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第8話 第三の勝利と
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「何だお前急に? 出会い様に金銭を要求するなんて強盗じゃねえか」
「この俺が強盗だと? ふざけたことを抜かしてんじゃねえ!! つべこべ言ってないでその手に持った一万を寄こしやがれ!」
わけのわからない事を。
この金は俺のものじゃないが、お前のものにもならないだろう。
「いい加減にしたまえ! お金を貸してくれと言うのならともかく、水知らずの他人にいきなりお金を寄こせと、それも一万円もの大金を要求するなど! 君は恥を知るべきだ!」
「何だと! お前こそなんだ、部外者は引っ込んでろ!」
「確かに部外者だが、このような悪辣な所業を見過ごせるわけがないだろう!」
言い合いになる二人、このまま放っておくわけにはいかない。しかし、いきなり金を寄こせなんて言ってくるとは、こいつも底辺ヤンキーって事か。だったら容赦をする必要は無いな。
「おい待てよ、俺に用があるんだろ? だったらちょっとついてきな」
「江野!? 君はまた……」
「いいからいいから。で、来るのか? 来ないのか? この金がお前のものになるかどうかはその選択次第だぜ」
「いいぜ、ついてってやろうじゃねえか」
さすがに黄畠を巻き込むわけにも行かず、俺はこの面構えのいいヤンキーを連れて二人っきりに成れる場所を目指す事にした。
「じゃあな黄畠。人に言えたことじゃないが、お前も危ないことには関わるなよ」
それだけ言い放つと、俺はヤンキーを連れて歩き出す。
そうだなこの時間帯だったら人も少ない、そこの廊下の角を曲がったあたりで一発ぶちかますとするか。何事も先手必勝が手っ取り早いしな。
そこまで考えると、俺たちは廊下の角を曲がる。おあつらえ向きに誰もいなかった。よし!
さあ、お前の腐った不良根性を矯正してやるぜ!
右掌に力を込めて、振り向きざまに解き放――
「江野君、やっぱり僕もついて行くよ!」
――たれてしまった……。あああ!!!?
まさか黄畠が飛び出して来るとは思わなかった。
当然背後には無礼者なイケメンしかいないと思っていたから……。
俺の手から飛び出した不可視の光は、因縁をつけてきた野郎と――同じ射線上に居た黄畠にぶち当たってしまった。
「な、なんだ!? 俺の体が、なんか変だぞ!?」
「こ、これは……!? 僕の胸が急に膨らんで……」
や、やばい! どうしよう……。
焦っている俺を置き去りにして二人の肉体は変化していく。
胸は膨らみ続けDカップ程度に、尻にも脂肪がついて制服のボトムにヒップラインが浮かんでしまっている。
一人完全に予定外だったが、俺の想像通りにダイナマイトなグラマラス美女(偽)が完成を迎える。今の二人を見て、実は男だなんて思える人間はおそらく一人も居ないだろう。
あぁ、どうしよう本当に。
「まさか! あの噂が本当の事だったとは……!」
「噂だと? お前一体何を知ってんだ?!」
「取り敢えず落ち着いて聞いて欲しい。実は朝から男子生徒の恰好をした女子が急に出没するようになったらしい。その件についていくつか憶測が飛び交い、その一つが男性の肉体を女性に近づける奇病が発生したとの事だ。流石に与太話程度に受け止めていたが……まさか本当だったなんて!」
「き、奇病!? こんなわけのわからねぇ病気がこの学校で流行ってるのかよ!!」
いや別にそんな訳ないんだけどさ。だって俺が手を出さない限りそうはならないし。なんて言えないよなぁ……。
クソぉ、金巻き上げようとするヤンキーを懲らしめる為だったのに、まさか黄畠を巻き込んでしまうとは。不覚以外の何物でもないぞ。
「こ、これ治るのか? 元の体に戻れるのかよ?!」
「僕は医者じゃない、君の望む答えを出す事など不可能だよ。残念ながらね。仮に原因が今すぐ分かったとしても、それから治療法が確立するのは当然明日や明後日の話じゃないはずだ。良くて数年、下手をすれば僕たちが生きてる間には無理かも知れない……!」
「うぅ……そ、だろ? そんなぁ!?」
目の前で悲嘆にくれる二人を眺めつつ、俺が思う事は謝罪だった。勿論黄畠に対してだけ。
この術は俺も解けないんだよな。一方的に変えるだけで終了なんだ。スマン、マジスマン。
「この俺が強盗だと? ふざけたことを抜かしてんじゃねえ!! つべこべ言ってないでその手に持った一万を寄こしやがれ!」
わけのわからない事を。
この金は俺のものじゃないが、お前のものにもならないだろう。
「いい加減にしたまえ! お金を貸してくれと言うのならともかく、水知らずの他人にいきなりお金を寄こせと、それも一万円もの大金を要求するなど! 君は恥を知るべきだ!」
「何だと! お前こそなんだ、部外者は引っ込んでろ!」
「確かに部外者だが、このような悪辣な所業を見過ごせるわけがないだろう!」
言い合いになる二人、このまま放っておくわけにはいかない。しかし、いきなり金を寄こせなんて言ってくるとは、こいつも底辺ヤンキーって事か。だったら容赦をする必要は無いな。
「おい待てよ、俺に用があるんだろ? だったらちょっとついてきな」
「江野!? 君はまた……」
「いいからいいから。で、来るのか? 来ないのか? この金がお前のものになるかどうかはその選択次第だぜ」
「いいぜ、ついてってやろうじゃねえか」
さすがに黄畠を巻き込むわけにも行かず、俺はこの面構えのいいヤンキーを連れて二人っきりに成れる場所を目指す事にした。
「じゃあな黄畠。人に言えたことじゃないが、お前も危ないことには関わるなよ」
それだけ言い放つと、俺はヤンキーを連れて歩き出す。
そうだなこの時間帯だったら人も少ない、そこの廊下の角を曲がったあたりで一発ぶちかますとするか。何事も先手必勝が手っ取り早いしな。
そこまで考えると、俺たちは廊下の角を曲がる。おあつらえ向きに誰もいなかった。よし!
さあ、お前の腐った不良根性を矯正してやるぜ!
右掌に力を込めて、振り向きざまに解き放――
「江野君、やっぱり僕もついて行くよ!」
――たれてしまった……。あああ!!!?
まさか黄畠が飛び出して来るとは思わなかった。
当然背後には無礼者なイケメンしかいないと思っていたから……。
俺の手から飛び出した不可視の光は、因縁をつけてきた野郎と――同じ射線上に居た黄畠にぶち当たってしまった。
「な、なんだ!? 俺の体が、なんか変だぞ!?」
「こ、これは……!? 僕の胸が急に膨らんで……」
や、やばい! どうしよう……。
焦っている俺を置き去りにして二人の肉体は変化していく。
胸は膨らみ続けDカップ程度に、尻にも脂肪がついて制服のボトムにヒップラインが浮かんでしまっている。
一人完全に予定外だったが、俺の想像通りにダイナマイトなグラマラス美女(偽)が完成を迎える。今の二人を見て、実は男だなんて思える人間はおそらく一人も居ないだろう。
あぁ、どうしよう本当に。
「まさか! あの噂が本当の事だったとは……!」
「噂だと? お前一体何を知ってんだ?!」
「取り敢えず落ち着いて聞いて欲しい。実は朝から男子生徒の恰好をした女子が急に出没するようになったらしい。その件についていくつか憶測が飛び交い、その一つが男性の肉体を女性に近づける奇病が発生したとの事だ。流石に与太話程度に受け止めていたが……まさか本当だったなんて!」
「き、奇病!? こんなわけのわからねぇ病気がこの学校で流行ってるのかよ!!」
いや別にそんな訳ないんだけどさ。だって俺が手を出さない限りそうはならないし。なんて言えないよなぁ……。
クソぉ、金巻き上げようとするヤンキーを懲らしめる為だったのに、まさか黄畠を巻き込んでしまうとは。不覚以外の何物でもないぞ。
「こ、これ治るのか? 元の体に戻れるのかよ?!」
「僕は医者じゃない、君の望む答えを出す事など不可能だよ。残念ながらね。仮に原因が今すぐ分かったとしても、それから治療法が確立するのは当然明日や明後日の話じゃないはずだ。良くて数年、下手をすれば僕たちが生きてる間には無理かも知れない……!」
「うぅ……そ、だろ? そんなぁ!?」
目の前で悲嘆にくれる二人を眺めつつ、俺が思う事は謝罪だった。勿論黄畠に対してだけ。
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