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第26話 大物と対峙
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「さてどうする? これは非常に厄介な問題だ、解決するなら早急がいい!」
「……事が事だ。一旦報告した方がいいだろう。今すぐ俺達だけで片を付けられる問題なら調べる必要があるが、こいつは直接お袋に関わって来る。……どこの馬鹿か知らないが、人のシマでザケた事しやがって……!」
腹は立つ、だが問題のデカさを考えたら俺達だけで勝手やる領分を超えてる。
恩返しのつもりが、ここで足止めとはな。癇に障って仕方がねぇ。
そんな俺の様子を見るアルストレーラの顔は、どういう訳か感心したような目で人を見ていた。
「ほう。やはりキミは前のキミとはまるで違うね。前のキミは普段は自分を大きく見せようと大層な流言を広める事に尽力していた、そういう男の子だった。身の程というものを理解せず、危険に手を出して痛い目を見ては周りに当たり散らす。だけど今のキミは女性勝りの威勢に、熱を持ちながらも冷えた考えた方が出来る。……ふふん、そんなキミを守れる栄誉を得たボクは幸運な女性だろう」
人を褒めたと思ってたら、結局ナルシストな自分に帰るんだなこいつ。
まあいい、まだ周りに連中がいるはずだ。気づかれねぇように戻らないと。
「そうと決まればズラかるぞ。ここでバレて裏にいるヤツに気づかれる訳にもいかねぇ。逃がす訳にも行かねぇんだ」
「よし、では早速……」
そう思った瞬間、隠れて見ていた穴が広がったかと思えば――ローブを纏った人間が、腰に誰かを抱えたまま現れた。
腰の誰かは見るからに痛めつけられて、傷ついてない箇所を探す方が難しいくらいの子供。
「ふぅ、まったく手を焼かせやがって。……まあいい、後はこいつを犬どもに食わせりゃ完了だ。残った死肉は人目に――」
「つかせて無能の汚名を侯爵に着せようって腹か?」
「――誰だっ?!! ……がっ!!?」
「俺が誰かは問題じゃねぇ……っ。よくも手ェ出させたなクソッタレ!!」
ゲスな言い分を聞かされた俺は、気づいた時にはそのクソを殴っていた。
自分で言った事を撤回してしまったのイラっとするが、それ以上に目の前のゲスが目障りで仕方なかった。
茂みに棍を手放し、顔面向けて拳が飛ぶ。殴られてそいつは持っていた子供を離し、顔を覆っていたローブが取れ……その女は殴られた無様を晒す。
「な、何だ貴様は!? ど、どうしてここに!?」
「二度も言わねぇ。――眠ってろッ!!」
「かっ!?!? ……」
醜態を晒す胸倉を掴んで、もう一度殴り飛ばす。
ちょうど背後にあった木にぶつかった女はそのまま意識を手放した。
「……やっちまった」
「……うん、大丈夫だね。こっちの子はちゃんと息をしてる。キミのおかげさ、そう気を落とす事も無いんじゃないか? ボクはむしろキミの行いに高貴さを感じるくらいだったけどね」
「誇れた話じゃねぇ、どうあれこれでご破算だからな。……せめてそのガキと一緒にこいつも連れて行かないとな」
そう思ってローブの女を掴もうとした時の事だ。
「あん? ……ッ!」
「グルルルゥ……!」
穴がまたしても広がったかと思えば、低い唸り声と共にそいつは現れた。
「どうやら――図らずも大物が現れたようだね……ッ」
ここに来るまで散々相手した犬共、そいつらよりも一回りも二回りも巨体な頭が二つある化け犬が現れた。
この感じ、こいつがボスか……!
そいつの背後にあった穴は段々と小さくなっていき、それが無くなったと見えたのは――そのボスが空高く飛び上がったあとだった。
「……事が事だ。一旦報告した方がいいだろう。今すぐ俺達だけで片を付けられる問題なら調べる必要があるが、こいつは直接お袋に関わって来る。……どこの馬鹿か知らないが、人のシマでザケた事しやがって……!」
腹は立つ、だが問題のデカさを考えたら俺達だけで勝手やる領分を超えてる。
恩返しのつもりが、ここで足止めとはな。癇に障って仕方がねぇ。
そんな俺の様子を見るアルストレーラの顔は、どういう訳か感心したような目で人を見ていた。
「ほう。やはりキミは前のキミとはまるで違うね。前のキミは普段は自分を大きく見せようと大層な流言を広める事に尽力していた、そういう男の子だった。身の程というものを理解せず、危険に手を出して痛い目を見ては周りに当たり散らす。だけど今のキミは女性勝りの威勢に、熱を持ちながらも冷えた考えた方が出来る。……ふふん、そんなキミを守れる栄誉を得たボクは幸運な女性だろう」
人を褒めたと思ってたら、結局ナルシストな自分に帰るんだなこいつ。
まあいい、まだ周りに連中がいるはずだ。気づかれねぇように戻らないと。
「そうと決まればズラかるぞ。ここでバレて裏にいるヤツに気づかれる訳にもいかねぇ。逃がす訳にも行かねぇんだ」
「よし、では早速……」
そう思った瞬間、隠れて見ていた穴が広がったかと思えば――ローブを纏った人間が、腰に誰かを抱えたまま現れた。
腰の誰かは見るからに痛めつけられて、傷ついてない箇所を探す方が難しいくらいの子供。
「ふぅ、まったく手を焼かせやがって。……まあいい、後はこいつを犬どもに食わせりゃ完了だ。残った死肉は人目に――」
「つかせて無能の汚名を侯爵に着せようって腹か?」
「――誰だっ?!! ……がっ!!?」
「俺が誰かは問題じゃねぇ……っ。よくも手ェ出させたなクソッタレ!!」
ゲスな言い分を聞かされた俺は、気づいた時にはそのクソを殴っていた。
自分で言った事を撤回してしまったのイラっとするが、それ以上に目の前のゲスが目障りで仕方なかった。
茂みに棍を手放し、顔面向けて拳が飛ぶ。殴られてそいつは持っていた子供を離し、顔を覆っていたローブが取れ……その女は殴られた無様を晒す。
「な、何だ貴様は!? ど、どうしてここに!?」
「二度も言わねぇ。――眠ってろッ!!」
「かっ!?!? ……」
醜態を晒す胸倉を掴んで、もう一度殴り飛ばす。
ちょうど背後にあった木にぶつかった女はそのまま意識を手放した。
「……やっちまった」
「……うん、大丈夫だね。こっちの子はちゃんと息をしてる。キミのおかげさ、そう気を落とす事も無いんじゃないか? ボクはむしろキミの行いに高貴さを感じるくらいだったけどね」
「誇れた話じゃねぇ、どうあれこれでご破算だからな。……せめてそのガキと一緒にこいつも連れて行かないとな」
そう思ってローブの女を掴もうとした時の事だ。
「あん? ……ッ!」
「グルルルゥ……!」
穴がまたしても広がったかと思えば、低い唸り声と共にそいつは現れた。
「どうやら――図らずも大物が現れたようだね……ッ」
ここに来るまで散々相手した犬共、そいつらよりも一回りも二回りも巨体な頭が二つある化け犬が現れた。
この感じ、こいつがボスか……!
そいつの背後にあった穴は段々と小さくなっていき、それが無くなったと見えたのは――そのボスが空高く飛び上がったあとだった。
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