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第27話 共闘の二人
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「ちぃッ!!」
俺達は咄嗟に散開して直撃を避ける。
巨体が落ちて来てとんでもなくデカい音がしたが、なんとかなった。
都合が良かったのはゲートがあった地点が開けていた避け易かった事、そして偶々逃げ込んだ先の茂みが俺の武器を置いていた場所だった。
抱えていた女をその辺に投げ捨て、武器を構えてそいつの前へと出る。
同じように別の茂みからアルストレーラが現れて、コセルア達とは違う佩び方をした腰の剣に手を当てていた。
子供が居ないのはやっぱり俺と同じように茂みにおいてきたからだろう。
「キミ、ここで戦ってはせっかくの手掛かり君達の身が危ない。ここは一旦この場から引き離すべきじゃないかな?」
「同意見だ。女の方は癪だが、ここで死なせたらそれこそ何も分からなくなる」
顔を見合わせた俺達は、対峙する化け物の視線を誘導する為に駆け出す。
「グルルル……ッ」
俺達が背を向けて逃げ出したのを好機と捉えたのか、そいつは唸り声を上げながら追って来た。
だが幸いな事に巨体だ。足が速いが小回りは効かない。
俺達はそいつに追われながら森を駆け抜ける。そして――。
「ちょうどいいところに出たな」
「天運はどうやらボクたちを愛しているようだ!」
この状況で随分な言い分だが、俺達は森の奥の草原へと出ることが出来た。
ここでなら思う存分戦うことが出来るだろう。
「時間は掛けられねぇ。厄介なのはこいつだけじゃねえんだ」
おそらくこいつの手下らしい化け犬が、そこかしこにいる。
せっかくこいつを引き離しても、手間取ってそいつらが子供と女を食ったら俺達の負けだ。
ここからが正念場だ、さあ気合入れて行くぞ!
「グォオオオオ!!!」
「何時までも威勢よく吠えられると思うんじゃねえぞ……ッ」
「その通りさ! そして――それを今から証明してあげよう!!」
アルストレーラが腰の剣に手を掛けた時、勢いをつけて駆け出す。
目標は目の前の図体のデカい化け犬だ。
「もらうよッ、二つ頭君!!」
鞘から抜き放ったと同時にその勢いのまま、残像を生み出しながらその首の一つへと刃が歯を立てる。
だが……。
「グルル……ッ」
敵も図体だけで群れのボスになったんじゃねえんだろう。とてつもない速さもそれに反応を示して、頭の向きを反らしてわずかに回避する。
腕を伸ばし切ったアルストレーラの隙も見逃すはずがない。
「おっとっ!」
反らした首を再び動かし、その重量を武器に跳ね飛ばした。
だがアルストレーラもやるもので、その動きにすら反応して反対の手で鞘を抜いて盾代わりにして直撃を避ける。
しかしその重さだ、ショックは殺せるものじゃない。吹き飛びながらも空中で回転し、地面へと着地する。
注意がアルストレーラに行った隙を狙って、俺も棍を叩きつけるが、もう一つの口に噛まれそのまま弾き飛ばされてしまった。
その最中に棍を地面に突き立てる事で、俺も手傷を負わずに地面に立つことに成功。
「チっ」
「流石に簡単じゃないね。それに――今にも不味いものを放ちそうだよッ!」
その言葉通りだ。
化け犬のボスはその二つの口に電気を帯びさせ、今にも解き放とうとしている。
「ちっ、早いとこケリをつけてやる……ッ」
俺は再び駆け出す。だが今度はさっきとは真逆の方向からだ。
ボスが電気を溜めている隙に、懐へと潜り込む。
「ガァアアア!!」
吠えると同時にその口から電撃が放たれる。しかしそれは俺を狙ったものじゃなかったようだ。
狙いはアルストレーラの方だったようで、俺の横を通り過ぎていく雷光を見て確信する。
来る!
その読み通り、余所を向いた俺をボスの爪が襲う。
「くっ……!」
棍を爪に向けて突き出し、なんとかそいつが俺の体に当たる事は無かったが、咄嗟の行動じゃそれが限界だった。
「かはっ!?」
吹き飛ばされた俺は、宙を舞って地面に叩きつけられる。その一瞬で背中の痛みと共に肺の空気が全部外に出た。
「クソッタレが……っ」
足が震えながらも、棍を杖代わりになんとか立ち上がる。
犬畜生の癖してムカつくんだよ……ッ。
雷撃が飛んで行った方向を見る、そっちにはアルストレーラが居たからだ。
「ぐ……っ」
だがその心配は杞憂に終わる。アルストレーラも無事だ。
無事なだけ、って言った方がいいな。
剣で防いだんだろうが、所々服が破れ、血も流れている。
それでもその顔から笑みと闘争心が消えてないのは、騎士の意地ってところか。
(やるじゃねぇか。正直見直したぜアルストレーラ、ただもんじゃねえとは思っていたがな)
だが、次はもうねぇはずだ。
俺達は咄嗟に散開して直撃を避ける。
巨体が落ちて来てとんでもなくデカい音がしたが、なんとかなった。
都合が良かったのはゲートがあった地点が開けていた避け易かった事、そして偶々逃げ込んだ先の茂みが俺の武器を置いていた場所だった。
抱えていた女をその辺に投げ捨て、武器を構えてそいつの前へと出る。
同じように別の茂みからアルストレーラが現れて、コセルア達とは違う佩び方をした腰の剣に手を当てていた。
子供が居ないのはやっぱり俺と同じように茂みにおいてきたからだろう。
「キミ、ここで戦ってはせっかくの手掛かり君達の身が危ない。ここは一旦この場から引き離すべきじゃないかな?」
「同意見だ。女の方は癪だが、ここで死なせたらそれこそ何も分からなくなる」
顔を見合わせた俺達は、対峙する化け物の視線を誘導する為に駆け出す。
「グルルル……ッ」
俺達が背を向けて逃げ出したのを好機と捉えたのか、そいつは唸り声を上げながら追って来た。
だが幸いな事に巨体だ。足が速いが小回りは効かない。
俺達はそいつに追われながら森を駆け抜ける。そして――。
「ちょうどいいところに出たな」
「天運はどうやらボクたちを愛しているようだ!」
この状況で随分な言い分だが、俺達は森の奥の草原へと出ることが出来た。
ここでなら思う存分戦うことが出来るだろう。
「時間は掛けられねぇ。厄介なのはこいつだけじゃねえんだ」
おそらくこいつの手下らしい化け犬が、そこかしこにいる。
せっかくこいつを引き離しても、手間取ってそいつらが子供と女を食ったら俺達の負けだ。
ここからが正念場だ、さあ気合入れて行くぞ!
「グォオオオオ!!!」
「何時までも威勢よく吠えられると思うんじゃねえぞ……ッ」
「その通りさ! そして――それを今から証明してあげよう!!」
アルストレーラが腰の剣に手を掛けた時、勢いをつけて駆け出す。
目標は目の前の図体のデカい化け犬だ。
「もらうよッ、二つ頭君!!」
鞘から抜き放ったと同時にその勢いのまま、残像を生み出しながらその首の一つへと刃が歯を立てる。
だが……。
「グルル……ッ」
敵も図体だけで群れのボスになったんじゃねえんだろう。とてつもない速さもそれに反応を示して、頭の向きを反らしてわずかに回避する。
腕を伸ばし切ったアルストレーラの隙も見逃すはずがない。
「おっとっ!」
反らした首を再び動かし、その重量を武器に跳ね飛ばした。
だがアルストレーラもやるもので、その動きにすら反応して反対の手で鞘を抜いて盾代わりにして直撃を避ける。
しかしその重さだ、ショックは殺せるものじゃない。吹き飛びながらも空中で回転し、地面へと着地する。
注意がアルストレーラに行った隙を狙って、俺も棍を叩きつけるが、もう一つの口に噛まれそのまま弾き飛ばされてしまった。
その最中に棍を地面に突き立てる事で、俺も手傷を負わずに地面に立つことに成功。
「チっ」
「流石に簡単じゃないね。それに――今にも不味いものを放ちそうだよッ!」
その言葉通りだ。
化け犬のボスはその二つの口に電気を帯びさせ、今にも解き放とうとしている。
「ちっ、早いとこケリをつけてやる……ッ」
俺は再び駆け出す。だが今度はさっきとは真逆の方向からだ。
ボスが電気を溜めている隙に、懐へと潜り込む。
「ガァアアア!!」
吠えると同時にその口から電撃が放たれる。しかしそれは俺を狙ったものじゃなかったようだ。
狙いはアルストレーラの方だったようで、俺の横を通り過ぎていく雷光を見て確信する。
来る!
その読み通り、余所を向いた俺をボスの爪が襲う。
「くっ……!」
棍を爪に向けて突き出し、なんとかそいつが俺の体に当たる事は無かったが、咄嗟の行動じゃそれが限界だった。
「かはっ!?」
吹き飛ばされた俺は、宙を舞って地面に叩きつけられる。その一瞬で背中の痛みと共に肺の空気が全部外に出た。
「クソッタレが……っ」
足が震えながらも、棍を杖代わりになんとか立ち上がる。
犬畜生の癖してムカつくんだよ……ッ。
雷撃が飛んで行った方向を見る、そっちにはアルストレーラが居たからだ。
「ぐ……っ」
だがその心配は杞憂に終わる。アルストレーラも無事だ。
無事なだけ、って言った方がいいな。
剣で防いだんだろうが、所々服が破れ、血も流れている。
それでもその顔から笑みと闘争心が消えてないのは、騎士の意地ってところか。
(やるじゃねぇか。正直見直したぜアルストレーラ、ただもんじゃねえとは思っていたがな)
だが、次はもうねぇはずだ。
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