上 下
81 / 83
第3章

81

しおりを挟む
*話は前回のお話に遡ります。

《はぁはぁ、クソ!!せっかく後少しで、この国も俺の物になったのに!!》
爆風に紛れて城から逃げだした者がいた。
それは、褐色の肌に銀髪をなびかせながら空を駆け抜けていた。
赤い瞳には計画を邪魔された為、苛立ちに満ちていた。

《クソ!クソ!!どうすればいいんだ、ーーそうだ。また他の間抜けな人間を使えばいいだけさ。そうさ、他にも人間は居るんだ!ははっ、俺様とした事がーーーっ》

「いつまで喋っているんだ。捕まえたぞ。こんな所に居たんだな?さぁ、俺に付き合って貰おうか。タップリ時間はあるんだ。サシュード。」

《!!   お前は!!何故ここにいるんだ?お前は幽閉されていたんじゃ?!》
驚いたと目を見開き、慌てふためくサシュードと呼ばれる者。
ニヤリと笑みを浮かべるロードは、やれやれと言った表情で話し出した。


「よくも嵌めてくれたな。言いたいことは山程あるが、サシュードのお陰でミナに会えたから、殺しはしないさ。ただ殺すには俺の怒りが収まらないからな。ふ」
目は笑っておらず、淡々と話すロードに背筋がゾクリとする。
「サシュード。今から俺の空間で永遠に過ごすがいい。死ぬことも出来ず、飢えに苦しめ。お前1人の孤独を味わえ」

すーーっと手を前に出すと、宝箱が出現しパカっとフタが開くと同時にサシュードは中に吸い込まれていく。
《!!ローードーーー!!!!覚えていーーろーーーよーーーー・・・》

怨みの言葉を吐き捨てながら、宝箱の中へと消えて言った。


「俺を陥れたサシュード。もう永遠に会うことは無い。」

ロードはグッと拳を握りしめ、アランの屋敷へと帰っていった。
サシュードの事を報告する為に。


そもそも、何故ロードがこの場所にいたかと言うと
アランに頼まれリードリッヒを王宮へと連れていったからだ。
その帰りに身に覚えのある魔力を感じる、予め探知する為に王宮周辺に結界を張っており。
そんな事とはつゆ知らず、サシュードは逃げる事に集中しており気付かなかったのだ。

サシュードの正体は魔族。
ロードとは顔馴染みである。




アランの屋敷につくと、先程の事を報告していた。
要件を伝えたら、さっさと愛しのミナを見守る為に帰っていった。

残されたアランは、頭を抱えてしまう。
魔族に操られていたとはいえ、仮にも王族だ。
どう説明したらよいのかーーー悩む。


(よし!詳しく説明が面倒だ。死んだことにしよう!生きたまま、閉じ込められている。なんて報告したら、何を言われるか眼に見えているしな、ーーはぁぁぁ・・)
アランは深いため息をしながら、重い足取りで王宮へと向かう。


そして、城の修復作業をしているリードリッヒを見つけ、事のあらましを説明したのだった。



「はぁーー、どっと疲れたな・・・早く帰ろう。」
厄介ごとが終わり、ひと段落したアランは屋敷へと帰路につく。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

妻のち愛人。

ひろか
恋愛
五つ下のエンリは、幼馴染から夫になった。 「ねーねー、ロナぁー」 甘えん坊なエンリは子供の頃から私の後をついてまわり、結婚してからも後をついてまわり、無いはずの尻尾をブンブン振るワンコのような夫。 そんな結婚生活が四ヶ月たった私の誕生日、目の前に突きつけられたのは離縁書だった。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜

七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。 ある日突然、兄がそう言った。 魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。 しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。 そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。 ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。 前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。 これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。 ※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。

三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。 それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。 頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。 短編恋愛になってます。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

処理中です...