12 / 31
第12話 もし、お嬢様と遊びの約束をしたら
しおりを挟む
部屋に戻って来た俺は、らいらに電話を掛けた。
とはいえ相手は小学生。
夜に長い事話する訳にはいかないから、軽い世間話程度に済ませないとな。
『甲斗さま、いつお電話をくださるのかとお待ちしてました』
「いや済まない。こっちもいろいろあってな、今家に帰ったとこなんだ。そっちは今何をしてたんだ?」
『お風呂を済ませて自室でくつろいでいました。……ところでお身体の方の具合はいかがですか?』
「体? 一体何の事だ?」
まさか、胃を痛めてるのに気づかれたか?
『いえ、昨日お茶を共にした時にお腹を気にされてたので……。お医者様を呼ぼうかと思いまして』
「ああ、そういう意味か。大丈夫だ、もう治ったから心配ない」
俺はそう言って安心させる。
調子に乗ってラーメン食べてしまったが、何とかそこそこ持ち直せたようだ。
『そうですか、それは良かったです』
それからも他愛のない話に花を咲かせる。この何気ない時間が好きだ。余計な事を考える必要も無く、ただ相手の事だけを考える。
……芽亜里ともそういう時間を過ごしたかったんだがな。
流石にあいつの事をらいらに喋る訳にはいかない。小学生相手に元カノの愚痴をこぼすのは情けなさ過ぎる。それにしても、こうしてるとまるで本当付き合ってるみたいだよな。
「あ、そうだ。今度の日曜なんだけどさ、何か予定あるか?」
ふと思い出したことを口に出す。
日曜にでもどこかへ出かけようと思ったんだが、急に決めたことだしデート先を思いついていない。そもそも、らいらが何を好きなのかすら知らない以上、やっぱ考え足らずだな。
『その日の予定は特には。……デートのお誘いでしょうか? それならとても嬉しいです』
その気にさせてしまった以上は後に引け無くなった。さて何処へ行こうか?
う~ん……そうだな。
「よし、映画を見に行かないか?」
映画館に行くことにした。
俺もたまには、何かの映画を見てリフレッシュしたい。
恋愛ものもいいけど、ここは無難にアクションものにしておくか? いやでも小学生が相手だしな、何がいいのか分からん。
『あ、あの……』
俺があれこれ悩んでいると、らいらは少し遠慮がちに声をかけてきた。
『よろしかったら、わたしに決めさせていただいても構いませんか?』
「ん? 別に構わないぞ」
どうせ俺じゃ分からないからな。任せるのが一番だろう。
『では……』
結局恋愛ものの映画になった。クラスでちょっとした話題になっているそうな。
小学生受けする恋愛映画ねぇ……。俺にはよく分かんないが、まあいいだろう。
◇◇◇
そんなわけで日曜日。俺とらいらで駅前に来ていた。約束の時間より十分ほど早く来てしまったが、それでもらいらの姿が見えた。
「ごめんなさい、待たせてしまいましたね」
「いや、俺待つのは嫌いじゃないしな。……アーリさんも来たんですね」
「メイドですから。お構いなく、お二人でお楽しみ下さいませ」
らいらとアーリさん。流石に女連れが二人もいるんじゃデートにはならんか。でもいいか、まだ正式に付き合って無いんだ。もし二人でいるところを芽亜里にでも見られたら逆恨みされそうだしな。
それにしても二人共キレイな恰好だ。学校の制服でもメイド服でも無い、新鮮な感覚だ。
俺はこれでも、付き合っていた芽亜里の為に女子の恰好について雑誌に目を通すくらいには知っているつもりだ。
らいらは小学生らしさはあるが、大人っぽく見せるように意識している。
スカートの長さが清楚さを演出しているしトップスは長袖で露出が少ない。そして何よりも髪飾りが可愛いらしい。
アーリさんの方は、メイドらしくシックにまとめた服装でいつも以上に美しいと感じる。
「甲斗さま、どうかしましたか?」
「あ、ああ……なんでもない」
俺は二人の姿に見惚れていた。
いかんいかん、らいらならまだしも両方はダメだ絶対! 俺はあのクソ女とは違う。今回のこれもデートじゃなくてただ遊びに出ただけだ。ロマンチックな要素は無しに行かなくちゃならない。
よし。
「それじゃ行こうか。今日は思いっきり楽しまないとな」
俺はらいら達をエスコートしながら映画館へと足を進めた。
とはいえ相手は小学生。
夜に長い事話する訳にはいかないから、軽い世間話程度に済ませないとな。
『甲斗さま、いつお電話をくださるのかとお待ちしてました』
「いや済まない。こっちもいろいろあってな、今家に帰ったとこなんだ。そっちは今何をしてたんだ?」
『お風呂を済ませて自室でくつろいでいました。……ところでお身体の方の具合はいかがですか?』
「体? 一体何の事だ?」
まさか、胃を痛めてるのに気づかれたか?
『いえ、昨日お茶を共にした時にお腹を気にされてたので……。お医者様を呼ぼうかと思いまして』
「ああ、そういう意味か。大丈夫だ、もう治ったから心配ない」
俺はそう言って安心させる。
調子に乗ってラーメン食べてしまったが、何とかそこそこ持ち直せたようだ。
『そうですか、それは良かったです』
それからも他愛のない話に花を咲かせる。この何気ない時間が好きだ。余計な事を考える必要も無く、ただ相手の事だけを考える。
……芽亜里ともそういう時間を過ごしたかったんだがな。
流石にあいつの事をらいらに喋る訳にはいかない。小学生相手に元カノの愚痴をこぼすのは情けなさ過ぎる。それにしても、こうしてるとまるで本当付き合ってるみたいだよな。
「あ、そうだ。今度の日曜なんだけどさ、何か予定あるか?」
ふと思い出したことを口に出す。
日曜にでもどこかへ出かけようと思ったんだが、急に決めたことだしデート先を思いついていない。そもそも、らいらが何を好きなのかすら知らない以上、やっぱ考え足らずだな。
『その日の予定は特には。……デートのお誘いでしょうか? それならとても嬉しいです』
その気にさせてしまった以上は後に引け無くなった。さて何処へ行こうか?
う~ん……そうだな。
「よし、映画を見に行かないか?」
映画館に行くことにした。
俺もたまには、何かの映画を見てリフレッシュしたい。
恋愛ものもいいけど、ここは無難にアクションものにしておくか? いやでも小学生が相手だしな、何がいいのか分からん。
『あ、あの……』
俺があれこれ悩んでいると、らいらは少し遠慮がちに声をかけてきた。
『よろしかったら、わたしに決めさせていただいても構いませんか?』
「ん? 別に構わないぞ」
どうせ俺じゃ分からないからな。任せるのが一番だろう。
『では……』
結局恋愛ものの映画になった。クラスでちょっとした話題になっているそうな。
小学生受けする恋愛映画ねぇ……。俺にはよく分かんないが、まあいいだろう。
◇◇◇
そんなわけで日曜日。俺とらいらで駅前に来ていた。約束の時間より十分ほど早く来てしまったが、それでもらいらの姿が見えた。
「ごめんなさい、待たせてしまいましたね」
「いや、俺待つのは嫌いじゃないしな。……アーリさんも来たんですね」
「メイドですから。お構いなく、お二人でお楽しみ下さいませ」
らいらとアーリさん。流石に女連れが二人もいるんじゃデートにはならんか。でもいいか、まだ正式に付き合って無いんだ。もし二人でいるところを芽亜里にでも見られたら逆恨みされそうだしな。
それにしても二人共キレイな恰好だ。学校の制服でもメイド服でも無い、新鮮な感覚だ。
俺はこれでも、付き合っていた芽亜里の為に女子の恰好について雑誌に目を通すくらいには知っているつもりだ。
らいらは小学生らしさはあるが、大人っぽく見せるように意識している。
スカートの長さが清楚さを演出しているしトップスは長袖で露出が少ない。そして何よりも髪飾りが可愛いらしい。
アーリさんの方は、メイドらしくシックにまとめた服装でいつも以上に美しいと感じる。
「甲斗さま、どうかしましたか?」
「あ、ああ……なんでもない」
俺は二人の姿に見惚れていた。
いかんいかん、らいらならまだしも両方はダメだ絶対! 俺はあのクソ女とは違う。今回のこれもデートじゃなくてただ遊びに出ただけだ。ロマンチックな要素は無しに行かなくちゃならない。
よし。
「それじゃ行こうか。今日は思いっきり楽しまないとな」
俺はらいら達をエスコートしながら映画館へと足を進めた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
クールな生徒会長のオンとオフが違いすぎるっ!?
ブレイブ
恋愛
政治家、資産家の子供だけが通える高校。上流高校がある。上流高校の一年生にして生徒会長。神童燐は普段は冷静に動き、正確な指示を出すが、家族と、恋人、新の前では

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

美人な姉と『じゃない方』の私
LIN
恋愛
私には美人な姉がいる。優しくて自慢の姉だ。
そんな姉の事は大好きなのに、偶に嫌になってしまう時がある。
みんな姉を好きになる…
どうして私は『じゃない方』って呼ばれるの…?
私なんか、姉には遠く及ばない…


貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる