悪役令嬢は平凡な幸せを築きたい

悪役令嬢は平凡な幸せを築きたい

　
「う、嘘でしょ？　　　　い、イヤーーーーーーー！！！」


とある夏の日、ビオラ男爵家の朝は絶叫から始まった。


「お、お嬢様！どうされましたか？？」

メイドのミラが駆け寄るが、彼女の主人は鏡を見つめながら顔をペタペタとさわっている。

「・・・うそ、、、やだ、、、どうしよ・・・」

鏡の中には、絶世の美女。

いつものことだが、本当に綺麗だ。

ぱっちりとした目、スッと通った高い鼻、唇は愛らしく、肌にはシミ一つない。
波打つ金髪はよく手入れされていて光り輝くようだ。
ほっそりとした首、綺麗に見える鎖骨。それなのにドレスから覗く胸は少しずつ成長しており将来はかなり有望だ。

おもわず自分と比べてしまい落ち込むが、相手は14歳の子供。
しかも誰彼問わず優しい自慢のお嬢様だ。

深呼吸してもう一度声を掛ける

「お嬢様、どうされました？何かご入り用でしょうか？」

パッとこっちを振り向いたその目には大粒の涙。

「どうしよう！私、悪役令嬢だわ！」


・・・・・は？

意味がわかりません。お嬢様。






「こんな私でも愛してくれますよね？」は18禁の乙女ゲームである。
主人公は平民。16歳で入学する全寮制の学校に学力優秀者として入学する。
そこで出会う男性の中から運命の人を見つけ、イベントをこなし好感度を上げることで卒業式の日に告白される。
通常であれば、それを邪魔する悪役は公爵令嬢だったりするんだけど、このゲームでは違った。
貴族の中では最も位の低い男爵の令嬢。
しかし、その外見故多くの男性を味方につけ、王子を誑かし、学校を裏から操る。
攻略対象者達は皆、悪役令嬢に夢中なのだ。

主人公は一人、もしくは全員の好感度を基準値以上に上げることでハッピーエンドを迎えることが出来るが、好感度が基準値以上の攻略対象者が2～5人の場合、全員に振られるというバットエンドを迎える事になる。
そして悪役令嬢は主人公が一人もしくはハーレムを達成した場合は家を追い出され外見に目をつけた脂ぎった商人の家に監禁、売り上げのために客に陵辱される日々を過ごす、いわゆる肉便器ルート。主人公が攻略失敗した場合は、男爵令嬢への好感度の一番高いキャラの妻になる。という一見幸せだが家格が釣り合っていないため絶対に苦労するであろう未来が見えるルートを迎えることになる。

何故かこのゲームは悪役令嬢が犯されるスチルが非常に多いのが特徴で、主人公への苛めを画策している悪役令嬢がモブに身体を触られているスチルや攻略対象者達が悪役令嬢を囲って何をしているのかよく見えないけれど令嬢の喘ぎ声と共に足下に赤いロープの先端が見えるなど物議を醸し出したスチルもあり「主人公がどっちかわからない」「主人公より悪役令嬢のスチルの方が多くてエロい」「悪役令嬢Verのゲームもしたい」など話題になり男性購買客も多かったと聞いた。


もしかして、これ、ヤバいですか？？

どうしたら逃げれるの？私は平穏に暮らしたいんです！