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17 マミ カオスドラゴンと戦う (3)

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***
 
 
 「ただ倒すだけなら勇者なら可能」との竜族皇帝の言葉に、
「…どういう意味ですか…!!?」と、耳聡く聴き付けたフレナが、
そのフレナの後を追う様にクレイアが、ミーユが、マリンが、フィリスが、
それぞれの飛翔能力を発揮して皇帝の周囲に飛んでくる。
 
 皇帝が、酷く険しい表情で、「…迂闊にパワーであのカオスドラゴンを
砕けば、爆発と同時に強烈な超次元波動乱流が発生するでしょう。
そうなれば、この場にいる全員が波動乱流に巻き込まれて
超次元の狭間に落ちてしまいます。爆発のダメージは
ガッディスジュエルで防げても、次元の狭間に落ちた状態では
いずれ生命の維持が出来ず死んでしまう事になります。」と。
 
 「!!!っ、じゃ、じゃあ、勇者様はそれを恐れて攻撃の糸口が
掴めなくなってる、って、事ですか…!!!?」と、ミーユが
悲痛な表情になり、
マリンが唇を噛み締め、
フィリスの表情が蒼白となり、
クレイアは、ただ表情を消して皇帝の瞳を見つめている。
 
 その、一同の背後にカオスグリフォンの群れが殺到し、
「!!!」瞬時に振り向いたフレナが背中の両翼と両手と両脚を
鋭く捌いてそれぞれから6撃の竜気波動の黄金の光の刃を放ち、
それに間髪入れず呼応した一糸纏わぬクレイアの、
グリフォン達の頭上で宙返りしつつの暗黒波動を凝集した
斬り裂く手刀と斬り裂く蹴りの、6個の蒼黒の三日月を描く6撃が、
3体のカオスグリフォンを裂いて、光粒子に飛び散らせる。
 
 「…グリフォンを叩いて、マミちゃんが攻撃手段を見つけるまで、
持ちこたえましょう…!!!」と、フレナが、背後の一同に、振り向かずに。
竜族執政官が、「…それで勇者様が手段を見出せなかったと
したら…!!!?」と、暗い表情で。
「…勇者でも無理なら誰にもどうしようもない。諦めるだけ。
腹を据えて。」と、クレイアが、淡々と。
 
 ミーユが、混沌波動の刃と化した鷲の翼でマリンを斬り裂こうとした
カオスグリフォンのその翼を、神聖波動を込めた鞭の様な蹴りで弾き、
神聖波動を凝集したためらいの無い正拳突きをそのカオスグリフォンの
胸板に撃ち込み、隙無く合わせたマリンの闘気波動を凝集した正拳突きに、
カオスグリフォンが砕け散って、
フィリスが、ミーユ達4人に供給している妖精波動をさらに高めて
水色の光の奔流と化し、
ミーユがその水色の奔流を正拳突きの拳に込めて、
その拳から、妖精波動と神聖波動を凝集した波動光砲弾を撃ち出し、
マリンは、水色の奔流を込めた正拳突きの拳から妖精波動と闘気波動を
凝集した波動光砲弾を撃ち出し、
波動光砲弾同士が螺旋を描いて飛びながら融合して、
2体のカオスグリフォンを撃ち抜き、爆散させる。
 
 「…わたしは、全てを勇者様にゆだねます…!!!」と、ミーユが、
無垢な声音で。
「…ミーユちゃんのこんなに迷いの無い一撃、始めて観た。」と、
マリンが、無垢に微笑み、
ミーユが少し苦笑する。
 
 「…少女達に一本取られましたな…。」と、執政官が穏やかに苦笑し、
「…フレナったら、何時の間に勇者様の事をマミちゃんと呼ぶ様に
なったのかしら。」と、皇帝が、別に怒っている風でもなく、
どこか悠然と、ほのかに苦笑気味に微笑む。
 
 5人の少女達を心配しているつもりで、その5人がカオスグリフォン群に
立ち向かってくれているおかげで、自分がカオスドラゴンとの戦いに
専念出来ている事を、改めて思い知らされながら、(…何としても、
みんなの想いに応えなきゃ…!!!)と、マミが、
少し複雑な笑みを浮かべる。
ハイレグビキニで大胆な露出度の5人の少女達の姿に、約一名の露出度が
思い切り高過ぎる姿に、どうにも心惑ってしまい、(…それどころじゃ
ないだろ…!!!)と、自分に言い聞かせてみたりしつつ。
 
 その瞬間、カオスドラゴンの両眼が黒紫の閃光を放ち、
マミに直撃したはずの黒紫の閃光を、無造作にマミが、虹の七色の爪先で
引っ掛けて縦の後方転回の勢いを込めて蹴り返し、カオスドラゴンの頭部に
直撃させ、カオスドラゴンの頭部を粒子変換消滅させる。
(…あの閃光、物質消滅魔術の強化バージョンか…!!!)と、
マミが、唇を噛み締める。
カオスドラゴンの頭部が何事も無かったかの様に3秒で再生を完了する。
 
 カオスドラゴンの、両翼から絶対温度マイナス300度相当の
渦状波動刃が、口から7万度の火炎が、両手と膝から7億ボルトの雷光が、
両眼から物質消滅閃光が、全てマミ一人を目掛けて無数に連射され続け、
同時に、カオスドラゴン自体の、それ自体が冷気波動刃と化した両翼が、
7万度の熱を帯びた顎が、7億ボルトの雷光を帯びた四肢の爪が、
全てマミ一人を目掛けて、無数に叩き込まれ続ける。
それら全てを、マミの、肘打ちが、膝蹴りが、パンチが、キックが、迎撃し、
反射させて、全高100メートルを超えるカオスドラゴンの巨体に
撃ち込み続け、撃ち込んだ箇所を消滅させ続けていくが、
消滅させた箇所が全て3秒で再生を完了し
カオスドラゴンが無傷に戻り続けて、情況が全く進展しない。
 
 「!!!」マミが、全身に虹色の光粒子を凝集させて、
フィギュアスケートのクアドラプルスピンの動きで突撃し、
カオスドラゴンの腹部から背面へと撃ち抜いて大穴を穿つ。
 
 (…やっぱりこいつ、コアが無い…!!!)マミが、
一層厳しい表情になる。
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