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第1章
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* 話は“アランにさよならを告げた真奈美”まで遡ります。
「まなみ、元気を出せ。城下町で見つけた甘い菓子だ。食べてみろ!美味しくて、元気が出るぞ!」
パクッと自分で食べて見せるリードリッヒ。
虚ろな目で菓子を見つめ、目の前に出された菓子を口に運んで見る。
『・・・・・甘い』
「!!そうだろ?!今、人気のある菓子なんだ!よし、俺がもっと買ってきてやるからな!残りは食べていいぞ!ロイ、出かけるぞ!」「御意に」
リードリッヒは真奈美が自分の手から菓子を食べたのを見て、舞い上がり、これで元気が出るならとフェアリー広場に買いに出かけたのだった。
部屋に1人残された真奈美は窓辺に飛び乗り、景色を眺めていた。
トントン
ギーーッバタン
「失礼します。本日よりまなみ様の専属になります。よろしくお願い致します」
(誰か入ってきた?だれでもいいゎ、)
真奈美は振り返りもせず、景色を見続けている。
コツコツっと足音が近くなり入ってきた人が近付いて来ても気にしなかった。
「まなみ様。ここからではアラン様のお屋敷は見えませんよ?」
『えっ・・?』
アランと言う言葉に思わず振り返ってしまった。
そこには見知った顔のメイドが立っていた。
『!!!』
「お久しぶりです。まなみ様。ずいぶんおやつれになってしまいましたね、私の不手際でアラン様と離れさせてしまい・本当に申し訳ありませんでした」
ペコリと頭を下げたメイドは、アランの屋敷にいたはずのケイラだった。
ケイラは奥様から紹介状を書いて貰い、城へとやってきたのだ。
真奈美の専属になるまで時間がかかってしまったのだった。
「すぐに、まなみ様に会いにきたかったんですが、中々難しく。やっと、専属となれましたので。ずっと一緒にいられますよ、改めてよろしくお願いします。まなみ様。」
『・・ケイラ!ひっくっケイッッケイラーーー・・!!』
真奈美はケイラに抱き付き、泣き出した。
不安だった気持ちを吹き飛ばすかのように。
ケイラは優しく真奈美を包み込む。
猫の姿の真奈美は瘦せ細り、更に小さくなったと感じたケイラは顔に出さないが心情では心配していた。
(わたしが至らぬばかりに、辛い思いをさせてしまいましたね・・・こんな痩せて・・私がしっかり、アラン様が迎えに来るまで、まなみ様を守ります!)
真奈美はしばらく、腕の中で泣き続けた。
*****
「なぁ、ロイ。まなみは日に日に痩せていってないか?やはり、アランに事情を説明して協力して貰った方が良かったのではないか?」
目的の店まで馬で駆けているリードリッヒはロイに問いかけた。「主人、この事は限られた人間しか知らない事だ
。使い魔1人の為にわざわざ秘密を暴露せずとも、よいのでは?
あの使い魔も訳を話せば協力するさ。・・・主人よ、まだ話さないのか?」
「・・・俺は気が進まんな、まなみの魔力は魅力的だがあんなに弱っている状態で魔人に魔力を注いだら、まなみはどうなる?魔力切れで死んだりしないか?それが心配なんだ」
「心配せずとも大丈夫だ。あれだけの魔力、そうそう無くならない(無くなったとしても、あの使い魔の周りには力が渦巻いている、護っているのか?私にも分からないが)」
ロイは真奈美に不思議な力が取り巻いてるのに気付いていた。それが何なのかまでは分からない様だ。
「主人よ、目的の店に着いたぞ」
「ぁあ!これでまたまなみが食べてくれたら良いんだがな」
リードリッヒは馬から降り、店に入って行く。
真奈美と最後に食べたあのお店。
中に入ると店主のマリーが出迎えてくれた。
「あらん?いらっしゃ~い。今日はどうしたの?」
「先日買った菓子が旨く、また買いに来た。あるか?」
「気に入ってくれたの?良かった~ん!今日はラッキーよん!新作が出来上がった所なの。味見してみる?」
「・・・!これも美味いな」
「ふふ、木苺のジャムとナッツを入れた焼き菓子よ!前とは違った味でしょ?今回は木苺の甘みが良い感じに出来たのよね~♪」
「これなら喜ぶな・・これをあるだけ買おう!」
「ありがとん!・・・っと、はい!これで全部よ。毎度~♪」
「そういえば、マリーはどこで木苺とか買っているんだ?この辺では見かけないが?」
「ん~と、それはね、近くにアンデルダーンって町があるのよ。そこで美味しいお店を見つけて直接取引してるのよね♡」
「アンデルダーンに・そんなお店があったのか・・・」
リードリッヒは情報を聞き、考える。
焼き菓子を抱えて馬に乗り急いで城へと駆け戻る。真奈美に早く食べさせたい一心で。
「まなみ、元気を出せ。城下町で見つけた甘い菓子だ。食べてみろ!美味しくて、元気が出るぞ!」
パクッと自分で食べて見せるリードリッヒ。
虚ろな目で菓子を見つめ、目の前に出された菓子を口に運んで見る。
『・・・・・甘い』
「!!そうだろ?!今、人気のある菓子なんだ!よし、俺がもっと買ってきてやるからな!残りは食べていいぞ!ロイ、出かけるぞ!」「御意に」
リードリッヒは真奈美が自分の手から菓子を食べたのを見て、舞い上がり、これで元気が出るならとフェアリー広場に買いに出かけたのだった。
部屋に1人残された真奈美は窓辺に飛び乗り、景色を眺めていた。
トントン
ギーーッバタン
「失礼します。本日よりまなみ様の専属になります。よろしくお願い致します」
(誰か入ってきた?だれでもいいゎ、)
真奈美は振り返りもせず、景色を見続けている。
コツコツっと足音が近くなり入ってきた人が近付いて来ても気にしなかった。
「まなみ様。ここからではアラン様のお屋敷は見えませんよ?」
『えっ・・?』
アランと言う言葉に思わず振り返ってしまった。
そこには見知った顔のメイドが立っていた。
『!!!』
「お久しぶりです。まなみ様。ずいぶんおやつれになってしまいましたね、私の不手際でアラン様と離れさせてしまい・本当に申し訳ありませんでした」
ペコリと頭を下げたメイドは、アランの屋敷にいたはずのケイラだった。
ケイラは奥様から紹介状を書いて貰い、城へとやってきたのだ。
真奈美の専属になるまで時間がかかってしまったのだった。
「すぐに、まなみ様に会いにきたかったんですが、中々難しく。やっと、専属となれましたので。ずっと一緒にいられますよ、改めてよろしくお願いします。まなみ様。」
『・・ケイラ!ひっくっケイッッケイラーーー・・!!』
真奈美はケイラに抱き付き、泣き出した。
不安だった気持ちを吹き飛ばすかのように。
ケイラは優しく真奈美を包み込む。
猫の姿の真奈美は瘦せ細り、更に小さくなったと感じたケイラは顔に出さないが心情では心配していた。
(わたしが至らぬばかりに、辛い思いをさせてしまいましたね・・・こんな痩せて・・私がしっかり、アラン様が迎えに来るまで、まなみ様を守ります!)
真奈美はしばらく、腕の中で泣き続けた。
*****
「なぁ、ロイ。まなみは日に日に痩せていってないか?やはり、アランに事情を説明して協力して貰った方が良かったのではないか?」
目的の店まで馬で駆けているリードリッヒはロイに問いかけた。「主人、この事は限られた人間しか知らない事だ
。使い魔1人の為にわざわざ秘密を暴露せずとも、よいのでは?
あの使い魔も訳を話せば協力するさ。・・・主人よ、まだ話さないのか?」
「・・・俺は気が進まんな、まなみの魔力は魅力的だがあんなに弱っている状態で魔人に魔力を注いだら、まなみはどうなる?魔力切れで死んだりしないか?それが心配なんだ」
「心配せずとも大丈夫だ。あれだけの魔力、そうそう無くならない(無くなったとしても、あの使い魔の周りには力が渦巻いている、護っているのか?私にも分からないが)」
ロイは真奈美に不思議な力が取り巻いてるのに気付いていた。それが何なのかまでは分からない様だ。
「主人よ、目的の店に着いたぞ」
「ぁあ!これでまたまなみが食べてくれたら良いんだがな」
リードリッヒは馬から降り、店に入って行く。
真奈美と最後に食べたあのお店。
中に入ると店主のマリーが出迎えてくれた。
「あらん?いらっしゃ~い。今日はどうしたの?」
「先日買った菓子が旨く、また買いに来た。あるか?」
「気に入ってくれたの?良かった~ん!今日はラッキーよん!新作が出来上がった所なの。味見してみる?」
「・・・!これも美味いな」
「ふふ、木苺のジャムとナッツを入れた焼き菓子よ!前とは違った味でしょ?今回は木苺の甘みが良い感じに出来たのよね~♪」
「これなら喜ぶな・・これをあるだけ買おう!」
「ありがとん!・・・っと、はい!これで全部よ。毎度~♪」
「そういえば、マリーはどこで木苺とか買っているんだ?この辺では見かけないが?」
「ん~と、それはね、近くにアンデルダーンって町があるのよ。そこで美味しいお店を見つけて直接取引してるのよね♡」
「アンデルダーンに・そんなお店があったのか・・・」
リードリッヒは情報を聞き、考える。
焼き菓子を抱えて馬に乗り急いで城へと駆け戻る。真奈美に早く食べさせたい一心で。
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