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第14話 不快な予感
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当然、ここに来るのに俺一人だけって訳には行かないようだ。
だからこうしてライベルを連れて来たんだが、しかしこうしてはしゃぐ姿を見るとどっちが面倒見てるかわかんなくなってくるな。
「迷子になるなよ。お前はあっちこっち見に行って勝手にいなくなりそうだしな」
「さ、流石にそんなことしませんよぉ。今日は一日お坊ちゃまの傍から離れませんから。そうですよねコセルア卿?」
そして当然、ここに来たのは俺達だけでもない。この辺りの取り締まりを強化したって言っても、貴族が外を歩くのに護衛がつかない訳がないからだ。
「私はそのつもりだが、君の場合は目を離すといなくなりそうだしな」
「こ、コセルア卿まで……! ぼくってそんなに落ち着きないように見えますか?」
「そうだな……、俺の手鏡でも貸そうか?」
「ひ、ひどぃ……二人して」
これ以上やるといじけそうだな。
しかし、コセルアがノっかってくるとは思わなかったな。我ながら大した発見だ。
今俺たち三人は見元がバレないように地味な恰好をしている。俺のは普段着だが。
元とクローゼットの中に入っていた悪趣味な服は、部屋の装飾やらアクセサリーを含めてほとんど売っ払って金に変えた。
必要な分だけ手元においたら、後は侍従長を通して屋敷で働いている奴らの臨時ボーナスにしてもらったのも一ヶ月以上は前の話だ。
鉄面皮って表現の似合う侍従長ですら軽く驚かせちまったが、あれが切っ掛けで本格的に俺の評判がガラっと変わったようだ。
それまで俺を見てビビっていた連中が別の意味でビビってしばらく、自分達から気楽に挨拶してくれるようになった。キッチンに顔を出すと一緒にクッキーを食べてくれる、みたいな。
他にもあるが、それはいい。
それで売った服の代わりに近くの村でライベルに派手じゃない服を頼んで買ってきてもらった平民向けのファッション。ただライベルの見立てのおかげか、地味すぎるって事も無い。あいつはそれでも残念がってたな、確か流行が遅れてるとかなんとか。
他二人も今は私服だ。こう見るとコセルアのこのボーイッシュファッションが新鮮だな。
元々女子としてはイケメンの見た目のせいか、レザージャケットにスラックス、ショートブーツが似合ってる。きっと町を歩けば黄色い声援がうっする聞こえて来る事だろう……野郎からの。
ライベルはいつもの藍色のスーツ姿から一転、白いショートブレザーにベージュのハイウエストロングキュロット、紺のキャスケット帽を被って……こうして見ると本当に男かと思うが、多分こっちじゃこれが男らしいオシャレなんだろう。
灰色のジャケットに黒いシャツにデニムのボトムスの俺が一番地味だろう。お忍びの貴族としてはある意味正解か?
「さあさ! 今日はぼくが町を案内してみせますからね。坊ちゃまの新しいお洋服だって見て回りたいし、身に着けてくれるアクセサリーだって探してみせますよ~」
「はいはい、じゃあ侍従としてのカッコイイとこっての見せてくれよ」
「……はいっ!」
その言葉に気分を良くしたのか、ライベルは満面の笑みを浮かべたと思えば、鼻歌を歌いながら先頭を歩き始めた。
「まったく、これじゃ弟の御守だな」
「ですが坊ちゃま、僭越ながらにあまり困った顔をしておられるようには見えませんね」
「ん? そうか、そうだな……。これはこれで楽しいかもな」
実際悪い気はしてないんだから問題にもしてない。今日は一日、いい気晴らしが出来そうだ。
……って思ってたんだけどなァ。
「へへ、随分と可愛い顔してるのがいるじゃないか」
「ひっ!? な、なんですかあなた?!」
だからこうしてライベルを連れて来たんだが、しかしこうしてはしゃぐ姿を見るとどっちが面倒見てるかわかんなくなってくるな。
「迷子になるなよ。お前はあっちこっち見に行って勝手にいなくなりそうだしな」
「さ、流石にそんなことしませんよぉ。今日は一日お坊ちゃまの傍から離れませんから。そうですよねコセルア卿?」
そして当然、ここに来たのは俺達だけでもない。この辺りの取り締まりを強化したって言っても、貴族が外を歩くのに護衛がつかない訳がないからだ。
「私はそのつもりだが、君の場合は目を離すといなくなりそうだしな」
「こ、コセルア卿まで……! ぼくってそんなに落ち着きないように見えますか?」
「そうだな……、俺の手鏡でも貸そうか?」
「ひ、ひどぃ……二人して」
これ以上やるといじけそうだな。
しかし、コセルアがノっかってくるとは思わなかったな。我ながら大した発見だ。
今俺たち三人は見元がバレないように地味な恰好をしている。俺のは普段着だが。
元とクローゼットの中に入っていた悪趣味な服は、部屋の装飾やらアクセサリーを含めてほとんど売っ払って金に変えた。
必要な分だけ手元においたら、後は侍従長を通して屋敷で働いている奴らの臨時ボーナスにしてもらったのも一ヶ月以上は前の話だ。
鉄面皮って表現の似合う侍従長ですら軽く驚かせちまったが、あれが切っ掛けで本格的に俺の評判がガラっと変わったようだ。
それまで俺を見てビビっていた連中が別の意味でビビってしばらく、自分達から気楽に挨拶してくれるようになった。キッチンに顔を出すと一緒にクッキーを食べてくれる、みたいな。
他にもあるが、それはいい。
それで売った服の代わりに近くの村でライベルに派手じゃない服を頼んで買ってきてもらった平民向けのファッション。ただライベルの見立てのおかげか、地味すぎるって事も無い。あいつはそれでも残念がってたな、確か流行が遅れてるとかなんとか。
他二人も今は私服だ。こう見るとコセルアのこのボーイッシュファッションが新鮮だな。
元々女子としてはイケメンの見た目のせいか、レザージャケットにスラックス、ショートブーツが似合ってる。きっと町を歩けば黄色い声援がうっする聞こえて来る事だろう……野郎からの。
ライベルはいつもの藍色のスーツ姿から一転、白いショートブレザーにベージュのハイウエストロングキュロット、紺のキャスケット帽を被って……こうして見ると本当に男かと思うが、多分こっちじゃこれが男らしいオシャレなんだろう。
灰色のジャケットに黒いシャツにデニムのボトムスの俺が一番地味だろう。お忍びの貴族としてはある意味正解か?
「さあさ! 今日はぼくが町を案内してみせますからね。坊ちゃまの新しいお洋服だって見て回りたいし、身に着けてくれるアクセサリーだって探してみせますよ~」
「はいはい、じゃあ侍従としてのカッコイイとこっての見せてくれよ」
「……はいっ!」
その言葉に気分を良くしたのか、ライベルは満面の笑みを浮かべたと思えば、鼻歌を歌いながら先頭を歩き始めた。
「まったく、これじゃ弟の御守だな」
「ですが坊ちゃま、僭越ながらにあまり困った顔をしておられるようには見えませんね」
「ん? そうか、そうだな……。これはこれで楽しいかもな」
実際悪い気はしてないんだから問題にもしてない。今日は一日、いい気晴らしが出来そうだ。
……って思ってたんだけどなァ。
「へへ、随分と可愛い顔してるのがいるじゃないか」
「ひっ!? な、なんですかあなた?!」
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