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第3章
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あれから1ヶ月経った。
あの山での出来事を王に報告し、リードリッヒ様の紋章を渡した。私が早く着いていればと悔やんだが王は攻めなかった。
リードリッヒ様のご遺体が見当たらなかった事を伝えると、王は希望があると言った瞳で話を聞いてくれた。
そうそう、まなみを刺した獣人の子は街の宿屋の亭主に引き渡した。まなみーーいや、ミナが許したから特に咎められる事も無かった。
相変わらず、まなみは眠気に襲われミナと入れ替わってしまう。
いつ入れ替わるのか分からない為、屋敷に帰る事が出来ずマダム・イシュリーにお世話になっているんだ。
今日もミナはロードと一緒にいるが、一線を超えないようにマダムに頼み込み魔法具を作って貰った。あの体はまなみの物だ。
いくらミナと言う人格者でも他の男に体を許すのはダメだ。
私の休暇も終わり、王宮と屋敷、マダムの所を行き来しているが何も進展が無い。
どうにか、ミナをまなみから引き離したい。以前の様にまなみの中に押さえつける事は出来るらしいが、私は反対だ。
何故かって?生き別れた愛しい人と引き離すなんて、そんな悲しい事は出来ない。私だって嫌だ。
ーーーだが、まなみの体を使われるのは…正直言って限界。
何か案が無いかと王宮図書館や魔導師に聞いても期待できる返事は返ってこない。
やれやれと、私は重い足取りでマダムの所へ帰ろうとしていた。ひろばを通り抜けようとした時
ドドドドドドドド
地響きが鳴り、私は慌てて近くの人々を非難させた。
「慌てないで下さい!!こちらへーー!ゆっくりとこちらへ非難して下さい!!慌てないで下さいーー」
地面が揺れ動き、まばらにいた人達は何とか広場の中央へと非難できた。この場所なら建物が崩れたりと危険は無い。
私はこの揺れは自然災害では無く、人為的・・・もしくは魔物かと判断し腰の剣を手に取り、何か迫ってくるものを見据えた。
ドドドドドドドドドドドド
揺れが激しく鳴り、土埃を立てながら茶色い何かが物凄いスピードで向かってくる。
ゴクリッと息を呑み目を凝らしながら見つめていると、その何かは私の前で止まった。
不思議に思いながらも剣を構えたまま、土埃が収まるのを待っていると現れたのはーーー牛だ。
ピンクのフリフリドレスを着ておりまつ毛がバサバサしており、赤い口紅を付けた牛。ドレスから見え隠れする筋肉に顔が強張る。
ーーーーどこかで見た事がある?ような?
その牛を見つめると、目が合った。
「フーフーフー・・・」
息切れしているのか、鼻息が荒い。
それにしてもーー凄い服装だな・・・
「ーーーあなたーーーー見つけ・・たーーゎ」
「ーーえっ?」
ガシイィッッと襟を掴まれ、今にもとって食いそうな勢いだ。
ーーこの顔でアップはキツイ。
「今、失礼な事考えたでしょ?!まぁいいゎ、まなみちゃんは!!まなみちゃんはどこにいるの!!ーーーまさか、殺してないわよね?そうならーーーフンッ!!」
「グエッーーまて、待て待て待て!まなみ?殺すわけないだろ!」
「本当でしょうね?嘘ついたらーーー殺すわよ?」
ゾワリ
その牛はアーマードと名乗った。
使い魔養成所から来たらしい。確かに会ったことがあるな。
ここまで、化粧が濃く無かったような?
ちろっと見るとギロリと睨まれた。
うん。
素直に案内するのが良さそうだ。
あの山での出来事を王に報告し、リードリッヒ様の紋章を渡した。私が早く着いていればと悔やんだが王は攻めなかった。
リードリッヒ様のご遺体が見当たらなかった事を伝えると、王は希望があると言った瞳で話を聞いてくれた。
そうそう、まなみを刺した獣人の子は街の宿屋の亭主に引き渡した。まなみーーいや、ミナが許したから特に咎められる事も無かった。
相変わらず、まなみは眠気に襲われミナと入れ替わってしまう。
いつ入れ替わるのか分からない為、屋敷に帰る事が出来ずマダム・イシュリーにお世話になっているんだ。
今日もミナはロードと一緒にいるが、一線を超えないようにマダムに頼み込み魔法具を作って貰った。あの体はまなみの物だ。
いくらミナと言う人格者でも他の男に体を許すのはダメだ。
私の休暇も終わり、王宮と屋敷、マダムの所を行き来しているが何も進展が無い。
どうにか、ミナをまなみから引き離したい。以前の様にまなみの中に押さえつける事は出来るらしいが、私は反対だ。
何故かって?生き別れた愛しい人と引き離すなんて、そんな悲しい事は出来ない。私だって嫌だ。
ーーーだが、まなみの体を使われるのは…正直言って限界。
何か案が無いかと王宮図書館や魔導師に聞いても期待できる返事は返ってこない。
やれやれと、私は重い足取りでマダムの所へ帰ろうとしていた。ひろばを通り抜けようとした時
ドドドドドドドド
地響きが鳴り、私は慌てて近くの人々を非難させた。
「慌てないで下さい!!こちらへーー!ゆっくりとこちらへ非難して下さい!!慌てないで下さいーー」
地面が揺れ動き、まばらにいた人達は何とか広場の中央へと非難できた。この場所なら建物が崩れたりと危険は無い。
私はこの揺れは自然災害では無く、人為的・・・もしくは魔物かと判断し腰の剣を手に取り、何か迫ってくるものを見据えた。
ドドドドドドドドドドドド
揺れが激しく鳴り、土埃を立てながら茶色い何かが物凄いスピードで向かってくる。
ゴクリッと息を呑み目を凝らしながら見つめていると、その何かは私の前で止まった。
不思議に思いながらも剣を構えたまま、土埃が収まるのを待っていると現れたのはーーー牛だ。
ピンクのフリフリドレスを着ておりまつ毛がバサバサしており、赤い口紅を付けた牛。ドレスから見え隠れする筋肉に顔が強張る。
ーーーーどこかで見た事がある?ような?
その牛を見つめると、目が合った。
「フーフーフー・・・」
息切れしているのか、鼻息が荒い。
それにしてもーー凄い服装だな・・・
「ーーーあなたーーーー見つけ・・たーーゎ」
「ーーえっ?」
ガシイィッッと襟を掴まれ、今にもとって食いそうな勢いだ。
ーーこの顔でアップはキツイ。
「今、失礼な事考えたでしょ?!まぁいいゎ、まなみちゃんは!!まなみちゃんはどこにいるの!!ーーーまさか、殺してないわよね?そうならーーーフンッ!!」
「グエッーーまて、待て待て待て!まなみ?殺すわけないだろ!」
「本当でしょうね?嘘ついたらーーー殺すわよ?」
ゾワリ
その牛はアーマードと名乗った。
使い魔養成所から来たらしい。確かに会ったことがあるな。
ここまで、化粧が濃く無かったような?
ちろっと見るとギロリと睨まれた。
うん。
素直に案内するのが良さそうだ。
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