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第2章 争乱編
第56話 ブランダリ山脈
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ブランダリ山脈はレイヴァース国の北に位置して、ナルディア国とアンバース国の国境になっているが、険しい山脈になっており、あまり人は立ち入ったりしない。高すぎて、普通の人が上るだけでも命がけの高さはある。そんな山脈の下にドワーフたちの住処はあった。
「ここにドワーフたちがいるって言うの?ただの山じゃない」
山の中腹まえ来た所でも全く何の気配を感じることが出来なかったシルフは疑問の声を上げた。
「今のドワーフは人間を毛嫌いしているからね、もう普通のドワーフは出てこないんじゃないかな」
「それでここの入口ってどこにあるのよ、もう山の半分よ」
「それも頂上付近にあるからね」
「なんでわざわざ頂上に作るのよ、不便でしょ」
「ドワーフたちがもう地上に出てくる気ないってことでしょ」
「だから、わざわざ、人が来ないとこに入口を作ったってことなの?馬鹿じゃないの、それじゃ、いろんなことが不便すぎるわよ」
「それは俺じゃなくてなくてドワーフに言ってくれ」
「それにしても大丈夫なの?かなり吹雪いて来たわよ」
高所になり、雲が掛かり、ちらほらと雪積もっていた。そんな中、風も出てきたので周りは吹雪と化してきていた。普通は視界が悪くなり、前に進むのすら大変になってくる。しかし、フェリクスは容易に前を向き歩いていた。
「こんなもの魔法があればなんともないよ」
普通に登山するのが馬鹿になるぐらいフェリクスは魔法で完全防備をしていた。
「うん、なんか、そんな気がしていたわ」
「それにしてもこの視界で入口見つけられるか、不安だ」
「知っているんじゃないの?」
「知っているけど、この視界と風で方向感覚も狂うからね」
「冷静に言っているけど、それってかなり不味いじゃない」
「かなり不味いね」
「このまま山の中に取り残されて、アンタが死んだら私はどうするのよ、ずっとここにいるなんて嫌よ」
「大丈夫だよ」
フェリクスはそう言うと、魔法を使い空中に浮いた。
「魔法で浮くなら、方向感覚は関係ないよね」
「もう何でも有りって感じね、それなら最初から使いなさいよ」
「魔力消費が悪いからね、出来ればあんまり使いたくないんだよね」
「いっぱいあるでしょ、魔力」
「いつでも不測の事態を考えるものだよ、シルフ」
何度も聞いた事ある台詞に、シルフは聞き飽きた感じに手を振った。
「はいはい、いつもの奴ね」
魔法で飛んですぐに雲を抜け、ブランダリ山脈の頂上が見えてきた。視界が見えなっただけで以外にも頂上近くまで来ていたらしい。
「それで、入り口はどこなのよ?」
「確か、俺の記憶が正しければ、頂上付近の岩にあったと思う」
フェリクスは山の頂上に降り、辺りを見渡すと、ひときわ大きな岩が一つあった。それはフェリクスの身長より2周りほど大きかった。しかし、岩があるだけで入口は見えなかった。
「岩には来たけど、どこが入口なのよ」
「精霊なら、すぐに見えると思うけど、この岩の下だよ」
「え、この岩の下?これを動かせって言うの?」
フェリクスの言葉を確かめるようにシルフは岩の下を確認しに行った。すぐに戻ってくると信じられないといった感じの顔で帰ってきた。
「これはドワーフたちで試しの岩って言われていて、自分の生身の力だけで動かせると一人前と認められるんだ」
「マジなの?普通は無理よ」
「別に持ち上げろってわけじゃないし、大丈夫だよ」
フェリクスもドワーフと同じように魔法を使わず動かす気なのか、腕まくりをして、岩に手を付けた。シルフが見守る中、フェリクスが岩を押し始める。
「うおぉぉぉぉ」
フェリクスには珍しい雄叫びと共に岩はゆっくりと動き始めた。少しすると岩の下からは、人が一人通れるぐらいの階段が現れた。
「ホントに動かしちゃったわ」
「ふう、疲れた」
「魔法でちゃっちゃと動かせば疲れないで済んだんじゃないの?」
「それだと1人前と認められないよ」
「別にドワーフたちが見ているわけじゃないんだから、いいじゃない?」
「かもね、でも他のドワーフこうやって入るのに俺だけ魔法を使うのはルール違反な気がするから、見てないからと言ってルールを破るのは余り好きじゃないんだ」
「物好きね」
「厳格と言ってほしいね」
「いつものダラダラした様子を直してか言ってほしいわ」
シルフの言葉にフェリクスは肩を竦めると階段の中に入った。階段を下りていくと岩は何故か自然に元の位置に戻った。
「久しぶりだな」
岩が元の位置に戻ったことによって光源が無くなった。暗くなったのでフェリクスは魔法で光を作り出し、下に降りて行った。
「ここにドワーフたちがいるって言うの?ただの山じゃない」
山の中腹まえ来た所でも全く何の気配を感じることが出来なかったシルフは疑問の声を上げた。
「今のドワーフは人間を毛嫌いしているからね、もう普通のドワーフは出てこないんじゃないかな」
「それでここの入口ってどこにあるのよ、もう山の半分よ」
「それも頂上付近にあるからね」
「なんでわざわざ頂上に作るのよ、不便でしょ」
「ドワーフたちがもう地上に出てくる気ないってことでしょ」
「だから、わざわざ、人が来ないとこに入口を作ったってことなの?馬鹿じゃないの、それじゃ、いろんなことが不便すぎるわよ」
「それは俺じゃなくてなくてドワーフに言ってくれ」
「それにしても大丈夫なの?かなり吹雪いて来たわよ」
高所になり、雲が掛かり、ちらほらと雪積もっていた。そんな中、風も出てきたので周りは吹雪と化してきていた。普通は視界が悪くなり、前に進むのすら大変になってくる。しかし、フェリクスは容易に前を向き歩いていた。
「こんなもの魔法があればなんともないよ」
普通に登山するのが馬鹿になるぐらいフェリクスは魔法で完全防備をしていた。
「うん、なんか、そんな気がしていたわ」
「それにしてもこの視界で入口見つけられるか、不安だ」
「知っているんじゃないの?」
「知っているけど、この視界と風で方向感覚も狂うからね」
「冷静に言っているけど、それってかなり不味いじゃない」
「かなり不味いね」
「このまま山の中に取り残されて、アンタが死んだら私はどうするのよ、ずっとここにいるなんて嫌よ」
「大丈夫だよ」
フェリクスはそう言うと、魔法を使い空中に浮いた。
「魔法で浮くなら、方向感覚は関係ないよね」
「もう何でも有りって感じね、それなら最初から使いなさいよ」
「魔力消費が悪いからね、出来ればあんまり使いたくないんだよね」
「いっぱいあるでしょ、魔力」
「いつでも不測の事態を考えるものだよ、シルフ」
何度も聞いた事ある台詞に、シルフは聞き飽きた感じに手を振った。
「はいはい、いつもの奴ね」
魔法で飛んですぐに雲を抜け、ブランダリ山脈の頂上が見えてきた。視界が見えなっただけで以外にも頂上近くまで来ていたらしい。
「それで、入り口はどこなのよ?」
「確か、俺の記憶が正しければ、頂上付近の岩にあったと思う」
フェリクスは山の頂上に降り、辺りを見渡すと、ひときわ大きな岩が一つあった。それはフェリクスの身長より2周りほど大きかった。しかし、岩があるだけで入口は見えなかった。
「岩には来たけど、どこが入口なのよ」
「精霊なら、すぐに見えると思うけど、この岩の下だよ」
「え、この岩の下?これを動かせって言うの?」
フェリクスの言葉を確かめるようにシルフは岩の下を確認しに行った。すぐに戻ってくると信じられないといった感じの顔で帰ってきた。
「これはドワーフたちで試しの岩って言われていて、自分の生身の力だけで動かせると一人前と認められるんだ」
「マジなの?普通は無理よ」
「別に持ち上げろってわけじゃないし、大丈夫だよ」
フェリクスもドワーフと同じように魔法を使わず動かす気なのか、腕まくりをして、岩に手を付けた。シルフが見守る中、フェリクスが岩を押し始める。
「うおぉぉぉぉ」
フェリクスには珍しい雄叫びと共に岩はゆっくりと動き始めた。少しすると岩の下からは、人が一人通れるぐらいの階段が現れた。
「ホントに動かしちゃったわ」
「ふう、疲れた」
「魔法でちゃっちゃと動かせば疲れないで済んだんじゃないの?」
「それだと1人前と認められないよ」
「別にドワーフたちが見ているわけじゃないんだから、いいじゃない?」
「かもね、でも他のドワーフこうやって入るのに俺だけ魔法を使うのはルール違反な気がするから、見てないからと言ってルールを破るのは余り好きじゃないんだ」
「物好きね」
「厳格と言ってほしいね」
「いつものダラダラした様子を直してか言ってほしいわ」
シルフの言葉にフェリクスは肩を竦めると階段の中に入った。階段を下りていくと岩は何故か自然に元の位置に戻った。
「久しぶりだな」
岩が元の位置に戻ったことによって光源が無くなった。暗くなったのでフェリクスは魔法で光を作り出し、下に降りて行った。
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