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第8話
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「ルーゼンス! 君の婚約者が迎えに来てやったぞ!!」
一斉にそっちの方に集まる視線達。当然、私も眼から光線でも撃たんばかりにその方向をビィィッと見つめる。
そこに立っていたのは、何とも高慢ちきな態度でふんぞり返っている男だった。
燃えるような赤い髪、そして真紅の瞳。まるでルビーの宝石みたいだ。その態度、派手が過ぎるスーツから自分に対する自信を暑っ苦しいぐらいに周囲に放っている。
やだ~、こんな真夏には絶対関わりたくないタイプだ。
……あれれ? あの男まさか……。
「また貴方ですの、ドゥローさん。わたくしは婚約などしないとそう言っているでしょう」
「ふっ、それが君の照れ隠してあることは既に先刻承知。いい加減素直になるんだ、俺と結婚したいとな」
「あの男性……確か、ボーテルド伯爵の子息のはず。何故このようなところに?」
「それが最近、ルーゼンスへ付きまとっているらしい、という話を聞き及んでおります。まさか招待されてもいないパーティーに乗り込んでくるとは思いませんでしたが」
「私も聞きました。同じ学園に通っていた彼に付きまとわれているせいで、転校を余儀なくされたと」
「まぁ! なまじ伯爵の位である為、学園側も強く出られなかったそうですわ。それで逃げるように今の学校へ……」
ふぅん、なるほどそうだったのか。何でまた公爵家のお嬢様が転校して来たのかと思っていたけど、ストーキングされていたなんて。
だからあの時……、そういうことか……。
「ラピさん、ちょっと席を外させてもらいますわ。私ったら急な野暮用が出来てしまいましたの」
「ん? そうかい。……どこまでするつもりかは分からないけど程々に、ね」
ありゃま、なんとなく見抜かれてるわ。このイケメンさんったら顔だけじゃなくて頭もようござんす。
それならそれでいいか、じゃちょーっと灸を据えてきましょうかね。
「認めたらどうだ? 俺と君は結ばれる運命にある。照れる君も素敵だが、残念なことに俺はあまり駆け引きが苦手なのだ。結論はすぐに出して手元に置きたくなる性分でね」
「結論はすでに出ているでしょう。わたくしは貴方と婚約などいたしません! 折角、親類の集まるこの大事な場を……いい加減にしてくださいまし!!」
「だからこそ来た。君の親戚一同に婚約者の顔を見せるチャンスなのだから。……さあ皆さん! この俺こそが……」
「十六歳の頃に夜の山に忍び込んで一晩中泣きながら彷徨っていた、お漏らし令息のドゥローでござい!」
「ッ誰だ?! 何故そのこっ……デタラメを言うのは?!!」
「あらら? ドゥロー君ってば相変わらずおめでたいんだ。元婚約者の声を忘れちゃうなんてねぇ」
「な!? お、お前はッ! どうして、何故ここにいる?!!」
何故ここにいるかどうかと聞かれても、そっくりそのまま返してやる。
こちとらお嬢様のゲストだが、アンタはただの侵入者だろうが。
「は~い! 昨日ぶりねドゥロー。アンタの”元”婚約者のロモラッドちゃんとは私の事。いつ見てもおつむの出来は悪そうだこと」
「お、お前ぇ!! たかだか子爵令嬢如きが、このロイヤルな場に居て良いと思っているのか!!」
「アンタは鏡見た事無いの? あ、そうか! アンタの馬鹿さ加減に耐えられずに鏡が割れちゃうんだ、納得ぅ。良かったわね、ブーメランの突き刺さった顔を見ずに済んで」
顔を真っ赤にしてプルプル震えている。
あ~あ、お嬢様達の前でみっともないったらありゃしない。
ここまで無様を晒してなら、もう流石にカッコつけることもできないだろ。さっきまでの緊張したムードが一転して、今はもう元に戻っている。
一斉にそっちの方に集まる視線達。当然、私も眼から光線でも撃たんばかりにその方向をビィィッと見つめる。
そこに立っていたのは、何とも高慢ちきな態度でふんぞり返っている男だった。
燃えるような赤い髪、そして真紅の瞳。まるでルビーの宝石みたいだ。その態度、派手が過ぎるスーツから自分に対する自信を暑っ苦しいぐらいに周囲に放っている。
やだ~、こんな真夏には絶対関わりたくないタイプだ。
……あれれ? あの男まさか……。
「また貴方ですの、ドゥローさん。わたくしは婚約などしないとそう言っているでしょう」
「ふっ、それが君の照れ隠してあることは既に先刻承知。いい加減素直になるんだ、俺と結婚したいとな」
「あの男性……確か、ボーテルド伯爵の子息のはず。何故このようなところに?」
「それが最近、ルーゼンスへ付きまとっているらしい、という話を聞き及んでおります。まさか招待されてもいないパーティーに乗り込んでくるとは思いませんでしたが」
「私も聞きました。同じ学園に通っていた彼に付きまとわれているせいで、転校を余儀なくされたと」
「まぁ! なまじ伯爵の位である為、学園側も強く出られなかったそうですわ。それで逃げるように今の学校へ……」
ふぅん、なるほどそうだったのか。何でまた公爵家のお嬢様が転校して来たのかと思っていたけど、ストーキングされていたなんて。
だからあの時……、そういうことか……。
「ラピさん、ちょっと席を外させてもらいますわ。私ったら急な野暮用が出来てしまいましたの」
「ん? そうかい。……どこまでするつもりかは分からないけど程々に、ね」
ありゃま、なんとなく見抜かれてるわ。このイケメンさんったら顔だけじゃなくて頭もようござんす。
それならそれでいいか、じゃちょーっと灸を据えてきましょうかね。
「認めたらどうだ? 俺と君は結ばれる運命にある。照れる君も素敵だが、残念なことに俺はあまり駆け引きが苦手なのだ。結論はすぐに出して手元に置きたくなる性分でね」
「結論はすでに出ているでしょう。わたくしは貴方と婚約などいたしません! 折角、親類の集まるこの大事な場を……いい加減にしてくださいまし!!」
「だからこそ来た。君の親戚一同に婚約者の顔を見せるチャンスなのだから。……さあ皆さん! この俺こそが……」
「十六歳の頃に夜の山に忍び込んで一晩中泣きながら彷徨っていた、お漏らし令息のドゥローでござい!」
「ッ誰だ?! 何故そのこっ……デタラメを言うのは?!!」
「あらら? ドゥロー君ってば相変わらずおめでたいんだ。元婚約者の声を忘れちゃうなんてねぇ」
「な!? お、お前はッ! どうして、何故ここにいる?!!」
何故ここにいるかどうかと聞かれても、そっくりそのまま返してやる。
こちとらお嬢様のゲストだが、アンタはただの侵入者だろうが。
「は~い! 昨日ぶりねドゥロー。アンタの”元”婚約者のロモラッドちゃんとは私の事。いつ見てもおつむの出来は悪そうだこと」
「お、お前ぇ!! たかだか子爵令嬢如きが、このロイヤルな場に居て良いと思っているのか!!」
「アンタは鏡見た事無いの? あ、そうか! アンタの馬鹿さ加減に耐えられずに鏡が割れちゃうんだ、納得ぅ。良かったわね、ブーメランの突き刺さった顔を見ずに済んで」
顔を真っ赤にしてプルプル震えている。
あ~あ、お嬢様達の前でみっともないったらありゃしない。
ここまで無様を晒してなら、もう流石にカッコつけることもできないだろ。さっきまでの緊張したムードが一転して、今はもう元に戻っている。
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2024年12月追記
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