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第33話 陰謀の影
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保護した子供、浅黒い肌をしたそいつはライベルよりも少し小さいぐらいの女子だった。
一度目を覚ましたらしいがあまり言葉が上手く話せないらしい。白い髪をして、その上に肌の色から考えてその特徴は……。
「多分ですけど、この子ホーケス族の女の子じゃないでしょうか?」
と、ライベルは言う。聞き覚えのない名称だ。……とはいえ、俺の場合知らない事の方が圧倒的に多いんだが。
宛がわれた客室のベッドで静かに眠るその女子、手当が終わったので見るに堪えない姿じゃ無くなった。それはよかったが謎が増えてしまったな。
「で、その何とか族っては何だよ? 聞いた感じ部族か?」
「ええそうです。少数民族で国の南部にある森の奥地に住んでるんです。そういう意味では王国民ではありますね。でもその実態は僅かな交流があるだけで、一般的にもあまり知られた人達じゃないんですよ。ほとんど謎に包まれてます」
「謎ね……そりゃまた何で? 昔から居る連中じゃないって事か?」
「ああいえ、建国される際にも存在は確認されていますし、当時の族長も建国に同意したという話も聞きます。ただ~……何世代か前かはよくわからないですけど、いつの頃からか交流が少なくなっていったそうですよ。何でなんでしょうね?」
「案外、その時の王様と族長でソリが合わなかったからとかじゃねぇか? ま、それは考えても仕方ない話だ。当時の記録でもあれば話は別だが、そんなもん城の中から出ねえだろうしな」
「まあそうなんですが。……ああそれと、このホーケス族の特徴として非常に仲間意識が強いというものがあります。その土地で生まれたものは同じ民族でも他所から来た血でも大切に、それこそ家族のように扱うという考えがあるんですよ」
家族、ねえ……。なんとなく攫われた理由が分かった気がする。
「こういう考え方はどうだ? そんなに仲間意識が強いなら、その中の……それも子供が他所の土地で殺されたりなんかしたら――そりゃ一大事だよな」
「当然ですよ! もしそんな事が起こったらそれが王室が直接管理してる土地だろうと構わず乗り込んで来るはずです。……まさか!?」
「それが狙いだったんじゃないかと思ってる。この件の黒幕……組織なのか個人なのかは知らねぇが、お袋の土地でこいつを殺す。すると部族の人間は怒り狂って乗り込んで来るはずだ。――そこで、お袋が仕組んだとでも吹き込んでやれば……」
「侯爵様のお命を狙う!? 仮に殺害に失敗しても、侯爵領との関係は最悪なものとなります。どちらかが滅びるまで争うような事にもなりかねません。そんな恐ろしい事を考えてる人が居るんですか!?」
「落ち着けよ、あくまでも可能性だ」
そう、いくらなんでもそこまで大事にして誰が得をするのか?
地域のいざこざ程度じゃ収まらねぇ、そうなりゃ国が動く事態だ。
侯爵領が目障りな連中が居たとして、国の食糧庫とまで言われた場所に被害を与えれば間違いなく王室に睨まれる。
犯人はお袋の気が狂って人攫いと殺しをやった。なんてな感じにどうしても持って行く必要がある。
そこまで力入れて仕出かすヤツなんざ……。
(いや待て、これが内戦って枠に当てはめれば……)
内戦を勃発させて得する連中……。
……いや、やめよう。
流石にロクに分かってない状態でつまらない考えはするもんじゃない、一旦そこから考えを反らす事にする。
一度目を覚ましたらしいがあまり言葉が上手く話せないらしい。白い髪をして、その上に肌の色から考えてその特徴は……。
「多分ですけど、この子ホーケス族の女の子じゃないでしょうか?」
と、ライベルは言う。聞き覚えのない名称だ。……とはいえ、俺の場合知らない事の方が圧倒的に多いんだが。
宛がわれた客室のベッドで静かに眠るその女子、手当が終わったので見るに堪えない姿じゃ無くなった。それはよかったが謎が増えてしまったな。
「で、その何とか族っては何だよ? 聞いた感じ部族か?」
「ええそうです。少数民族で国の南部にある森の奥地に住んでるんです。そういう意味では王国民ではありますね。でもその実態は僅かな交流があるだけで、一般的にもあまり知られた人達じゃないんですよ。ほとんど謎に包まれてます」
「謎ね……そりゃまた何で? 昔から居る連中じゃないって事か?」
「ああいえ、建国される際にも存在は確認されていますし、当時の族長も建国に同意したという話も聞きます。ただ~……何世代か前かはよくわからないですけど、いつの頃からか交流が少なくなっていったそうですよ。何でなんでしょうね?」
「案外、その時の王様と族長でソリが合わなかったからとかじゃねぇか? ま、それは考えても仕方ない話だ。当時の記録でもあれば話は別だが、そんなもん城の中から出ねえだろうしな」
「まあそうなんですが。……ああそれと、このホーケス族の特徴として非常に仲間意識が強いというものがあります。その土地で生まれたものは同じ民族でも他所から来た血でも大切に、それこそ家族のように扱うという考えがあるんですよ」
家族、ねえ……。なんとなく攫われた理由が分かった気がする。
「こういう考え方はどうだ? そんなに仲間意識が強いなら、その中の……それも子供が他所の土地で殺されたりなんかしたら――そりゃ一大事だよな」
「当然ですよ! もしそんな事が起こったらそれが王室が直接管理してる土地だろうと構わず乗り込んで来るはずです。……まさか!?」
「それが狙いだったんじゃないかと思ってる。この件の黒幕……組織なのか個人なのかは知らねぇが、お袋の土地でこいつを殺す。すると部族の人間は怒り狂って乗り込んで来るはずだ。――そこで、お袋が仕組んだとでも吹き込んでやれば……」
「侯爵様のお命を狙う!? 仮に殺害に失敗しても、侯爵領との関係は最悪なものとなります。どちらかが滅びるまで争うような事にもなりかねません。そんな恐ろしい事を考えてる人が居るんですか!?」
「落ち着けよ、あくまでも可能性だ」
そう、いくらなんでもそこまで大事にして誰が得をするのか?
地域のいざこざ程度じゃ収まらねぇ、そうなりゃ国が動く事態だ。
侯爵領が目障りな連中が居たとして、国の食糧庫とまで言われた場所に被害を与えれば間違いなく王室に睨まれる。
犯人はお袋の気が狂って人攫いと殺しをやった。なんてな感じにどうしても持って行く必要がある。
そこまで力入れて仕出かすヤツなんざ……。
(いや待て、これが内戦って枠に当てはめれば……)
内戦を勃発させて得する連中……。
……いや、やめよう。
流石にロクに分かってない状態でつまらない考えはするもんじゃない、一旦そこから考えを反らす事にする。
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