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第38話 提案の口喧嘩
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「槍? にしちゃあ短えな」
「手槍。つまり短槍のこと。この国で短槍術が生まれた経緯は……どうせ知らないわね」
「そりゃな。ぶっちゃけ初めて聞いたぜ、そんな武術がある事自体な」
お袋が持ち出したのその名の通りに短い槍だ。こんなものまであったなんてな。
「じゃあ説明するけど。短槍術が生まれた経緯は槍兵が屋内でも十分に実力を発揮する為、新しく剣術を修めるよりも習得しやすいものをと考案されたの。そこから転じて、護身術としての杖術が生まれて……ってそれは今はいいわね」
思えばここまで饒舌なお袋を見るのは初めてかもしれねぇな。
普段口数の少ない癖に、まさか説明好きとか? いやまさかな。
その短槍とやらを受け取って眺めて見る。
見た目はシンプルだ、本当に短い槍。それ以外の何でもない。
唯、普段棍を扱ってるからか妙にしっくりくる。くるが……。
「で、これをどうしろって?」
「ソレの扱いを覚えなさい。貴方の悩みを一つ解決してくれるわ」
「そうは言うが、このリーチをどう活かせって……」
「嫌ならいいわ。はい返して」
「っ、嫌とは言ってねぇだろ。間合いと突きのやり方を覚えるのには丁度いい、かもしれないしな」
「だったら素直に受け取りなさいな。一言多いのよ、偏屈だわ貴方」
偏屈だと? この俺が?
流石にそれは受け止め切れねぇな。俺は自分で言うのもなんだが結構素直な性格のはず。
だったらこっちも一言あるぜ。
「俺を偏屈と言うがな。お袋、だったら飯食ってる時に倉庫にこういうのがあってオススメだとか言えばそれで済んだ話じゃねぇのか? それをわざわざ遠回しに伝えてここまで付き合わせて、それで半ば強引に押し付けてくるアンタだって人の事言えたもんかよ」
「何ですって? 貴方の言ってる事がまるで分からないわ。自分で言う事ではないけれど私は素直な性格よ。むしろ貴方の方こそ私にありがとうございますお母様と言って感謝する場面だわ。捻くれてるわよ」
「俺が捻くれ者だと? アンタがそれを言うのか。この前だって俺がアルストレーラと二人になるように無理矢理嵌めたくせに」
「言いがかりは止めなさい。仮にそうでも素敵な女性との時間を提供した親心に感謝するべきよ」
「何だと?」
「何よ?」
「ごほんっ。お二人共、このような所でわざわざ親子の交流をなさらなくてもよろしいのではありませんか?」
二人して振り向くと、武器部屋の入り口には侍従長が立っていた。いつの間に。
……確かに少し熱くなっていた感はあるな。
「まあこんな事に熱入れても仕方ねぇ。お袋が素直に引くってならそれまでだ」
「そうね。わざわざこんな屋敷の端でやる事ではないわ。貴方が素直に非を認めるのならそれで手打ちとしましょう」
「何だと?」
「何よ?」
「んんっ。お二人共、とにかくこのような所に長居するものでもありません。僭越ながら、目的を達したなら外へと出るべきかと」
その言葉を聞いた俺は、確かに大人げなかったかと思い直し今度こそ部屋の外へと出た。
その際お袋は、一旦奥まで行ったかと思うと立てかけてある何かを掴んで手に持つのが見えたが……先に外へと出た俺にはそれが良く見えなかった。
「手槍。つまり短槍のこと。この国で短槍術が生まれた経緯は……どうせ知らないわね」
「そりゃな。ぶっちゃけ初めて聞いたぜ、そんな武術がある事自体な」
お袋が持ち出したのその名の通りに短い槍だ。こんなものまであったなんてな。
「じゃあ説明するけど。短槍術が生まれた経緯は槍兵が屋内でも十分に実力を発揮する為、新しく剣術を修めるよりも習得しやすいものをと考案されたの。そこから転じて、護身術としての杖術が生まれて……ってそれは今はいいわね」
思えばここまで饒舌なお袋を見るのは初めてかもしれねぇな。
普段口数の少ない癖に、まさか説明好きとか? いやまさかな。
その短槍とやらを受け取って眺めて見る。
見た目はシンプルだ、本当に短い槍。それ以外の何でもない。
唯、普段棍を扱ってるからか妙にしっくりくる。くるが……。
「で、これをどうしろって?」
「ソレの扱いを覚えなさい。貴方の悩みを一つ解決してくれるわ」
「そうは言うが、このリーチをどう活かせって……」
「嫌ならいいわ。はい返して」
「っ、嫌とは言ってねぇだろ。間合いと突きのやり方を覚えるのには丁度いい、かもしれないしな」
「だったら素直に受け取りなさいな。一言多いのよ、偏屈だわ貴方」
偏屈だと? この俺が?
流石にそれは受け止め切れねぇな。俺は自分で言うのもなんだが結構素直な性格のはず。
だったらこっちも一言あるぜ。
「俺を偏屈と言うがな。お袋、だったら飯食ってる時に倉庫にこういうのがあってオススメだとか言えばそれで済んだ話じゃねぇのか? それをわざわざ遠回しに伝えてここまで付き合わせて、それで半ば強引に押し付けてくるアンタだって人の事言えたもんかよ」
「何ですって? 貴方の言ってる事がまるで分からないわ。自分で言う事ではないけれど私は素直な性格よ。むしろ貴方の方こそ私にありがとうございますお母様と言って感謝する場面だわ。捻くれてるわよ」
「俺が捻くれ者だと? アンタがそれを言うのか。この前だって俺がアルストレーラと二人になるように無理矢理嵌めたくせに」
「言いがかりは止めなさい。仮にそうでも素敵な女性との時間を提供した親心に感謝するべきよ」
「何だと?」
「何よ?」
「ごほんっ。お二人共、このような所でわざわざ親子の交流をなさらなくてもよろしいのではありませんか?」
二人して振り向くと、武器部屋の入り口には侍従長が立っていた。いつの間に。
……確かに少し熱くなっていた感はあるな。
「まあこんな事に熱入れても仕方ねぇ。お袋が素直に引くってならそれまでだ」
「そうね。わざわざこんな屋敷の端でやる事ではないわ。貴方が素直に非を認めるのならそれで手打ちとしましょう」
「何だと?」
「何よ?」
「んんっ。お二人共、とにかくこのような所に長居するものでもありません。僭越ながら、目的を達したなら外へと出るべきかと」
その言葉を聞いた俺は、確かに大人げなかったかと思い直し今度こそ部屋の外へと出た。
その際お袋は、一旦奥まで行ったかと思うと立てかけてある何かを掴んで手に持つのが見えたが……先に外へと出た俺にはそれが良く見えなかった。
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