9 / 10
第9話 無事に解決
しおりを挟む
それだけ言うと王子は手をパン、と叩いた。
すると門の向こうから黒服の男達が現れて、エレテレテを囲んでしまった。
その内の一人が口を開く。
「お坊ちゃま、御父上が非常にお怒りとなっております。どうかお戻り下さい」
「いきなり出てきて何だ貴様達!? 何で此処が分かっ――おい離せ!! 私はリフィに用があるのだ!!」
「御父上からは力づくでもとご命令を受けていますので……。では殿下、私共はこれにて」
「うん、私の我がままで待ってもらってすまない。後は君達の好きにしてくれ」
「ちょ、ちょっと待て!? 殿下? 貴様達何言って……痛い!? 離せ! リフィ、助けてくれ!! なぁリフィぃ!!?」
喚き散らしながら、男達はエレットを連れ去ってしまった。
私は何が起こったのか全く分からずただ立ち尽くすのみ。
「家の前で騒がしくしてすまなかったねリフィさん、君も大変だったろう?」
「い、いえそんな……。でもありがとうございます殿下。エレットを追い払ってもらって……」
「礼を言われる程の事じゃ無いさ。今日立ち寄ったのは、あの婚約の顛末について話をしようと思ってね。……と言っても、彼から大体は聞いたかな?」
「ええ、はい。王女は城から追放されたとか……。しかし、いくら貴族の婚約を無理矢理破棄させたといってうちはお金も無い男爵家です。それほどの重い罰が必要なのですか?」
疑問に思っていた事だ。これが侯爵家同士等の大貴族の婚約を壊したというなら理解出来るが家は歴史以外には何もなような貧乏小貴族だ。王家にそれほどのダメージが入るとは思えなかった。
王子は私の額に一指しを当てて来た。い、一体何?
「こらこら、自分を卑下するのは良くないと前にも言っただろう? 例え家格は低くても立派に貴き一族の末裔じゃないか」
「す、すいません。殿下から頂いたお言葉なのに、失礼な事を言ってしまって」
「本当に心労をかけたね。その事についてなんだが、実は色々と裏があるんだよ」
「えっ」
それは一体どういう事なのだろうか? もしよければお聞かせください、と姿勢を正してお願いする。
すると王子は説明を続けた。
「実はだね、父上……つまり我らが国王陛下は君とエレット君が婚約していた事を知らなかったんだ。侯爵家の婚約となれば王家にも聞こえてくるものなのだが……どうもエレット君が己の周りに口止めをしていたようだ、そうだね?」
「ええ、正式な結婚が決まるまでは内緒にするように言われていました。それもいつかの夜会でエレットが自分からバラしてしまいましたが……」
「その時点で国王の耳に入っていれば、単に妹が大目玉を食らうだけで済んだかもしれないのだが。生憎と、ここ暫くは国の仕事で兄上と共に城を離れていてね。私も別件で城を離れていたのもあって、随分と好き勝手されてしまったよ」
そう話す王子の声色には疲労が滲んでいたようにも思える。いや、実際妹の不始末で大変だったのだろう。
「私が妹の婚約を知ったのは、国王や兄上よりも一足先に城に戻ってからだ。ただ、妹の動きに不審なものを感じてね、陰ながら独自に動いた結果、君が強引に婚約を破棄させられていた事を知ったのさ」
「それで、以前この家を訪ねて来たんですね。あの時は驚きました、まさか身内の事とは言え殿下が謝罪に訪れるなんて」
「でも……それで君と出会えた」
私の両手を包み込むように握りながらそんな風に言って下さる殿下。
何だか照れる。でもそれは私も同じだった。勘違いしそうになるが、この方にときめいてしまったのだから。
すると門の向こうから黒服の男達が現れて、エレテレテを囲んでしまった。
その内の一人が口を開く。
「お坊ちゃま、御父上が非常にお怒りとなっております。どうかお戻り下さい」
「いきなり出てきて何だ貴様達!? 何で此処が分かっ――おい離せ!! 私はリフィに用があるのだ!!」
「御父上からは力づくでもとご命令を受けていますので……。では殿下、私共はこれにて」
「うん、私の我がままで待ってもらってすまない。後は君達の好きにしてくれ」
「ちょ、ちょっと待て!? 殿下? 貴様達何言って……痛い!? 離せ! リフィ、助けてくれ!! なぁリフィぃ!!?」
喚き散らしながら、男達はエレットを連れ去ってしまった。
私は何が起こったのか全く分からずただ立ち尽くすのみ。
「家の前で騒がしくしてすまなかったねリフィさん、君も大変だったろう?」
「い、いえそんな……。でもありがとうございます殿下。エレットを追い払ってもらって……」
「礼を言われる程の事じゃ無いさ。今日立ち寄ったのは、あの婚約の顛末について話をしようと思ってね。……と言っても、彼から大体は聞いたかな?」
「ええ、はい。王女は城から追放されたとか……。しかし、いくら貴族の婚約を無理矢理破棄させたといってうちはお金も無い男爵家です。それほどの重い罰が必要なのですか?」
疑問に思っていた事だ。これが侯爵家同士等の大貴族の婚約を壊したというなら理解出来るが家は歴史以外には何もなような貧乏小貴族だ。王家にそれほどのダメージが入るとは思えなかった。
王子は私の額に一指しを当てて来た。い、一体何?
「こらこら、自分を卑下するのは良くないと前にも言っただろう? 例え家格は低くても立派に貴き一族の末裔じゃないか」
「す、すいません。殿下から頂いたお言葉なのに、失礼な事を言ってしまって」
「本当に心労をかけたね。その事についてなんだが、実は色々と裏があるんだよ」
「えっ」
それは一体どういう事なのだろうか? もしよければお聞かせください、と姿勢を正してお願いする。
すると王子は説明を続けた。
「実はだね、父上……つまり我らが国王陛下は君とエレット君が婚約していた事を知らなかったんだ。侯爵家の婚約となれば王家にも聞こえてくるものなのだが……どうもエレット君が己の周りに口止めをしていたようだ、そうだね?」
「ええ、正式な結婚が決まるまでは内緒にするように言われていました。それもいつかの夜会でエレットが自分からバラしてしまいましたが……」
「その時点で国王の耳に入っていれば、単に妹が大目玉を食らうだけで済んだかもしれないのだが。生憎と、ここ暫くは国の仕事で兄上と共に城を離れていてね。私も別件で城を離れていたのもあって、随分と好き勝手されてしまったよ」
そう話す王子の声色には疲労が滲んでいたようにも思える。いや、実際妹の不始末で大変だったのだろう。
「私が妹の婚約を知ったのは、国王や兄上よりも一足先に城に戻ってからだ。ただ、妹の動きに不審なものを感じてね、陰ながら独自に動いた結果、君が強引に婚約を破棄させられていた事を知ったのさ」
「それで、以前この家を訪ねて来たんですね。あの時は驚きました、まさか身内の事とは言え殿下が謝罪に訪れるなんて」
「でも……それで君と出会えた」
私の両手を包み込むように握りながらそんな風に言って下さる殿下。
何だか照れる。でもそれは私も同じだった。勘違いしそうになるが、この方にときめいてしまったのだから。
1
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!
ユウ
恋愛
侯爵令嬢のアリスティアは婚約者に真実の愛を見つけたと告白され婚約を解消を求められる。
恋する相手は平民であり、正反対の可憐な美少女だった。
アリスティアには拒否権など無く、了承するのだが。
側近を婚約者に命じ、あげくの果てにはその少女を侯爵家の養女にするとまで言われてしまい、大切な家族まで侮辱され耐え切れずに修道院に入る事を決意したのだが…。
「ならば俺と永遠の愛を誓ってくれ」
意外な人物に結婚を申し込まれてしまう。
一方真実の愛を見つけた婚約者のティエゴだったが、思い込みの激しさからとんでもない誤解をしてしまうのだった。
根暗令嬢の華麗なる転身
しろねこ。
恋愛
「来なきゃよかったな」
ミューズは茶会が嫌いだった。
茶会デビューを果たしたものの、人から不細工と言われたショックから笑顔になれず、しまいには根暗令嬢と陰で呼ばれるようになった。
公爵家の次女に産まれ、キレイな母と実直な父、優しい姉に囲まれ幸せに暮らしていた。
何不自由なく、暮らしていた。
家族からも愛されて育った。
それを壊したのは悪意ある言葉。
「あんな不細工な令嬢見たことない」
それなのに今回の茶会だけは断れなかった。
父から絶対に参加してほしいという言われた茶会は特別で、第一王子と第二王子が来るものだ。
婚約者選びのものとして。
国王直々の声掛けに娘思いの父も断れず…
応援して頂けると嬉しいです(*´ω`*)
ハピエン大好き、完全自己満、ご都合主義の作者による作品です。
同名主人公にてアナザーワールド的に別な作品も書いています。
立場や環境が違えども、幸せになって欲しいという思いで作品を書いています。
一部リンクしてるところもあり、他作品を見て頂ければよりキャラへの理解が深まって楽しいかと思います。
描写的なものに不安があるため、お気をつけ下さい。
ゆるりとお楽しみください。
こちら小説家になろうさん、カクヨムさんにも投稿させてもらっています。
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

婚約して三日で白紙撤回されました。
Mayoi
恋愛
貴族家の子女は親が決めた相手と婚約するのが当然だった。
それが貴族社会の風習なのだから。
そして望まない婚約から三日目。
先方から婚約を白紙撤回すると連絡があったのだ。


愚者(バカ)は不要ですから、お好きになさって?
海野真珠
恋愛
「ついにアレは捨てられたか」嘲笑を隠さない言葉は、一体誰が発したのか。
「救いようがないな」救う気もないが、と漏れた本音。
「早く消えればよろしいのですわ」コレでやっと解放されるのですもの。
「女神の承認が下りたか」白銀に輝く光が降り注ぐ。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる