可愛がっていた後輩に惹かれてしまった婚約者から別の縁談を持ちかけられました。

こまの ととと

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第2話 変化

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 朝食を食べた後、朝のジョギングを済ませてシャワーを浴び、紅茶を四杯飲んで彼のお人の元へ旅立ったわたくし。
 お昼前に到着した際にお屋敷に到着した際、その立派さに目を点にしてしまいましてぞな。

「わあ、綺麗! まるで採れたての新鮮な卵のようで艶のある優美さでござい!」
「……なんでいきなりそんな例えが出てくるんですか?」

 出迎えてくれた使用人の女性が呆れたような声を掛けてきました。

「これはこれは失礼を。では改めてこれから失礼させていただきますね」
「こらこら、勝手に入っては駄目ですよ。あなたがペルケさんですね?」

 お屋敷の中をキョロキョロと見渡していると、使用人の女性に止められてしまいました。出鼻が手折れてしまいやした。

「はい、わたくしことペルケ・ペルケケンとはわたくしですわ。そういう貴女はどちら様でございましょうか?」
「ええはい、このお屋敷に仕えさせて貰っておりますメイドのリアナンと申します」
「そうでしたか。よろしくお願いいたしますわね、リアナンさん。わたくしの事は気軽にペルペルと呼んでくださって結構ざんす」
「はい、分かりましたペルペルさん。では早速ですが旦那様のところへ案内致します。迷子になれないようにきちんとついてきてくださいね」
「あたぼうですの」


「あれ? 此処はどこですかしら?」
「言ったそばから……」

 さらに数分後。

「……と言った具合で婚約を破棄されまして。ご両親も構わないとの事で、今日馳せ参じた所存でございますの」
「あらそうなんです? それはそれは一風変わった経緯ですね。……と、ああ此処です。こちらが旦那様のいらっしゃるお部屋になります」

 まあ、立派な扉で。いつもこのような扉を通っているだなんて、やはり立派なお人なのでしょう。

「旦那様、ペルケ・ペルケケン様がいらっしゃいました」
『あ、どうぞ。勝手に入って下さーい』
「はい、失礼します。ではペルペルさん」

 リアナンさんが扉を開けるとそれにわたくしも続きました。

「あぁようこそ遠路遥々。僕はシグナス・リード・アヴェニス・プリマベーラ。一応は貴方の婚約者になる予定の男です」
「初めまして。わたくしはペルケ・ペルケケンと申しますの。よしなによしなに。よしなについでにサインを頂けませんか? ファンなんどす」
「いやいや、サインはちょっと勘弁してください。サインは流石に」
「あら残念」
「さて、とりあえずお茶でも飲みながら話を聞かせて頂きましょうか。ささ」
「はい、お言葉に甘えちゃうんですの」

 しかし、人生とは奇縁なものでして、まさかあのドラゴンレースの覇者がわたくしのお相手の方だっただなんて、いったい誰が予想できたことでしょう?
 辺境伯の生まれで幼い頃からレースに青春を燃やしてきたお方。この方のお陰で斜陽と化していた我が国のドラゴンレースが息を吹き返したといっても過言ではありませんの。デビュー以来公式戦で今だ負け知らず、正しく救国の魔王ですぞ!

 そんなチケット倍率右肩上がりの御方と縁が出来るなんて、不思議……。

 ◇◇◇

 それからの日常はまさに目まぐるしい毎日。
 シグナス様に喜んで頂こうと、リアナンさんに屋敷のお仕事を教えて貰いました。
 自室の掃除ぐらいしかした事の無いわたくしにとっては中々にクタクタの連続でありあした。

「ああ!? お洗濯用の洗剤が!!」
「あらぁ、真っ白になられて。このままお風呂に行きましょうか」

 それでも、日々これ研鑽でござあます。

「や! はぁ! とぉ! 御覧下さいリアナンさん、目玉焼きがこんなにも」
「見事、真っ黒でございます。このまま旦那様にお出ししましょうか」

 そんな忙しくも楽しい日々が充実に過ぎて行くんでしてざんす。


「ふぅ……、今日は朝から随分と冷えちゃいますわね。あら? あそこに見えるのは……シグナス様?」

 お屋敷から少し離れた丘の上でシグナス様の姿を見つけました。

「……ふう、もう春がとはいえまだまだ寒いな。……ん? 誰かいるのかい?」
「シグナス様、わたくしですわ」
「ペルペル殿……どうしてここに?」
「お散歩ですわ」
「そうですか……、実は僕もです。この丘から見える景色が好きでね、時間がある時はこうして一人で来るんですよ」

 な~るほどほど。シグナス様はとっても情緒のあるお方だったのですのね。わたくしの想像通りの方で喜びでありやす。

「では、このペルケめもご一緒させて頂いちゃってよございますか?」
「はは、もちろん! ……でも、僕でよかったのかい? リアナンと一緒の話が弾みそうだけど」
「彼女とは昨日も今朝もたっくさん話をしてしまいましてござい。せっかくの機会ですので今日はいっぱいシグナス様とお話がしたいのです。……ダメにありますか?」
「まさか! さっきも言ったけどもちろんさ。僕はどうも駄目だな、言葉のキャッチボールが苦手なんだ。退屈かもしれないけど、出来る限り一杯話してみるよ。僕のトークトレーニングに付き合ってくれるかい?」
「イエッサー!」

 お互いの事を知る楽しい有意義な時間でしたの! お互いの好きな食べ物から眠る時の行動まで、ぐっすり眠れないのが最近の悩みだとか。
 ですから言って差し上げたのござあます。

「へいへい! 眠れないのが辛いだって? そいつぁ……寝る前に二時間も本を読むのを止めればよいのでは?」
「……まぁそうなんだけどね」

 それはそれは楽しい時間でしたの。
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