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第4話 暗雲
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突如会場内に鳴り響いた若い男性の声。
振り向きそちらを向けば、あら? あのお方は何処かで……。
いまいち思い出せないので近くに居たベスパさんに尋ねてみもうした。
「ベスパさん、あの殿方を何処ぞで見た覚えがある気がするようなしないような」
「うぅん……。あ! あの人確かエルグランド家のリオさんじゃないか。こんなところに何の用だろう? 招待客の中にいなかったはずだけど」
エルグランド家といえば、国の中央区に屋敷を構える侯爵の位では?
でもリオさんは家庭教師に勉強を教わっているので学園に通っておらず、接点を持つ人はここに居ないのに。はて?
「やっと突き止めたぞ! まさかこのような場所で貴族が婚姻の儀を執り行うとは、全くの予想外だったが……。ペルケ・ペルケケン! ドゥーイットの男の婚姻など止めるんだ! あの男、既に別の女性に心を奪われているとの噂がある不徳の男。君に相応しいはずがない!!」
「えぇぇ……、いつの話をしてるんだ彼は。今日はその女性との結婚式だよ」
「誰も連絡先なんて知らないからこうなったんちゃうん? てか、そもそもあん男の知り合いなんて一人もおらんし」
「迷惑だな、もう式が始まるぞ。仕方ない、つまみだすか」
会場内の招待客の皆さんから、不満の声が続出してあます。
それに気づかず、彼の殿方は興奮してさらに続けます。さながら舞台役者のような振る舞いには思わず拍手を送ってしまいますの。
パチパチパチ。
「おお、ペルケ! 君は俺の事を歓迎してくれるのかい! 素晴らしい、やはりこの俺の伴侶となるべきは君以外に有り得ないな! 式当日に花嫁をかっさらう……。このシチュエーションは神が与えた二人の贈り物なのだな!!」
「はぁ? ちょっとあんた! 外がうるさいから飛び出して来ちゃったけど、勝手にふざけた事言ってんじゃないの! つか呼んでもいないんだからとっとと家に帰ってクソして寝てろ!!」
「なんだこの下品な女は!? 何故君のような女性がそのようなドレスを着ているのだ?! まさか、ペルケからドレスを奪ったか! 似合わない!! 脱ぐんだ!!」
「きゃあ変態!!?」
ありゃま! トイーモさんが出て来てリオさんと取っ組み合いを始めてしまいましたわ。これはお止めしないと。
「お止めなすってお二方。ほらどうどう」
わたくしはトイーモさんを引きはがして、興奮を抑えるように促してありんす。
「ふしゅー! ふしゅー!」
「まぁまぁ興奮をなさらないでトイーモさん。そんな姿は貴女には似合わなくてよ」
「でも先輩! こいつがあまりにもふざけてて……!」
「わたくしが説得を試みるんでして。貴女は中へお戻りなさいな」
「おお! ペルケ! 君はこんな無礼な女性にも優しさを振りまいて……! 素晴らしいよまったく。さあこんなところは飛び出して、もっと君に相応しい王立教会で俺と式をあげようじゃないか!」
あ、もしかしてこの殿方はわたくしと結婚したいのでは? しかしいけません。もう既にお相手がおりゃりんせ。
「なんやあいつ? ちょっと頭パーちゃうか」
「ちょっと警備の人間を呼んでくる。あの手の手合いは説得でどうにか出来るものじゃない」
「ちょっとちょっと!? さっきその辺見て来たけど、変な甲冑来た人達がいたよ!」
「エルグランド家お抱えのプライベート騎士団か。めでたい日だっていうのに訳の分からないコスプレ集団に取り囲まれるとは」
いけませんわ。他の招待客の方々に不安が広がっておます。
ここはやはりわたくしが説得しなくては!
「リオさん。あなたは「貴様!! 呼びもしないのに人の結婚式に乗り込んでくるとはどういう了見だ!!?」あ、ダンダン」
公民館の中からタキシード姿のダンダンが飛び出してきましたわ。
怒り心頭なご様子。頭から湯気が見えております。
「ダンダーリオット! 君にペルケは相応しくない、この俺がもらい受けに来た。君は精々そこの下品な女で大人しく手を打つといい」
「なんですってェェッ!!?」
「落ち着けトイーモ。……俺にペルペルが相応しいかはともかく、貴様に相応しくないのだけは間違いがないだろう。さっさと帰ってクソして寝てろ」
「なんと下品な言い回し……! やはり君に相応しくないな」
おっと、ダンダンの登場で出鼻が挫かれてしまいましたが。これはいい加減にわたくしが納めなくては。
「落ち着きなすってダンダン。リオさん、わたくしは「あの、すいませんが」シグナス様!?」
なんと、今度はシグナス様に割って入られましたの。こりゃあびっくらこきましたわ。このような荒事に関わる方では無いと思ってましたので。
「今は式の前で皆さん気が立っています。並々ならない事情があるとお見受けしますが、どうか式が終わったあとに改めて話し合うという形で」
「それでは遅いのだ! そもそも君は誰だ? 関係の無い部外者は黙っていたまえ!」
「いや、関係無くはないので申し上げたんですが」
「ええい! この俺に楯突くとは、君も彼女と俺の仲を裂くつもりなのか?!」
「いや、裂くも何も彼女とは」
「ええい! この俺に食って下がるとは、仕方がない。エルグランドナイツ! 出ませぇい!!」
その掛け声と共に、敷地の外に居たらしい騎士団の方々がぞろぞろ入って来ましてごん。もう、そんなにお人が入る程お庭も広くありませんのに。明らかに入り切れていないでござあます。
「こうなったら実力を行使させていただく! ペルケ以外の者達は丁重にお帰りいただく!」
「なんやとごらぁ!? ええ度胸やんけ、だったらこっちも遠慮なくいてこましたるわい!!」
「結局こうなるの。いや二人の門出とペルペルちゃんの為だ、やるぞ!」
「先に喧嘩を仕掛けてきたのはそちらだ。大義名分は我らにあるぞ!!」
不味いですの! 一触即発とはまさにこの事でありやす。
「グルルルル……!」
ディトラッカーも興奮のご様子。
せっかくのおめでたい日なのにこれではいけませんぞな!
振り向きそちらを向けば、あら? あのお方は何処かで……。
いまいち思い出せないので近くに居たベスパさんに尋ねてみもうした。
「ベスパさん、あの殿方を何処ぞで見た覚えがある気がするようなしないような」
「うぅん……。あ! あの人確かエルグランド家のリオさんじゃないか。こんなところに何の用だろう? 招待客の中にいなかったはずだけど」
エルグランド家といえば、国の中央区に屋敷を構える侯爵の位では?
でもリオさんは家庭教師に勉強を教わっているので学園に通っておらず、接点を持つ人はここに居ないのに。はて?
「やっと突き止めたぞ! まさかこのような場所で貴族が婚姻の儀を執り行うとは、全くの予想外だったが……。ペルケ・ペルケケン! ドゥーイットの男の婚姻など止めるんだ! あの男、既に別の女性に心を奪われているとの噂がある不徳の男。君に相応しいはずがない!!」
「えぇぇ……、いつの話をしてるんだ彼は。今日はその女性との結婚式だよ」
「誰も連絡先なんて知らないからこうなったんちゃうん? てか、そもそもあん男の知り合いなんて一人もおらんし」
「迷惑だな、もう式が始まるぞ。仕方ない、つまみだすか」
会場内の招待客の皆さんから、不満の声が続出してあます。
それに気づかず、彼の殿方は興奮してさらに続けます。さながら舞台役者のような振る舞いには思わず拍手を送ってしまいますの。
パチパチパチ。
「おお、ペルケ! 君は俺の事を歓迎してくれるのかい! 素晴らしい、やはりこの俺の伴侶となるべきは君以外に有り得ないな! 式当日に花嫁をかっさらう……。このシチュエーションは神が与えた二人の贈り物なのだな!!」
「はぁ? ちょっとあんた! 外がうるさいから飛び出して来ちゃったけど、勝手にふざけた事言ってんじゃないの! つか呼んでもいないんだからとっとと家に帰ってクソして寝てろ!!」
「なんだこの下品な女は!? 何故君のような女性がそのようなドレスを着ているのだ?! まさか、ペルケからドレスを奪ったか! 似合わない!! 脱ぐんだ!!」
「きゃあ変態!!?」
ありゃま! トイーモさんが出て来てリオさんと取っ組み合いを始めてしまいましたわ。これはお止めしないと。
「お止めなすってお二方。ほらどうどう」
わたくしはトイーモさんを引きはがして、興奮を抑えるように促してありんす。
「ふしゅー! ふしゅー!」
「まぁまぁ興奮をなさらないでトイーモさん。そんな姿は貴女には似合わなくてよ」
「でも先輩! こいつがあまりにもふざけてて……!」
「わたくしが説得を試みるんでして。貴女は中へお戻りなさいな」
「おお! ペルケ! 君はこんな無礼な女性にも優しさを振りまいて……! 素晴らしいよまったく。さあこんなところは飛び出して、もっと君に相応しい王立教会で俺と式をあげようじゃないか!」
あ、もしかしてこの殿方はわたくしと結婚したいのでは? しかしいけません。もう既にお相手がおりゃりんせ。
「なんやあいつ? ちょっと頭パーちゃうか」
「ちょっと警備の人間を呼んでくる。あの手の手合いは説得でどうにか出来るものじゃない」
「ちょっとちょっと!? さっきその辺見て来たけど、変な甲冑来た人達がいたよ!」
「エルグランド家お抱えのプライベート騎士団か。めでたい日だっていうのに訳の分からないコスプレ集団に取り囲まれるとは」
いけませんわ。他の招待客の方々に不安が広がっておます。
ここはやはりわたくしが説得しなくては!
「リオさん。あなたは「貴様!! 呼びもしないのに人の結婚式に乗り込んでくるとはどういう了見だ!!?」あ、ダンダン」
公民館の中からタキシード姿のダンダンが飛び出してきましたわ。
怒り心頭なご様子。頭から湯気が見えております。
「ダンダーリオット! 君にペルケは相応しくない、この俺がもらい受けに来た。君は精々そこの下品な女で大人しく手を打つといい」
「なんですってェェッ!!?」
「落ち着けトイーモ。……俺にペルペルが相応しいかはともかく、貴様に相応しくないのだけは間違いがないだろう。さっさと帰ってクソして寝てろ」
「なんと下品な言い回し……! やはり君に相応しくないな」
おっと、ダンダンの登場で出鼻が挫かれてしまいましたが。これはいい加減にわたくしが納めなくては。
「落ち着きなすってダンダン。リオさん、わたくしは「あの、すいませんが」シグナス様!?」
なんと、今度はシグナス様に割って入られましたの。こりゃあびっくらこきましたわ。このような荒事に関わる方では無いと思ってましたので。
「今は式の前で皆さん気が立っています。並々ならない事情があるとお見受けしますが、どうか式が終わったあとに改めて話し合うという形で」
「それでは遅いのだ! そもそも君は誰だ? 関係の無い部外者は黙っていたまえ!」
「いや、関係無くはないので申し上げたんですが」
「ええい! この俺に楯突くとは、君も彼女と俺の仲を裂くつもりなのか?!」
「いや、裂くも何も彼女とは」
「ええい! この俺に食って下がるとは、仕方がない。エルグランドナイツ! 出ませぇい!!」
その掛け声と共に、敷地の外に居たらしい騎士団の方々がぞろぞろ入って来ましてごん。もう、そんなにお人が入る程お庭も広くありませんのに。明らかに入り切れていないでござあます。
「こうなったら実力を行使させていただく! ペルケ以外の者達は丁重にお帰りいただく!」
「なんやとごらぁ!? ええ度胸やんけ、だったらこっちも遠慮なくいてこましたるわい!!」
「結局こうなるの。いや二人の門出とペルペルちゃんの為だ、やるぞ!」
「先に喧嘩を仕掛けてきたのはそちらだ。大義名分は我らにあるぞ!!」
不味いですの! 一触即発とはまさにこの事でありやす。
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