76 / 83
第3章
76
しおりを挟む
「ーーやっと、やっと着いたのか・・・?」
何故私がこんなに、疲労困憊気味かというとミナとロードのいちゃつきが我慢できない。ーーただでさえ、まなみでいる時間が少ないのに。
それに加えて、暑苦しいアーマードの相手は疲れる。
匂いの強い香水に暑化粧・・・何故か、話しているとグイグイ近づいてきてーー怖かった。
長かったーーーとても長かった、着いた途端に一番乗りで外の空気を吸うのも無理もない。
ーーだから、そんな目で見ないでおくれ。
私だって息抜きしたいんだよ?分かっておくれアルジェ。
ジトーッと見ているアルジェから目を背けながら心の中で言い訳をするアラン。
「まずは、最長老にご挨拶しないとね♡ヨシュア君にバレない内に グエッ」
私達に説明しながら歩いていたら、急にアーマードの動きが止まり、苦しみだした。なんだ?何が起きたんだ?!
ーーーー私の気のせいだろうか?
アーマードの首に緑の手が絡みついて締め付けているように見えるが・・・うん。私は何も見ていない。アーマードの後ろに鬼の形相で睨みつけているヨシュアさんなんて、ミテイナイヨ。
危険を察知したのか、ロードとミナも素知らぬ顔をしている。
「アーマード。仕事を放り出して居なくなったと思ったらーーーのこのことよく戻って来ましたね。」
一言一言に威圧が込められ聞いているだけで体が凍りつくようだ。
*****
「なるほど、話は分かりました。
まなみさんの中にいるミナさん、ミナさんをまなみさんから切り離すんですね?
結論から言いますと可能です。」
「本当か!やったな!ミナ!!」
歓喜のあまりミナは泣き出した。
ヨシュアさんにこれまでの経緯を話した、静かに話を聞いていヨシュアさんの後ろで、アーマードが先程より生傷が増えているのは見て見ぬ振りをしよう。
アーマードの言葉を疑っていた訳ではないが、ここまでハッキリ聞かされると私も期待してしまう。
グッと握った手に力が入る。
「ーーただ、問題があります。あなたの」
「ヨシュア君!!」
言葉を遮るようにアーマードが割って入った。やはり、何かあるのか?
「はぁー、その様子だとまだ言ってないんですね?まったく、後でみっちり話さないといけない様ですね。」
鋭い眼光でアーマードはすごすごと引き下がった。
ゴクリと生唾を飲み込み、ヨシュアさんが話すことを静かに聞く事にする。
「物事には手順があります。まず、精神を肉体から切り離す事は簡単です。しかし、残された肉体。新たな肉体には負担がかかります。
1つ、元々の肉体に2つの精神が1つになるので、喪失感が出てきます。例えるなら、心にポッカリと穴が空いた状態になりますね。なので、支える人が居ないと精神を病んでしまいます。
2つ、切り離された精神が新しい肉体に馴染むのに時間がかかります。今まで五感を自然に出来ていた事が初めからになるので、リハビリが必要です。頭はしっかりしているのに、体が思うように動かせません。言葉も練習が必要です。
最後に、新しい肉体。
こちらを作るのはーーー見たほうが早いですね。付いてきてください。」
ヨシュアさんはそういうと、スタスタ歩いていってしまった。
思っていたより、難しい事では無いと思った。
そう、実際に体験するまでは。それはこの先に理解することになる。
「これです。こちらの卵に魔力を注ぎます。ミナさんが魔力を注ぐと、そのまま魔力と一緒に卵の中に入り時間をかけて肉体を作り新たに産まれて来るんです。」
連れてこられたのは、一面に卵が沢山ある場所だった。
大小様々な卵が等間隔で並んでいる。不思議な光景だ。
「なんだ、そんな事か。すぐに取り掛かろう!ミナ、」
ロードが近くにあった卵を持ち上げようとした時、ガシッとヨシュアさんに腕を掴まれた。
「気軽に考えてはいけません。これらの卵は新しく生まれるんです。必ずしも生まれる前の記憶があるとは限りません。ミナさんも記憶があるとは・・・同じ魂でも、あなたの事を忘れているかもしれません。この卵達は地中や待機中から集まった魔力が固まり1つの生命として卵になり生まれてきます。この場所が特殊なんです。
その時に記憶を持って生まれてくる者達はいません。稀にまなみさんの様に記憶を持ったままの者もいますがーーーあなたを忘れている、それでも覚悟はありますか?」
真剣な表情で話すヨシュアさんにロードは躊躇なく二つ返事をする。
「気が遠くなるほど待てたんだ。忘れたらまた2人の時間を作ればいい。俺はミナ以外考えられないんだ。ミナ、俺にはお前だけだ。」
男の私でも惚れてしまうな。こんないい男は他にいないな。
ーーーーおや?アーマードも目がハートになっている。ロードに惚れたな、ミナ・・は言うまでもないか。
私もロードと同じ立場でも、同じ事をしていたな。
まなみ以外考えられない。
記憶が無くてもこの愛は永遠だ。
「ーーー分かりました。あなたの覚悟は変わらない様ですね。
では、ここへ。ミナさん、あなたの魔力で卵を作ります。」
『たまご?』
「はい、卵をイメージして下さい。」
言われた通りに両手を前に出し、卵をイメージする。
『ーーーたまご・・』
手から薄っすらと卵の形が出来てきた。すると、ロードがある事に気づく「ミナの魔力が無くなってる?体に残っていた魔力はミナの魔力だったのか、ーーーこれで、まなみの魔力は無くなったな」
小さな呟きは誰に聞こえるわけもなく、ミナの手から卵が出来る事に皆釘付けのようだ。
『凄い、私の魔力がドンドン吸い込まれーーーてーーーいーく?』
「!!ミナ!お前の体が消え始めるているぞ!」
ガシッと掴もうとするが、見えない力に弾かれる。
ミナの体は霧の様に浮き出てきて、2人いる様に見える。
これが、真奈美とミナの精神が離れてきているのだ。
『大丈ーー夫よーーーすぐに………ぁ‥‥ぇ…………』
ミナは卵の中に入ってしまった。
ピンク色に金色の模様が入った卵がロードの目の前にある。
この中にミナがいる。
そっと卵に触れるロードにヨシュアさんは「卵が孵化するのはまだ分かりません。それまで、こちらで滞在しますか?」
「ぁあ、そうして貰えると助かる」
「では用意しましょう。こちらへ、あぁ卵はそのままにして下さい。この場所でしか孵りませんので動かさないでくださいね」
「そうなのか?分かった。しばらく、ここにいていいか?大丈夫だ。動かしたりしない。」
ロードは離れたく無いようで卵の側にいる。ヨシュアさんもそれが分かるのかあまり強くは言わない様だ。
まなみ、もうミナはいないよ?早く目を覚ましておくれ。
何故私がこんなに、疲労困憊気味かというとミナとロードのいちゃつきが我慢できない。ーーただでさえ、まなみでいる時間が少ないのに。
それに加えて、暑苦しいアーマードの相手は疲れる。
匂いの強い香水に暑化粧・・・何故か、話しているとグイグイ近づいてきてーー怖かった。
長かったーーーとても長かった、着いた途端に一番乗りで外の空気を吸うのも無理もない。
ーーだから、そんな目で見ないでおくれ。
私だって息抜きしたいんだよ?分かっておくれアルジェ。
ジトーッと見ているアルジェから目を背けながら心の中で言い訳をするアラン。
「まずは、最長老にご挨拶しないとね♡ヨシュア君にバレない内に グエッ」
私達に説明しながら歩いていたら、急にアーマードの動きが止まり、苦しみだした。なんだ?何が起きたんだ?!
ーーーー私の気のせいだろうか?
アーマードの首に緑の手が絡みついて締め付けているように見えるが・・・うん。私は何も見ていない。アーマードの後ろに鬼の形相で睨みつけているヨシュアさんなんて、ミテイナイヨ。
危険を察知したのか、ロードとミナも素知らぬ顔をしている。
「アーマード。仕事を放り出して居なくなったと思ったらーーーのこのことよく戻って来ましたね。」
一言一言に威圧が込められ聞いているだけで体が凍りつくようだ。
*****
「なるほど、話は分かりました。
まなみさんの中にいるミナさん、ミナさんをまなみさんから切り離すんですね?
結論から言いますと可能です。」
「本当か!やったな!ミナ!!」
歓喜のあまりミナは泣き出した。
ヨシュアさんにこれまでの経緯を話した、静かに話を聞いていヨシュアさんの後ろで、アーマードが先程より生傷が増えているのは見て見ぬ振りをしよう。
アーマードの言葉を疑っていた訳ではないが、ここまでハッキリ聞かされると私も期待してしまう。
グッと握った手に力が入る。
「ーーただ、問題があります。あなたの」
「ヨシュア君!!」
言葉を遮るようにアーマードが割って入った。やはり、何かあるのか?
「はぁー、その様子だとまだ言ってないんですね?まったく、後でみっちり話さないといけない様ですね。」
鋭い眼光でアーマードはすごすごと引き下がった。
ゴクリと生唾を飲み込み、ヨシュアさんが話すことを静かに聞く事にする。
「物事には手順があります。まず、精神を肉体から切り離す事は簡単です。しかし、残された肉体。新たな肉体には負担がかかります。
1つ、元々の肉体に2つの精神が1つになるので、喪失感が出てきます。例えるなら、心にポッカリと穴が空いた状態になりますね。なので、支える人が居ないと精神を病んでしまいます。
2つ、切り離された精神が新しい肉体に馴染むのに時間がかかります。今まで五感を自然に出来ていた事が初めからになるので、リハビリが必要です。頭はしっかりしているのに、体が思うように動かせません。言葉も練習が必要です。
最後に、新しい肉体。
こちらを作るのはーーー見たほうが早いですね。付いてきてください。」
ヨシュアさんはそういうと、スタスタ歩いていってしまった。
思っていたより、難しい事では無いと思った。
そう、実際に体験するまでは。それはこの先に理解することになる。
「これです。こちらの卵に魔力を注ぎます。ミナさんが魔力を注ぐと、そのまま魔力と一緒に卵の中に入り時間をかけて肉体を作り新たに産まれて来るんです。」
連れてこられたのは、一面に卵が沢山ある場所だった。
大小様々な卵が等間隔で並んでいる。不思議な光景だ。
「なんだ、そんな事か。すぐに取り掛かろう!ミナ、」
ロードが近くにあった卵を持ち上げようとした時、ガシッとヨシュアさんに腕を掴まれた。
「気軽に考えてはいけません。これらの卵は新しく生まれるんです。必ずしも生まれる前の記憶があるとは限りません。ミナさんも記憶があるとは・・・同じ魂でも、あなたの事を忘れているかもしれません。この卵達は地中や待機中から集まった魔力が固まり1つの生命として卵になり生まれてきます。この場所が特殊なんです。
その時に記憶を持って生まれてくる者達はいません。稀にまなみさんの様に記憶を持ったままの者もいますがーーーあなたを忘れている、それでも覚悟はありますか?」
真剣な表情で話すヨシュアさんにロードは躊躇なく二つ返事をする。
「気が遠くなるほど待てたんだ。忘れたらまた2人の時間を作ればいい。俺はミナ以外考えられないんだ。ミナ、俺にはお前だけだ。」
男の私でも惚れてしまうな。こんないい男は他にいないな。
ーーーーおや?アーマードも目がハートになっている。ロードに惚れたな、ミナ・・は言うまでもないか。
私もロードと同じ立場でも、同じ事をしていたな。
まなみ以外考えられない。
記憶が無くてもこの愛は永遠だ。
「ーーー分かりました。あなたの覚悟は変わらない様ですね。
では、ここへ。ミナさん、あなたの魔力で卵を作ります。」
『たまご?』
「はい、卵をイメージして下さい。」
言われた通りに両手を前に出し、卵をイメージする。
『ーーーたまご・・』
手から薄っすらと卵の形が出来てきた。すると、ロードがある事に気づく「ミナの魔力が無くなってる?体に残っていた魔力はミナの魔力だったのか、ーーーこれで、まなみの魔力は無くなったな」
小さな呟きは誰に聞こえるわけもなく、ミナの手から卵が出来る事に皆釘付けのようだ。
『凄い、私の魔力がドンドン吸い込まれーーーてーーーいーく?』
「!!ミナ!お前の体が消え始めるているぞ!」
ガシッと掴もうとするが、見えない力に弾かれる。
ミナの体は霧の様に浮き出てきて、2人いる様に見える。
これが、真奈美とミナの精神が離れてきているのだ。
『大丈ーー夫よーーーすぐに………ぁ‥‥ぇ…………』
ミナは卵の中に入ってしまった。
ピンク色に金色の模様が入った卵がロードの目の前にある。
この中にミナがいる。
そっと卵に触れるロードにヨシュアさんは「卵が孵化するのはまだ分かりません。それまで、こちらで滞在しますか?」
「ぁあ、そうして貰えると助かる」
「では用意しましょう。こちらへ、あぁ卵はそのままにして下さい。この場所でしか孵りませんので動かさないでくださいね」
「そうなのか?分かった。しばらく、ここにいていいか?大丈夫だ。動かしたりしない。」
ロードは離れたく無いようで卵の側にいる。ヨシュアさんもそれが分かるのかあまり強くは言わない様だ。
まなみ、もうミナはいないよ?早く目を覚ましておくれ。
0
お気に入りに追加
555
あなたにおすすめの小説
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる