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第2章
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外の風景を見ると、始めは代わり映えのしない景色。緑豊かな自然が広がっている。
『ーーーこんなに、緑が沢山あったんだ・・・』ボソッと呟きながら視線は景色に釘付け。何故かと言うと、アランがロードと熱く語り合っているのだ。真奈美の事など眼中にない程にーーーきっかけは、馬車の中に入った時だった。
最初にロードが乗り込み、次にアラン、最後が真奈美の順で中に入ったら、呆然と立ち尽くすアランにぶつかってしまったのだった。
『痛っっ!アラン、急に止まらないでよ~・・ん?どうかしたの?』
呆然と立ち尽くすアランに不思議に思い、視線をアランと同じ方向へ向けると、確かにこれは唖然とする。
見掛けは確かに馬車だった。
だが、中に入ると部屋になっていたのだ。
これには驚いた、一般的な馬車は片側か対面式の長椅子になっているのしか無い。王家でも同じだ。
それが、この馬車は規格外。アランが呆然としてしまうのも無理はない。
「ん?どうした?中に入らないのか?」
『あっと、入ります。アラン、アラン大丈夫?』
はっとしたアランはキョロキョロしながら、中に入っていく。
(ーー凄いな。魔力で異空間を繋げたのか?なるほど、こんな考えは思いつかなかった・・・簡素な作りではあるが、長旅には最適だ)そんな事を考え、赤いソファーが目に入ったアランは腰を下ろす。
まなみは考えこむアランに気を使い、部屋の中を見渡す。
『?こんな所にドアがある・・・』
そっと開けると、ベットが目に入り(あっ、寝室だったのね)静かにドアを閉める。
「気になるのか?ここは俺の寝室だ。疲れたなら添い寝してあげようか?」
『きゃっ!』
後ろに立つロードに気付かず、真奈美は驚き声をあげた。
『だっ大丈夫です!!』
「ふはっ冗談だ、そう警戒するな。俺とアランはソファーにでも寝るから、このベットは使っていいぞ。ーーー1人で寝るのが寂しい時は俺を呼んでも構わないよ」
甘い囁きに背中がゾクゾクする。『結構です。』ツンっとしながら、急いでアランの所に戻る。
(ひーん!イケメンの甘いボイスは反則だよー!二人きりになるのは危険!!)ロードに気付かれない様にしていたが、耳まで赤くなり丸わかりであった。
「ふっ可愛いなーーーまだ俺が入る隙はありそうだな。あんなに待ったんだ。振り向いて貰うまで俺は幾らでも待てる。ミナ・・・いや、まなみ。」
未だ、考え込むアランに近づき
『アラン、何を考えているの?何処か痛いの?』
「あぁ。ーーー私は今、とても衝撃を受けている。」
『ん?』
「これまでに、魔法は攻撃や生活に使うのが当たり前だったんだ。それがーー馬車を動かすのに幻影を使って魔力で動かし、室内もこんな快適に・・・ロードは凄い。まなみ!ちょっとロードと話してくる!!すまないが側を離れてしまうが許してくれ」
ガシッと真奈美の肩を掴み力説するアランにコクコクと頷くと、
その答えにニンマリしながら「ロード!ちょっと話せるかい?」と意気揚々と歩き出す。
そして、真奈美は1人窓辺に座りながら外の景色を見ていたのだった。この窓だけ、外の様子が分かる様になっており。朝か夜か分かる様になっていた。
『まだ、話してるーーー平和だなぁ~』
振り向くと、赤いソファーに座りながら熱弁する2人が目に入る。2人はまだまだ話が終わらなそうであった。
そんな平和な3人の知らない所で事件は起きていた。
*****
「ふんふーん~わったっし~は可愛いい~~あなたっは~私に恋をする~~ん」
呑気に自作の歌を歌っているアーマード。だが、その手には目にも留まらぬ速さで仕上がっていく洋服達。
「はぁーーーん!あなたぁぁの~声をぉぉ聞くだけでぇ~私は・・・」
気配に気付いたアーマードは歌をやめ、扉の方を振り向く。
そこにはヨシュアが立っていた。1枚の赤い紙を手に持ち、アーマードを手招きしている。
「・・・今度は、誰が死んだの?」
「ーーご自分で確認してください。」
静かに答えるヨシュアに嫌な予感をしながら、持っていた裁縫道具をテーブルに置き扉へ向かう。
赤い紙を受け取る。
手がワナワナ震えだし、ギロリとヨシュアを睨みつけながら殴りかかる勢いで「なんで!!どう言う事?!理解出来ないわ!!」
赤い紙を何度も見ながら、ウロウロと挙動不審になるアーマード。
見兼ねて、肩をポンポンしながら優しくなだめる。
「落ち着いて下さい。結果はどうあれ、こちらからは何もする事はありません。あなたとは親しかった様なので、報告しましたがーーーここから出て行く事はダメですからね?」
静かに釘をさした。
「あっ、その赤い紙は数時間後に消えますのでそれまでお持ちいただいても構いません。」そう付け加えると、振り向きもせず部屋を出て行った。
「そんなぁーーー本当の事を調べなくちゃ。」
自室へと戻り、旅支度をする。ヨシュアに言われたが、無理だ。
(本当に死んだの?あなたに何があったの??)
簡単に荷造りを終え、ヨシュアの目を盗みながら使い魔養成所から出て行く。
ひらりとポケットから落ちた赤い紙には、こう記されていた。
《使い魔:まなみ。本人の意思を認知せず契約解除。死亡と認める》
赤い紙に記入されていた、真奈美の死亡報告。
首輪が壊された時に玉になり、ヨシュアの元に戻って来たのだ。その時に、解除する時は今後どうするかを記録させるのが一般的だが。死亡した場合にはそれが出来ない為、何も記録されずに戻ってしまう。
真奈美も気を失っている時にロードによって、壊された為に記録が出来なかったのだ。その為、死亡扱いになってしまった。
そんな事になっているとは知らない真奈美はのほほんと景色を見ながらのんびりしていたのだった。
『ーーーこんなに、緑が沢山あったんだ・・・』ボソッと呟きながら視線は景色に釘付け。何故かと言うと、アランがロードと熱く語り合っているのだ。真奈美の事など眼中にない程にーーーきっかけは、馬車の中に入った時だった。
最初にロードが乗り込み、次にアラン、最後が真奈美の順で中に入ったら、呆然と立ち尽くすアランにぶつかってしまったのだった。
『痛っっ!アラン、急に止まらないでよ~・・ん?どうかしたの?』
呆然と立ち尽くすアランに不思議に思い、視線をアランと同じ方向へ向けると、確かにこれは唖然とする。
見掛けは確かに馬車だった。
だが、中に入ると部屋になっていたのだ。
これには驚いた、一般的な馬車は片側か対面式の長椅子になっているのしか無い。王家でも同じだ。
それが、この馬車は規格外。アランが呆然としてしまうのも無理はない。
「ん?どうした?中に入らないのか?」
『あっと、入ります。アラン、アラン大丈夫?』
はっとしたアランはキョロキョロしながら、中に入っていく。
(ーー凄いな。魔力で異空間を繋げたのか?なるほど、こんな考えは思いつかなかった・・・簡素な作りではあるが、長旅には最適だ)そんな事を考え、赤いソファーが目に入ったアランは腰を下ろす。
まなみは考えこむアランに気を使い、部屋の中を見渡す。
『?こんな所にドアがある・・・』
そっと開けると、ベットが目に入り(あっ、寝室だったのね)静かにドアを閉める。
「気になるのか?ここは俺の寝室だ。疲れたなら添い寝してあげようか?」
『きゃっ!』
後ろに立つロードに気付かず、真奈美は驚き声をあげた。
『だっ大丈夫です!!』
「ふはっ冗談だ、そう警戒するな。俺とアランはソファーにでも寝るから、このベットは使っていいぞ。ーーー1人で寝るのが寂しい時は俺を呼んでも構わないよ」
甘い囁きに背中がゾクゾクする。『結構です。』ツンっとしながら、急いでアランの所に戻る。
(ひーん!イケメンの甘いボイスは反則だよー!二人きりになるのは危険!!)ロードに気付かれない様にしていたが、耳まで赤くなり丸わかりであった。
「ふっ可愛いなーーーまだ俺が入る隙はありそうだな。あんなに待ったんだ。振り向いて貰うまで俺は幾らでも待てる。ミナ・・・いや、まなみ。」
未だ、考え込むアランに近づき
『アラン、何を考えているの?何処か痛いの?』
「あぁ。ーーー私は今、とても衝撃を受けている。」
『ん?』
「これまでに、魔法は攻撃や生活に使うのが当たり前だったんだ。それがーー馬車を動かすのに幻影を使って魔力で動かし、室内もこんな快適に・・・ロードは凄い。まなみ!ちょっとロードと話してくる!!すまないが側を離れてしまうが許してくれ」
ガシッと真奈美の肩を掴み力説するアランにコクコクと頷くと、
その答えにニンマリしながら「ロード!ちょっと話せるかい?」と意気揚々と歩き出す。
そして、真奈美は1人窓辺に座りながら外の景色を見ていたのだった。この窓だけ、外の様子が分かる様になっており。朝か夜か分かる様になっていた。
『まだ、話してるーーー平和だなぁ~』
振り向くと、赤いソファーに座りながら熱弁する2人が目に入る。2人はまだまだ話が終わらなそうであった。
そんな平和な3人の知らない所で事件は起きていた。
*****
「ふんふーん~わったっし~は可愛いい~~あなたっは~私に恋をする~~ん」
呑気に自作の歌を歌っているアーマード。だが、その手には目にも留まらぬ速さで仕上がっていく洋服達。
「はぁーーーん!あなたぁぁの~声をぉぉ聞くだけでぇ~私は・・・」
気配に気付いたアーマードは歌をやめ、扉の方を振り向く。
そこにはヨシュアが立っていた。1枚の赤い紙を手に持ち、アーマードを手招きしている。
「・・・今度は、誰が死んだの?」
「ーーご自分で確認してください。」
静かに答えるヨシュアに嫌な予感をしながら、持っていた裁縫道具をテーブルに置き扉へ向かう。
赤い紙を受け取る。
手がワナワナ震えだし、ギロリとヨシュアを睨みつけながら殴りかかる勢いで「なんで!!どう言う事?!理解出来ないわ!!」
赤い紙を何度も見ながら、ウロウロと挙動不審になるアーマード。
見兼ねて、肩をポンポンしながら優しくなだめる。
「落ち着いて下さい。結果はどうあれ、こちらからは何もする事はありません。あなたとは親しかった様なので、報告しましたがーーーここから出て行く事はダメですからね?」
静かに釘をさした。
「あっ、その赤い紙は数時間後に消えますのでそれまでお持ちいただいても構いません。」そう付け加えると、振り向きもせず部屋を出て行った。
「そんなぁーーー本当の事を調べなくちゃ。」
自室へと戻り、旅支度をする。ヨシュアに言われたが、無理だ。
(本当に死んだの?あなたに何があったの??)
簡単に荷造りを終え、ヨシュアの目を盗みながら使い魔養成所から出て行く。
ひらりとポケットから落ちた赤い紙には、こう記されていた。
《使い魔:まなみ。本人の意思を認知せず契約解除。死亡と認める》
赤い紙に記入されていた、真奈美の死亡報告。
首輪が壊された時に玉になり、ヨシュアの元に戻って来たのだ。その時に、解除する時は今後どうするかを記録させるのが一般的だが。死亡した場合にはそれが出来ない為、何も記録されずに戻ってしまう。
真奈美も気を失っている時にロードによって、壊された為に記録が出来なかったのだ。その為、死亡扱いになってしまった。
そんな事になっているとは知らない真奈美はのほほんと景色を見ながらのんびりしていたのだった。
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