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第2章 争乱編
第64話 旅立ち
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「これがここを出て行ったドワーフたちの人数と名前だな」
2日後、宣言通り、クライストはカリヌーン邸の前でドワーフたちの事を調べてフェリクスに資料を渡していた。
「ありがとうございます、クライストさん」
「こちらにも利があることだから、気にするな、それよりもう一つ頼み事があるのだ」
クライストの珍しい言葉にフェリクスは首を傾げた。
「はい、何でしょうか?」
「最近、消息不明のドワーフたちが多すぎるのでな、もし捕られていたりしたのなら、助けてくれると助かる」
「わかりました、捕らえられているドワーフが居たら助けると約束いたします、因みにどこら辺のドワーフの所在が分からなくなったとかの情報はありますか?」
「消息が不明なったドワーフが多いのはレオンハルト国より南のディスガルド帝国が多いイメージだ」
フェリクスはディスガルドと言う名前が出た瞬間に少しだけ眉を顰めた。
「ディスガルド帝国ですか・・・それなら本当にドワーフが捕らえられているかも知れません」
「各国の情勢に詳しい、お主がそう言うなら、そうなのだろ」
「まぁ、兵器について調べるついでに調べますよ、安心してください」
「無理のない範囲でよろしく頼むぞ」
「はい、商人ですから、余力は残しておきますよ」
「うむ、良い答えだ、さて、最後にこれを返しておこう」
クライストが差し出したのは、フェリクスの刀だった。この前とは違う柄がつけられていて、フェリクスは刀を手に取り、感触を確かめていた。
「感触はどうだ?」
「全く違和感はありません」
「それなら安心じゃ」
「それで・」
フェリクスとクライストが終わろうとしている所に突然、声が掛かった。
「待ってくださーい」
声を掛けてきたのはフェリクスを案内してくれたアランだった。
「私も連れて行って下さい、フェリクス君」
「アランさん?どうしたんでしょうか?」
急なお願いにフェリクスは疑問の声を掛けた。
「この3日、フェリクス君の話を聞く内に、外の世界に行って見たくなったんです」
その言葉にフェリクスは手を顎に持っていき、無言で考え込んだ。少しして、フェリクスは口を開いた。
「・・・アランさんは、具体的に外に出て何をするつもりですか?」
「フェリクス君の商会に所属させてもらい、行商人をさせて貰おうかと思います」
「それではダメですね」
フェリクスにダメと言われて、アランは恐る恐ると言った感じに質問を返した。
「何がダメなんでしょうか」
「アランさんにはまだ、商人としての知識がありません、そんな人に行商人を任せるわけにはいきません」
「・・・なるほど、流石に急な、はな・・」
否定の言葉にアランはがっくりと肩を落とし話を終わらせようとしたが、それはフェリクスに遮られる。
「ですが、見習いと言う事であれば、大丈夫でしょう、ついでに片手間で何かを作ってくれれば、十分、好待遇で商会に迎えることが出来るでしょう」
「では・・・」
「ええ、優秀な人材としてアランさんにはクレソン商会に来てほしいです」
「喜んで行かせてもらいますよ、フェリクス君」
アランは今にも泣きそうである。
「と言う事で、アランさんも一緒に連れて行こうと思いますが、構いませんよね、カリヌーン王」
「アランはもう一人前のドワーフだ、儂が口を挟む事など、無いぞ」
「だそうですよ、アランさん」
「今までお世話になりました、カリヌーン王」
「うむ、クレソン商会なら何が起ころうが、大丈夫だろう、もし帰りたくなったらいつでもお主の帰る場所はここにあると覚えておくと言い」
「ありがとうございます、カリヌーン王」
クライストの言葉にアランの瞳には涙が流れる。
「さ、行きますか、アランさん、これを持ってください」
「これは何でしょうか」
フェリクスがアランに差し出したのは手に収まるぐらいの転移結晶だった。
「転移結晶です、これを砕けば、一瞬で移動できます」
「そんな便利なものがあるんですね」
「砕いたら、商会の転移魔法陣の場所に出ると思いますが、すぐにその魔法陣から出て下さい」
「はい、分かりました」
魔法の事は分からないようで、ただただアランはフェリクスの説明に頷いた。
「それでは失礼します、クライストさん」
「行ってきます、カリヌーン王」
アランが転移結晶を砕き、それに少しずらして、フェリクスが転移結晶を砕き、2人は転移していった。
2日後、宣言通り、クライストはカリヌーン邸の前でドワーフたちの事を調べてフェリクスに資料を渡していた。
「ありがとうございます、クライストさん」
「こちらにも利があることだから、気にするな、それよりもう一つ頼み事があるのだ」
クライストの珍しい言葉にフェリクスは首を傾げた。
「はい、何でしょうか?」
「最近、消息不明のドワーフたちが多すぎるのでな、もし捕られていたりしたのなら、助けてくれると助かる」
「わかりました、捕らえられているドワーフが居たら助けると約束いたします、因みにどこら辺のドワーフの所在が分からなくなったとかの情報はありますか?」
「消息が不明なったドワーフが多いのはレオンハルト国より南のディスガルド帝国が多いイメージだ」
フェリクスはディスガルドと言う名前が出た瞬間に少しだけ眉を顰めた。
「ディスガルド帝国ですか・・・それなら本当にドワーフが捕らえられているかも知れません」
「各国の情勢に詳しい、お主がそう言うなら、そうなのだろ」
「まぁ、兵器について調べるついでに調べますよ、安心してください」
「無理のない範囲でよろしく頼むぞ」
「はい、商人ですから、余力は残しておきますよ」
「うむ、良い答えだ、さて、最後にこれを返しておこう」
クライストが差し出したのは、フェリクスの刀だった。この前とは違う柄がつけられていて、フェリクスは刀を手に取り、感触を確かめていた。
「感触はどうだ?」
「全く違和感はありません」
「それなら安心じゃ」
「それで・」
フェリクスとクライストが終わろうとしている所に突然、声が掛かった。
「待ってくださーい」
声を掛けてきたのはフェリクスを案内してくれたアランだった。
「私も連れて行って下さい、フェリクス君」
「アランさん?どうしたんでしょうか?」
急なお願いにフェリクスは疑問の声を掛けた。
「この3日、フェリクス君の話を聞く内に、外の世界に行って見たくなったんです」
その言葉にフェリクスは手を顎に持っていき、無言で考え込んだ。少しして、フェリクスは口を開いた。
「・・・アランさんは、具体的に外に出て何をするつもりですか?」
「フェリクス君の商会に所属させてもらい、行商人をさせて貰おうかと思います」
「それではダメですね」
フェリクスにダメと言われて、アランは恐る恐ると言った感じに質問を返した。
「何がダメなんでしょうか」
「アランさんにはまだ、商人としての知識がありません、そんな人に行商人を任せるわけにはいきません」
「・・・なるほど、流石に急な、はな・・」
否定の言葉にアランはがっくりと肩を落とし話を終わらせようとしたが、それはフェリクスに遮られる。
「ですが、見習いと言う事であれば、大丈夫でしょう、ついでに片手間で何かを作ってくれれば、十分、好待遇で商会に迎えることが出来るでしょう」
「では・・・」
「ええ、優秀な人材としてアランさんにはクレソン商会に来てほしいです」
「喜んで行かせてもらいますよ、フェリクス君」
アランは今にも泣きそうである。
「と言う事で、アランさんも一緒に連れて行こうと思いますが、構いませんよね、カリヌーン王」
「アランはもう一人前のドワーフだ、儂が口を挟む事など、無いぞ」
「だそうですよ、アランさん」
「今までお世話になりました、カリヌーン王」
「うむ、クレソン商会なら何が起ころうが、大丈夫だろう、もし帰りたくなったらいつでもお主の帰る場所はここにあると覚えておくと言い」
「ありがとうございます、カリヌーン王」
クライストの言葉にアランの瞳には涙が流れる。
「さ、行きますか、アランさん、これを持ってください」
「これは何でしょうか」
フェリクスがアランに差し出したのは手に収まるぐらいの転移結晶だった。
「転移結晶です、これを砕けば、一瞬で移動できます」
「そんな便利なものがあるんですね」
「砕いたら、商会の転移魔法陣の場所に出ると思いますが、すぐにその魔法陣から出て下さい」
「はい、分かりました」
魔法の事は分からないようで、ただただアランはフェリクスの説明に頷いた。
「それでは失礼します、クライストさん」
「行ってきます、カリヌーン王」
アランが転移結晶を砕き、それに少しずらして、フェリクスが転移結晶を砕き、2人は転移していった。
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