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第2章
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*生々しい表情有り。苦手な方は飛ばして下さい。!
『ねぇ、アラン?これって・・・人為的な物?それもつい先ほどまで誰かいたーーよね?』
「・・・たぶんな」
そこには火を起こしたであろう跡が残っていた。焚き木は煙がほんのり漂っており、周りには足跡があった。
アランが険しい顔をしているのは、その足跡が酷く乱れていたのだ。まるで何かから逃げる様に。
「まなみ、アラン!こっちに来てくれ」
ロードが離れた場所から2人を呼ぶ。真奈美はアルジェを抱き上げ、ロードの元へ駆け寄ると驚愕した。
そこには大きな魔物の死骸とーーー無残な死体があったのだ。
真奈美は咄嗟にアルジェの目を隠した。子供に見せるには酷な程、現状は悲惨だった。
『ひどい・・・』
アランを見ると益々険しい表情をしている。
「ここでキャンプをしていたら、あれに襲われたんだな。ジャイアントベア、それも変異種だから達が悪い。普通のジャイアントベアはあまり人は襲わないが変異種は別だ、人を見つけたら襲いかかってくるんだ。こいつらは運が悪かったな、」
ロードが説明しながら、ジャイアントベアの頭を切断しその死骸を燃やし始めた。突然の行動に驚き『!!なんで、死んでるのにそんな残酷な事をするの?!』大声を出してしまう。
「知らないのか?変異種は、頭を切り離さないと魔獣になってしまうんだぜ?体が大きい分魔力が残っているんだ。頭が離れたら体に残った魔力が拡散されるが、絶対にとは言い切れないから俺は全部燃やす。その方が安全だろ?」
正論を言うロードに納得してしまう。確かに死んだ生き物が魔獣になるのは知っている。だが、それは稀な事だと思っていた。
まさか、そんな理由があったのは初耳だったのだ。
『そうだったの、ごめんなさい。大声を出したりしてーー』
「いいんだ。知らない事は悪くない、これから覚えて行けばいいんだ。」
優しい口調で言われ頭をポンポンされてしまった。自分の無知が恥ずかしい、赤面しながら下を向くとアルジェと目があった。不思議そうに見つめる瞳に『私も勉強不足ね』とポツリと呟いた。
ロードは亡くなった人達を魔法で一箇所にまとめ、辺りを浄化していた。汚れた魔力を浄化しないとまた、魔物を引き寄せてしまうと教えてくれたのだ。
アランはどこだろ?と辺りを見回すと離れた場所で立っている姿が目に付いた。
(どうしたのかな?)アルジェを抱いたまま、アランへと駆け寄る。
『アラン?どうかしたの?』
「・・・・・・・」
『アラーーン!!!それは!!』
真奈美は驚いた。無言のアランの手には血がついた紋章があった。その紋章には見覚えがある。
そう、母国の紋章。それも王族が身につけているものだ。
『アラン!もしかして、この人達はシルヴィーカム国の人?!誰か、誰かいないの?!』
慌てて呼びかけるが、虚しく風の音しか聞こえない。
『誰か!!返事してーーー』
叫びながら涙が溢れて止まらない。
ポタリと顔に落ちてきた真奈美の涙にアルジェは手を伸ばし頬に触れる。
ビクリと動きを止めて、触れたアルジェの手を握りしめる。
『ごめんね、驚かせてしまったゎねーーー私の知ってる人がいると思って・・・でも、生きてる人はいないようねーー』
項垂れる真奈美に小さな手をバタバタさせながら「あっ・・・あ」と話しかけている。
『優しいのね、励ましてくれるの?ありがとう。』
ギュッと抱きしめ涙を堪える。
「まなみ、見てくれーーーこの紋章の持ち主が分かったよ。見てくれ」差し出された紋章にはアランが血を拭き取ったようで文字が書いてあった。
『リード・・・リッヒーーー!?リードリッヒ様の?』
バッと見ると確かにリードリッヒと書いてある。
まさか、そんな事・・・2人は信じられないといった様子でいた。
「他にも何か手がかりがあるか探してくる」
アランはロードがまとめた死体の方へ歩いていく。
その時、凍てつく視線を感じた。
「誰だ!!」
バシュンッ。ロードが素早く真奈美の前に立ち、視線の先に魔法を放った。
「うっーーー」ドサッ
誰かが倒れたような音がした。
アランも不穏な空気に気付き真奈美の側に駆け寄ってきた。
「誰だが知らないが出てこい。今の魔法は毒だ。解毒しないと死ぬぞ」
脅しながらも警戒をし、真奈美とアルジェを守る。
「っーーーう、、」ガサガサッ。茂みから現れたのは子供だった。それも耳と尻尾のついた獣人。
「獣人の子供?何故こんな所にいる、理由を言わないと解毒しないぞ」
「うっ、、俺はーーその人間達に捕まってたんだ・・・お前達が来たから隠れてた・・だけだ」
その子供は人間に捕まっていたと言う。
真偽かどうか判断できず、様子を見ていたら、すかさず獣人の子供が話を続け、解毒してくれと悲願してきた。
「信じてくれ!!俺はこの先にある町で暮らしている!ここには山菜や薬草を取りに来ていたが、アイツらが急に俺を捉えて・・・奴隷にするって、、だから!俺は」
「だから、人間を襲わせたのか?」
ビクゥッと大きく体を震わせた、威圧する声を見るとアランが何か手に持っている。
「これは魔獣除けでは無く、誘き寄せる魔法具だな?人間がわざわざ危険なこれを使うとは考えられない。とすれば、他の誰かだ。ーーー本当の事を言って見なさい。」
固まる獣人の子供にアランが壊れた魔法具を見せながら近づく。
「たっ、助けて下さい!!」
真奈美とロードに助けを求めるが、アランが無意味な威圧をする訳が無い為、2人は事の成り行きを見つめていた。
『ねぇ、アラン?これって・・・人為的な物?それもつい先ほどまで誰かいたーーよね?』
「・・・たぶんな」
そこには火を起こしたであろう跡が残っていた。焚き木は煙がほんのり漂っており、周りには足跡があった。
アランが険しい顔をしているのは、その足跡が酷く乱れていたのだ。まるで何かから逃げる様に。
「まなみ、アラン!こっちに来てくれ」
ロードが離れた場所から2人を呼ぶ。真奈美はアルジェを抱き上げ、ロードの元へ駆け寄ると驚愕した。
そこには大きな魔物の死骸とーーー無残な死体があったのだ。
真奈美は咄嗟にアルジェの目を隠した。子供に見せるには酷な程、現状は悲惨だった。
『ひどい・・・』
アランを見ると益々険しい表情をしている。
「ここでキャンプをしていたら、あれに襲われたんだな。ジャイアントベア、それも変異種だから達が悪い。普通のジャイアントベアはあまり人は襲わないが変異種は別だ、人を見つけたら襲いかかってくるんだ。こいつらは運が悪かったな、」
ロードが説明しながら、ジャイアントベアの頭を切断しその死骸を燃やし始めた。突然の行動に驚き『!!なんで、死んでるのにそんな残酷な事をするの?!』大声を出してしまう。
「知らないのか?変異種は、頭を切り離さないと魔獣になってしまうんだぜ?体が大きい分魔力が残っているんだ。頭が離れたら体に残った魔力が拡散されるが、絶対にとは言い切れないから俺は全部燃やす。その方が安全だろ?」
正論を言うロードに納得してしまう。確かに死んだ生き物が魔獣になるのは知っている。だが、それは稀な事だと思っていた。
まさか、そんな理由があったのは初耳だったのだ。
『そうだったの、ごめんなさい。大声を出したりしてーー』
「いいんだ。知らない事は悪くない、これから覚えて行けばいいんだ。」
優しい口調で言われ頭をポンポンされてしまった。自分の無知が恥ずかしい、赤面しながら下を向くとアルジェと目があった。不思議そうに見つめる瞳に『私も勉強不足ね』とポツリと呟いた。
ロードは亡くなった人達を魔法で一箇所にまとめ、辺りを浄化していた。汚れた魔力を浄化しないとまた、魔物を引き寄せてしまうと教えてくれたのだ。
アランはどこだろ?と辺りを見回すと離れた場所で立っている姿が目に付いた。
(どうしたのかな?)アルジェを抱いたまま、アランへと駆け寄る。
『アラン?どうかしたの?』
「・・・・・・・」
『アラーーン!!!それは!!』
真奈美は驚いた。無言のアランの手には血がついた紋章があった。その紋章には見覚えがある。
そう、母国の紋章。それも王族が身につけているものだ。
『アラン!もしかして、この人達はシルヴィーカム国の人?!誰か、誰かいないの?!』
慌てて呼びかけるが、虚しく風の音しか聞こえない。
『誰か!!返事してーーー』
叫びながら涙が溢れて止まらない。
ポタリと顔に落ちてきた真奈美の涙にアルジェは手を伸ばし頬に触れる。
ビクリと動きを止めて、触れたアルジェの手を握りしめる。
『ごめんね、驚かせてしまったゎねーーー私の知ってる人がいると思って・・・でも、生きてる人はいないようねーー』
項垂れる真奈美に小さな手をバタバタさせながら「あっ・・・あ」と話しかけている。
『優しいのね、励ましてくれるの?ありがとう。』
ギュッと抱きしめ涙を堪える。
「まなみ、見てくれーーーこの紋章の持ち主が分かったよ。見てくれ」差し出された紋章にはアランが血を拭き取ったようで文字が書いてあった。
『リード・・・リッヒーーー!?リードリッヒ様の?』
バッと見ると確かにリードリッヒと書いてある。
まさか、そんな事・・・2人は信じられないといった様子でいた。
「他にも何か手がかりがあるか探してくる」
アランはロードがまとめた死体の方へ歩いていく。
その時、凍てつく視線を感じた。
「誰だ!!」
バシュンッ。ロードが素早く真奈美の前に立ち、視線の先に魔法を放った。
「うっーーー」ドサッ
誰かが倒れたような音がした。
アランも不穏な空気に気付き真奈美の側に駆け寄ってきた。
「誰だが知らないが出てこい。今の魔法は毒だ。解毒しないと死ぬぞ」
脅しながらも警戒をし、真奈美とアルジェを守る。
「っーーーう、、」ガサガサッ。茂みから現れたのは子供だった。それも耳と尻尾のついた獣人。
「獣人の子供?何故こんな所にいる、理由を言わないと解毒しないぞ」
「うっ、、俺はーーその人間達に捕まってたんだ・・・お前達が来たから隠れてた・・だけだ」
その子供は人間に捕まっていたと言う。
真偽かどうか判断できず、様子を見ていたら、すかさず獣人の子供が話を続け、解毒してくれと悲願してきた。
「信じてくれ!!俺はこの先にある町で暮らしている!ここには山菜や薬草を取りに来ていたが、アイツらが急に俺を捉えて・・・奴隷にするって、、だから!俺は」
「だから、人間を襲わせたのか?」
ビクゥッと大きく体を震わせた、威圧する声を見るとアランが何か手に持っている。
「これは魔獣除けでは無く、誘き寄せる魔法具だな?人間がわざわざ危険なこれを使うとは考えられない。とすれば、他の誰かだ。ーーー本当の事を言って見なさい。」
固まる獣人の子供にアランが壊れた魔法具を見せながら近づく。
「たっ、助けて下さい!!」
真奈美とロードに助けを求めるが、アランが無意味な威圧をする訳が無い為、2人は事の成り行きを見つめていた。
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