53 / 64
第53話 侵入の二人
しおりを挟む
裏手に回り込んで見れば、ラッキーな事に見張りと呼べる人間は一人だけだった。
裏門には欠伸をしている女のみ。
「側面の方には人が居ません。今なら静かに侵入可能です」
「よしっ」
人気の居ない裏の門でも、見張りを倒せばいつかは気づかれる。
その見張りに隙が出来ている今の内に入るしかないな。
俺達は人の居ない側面の塀目掛け、茂みから飛び出し、その勢いのままジャンプして塀の上に乗る。
これはオーラ訓練の成果だな。
「やはり内側にも見張りは居ません。今の内に屋敷の中へ」
オーラの応用で人の気配を広範囲に察知出来るコセルア。
塀の内側にも人が居ないという読みは完璧だった。
それでも何時までも居ない訳がない、さっさと扉を発見し、その鍵を指輪から取り出した道具でピッキングするコセルア。
「そういう事も出来るんだな」
「この手の技術は潜入捜査の基本ですので。……さあ開きました、お気を付けて下さい」
数秒で解除された扉の中へと入ると、そこは薄暗く人の気配を感じない通路だった。この時間は使われていないんだろう。
「あれほど大型の檻ですので、搬入出来るとは思えません。恐らく今も中庭にあるはず。そちらに人が集中している内に証拠を手に入れなければ」
こういう手合いはコセルアの方が数段上だ、その経験と勘を頼りに進む。
人の気配を察知しては隠れ、そして進む。
そろそろと階段を上った先、最上階の廊下の向こう、その扉から一人のふくよかな女が出て来た。
その女は派手な装飾のドレスを身に纏い、明らかにこの屋敷で一番偉い風体だ。
そいつが通路の反対側へと進み、角へ消えて行く。屋敷の構造から考えて向こうにも階段があるんだろう。
「今の女性には見覚えがあります。間違いなく、件の人物でしょう」
「ってことは、今出て来た部屋が執務室の可能性があるな。……行くか」
「ええ……」
周りに人が居ないのを確認しながら、その執務室へ。
途中に窓から見えた中庭の景色、そこには布の被った大型の檻があって、人だかりが出来ていた。
他にもいくつかの檻がある。小さいものから大きいものまで。
それがこの屋敷の人間だけならいいが……。
(派手な格好の連中がうようよいやがる。ご丁寧に全員マスクを着けてるとはな、悪趣味な金持ちってのは始末に負えねぇ)
だが、そっちはまだ早い。まずは証拠だ。
執務室の扉を開けたコセルアに続き、中へと入る。
灯りが消えても、趣味の悪い金ぴかな装飾が目立つな。それに、なんだこの匂い? えらく鼻につく。
だがそれに気をやっている暇はない。部屋の奥にある机を調べる。
「どうだ?」
「幸いにも鍵がかかっていません。ですが、何かしら罠が発動しないとも限りませんのでご注意を」
裏門には欠伸をしている女のみ。
「側面の方には人が居ません。今なら静かに侵入可能です」
「よしっ」
人気の居ない裏の門でも、見張りを倒せばいつかは気づかれる。
その見張りに隙が出来ている今の内に入るしかないな。
俺達は人の居ない側面の塀目掛け、茂みから飛び出し、その勢いのままジャンプして塀の上に乗る。
これはオーラ訓練の成果だな。
「やはり内側にも見張りは居ません。今の内に屋敷の中へ」
オーラの応用で人の気配を広範囲に察知出来るコセルア。
塀の内側にも人が居ないという読みは完璧だった。
それでも何時までも居ない訳がない、さっさと扉を発見し、その鍵を指輪から取り出した道具でピッキングするコセルア。
「そういう事も出来るんだな」
「この手の技術は潜入捜査の基本ですので。……さあ開きました、お気を付けて下さい」
数秒で解除された扉の中へと入ると、そこは薄暗く人の気配を感じない通路だった。この時間は使われていないんだろう。
「あれほど大型の檻ですので、搬入出来るとは思えません。恐らく今も中庭にあるはず。そちらに人が集中している内に証拠を手に入れなければ」
こういう手合いはコセルアの方が数段上だ、その経験と勘を頼りに進む。
人の気配を察知しては隠れ、そして進む。
そろそろと階段を上った先、最上階の廊下の向こう、その扉から一人のふくよかな女が出て来た。
その女は派手な装飾のドレスを身に纏い、明らかにこの屋敷で一番偉い風体だ。
そいつが通路の反対側へと進み、角へ消えて行く。屋敷の構造から考えて向こうにも階段があるんだろう。
「今の女性には見覚えがあります。間違いなく、件の人物でしょう」
「ってことは、今出て来た部屋が執務室の可能性があるな。……行くか」
「ええ……」
周りに人が居ないのを確認しながら、その執務室へ。
途中に窓から見えた中庭の景色、そこには布の被った大型の檻があって、人だかりが出来ていた。
他にもいくつかの檻がある。小さいものから大きいものまで。
それがこの屋敷の人間だけならいいが……。
(派手な格好の連中がうようよいやがる。ご丁寧に全員マスクを着けてるとはな、悪趣味な金持ちってのは始末に負えねぇ)
だが、そっちはまだ早い。まずは証拠だ。
執務室の扉を開けたコセルアに続き、中へと入る。
灯りが消えても、趣味の悪い金ぴかな装飾が目立つな。それに、なんだこの匂い? えらく鼻につく。
だがそれに気をやっている暇はない。部屋の奥にある机を調べる。
「どうだ?」
「幸いにも鍵がかかっていません。ですが、何かしら罠が発動しないとも限りませんのでご注意を」
18
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!
えながゆうき
ファンタジー
妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!
剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。

公爵家三男に転生しましたが・・・
キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが…
色々と本当に色々とありまして・・・
転生しました。
前世は女性でしたが異世界では男!
記憶持ち葛藤をご覧下さい。
作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。


母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる