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第16話 もし、能天気なクズ共を見つけたら
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この後の予定に悩んでいた時のことだ。
遠くの方に見知った女が歩いていた、男を隣に連れて。
「ちょっと予定があるのを思い出した。悪いけど今日はここで解散ということで」
「そうなんですか? では引き止めるのは悪いですしわたし達は家にもどりましょうか、アーリさん」
「分かりました。では甲斗さん、お帰りの際はお気をつけて。私が言う事でもありませんが、近頃はまだ寒さも残っておりますのであまり遅くならない方がよろしいかと」
「ええ、ご忠告ありがとうございます。じゃあな。また今度どっかに遊びに行こうぜ、らいら」
「はい甲斗さま。ごきげんよう。……あ、でもその前に一つ」
何かを思い出したような声を出すらいら。彼女は俺の袖を少し引っ張ってくる。
何をして欲しいのか察した俺は顔を見合わせるように膝を曲げてしゃがみ込む。そんな俺の頬に、らいらは頬に口付けをして小さく笑う。
そんならいらの頬は薄く赤くなっており、そんな彼女にドキっとしてしまった。
「それではわたし達はこれで。甲斗さま、今度はわたしの御屋敷にお出で下さい。二人っきりで過ごしてみたのです」
「まあお嬢様ったら、私はどうやらお邪魔虫みたいですね。では甲斗さん、今度こそ」
二人は帰って行った。
後ろ髪の引かれる思いだが、こればっかりは2人を巻き込むわけにもいかない。
奴らに気づかれないように目立たないように近づいていく。
会話が聞こえるぐらいに接近したら、念のために持っていたボイスレコーダーを起動する。
「私ぃ、そー君と出来てとっても嬉しいよ! だってやっと2人きりになれたんだから!」
「僕もだよ、芽亜里。ようやく君のことを独り占めできるんだからね」
「きゃあ、そー君ったらぁ! もう、そんなに私のこと好き?」
「もちろんさ。君は僕の全てなんだから、君が僕を好きでいてくれるならそのそれ以上に答えなくちゃ」
無駄に聞こえのいい言葉を吐く男――木山。他の女にも同じことを言っているんだろうな。あの動画を見てなきゃ、その言葉ぐらいは信じられたかもしれないが。
上辺の愛に酔わされた芽亜里はすっかり骨抜きになってやがる。
元々、恋だ愛だと騒がしい女ではあった。それが俺に向いてる分には良かった。
でも実際は、自分を好きだと言ってくれるなら誰でも良かったんだろう。いや、誰でもってことはないか。少なくとも顔が良くなくちゃ、どうせこの女は振り向かない。
俺自身、見てくれがいいとまでは言わないが、それでも全く悪いとも思ってない。
あのクソ女にとっては、俺は最低ラインだったんじゃないか? 今思えばそんな感じがする。
さっきまでの夢心地の気分とはうって変わって、また心の中がざわざわとし始めた。
イラつく気持ちを抑え、奴らの有罪の証拠をかき集めるのに集中しなければ。
「でも、君とこうして楽しんでいると、殿島君に悪いね。いくら彼が君を放っておくような彼氏だからと言っても、素敵な君を独占出来るなんて少し嫉妬してしまうよ」
「うふふ、そぉんなことないよ? 今はそー君の彼女なんだよ? こー君の事も好きだけど、一番はそー君だから。彼とは幼馴染だから付き合っただけよ」
「君は男心を弄ぶのはうまいな。そういう女性は、輝けるものだよ。君のような女性が恋人で殿島君も幸せ者だ」
ほざきやがって! 女を好き勝手にとっかえひっかえしてしている男が何を言うんだ!
思ってもいないことをベラベラと。それに騙される芽亜里は馬鹿にも程がある。
噂の事は教えたのに……。結局この様だ。
ああ、ダメだ。これ以上聞いてると頭がおかしくなりそうだ。
遠くの方に見知った女が歩いていた、男を隣に連れて。
「ちょっと予定があるのを思い出した。悪いけど今日はここで解散ということで」
「そうなんですか? では引き止めるのは悪いですしわたし達は家にもどりましょうか、アーリさん」
「分かりました。では甲斗さん、お帰りの際はお気をつけて。私が言う事でもありませんが、近頃はまだ寒さも残っておりますのであまり遅くならない方がよろしいかと」
「ええ、ご忠告ありがとうございます。じゃあな。また今度どっかに遊びに行こうぜ、らいら」
「はい甲斗さま。ごきげんよう。……あ、でもその前に一つ」
何かを思い出したような声を出すらいら。彼女は俺の袖を少し引っ張ってくる。
何をして欲しいのか察した俺は顔を見合わせるように膝を曲げてしゃがみ込む。そんな俺の頬に、らいらは頬に口付けをして小さく笑う。
そんならいらの頬は薄く赤くなっており、そんな彼女にドキっとしてしまった。
「それではわたし達はこれで。甲斗さま、今度はわたしの御屋敷にお出で下さい。二人っきりで過ごしてみたのです」
「まあお嬢様ったら、私はどうやらお邪魔虫みたいですね。では甲斗さん、今度こそ」
二人は帰って行った。
後ろ髪の引かれる思いだが、こればっかりは2人を巻き込むわけにもいかない。
奴らに気づかれないように目立たないように近づいていく。
会話が聞こえるぐらいに接近したら、念のために持っていたボイスレコーダーを起動する。
「私ぃ、そー君と出来てとっても嬉しいよ! だってやっと2人きりになれたんだから!」
「僕もだよ、芽亜里。ようやく君のことを独り占めできるんだからね」
「きゃあ、そー君ったらぁ! もう、そんなに私のこと好き?」
「もちろんさ。君は僕の全てなんだから、君が僕を好きでいてくれるならそのそれ以上に答えなくちゃ」
無駄に聞こえのいい言葉を吐く男――木山。他の女にも同じことを言っているんだろうな。あの動画を見てなきゃ、その言葉ぐらいは信じられたかもしれないが。
上辺の愛に酔わされた芽亜里はすっかり骨抜きになってやがる。
元々、恋だ愛だと騒がしい女ではあった。それが俺に向いてる分には良かった。
でも実際は、自分を好きだと言ってくれるなら誰でも良かったんだろう。いや、誰でもってことはないか。少なくとも顔が良くなくちゃ、どうせこの女は振り向かない。
俺自身、見てくれがいいとまでは言わないが、それでも全く悪いとも思ってない。
あのクソ女にとっては、俺は最低ラインだったんじゃないか? 今思えばそんな感じがする。
さっきまでの夢心地の気分とはうって変わって、また心の中がざわざわとし始めた。
イラつく気持ちを抑え、奴らの有罪の証拠をかき集めるのに集中しなければ。
「でも、君とこうして楽しんでいると、殿島君に悪いね。いくら彼が君を放っておくような彼氏だからと言っても、素敵な君を独占出来るなんて少し嫉妬してしまうよ」
「うふふ、そぉんなことないよ? 今はそー君の彼女なんだよ? こー君の事も好きだけど、一番はそー君だから。彼とは幼馴染だから付き合っただけよ」
「君は男心を弄ぶのはうまいな。そういう女性は、輝けるものだよ。君のような女性が恋人で殿島君も幸せ者だ」
ほざきやがって! 女を好き勝手にとっかえひっかえしてしている男が何を言うんだ!
思ってもいないことをベラベラと。それに騙される芽亜里は馬鹿にも程がある。
噂の事は教えたのに……。結局この様だ。
ああ、ダメだ。これ以上聞いてると頭がおかしくなりそうだ。
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