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第1章 王都編
第1話 主人公、家を追い出される
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「助けてください」
「全く、なんでこんな風になったのかな」
豪華な街並みに騒がしい喧騒、王都の景色に普通なら感動して立ち止まって景色を見たりする人もいるだろう。しかし、フェリクス・クレソンは路地裏でいかにも暴漢と思われる人達に囲まれていた。フェリクスの頭の中は呑気に先日、父ダルク・クレソンの言葉を思い出していた。
「お前はどうして、無駄に才能を持っているのにそう、やる気を出さないんだ」
「そういわれてもね~」
フェリクスは父親に咎められているにも関わらず、気にもせず本を読んでいた。
「だから、お前には王都の学校に行ってもうことにした」
「へぇ~そうなんだ、って今、なんて言った、親父」
「お前には王都の学校に行ってもらうことにした」
「何で?」
「お前の上の兄さんたちはしっかりと自分の職について働いているのにお前と来たら、毎日、グウタラと本を読んでいるだけじゃなか」
「店の売り上げには貢献してるだろ。それで問題ないだろ」
「いいや、問題だ。確かに、お前はこの商会には貢献しているかもしれないがお父さんはお前の将来が心配なの」
「そんなこと言われても、俺はこの生活で満足してるから十分だ」
「いいや、そんなことだから、お前には女性が近寄ってこないんだ。王都の学校でそんな性格も直してもらってこい」
「嫌だ」
「お前に拒否する権利はない。お前たち、この馬鹿息子を店の前にほっぽりだせ」
後ろで待機していた3人の護衛がフェリクスの腕と足をがっしりと掴んだ。
「ちょっ、お前ら離せ――」
「すみません、若、これも旦那様からの命令ですので」
ダルクはフェリクスに向かって一振りの刀を投げた。
「お前なら、これだけで充分だろ。王都の支店には連絡しておくから、そこで準備して学校に行け」
どうやらダルクは本気の様だ。フェリクスを放りだした後も、護衛達はフェリクスから目を離さず、警戒して店に戻ら無いようにしている。
「おーし、おやじの決意はわかった。そこまでいうなら、そうしてやる。だが、その前にお前たち覚悟は出来ているだろうな」
「「「はい、若、一本お願いします」」」
「いい答えだ。お前ら、しばらくは会えないから、みっちり稽古をつけてやる」
「「「お願いします」」」
そして、一週間後、今に至る。
「てめぇ、何の真似だぁぁ、カッコつけてヒーロー気取りかぁ」
「僕にはそん―」
「ありがとうございます。旅の方」
フェリクスが口を開く前に暴漢に襲われていた女性が口を開いて言葉を遮った。
「この人数さで勝てると思うなよぉ――」
「話を聞いてくれるかい」
面倒臭そうに拳をフェリクスが拳を振るうと暴漢の1人がぶっ飛び壁に激突した。
「やりやがったな、てめぇ」
「実力差を少しは感じてくれると嬉しいんだけど」
もう一度フェリクスが拳を振るう。これもまた、あり得ない速度で壁までにぶっ飛んだ。
他の奴らは今の光景が信じられないという風に目を見開いている。
「まだ、やるかい」
ヒィと言う悲鳴を上げ、暴漢たちは路地裏へと消えて行った。しっかりと壁に激突した連中も回収をしていた。
「あの、ありがとうございます」
「はいはい、もう用は済んだよね、あっち行って」
それだけ言うとフェリクスは女性には目もくれず、表通りに足を向けた。
「あれがうちの商会の若頭ですかい。なんとも頼もしいね」
その姿を屋根の上から見下ろしている影が1つあった。
クレソン商会、1代で出来た新進気鋭の商会だが今では王都でも1、2を争う商会まで成長していた。しかし、その商会にはこれといった特徴のある商品は存在しない。普通ならば、何かしらの商品が商会自慢の商品ですという感じになるのだが、クレソン商会にはそんなことはなく、満遍なく商品が揃っていた。その商品が他の商会より品質が良く、尚且つ安いとなれば、一番売れるのは必然だった。他の商会からしてみれば、恨みのいい的だった。他の商会から当たりの辛い時期も過ぎ、苦労を重ね、今の商会を作ったダルク・クレソンは同業者たちから見えれば、生ける伝説だった。
そんな商会の入り口には連日、人だかりが出来ていた。
フェリクスはその横を通り、人から横入りをするなという視線を受けるが気にせず、商会の受付の所に進んだ。
「何の御用でしょうか」
「ダルクに言われて、ここで王都の学校の準備をしろと言われて来たんだけど」
「そうですか」
突然、受付嬢が腕をフェリクスの方へ腕を向けた。その腕は僅かに光っている。
フェリクスはその光に向かって、素早く何かを光った指先で書いた。それによって受付嬢の腕の光が消える。自分のされたことに驚いているのか受付嬢の目が丸くなった。
「解除ですかなるほど、確かにフェリクス様のようですね」
「問答無用で魔法ね、親父が考えそうなことだ」
受付嬢はフェリクスに魔法を放とうとしたのだがフェリクスは魔法を無効化してしまったのだ。通常なら構築される魔法陣を壊すか反魔法で対抗するのだが、フェリクスが選択したのは一番安全に魔法を無効化できる解除だった。しかし、安全に魔法を無効化出来る分、その解除は他の2つの方法に比べて時間がかかる欠点が存在する。フェリクスはその欠点が無いかの様に魔法が発動する一瞬の間で解除を行ってしまった。
「こちらが入学費と制服と学校で使用する教材です」
「それだけですか?」
「はい、フェリクス様が入学するのは王都でも由緒あるセイレン学院です」
「あの全寮制の学校ね」
「あと、会頭の方から手紙を一筆、預かっております」
受付嬢は綺麗に封蝋されている手紙を渡してきた。わざわざ、手紙をあることに若干の不安を感じて、フェリクスは受け取った手紙の封を切った。
【フェリクスへ
これの手紙を見ているということは無事、王都に着けたということだな。こんな手紙をわざわざ付けたのには理由があってな、何の巡り合わせか、お前がセイレン学院に入学させるつもりで準備していたがその段階でこの国の王女アリサ様も入学なさることが分かった。特に王女様に取り入ってこいだの、そんな悪徳商人的な真似はしなくていいが、お前はトラブルを呼び込む天才だ。王女様にはくれぐれも粗相の無いように頼むぞ。
追伸 嫁でも見つけてこい 父ダルク・クレソンより】
(つまり、面倒事は起こすなってことね。親父殿)
それだけ読むと、フェリクスは手紙を魔法で一瞬にして消し炭に変えた。
「それじゃ、ありがと、マリアンヌさん。また、何か用があったら、ここに来させてもらうよ」
「何故、自分の名前を―」
1度も口にしていないのにフェリクスは自分の名前を知っていたことに動揺をマリアンヌは隠せなかった。
「商会の人員ぐらい、覚えているさ。特に魔法が使える人なんてね」
それだけ言うと颯爽とフェリクスは商会を去って行った。
(あれが一番才能があると言われているダルク・クレソンの三男ね。欠点があるとすればやる気と書かれていたけど、本当みたいね。果たして彼が本気を見せたらどれだけの人が驚くのかしら)
先ほど出て行った、フェリクスは短い時間であの年では考えられない才能の片鱗をマリアンヌに見せていった。学院に入れば、いくら実力を隠していても広がるのは時間の問題だろう。そう思うと僅かにマリアンヌはワクワクが止まらなかった。
言われた通り、セイレン学園にフェリクスは来ていた。
(贅沢品、ばっかだな)
門を通り、学園の受付まで行くまでに銅像や噴水などがあり、商人として父が扱っているものもあるのでフェリクスには値段が簡単にわかってしまう。恐らく、一般人が値段を聞けば、絶対に近寄らないだろう。
フェリクスはそんな贅沢品を見ながら、受付に着いた。
「あの入学希望、なんですが」
「お名前は伺って、宜しいでしょうか」
「フェリクス・クレソンです」
「分かりました。こちらへどうぞ」
受付の女性は他の物に受付を任せるとフェリクスを連れて歩き出した。
「フェリクス・クレソンは君かね」
「ハイ、そうですが、これは何でしょうか」
そう言われてフェリクスが連れてこられたのはまるで闘技場だった。そこにいたのは、杖をついている初老のおじいちゃんだった。
カツンとその人が杖を鳴らすと突然、フェリクスは暗闇に包まれた。
「全く、なんでこんな風になったのかな」
豪華な街並みに騒がしい喧騒、王都の景色に普通なら感動して立ち止まって景色を見たりする人もいるだろう。しかし、フェリクス・クレソンは路地裏でいかにも暴漢と思われる人達に囲まれていた。フェリクスの頭の中は呑気に先日、父ダルク・クレソンの言葉を思い出していた。
「お前はどうして、無駄に才能を持っているのにそう、やる気を出さないんだ」
「そういわれてもね~」
フェリクスは父親に咎められているにも関わらず、気にもせず本を読んでいた。
「だから、お前には王都の学校に行ってもうことにした」
「へぇ~そうなんだ、って今、なんて言った、親父」
「お前には王都の学校に行ってもらうことにした」
「何で?」
「お前の上の兄さんたちはしっかりと自分の職について働いているのにお前と来たら、毎日、グウタラと本を読んでいるだけじゃなか」
「店の売り上げには貢献してるだろ。それで問題ないだろ」
「いいや、問題だ。確かに、お前はこの商会には貢献しているかもしれないがお父さんはお前の将来が心配なの」
「そんなこと言われても、俺はこの生活で満足してるから十分だ」
「いいや、そんなことだから、お前には女性が近寄ってこないんだ。王都の学校でそんな性格も直してもらってこい」
「嫌だ」
「お前に拒否する権利はない。お前たち、この馬鹿息子を店の前にほっぽりだせ」
後ろで待機していた3人の護衛がフェリクスの腕と足をがっしりと掴んだ。
「ちょっ、お前ら離せ――」
「すみません、若、これも旦那様からの命令ですので」
ダルクはフェリクスに向かって一振りの刀を投げた。
「お前なら、これだけで充分だろ。王都の支店には連絡しておくから、そこで準備して学校に行け」
どうやらダルクは本気の様だ。フェリクスを放りだした後も、護衛達はフェリクスから目を離さず、警戒して店に戻ら無いようにしている。
「おーし、おやじの決意はわかった。そこまでいうなら、そうしてやる。だが、その前にお前たち覚悟は出来ているだろうな」
「「「はい、若、一本お願いします」」」
「いい答えだ。お前ら、しばらくは会えないから、みっちり稽古をつけてやる」
「「「お願いします」」」
そして、一週間後、今に至る。
「てめぇ、何の真似だぁぁ、カッコつけてヒーロー気取りかぁ」
「僕にはそん―」
「ありがとうございます。旅の方」
フェリクスが口を開く前に暴漢に襲われていた女性が口を開いて言葉を遮った。
「この人数さで勝てると思うなよぉ――」
「話を聞いてくれるかい」
面倒臭そうに拳をフェリクスが拳を振るうと暴漢の1人がぶっ飛び壁に激突した。
「やりやがったな、てめぇ」
「実力差を少しは感じてくれると嬉しいんだけど」
もう一度フェリクスが拳を振るう。これもまた、あり得ない速度で壁までにぶっ飛んだ。
他の奴らは今の光景が信じられないという風に目を見開いている。
「まだ、やるかい」
ヒィと言う悲鳴を上げ、暴漢たちは路地裏へと消えて行った。しっかりと壁に激突した連中も回収をしていた。
「あの、ありがとうございます」
「はいはい、もう用は済んだよね、あっち行って」
それだけ言うとフェリクスは女性には目もくれず、表通りに足を向けた。
「あれがうちの商会の若頭ですかい。なんとも頼もしいね」
その姿を屋根の上から見下ろしている影が1つあった。
クレソン商会、1代で出来た新進気鋭の商会だが今では王都でも1、2を争う商会まで成長していた。しかし、その商会にはこれといった特徴のある商品は存在しない。普通ならば、何かしらの商品が商会自慢の商品ですという感じになるのだが、クレソン商会にはそんなことはなく、満遍なく商品が揃っていた。その商品が他の商会より品質が良く、尚且つ安いとなれば、一番売れるのは必然だった。他の商会からしてみれば、恨みのいい的だった。他の商会から当たりの辛い時期も過ぎ、苦労を重ね、今の商会を作ったダルク・クレソンは同業者たちから見えれば、生ける伝説だった。
そんな商会の入り口には連日、人だかりが出来ていた。
フェリクスはその横を通り、人から横入りをするなという視線を受けるが気にせず、商会の受付の所に進んだ。
「何の御用でしょうか」
「ダルクに言われて、ここで王都の学校の準備をしろと言われて来たんだけど」
「そうですか」
突然、受付嬢が腕をフェリクスの方へ腕を向けた。その腕は僅かに光っている。
フェリクスはその光に向かって、素早く何かを光った指先で書いた。それによって受付嬢の腕の光が消える。自分のされたことに驚いているのか受付嬢の目が丸くなった。
「解除ですかなるほど、確かにフェリクス様のようですね」
「問答無用で魔法ね、親父が考えそうなことだ」
受付嬢はフェリクスに魔法を放とうとしたのだがフェリクスは魔法を無効化してしまったのだ。通常なら構築される魔法陣を壊すか反魔法で対抗するのだが、フェリクスが選択したのは一番安全に魔法を無効化できる解除だった。しかし、安全に魔法を無効化出来る分、その解除は他の2つの方法に比べて時間がかかる欠点が存在する。フェリクスはその欠点が無いかの様に魔法が発動する一瞬の間で解除を行ってしまった。
「こちらが入学費と制服と学校で使用する教材です」
「それだけですか?」
「はい、フェリクス様が入学するのは王都でも由緒あるセイレン学院です」
「あの全寮制の学校ね」
「あと、会頭の方から手紙を一筆、預かっております」
受付嬢は綺麗に封蝋されている手紙を渡してきた。わざわざ、手紙をあることに若干の不安を感じて、フェリクスは受け取った手紙の封を切った。
【フェリクスへ
これの手紙を見ているということは無事、王都に着けたということだな。こんな手紙をわざわざ付けたのには理由があってな、何の巡り合わせか、お前がセイレン学院に入学させるつもりで準備していたがその段階でこの国の王女アリサ様も入学なさることが分かった。特に王女様に取り入ってこいだの、そんな悪徳商人的な真似はしなくていいが、お前はトラブルを呼び込む天才だ。王女様にはくれぐれも粗相の無いように頼むぞ。
追伸 嫁でも見つけてこい 父ダルク・クレソンより】
(つまり、面倒事は起こすなってことね。親父殿)
それだけ読むと、フェリクスは手紙を魔法で一瞬にして消し炭に変えた。
「それじゃ、ありがと、マリアンヌさん。また、何か用があったら、ここに来させてもらうよ」
「何故、自分の名前を―」
1度も口にしていないのにフェリクスは自分の名前を知っていたことに動揺をマリアンヌは隠せなかった。
「商会の人員ぐらい、覚えているさ。特に魔法が使える人なんてね」
それだけ言うと颯爽とフェリクスは商会を去って行った。
(あれが一番才能があると言われているダルク・クレソンの三男ね。欠点があるとすればやる気と書かれていたけど、本当みたいね。果たして彼が本気を見せたらどれだけの人が驚くのかしら)
先ほど出て行った、フェリクスは短い時間であの年では考えられない才能の片鱗をマリアンヌに見せていった。学院に入れば、いくら実力を隠していても広がるのは時間の問題だろう。そう思うと僅かにマリアンヌはワクワクが止まらなかった。
言われた通り、セイレン学園にフェリクスは来ていた。
(贅沢品、ばっかだな)
門を通り、学園の受付まで行くまでに銅像や噴水などがあり、商人として父が扱っているものもあるのでフェリクスには値段が簡単にわかってしまう。恐らく、一般人が値段を聞けば、絶対に近寄らないだろう。
フェリクスはそんな贅沢品を見ながら、受付に着いた。
「あの入学希望、なんですが」
「お名前は伺って、宜しいでしょうか」
「フェリクス・クレソンです」
「分かりました。こちらへどうぞ」
受付の女性は他の物に受付を任せるとフェリクスを連れて歩き出した。
「フェリクス・クレソンは君かね」
「ハイ、そうですが、これは何でしょうか」
そう言われてフェリクスが連れてこられたのはまるで闘技場だった。そこにいたのは、杖をついている初老のおじいちゃんだった。
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