない。そのことを話すと事務員の女性を狙った事件になると思った騎士たちが一緒に帰ってくれることになった。日に日に人数が減っていき、何故かエリオス様と一緒に帰ることになった。

「私と一緒にいる時は同僚と話すような言葉で話して欲しい」

「かしこまりました」

 無言の時間が過ぎる中、エリオス様は今日は全裸だった。近くで見ていると改めて凄いなぁと思ってしまう。鍛錬で無駄な部分がなくなり盛り上がった筋肉。子宮を刺激するバリトンボイスの声。薄紫色の輝く髪の毛。柔らかい髪の毛か硬い髪の毛なのか気になるけれど、恋人になった人だけが知る事が出来るのだろう。

「シャルロッテおねえちゃん」

 遠くで小さい女の子が以前あげたぬいぐるみを持って駆け寄ってきた。母親と一緒に歩いていた少女は事務員が貰ったクマのぬいぐるみを抱きしめている。

「クマのぬいぐるみ、ありがとうございました」

「いえ、うちにはもう一体あるので」

「お姉ちゃん、このクマのぬいぐるみ。凄く可愛いんだよ」

 他愛のない会話をして別れるとエリオス様はじっとこちらを見てきた。

「頂き物なのにすいません。ぬいぐるみが欲しいと一人で泣いていて、親に反省するように言われて置き去りにされていたんです。持っていたお菓子とぬいぐるみを渡して泣き止ませました。置き去りにされると怖いんですよね。親に逆らえなくなってしまって。だから、他人でも気にかけてくれる人がいると知って欲しかったんですよ」

「……そうか。ところでもう一体あるクマのぬいぐるみは何処にある?」

「みたいですか?すぐに取りに行くので見せますよ」

 この時私は、すっかり忘れていた。
 捨てた人が目の前にいるということを。

 宿舎に戻ってすぐにクマのぬいぐるみを持っていった。何処か見ていたエリオス様が駆け足で近づいてくる私に気がついて、こちらを向くと表情が青ざめていく。

「これは私がゴミ捨て場に捨てたクマのぬいぐるみじゃないか」

「ゴミ捨て場に綺麗な物があったから、つい拾ってしまっただけです。勿体ないと思ってしまって……。花束も部屋に飾られています……よ」

 肩を震わせているエリオス様に声をかけたが反応しない。

「シャルロッテ」

「はい!」

 先生が名前を言うような声だったから思わず返事をするとエリオス様は私をきつく睨んできた。睨んでも全裸だから可愛いと思ってしまった。

「貴様は私のストーカーだったんだな」

「へっ何でですか?!」

「今思えばジッとこちらを見ている事が多かった。他の人間と比べて熱い眼差しを感じていたが、他の人と一緒だと思っていた。私の地位や名誉に惹かれている人間だと。」

 先ほどから思い上がっている言葉が綴られているが、私はエリオス様の事をストーカーしたことなんてない。勿体ない精神がこんなところで墓穴を掘るとは思わなかった。

「実際に物を盗られた事があったが不愉快な気持ちだったのに、シャルには不快な気持ちが一切しない。どうしてだろうか……♡」

 腕を組んで顎に手を当てて、答えを言って欲しそうにチラチラこちらを見ている。

「そんなの知りません。私は捨てられた物を拾っただけで今すぐ返すことも出来ます」

「別にそんなもの返さなくてもいいですよ。元婚約者にせがまれて特注で作りましたが、渡そうとしたら子供っぽいと言われて突き返されたのですから。懇意にしている人形屋さんで家に置いておくのも思い出してしまい腸が煮えくり返ってしまい、泣く泣く捨てたのです。私はクマのぬいぐるみは好きなんですがね。すぐに取りに戻るとなくなっていて、誰かが盗ったことは知っていました。それを持っているのがまさか君だったなんて。どうしよう、好きになってしまった……♡」

 エリオス様のエリオス様が少しだけ大きくなっていた。このままだと木の陰に隠れて犯されてしまう。忘れ物の中にあった小説でそんなことが書いていた。どうすればいいのだろう。嫌われてもいい。結婚はしたいけれどエリオス様はダメだ。英雄の嫁は荷が重い。小さい時から楽に生きたいをモットーに、目的のためなら頑張れるけれど面倒な事には関わりたくないのだ。

 この瞬間、私は一瞬で嫌われる方法を思いついた。悪魔的発想で、エリオス様から嫌われるしかない。でも、やるしかない。

「このことを言いふらしたら、エリオス様のおちんちんが仮性包茎だってばらしてやる!」

「えっ……私のものについても知っているのですか?」

「当り前です。凱旋パレードの時に初めて見た時から、知ってます。全然大人のおちんちんにならないし、婚約者と付き合っている時は遠征に行けずに剃毛できなかったことも知っています。近衛騎士から左遷させられたと思われているけれど、遠征討伐が好きで生き生きしている事も知ってます。」

「まったく、本当に――。」

 顔が近づいてきて驚いて急いで宿舎に戻った。
 エリオス様は危険だ。
 頭の中で反芻している。
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