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第一章
第14話 グイグイ来る
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その服装、僧侶。
年の頃は私と同じくらいに見えるけれど……なんといっても特徴的なのは、一言で言えばギャル。
街中をキラキラした格好で歩いてそうな雰囲気なのに恰好は僧侶。
このなんともいえないちぐはぐ感。ちょっと垂れた目つきと長いまつげが可愛く見える。
そりゃ、人によってはアイシャドウの感じとか派手過ぎじゃないとか思うかもしれないわね。
肌の色も小麦色だし。
うん、この服着て無きゃただのギャルだわこの子。もしかしてコスプレ?
そんなギャルっ子が親しそうにエルと会話をしていた。知り合い?
「なんでって……、ココにちょヤバなモンスターが出現したって聞いたから退治に来たんだーけどぉ。エレぴ達もそういうクチじゃなかったのぉ~?」
「俺はあんなのが出るなんて知らなかったんだよ。どこで知ったんだよそれ?」
「どこって…………あ! そっか、あーしが近くの教会で盗み聞きしたんだった。いやさぁ、そこに通ってるおばあちゃんがシスターと世間話してたんだよね。なんかさぁ、最近坑道の方がピピッ! とヤな感じするから気を付けた方がいいよって。んで、気になって行ってみたらマジでヤベー奴がいたってワケ。あーしってば冴えてるぅ~」
そう言い放ってはケラケラ笑う彼女。見た目からそうだとは思っていたけど、中身も感情豊かな感じね。
こういうタイプって一人でいても楽しめるのかしら? いや、さすがにそれはないか。
とにもかくにも、そんな個人的な情報は当然知らない。
けれど助かったのも事実よね、ここで会ったのは完全な偶然でしょうけど、そこは素直に感謝しないと。
「どうせお前の事だからホントに気になったから来てみただけで、後の事なんかな~んも考えてないんだろうけどな」
「え~? ちょっとひっどーい。それよりさ……」
「うん?」
ギャルがジーっとエルの隣にいる私達を見ている。な、なんのかしら?
思わずたじろいじゃったわ。
この子、距離の詰め方が急な感じね。そこは見た目通りかも。
そう思った、だから行動する。シンプルだけど行動力がある。そういう意味ではパーティには必要な人材だと思う。
ま、この子の情報が足りなくてなんとも言えないんだけど。
「な、何よ?」
「う~ん、この子もしかしてエレぴとガチラブな関係とか」
……は?
「おいおい、俺の女の趣味はお前もよく知ってんだろ?」
「おっぱいのおっきな女の子!」
即答された。
いやいやいや! そうじゃなくって!!
「なら分かるだろう? 俺がこんな哀れな胸部装甲の女を好き好んで連れ歩くワケないじゃん。ただの同僚、いや、俺のが先輩だから後輩だな」
こ、こんの男っ!
「哀れ? よくもまあそこまでバラエティー豊かに人の事を罵れるもんね。アンタの脳みそってのは胸の無い女の子を罵倒する言葉で埋め尽くされてんの、ねぇ? 答えなさいよ!」
「ちょ、やめて! 痛っ。耳が、耳がね、伸びちゃうのよ! 耳元で怒鳴るのも勘弁してよ!!」
その減らず口を叩き続けるおバカの耳を強引に引っ張っては、思いっきり怒鳴ってやった。
アンタって男はなんで一々そうなのよ、ったく!
年の頃は私と同じくらいに見えるけれど……なんといっても特徴的なのは、一言で言えばギャル。
街中をキラキラした格好で歩いてそうな雰囲気なのに恰好は僧侶。
このなんともいえないちぐはぐ感。ちょっと垂れた目つきと長いまつげが可愛く見える。
そりゃ、人によってはアイシャドウの感じとか派手過ぎじゃないとか思うかもしれないわね。
肌の色も小麦色だし。
うん、この服着て無きゃただのギャルだわこの子。もしかしてコスプレ?
そんなギャルっ子が親しそうにエルと会話をしていた。知り合い?
「なんでって……、ココにちょヤバなモンスターが出現したって聞いたから退治に来たんだーけどぉ。エレぴ達もそういうクチじゃなかったのぉ~?」
「俺はあんなのが出るなんて知らなかったんだよ。どこで知ったんだよそれ?」
「どこって…………あ! そっか、あーしが近くの教会で盗み聞きしたんだった。いやさぁ、そこに通ってるおばあちゃんがシスターと世間話してたんだよね。なんかさぁ、最近坑道の方がピピッ! とヤな感じするから気を付けた方がいいよって。んで、気になって行ってみたらマジでヤベー奴がいたってワケ。あーしってば冴えてるぅ~」
そう言い放ってはケラケラ笑う彼女。見た目からそうだとは思っていたけど、中身も感情豊かな感じね。
こういうタイプって一人でいても楽しめるのかしら? いや、さすがにそれはないか。
とにもかくにも、そんな個人的な情報は当然知らない。
けれど助かったのも事実よね、ここで会ったのは完全な偶然でしょうけど、そこは素直に感謝しないと。
「どうせお前の事だからホントに気になったから来てみただけで、後の事なんかな~んも考えてないんだろうけどな」
「え~? ちょっとひっどーい。それよりさ……」
「うん?」
ギャルがジーっとエルの隣にいる私達を見ている。な、なんのかしら?
思わずたじろいじゃったわ。
この子、距離の詰め方が急な感じね。そこは見た目通りかも。
そう思った、だから行動する。シンプルだけど行動力がある。そういう意味ではパーティには必要な人材だと思う。
ま、この子の情報が足りなくてなんとも言えないんだけど。
「な、何よ?」
「う~ん、この子もしかしてエレぴとガチラブな関係とか」
……は?
「おいおい、俺の女の趣味はお前もよく知ってんだろ?」
「おっぱいのおっきな女の子!」
即答された。
いやいやいや! そうじゃなくって!!
「なら分かるだろう? 俺がこんな哀れな胸部装甲の女を好き好んで連れ歩くワケないじゃん。ただの同僚、いや、俺のが先輩だから後輩だな」
こ、こんの男っ!
「哀れ? よくもまあそこまでバラエティー豊かに人の事を罵れるもんね。アンタの脳みそってのは胸の無い女の子を罵倒する言葉で埋め尽くされてんの、ねぇ? 答えなさいよ!」
「ちょ、やめて! 痛っ。耳が、耳がね、伸びちゃうのよ! 耳元で怒鳴るのも勘弁してよ!!」
その減らず口を叩き続けるおバカの耳を強引に引っ張っては、思いっきり怒鳴ってやった。
アンタって男はなんで一々そうなのよ、ったく!
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