上 下
13 / 100

11 マミ カオスキマイラと戦う

しおりを挟む
 
 
 
***
 
 
 全長40メートルを超えるカオスキマイラの両翼を断たれた傷口から
膨大な黒紫の波動が迸り、マミを3万度の熱で焼き尽くそうと、飲み込む。
マミにはかすり傷一つ与える事が出来ない。
 
 「!!!っ、そういう事かよ…!!!」波動から、カオスキマイラの
体内状況を察知したマミが、苦い表情で、
一旦床へと飛び下りる。(…総大主教がコアみたいな状態になってるんなら
取り出して復元すりゃ済むんだけど…、…これ一体どうすりゃいいんだ…!?)
 
 カオスキマイラの、両前足の爪が、鷲の嘴が、獅子の牙が、竜の顎が、
次々にマミの優美な柔肌目掛けて撃ち込まれ続けて、
傷の痛みに酷くくねる様に悶え続ける3個の頭部の、
鷲の嘴から4億ボルトの雷光が、獅子の口から絶対零度の吹雪が、
竜の口から3万度の炎が、迸って、マミの肢体に交互に叩き付けられ続ける。
全く無傷無痛のマミだが、苦しげに、唇を噛み締めている。
 
 フレナは2本の黄金剣で、ミーユは聖銀大剣で、カオスパイソンの群れを
迎え撃ち続け、時折、1体、2体、カオスパイソンを斬り倒してはいるが、
カオスパイソンの数は増える一方で、
マミの邪魔をされない様に引き付けておくのが精一杯の状況である。
カオスキマイラの4億ボルトの雷光と絶対零度の吹雪と3万度の炎は
フレナとミーユにも撃ち込まれ続けるが、ガッディスジュエルが展開する
ガッディスフィールドに完全に防がれ続けている。
 
 (…!!!!!)マミの瞳が、光を放ち、
 
 飛翔しつつ左右の2本のレインボーブレードで斬り込もうとしたマミの、
首から下の胴体を、獅子の口が喰い千切り、
残ったマミの首に竜の口が喰い付いて、飲み込む。
 
 「!!!!っ、マミちゃんっ!!!!?」「勇者様っ!!!!?」
フレナの、ミーユの、悲鳴が響き、
 
 (おれは大丈夫!!!、心配しないで!!!)
マミの、思念が、フレナとミーユの意識に直接響く。
 
 (!!!!?)茫然と見つめるフレナとミーユの眼前で、
カオスキマイラが、激しく苦悶し始める。
 
 カオスキマイラの黒紫の獅子の巨体に、無数の亀裂が入っていく。
その無数の亀裂から、ごく細い虹色の光条が、無数に迸って、
虹色の光粒子へと舞い散り、
 
 虹色の光粒子は虹色のオーロラへと凝集していく。
 
 やがてそのオーロラから白色の光粒子が分離して、
凝集し、人影へと変化していく。
 
 白色の光粒子から総大主教へと変化が完了して、
本来の穏やかな品格を備えた絶世の美女の、総大主教の姿へと、復活し、
 
 虹色のオーロラから傷一つ無いハイレグビキニアーマー装備状態に
戻ったマミが、まだ目覚めない総大主教を、
所謂「お姫様抱っこ」の体勢で抱きかかえる。
 
 マミが放つ虹色のオーラが周囲の空間を彩り、
カオスパイソンの群れもオーラに撃たれてたじろぎ、身動き出来なくなる。
 
 「マミちゃんっ!!!?」「勇者様っ!!!」思わず、
フレナとミーユが駆け寄る。
「何であんな無茶を!!!?」思わず涙目になるフレナに、
「ごめん、驚かせて…!」済まなさそうに、マミが、
微笑みつつ、「…総大主教がただ飲み込まれてる状態でなくて、
分散融合吸収されてカオスキマイラの全身に散ってる状態だったから、
おれ自身が一旦オーロラ化してカオスキマイラの全身に散って
総大主教の遺伝子を復元回収する以外に方法が無かったんだよ…。」
 
 「…御身体、大丈夫ですか…?」ミーユが、酷く心配そうに。
「全然大丈夫!」マミが、微笑む。「…胴体喰い千切られたと見せかけて
もう実体はオーロラ化してたから、痛みも全然無かったし!」
「…済みません…、わたしの無理なお願いに応えようとして…」酷く
申し訳なさそうにうつむくミーユに、
「いや、だから、大丈夫だって!」と、マミが、
わずかにうろたえ気味に、「…心配かけてごめん…」
「…勇者様…」ミーユの瞳に、涙が。
 
 「ゴガアアアアアアッ!!!!!!!!」苛烈に再生していく
カオスキマイラが、無数の虹色の光条に全身を斬り刻まれた激痛に
狂い悶え、4億ボルトの雷光と絶対零度の吹雪と3万度の炎を
間髪入れずに連続乱射し続け、カオスパイソンの群れも荒れ狂って
マミ達4人に間断無く襲い掛かり続ける。
絶対零度の冷気と3万度の熱が相殺し合う事も無く、
むしろぶつかり合い、激しい爆裂が無数に発生して、容赦無く4人を襲う。
 
 マミが、虹色の光を全身に纏い、盾になって総大主教を護りながら、
虹色半透明の球状の光のバリアー「レインボーバリアー」を展開して、
マミ自身と総大主教とミーユとフレナを包み込んで完全に防護し、
「…総大主教を、頼む…!」と、ミーユとフレナに告げて、
軽く、後ろに翔んで、レインボーバリアーの外に出る。
 
 「勇者様…!」「マミちゃん…!」ミーユとフレナに見つめられながら、
マミが、カオスキマイラの方に振り向く。
 
 「…友達を想い、平和を願う、その心を踏み躙ろうとするのなら…、
このおれが許さん…!!!!!」マミが、カオスキマイラを見据え、
決然と告げて、
 
 左右の手の2本のレインボーブレードを頭上で重ね合わせ、
膨大な虹色のエネルギーをその刃に凝集させ、
刃の長さだけで2メートルを超える1本の虹色の光の大剣に
レインボーブレードを変化させて、右の腰脇に、両手で、
剣先でやや斜め上空を狙う様に、構える。
 
 「ギアアアアアアッ!!!!!!!!」吠えるカオスキマイラの
雷光と吹雪と炎を無数に浴びながら、傷も凍傷も火傷も一切負う事無く、
飛翔したマミが、レインボーブレードを、
カオスキマイラの胸部中央、心臓部目掛けて、撃ち込む。
 
 無尽蔵の虹色のエネルギーがレインボーブレードからカオスキマイラの
心臓部へ、全身へと、注ぎ込まれて、カオスを焼き尽くしていき、
 
 無造作に後ろに5メートル程飛んでレインボーブレードを引き抜いた
マミが、右手のみでレインボーブレードを握り締めて、
超高速で飛翔しつつ、マミ自身の左の腰脇辺りに構えた
レインボーブレードを右上へと一瞬で斜めに斬り上げ、
カオスキマイラの傍らを一瞬で通り過ぎて、
 
 ふと、振り向きながら、左下に、右下へと、くの一文字を描いて
一瞬で右手の剣を鋭く振り下ろすマミの仕草と同時に、
 
 全長40メートルを超えるカオスキマイラの巨体が、
容赦無く両断され、爆散して、虹色の光に焼き尽くされ、
黒紫の光粒子へと散りながら、消えていく。












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

チートな転生幼女の無双生活 ~そこまで言うなら無双してあげようじゃないか~

ふゆ
ファンタジー
 私は死んだ。  はずだったんだけど、 「君は時空の帯から落ちてしまったんだ」  神様たちのミスでみんなと同じような輪廻転生ができなくなり、特別に記憶を持ったまま転生させてもらえることになった私、シエル。  なんと幼女になっちゃいました。  まだ転生もしないうちに神様と友達になるし、転生直後から神獣が付いたりと、チート万歳!  エーレスと呼ばれるこの世界で、シエルはどう生きるのか? *不定期更新になります *誤字脱字、ストーリー案があればぜひコメントしてください! *ところどころほのぼのしてます( ^ω^ ) *小説家になろう様にも投稿させていただいています

F級テイマーは数の暴力で世界を裏から支配する

ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ある日、信号待ちをしていた俺は車にひかれて死んでしまった。 そして、気が付けば異世界で、貴族家の長男に転生していたのだ! 夢にまで見た異世界に胸が躍る――が、5歳の時に受けた”テイム”の祝福が、最低位のF級!? 一縷の望みで測った魔力容量と魔力回路強度も平凡だって!? 勘当されたら、その先どうやって生きてけばいいんだー! と、思っていたのだが…… 「あれ? 俺の”テイム”何かおかしくね?」 ちょくちょくチートな部分があったことで、俺は”強く”なっていくのであった

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

狂乱令嬢ニア・リストン

南野海風
ファンタジー
 この時代において、最も新しき英雄の名は、これから記されることになります。  素手で魔獣を屠る、血雨を歩く者。  傷つき倒れる者を助ける、白き癒し手。  堅牢なる鎧さえ意味をなさない、騎士殺し。  ただただ死闘を求める、自殺願望者。  ほかにも暴走お嬢様、爆走天使、暴虐の姫君、破滅の舞踏、などなど。  様々な異名で呼ばれた彼女ですが、やはり一番有名なのは「狂乱令嬢」の名。    彼女の名は、これより歴史書の一ページに刻まれることになります。  英雄の名に相応しい狂乱令嬢の、華麗なる戦いの記録。  そして、望まないまでも拒む理由もなく歩を進めた、偶像の軌跡。  狂乱令嬢ニア・リストン。  彼女の物語は、とある夜から始まりました。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

左遷されたオッサン、移動販売車と異世界転生でスローライフ!?~貧乏孤児院の救世主!

武蔵野純平
ファンタジー
大手企業に勤める平凡なアラフォー会社員の米櫃亮二は、セクハラ上司に諫言し左遷されてしまう。左遷先の仕事は、移動販売スーパーの運転手だった。ある日、事故が起きてしまい米櫃亮二は、移動販売車ごと異世界に転生してしまう。転生すると亮二と移動販売車に不思議な力が与えられていた。亮二は転生先で出会った孤児たちを救おうと、貧乏孤児院を宿屋に改装し旅館経営を始める。

宙(そら)に舞う。 〜レイとリュウ〜

星野そら
ファンタジー
宇宙(そら)本編。  阿刀野レイと阿刀野リュウの兄弟は、辺境の惑星ベルンで暮らしていた。  兄のレイは、荷物や書簡、人などあらゆるものを運ぶ『クーリエ』だ。やばい宙域であろうが、たとえ途中で海賊に襲われようが、指定された場所に、指定された時間までにきちんと荷物を届けることで知られ、その整った容貌から『美貌のクーリエ』として高い評価を得るようになっていた。  レイはそれだけの操船技術を持っていた。  一方、弟のリュウは、連合宇宙軍の士官訓練センターへの入校が決まったばかり。これから宇宙軍士官を目指すための訓練を受けることになっていた。  リュウは、宇宙軍に入るつもりはなく、兄と一緒にクーリエとして働きたいと思っていたのだが、レイはリュウと一緒に働くつもりはなかった。  「クーリエなんてつまらない配達屋だし、自分と一緒に宇宙を飛んでいると危険だ」と知っていたから。  レイには知られてはならない過去があったのだ──。

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

処理中です...