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第277話 邪神ちゃん、レックスの冒険者組合へ
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オピスとの戦いを終えて、気持ちの落ち着いた翌日。
「さあ、オピス。レックスに行くわよ」
フェリスがオピスにこう告げる。オピスは全身がボロボロになっており、とてもじゃないが逆らえない状態になっていた。
実は夜中の事、オピスは黙ってこの場を去ろうとしていた。ところが、フェリスや魔物たちに見つかってしまい、ぐるぐる巻きにされてドラコの横に寝かされたのだった。いくら縄抜けの得意な蛇の邪神とはいえ、ドラコの寝相の前では無力だった。
ドラコは普段の寝相は悪くはない。だが、この日のように疲れているとものすごい寝返りを打ってくる。そして、見た目は幼女ながらも寝ている時の重量はドラゴン級。寝返りの下敷きになればあえなく潰されてしまう。オピスは見事にその被害を受け、このようなボロボロの状態となってしまったのだった。
「し、死ぬかと思いましたわ……」
「まったく酷い話じゃな。わしの所に潜り込んできたおぬしが悪いんじゃぞ」
げっそりとしているオピスを、実に不機嫌そうに見ているドラコである。
「あたくしだって、そんなところで寝たくありませんでしたわ。フェリスが放り込んでくれましたのよ!」
オピスはフェリスを指差しながら怒鳴っている。
「逃げようとしたオピスが悪いのよ。とにかく、レックスに出向いてここの事を説明するわよ。じゃないと、冒険者たちに攻撃されて面倒な事になるもの。説明させしておけば、あとは冒険者組合や商業組合を通じて話が広まるでしょうね」
「なんじゃ、逃げようとしたのか。それはオピスが悪いのう。面倒じゃろうが、こういうのは先んじておかねば後々余計に面倒になるばかりぞ。腹を括らんか」
フェリスにばらされ、ドラコには窘められて、オピスは頬を膨らませて明らかに不機嫌にしていた。だが、こればかりはオピスが悪かった。
「静かに暮らしたいんじゃろうが、諦めろ」
「……分かりましたわよ!」
ドラコに説得されながらも、眉を吊り上げた状態でオピスは嫌々承諾していた。やれやれ、見た目は大人びているくせに、精神は一番子どもではないか。フェリスに嫉妬を抱くのもなんとなく納得のいったドラコであった。
「それでは、留守は私と聖女様で預かります」
ようやく話がまとまったところで、ラータが告げてくる。真横に居るマイオリーとその肩に乗るビエールもやる気十分のようだった。
「うむ、任せるとしよう。わしの移動速度ならそう時間は掛かるまいて」
二人の表情を見たドラコだが、こんな場所に長く居させるつもりは毛頭ないようだった。しかし、フェリスを主と慕う魔物たちとはいえ、魔物だけを残してここで全員が離れるのも考え物だ。だからこそ、マイオリーとラータは残る事を選んだのである。
二人の決意を見届けたフェリスたちは、ドラゴンの姿に戻ったドラコの背に乗って、一路レックスを目指して移動を始めたのだった。
ドラコの背に乗って移動すると、それはもう速いの一言である。本気を出せばあっという間に世界一周もできるとか豪語しているだけの事はある。
レックスまで戻ってきたフェリスたちは、レックスから東の地に魔物たちの集落がある事を伝える。そこにはフェリスたちに同行している蛇の邪神であるオピスが居て、集落に住む魔物たちは危険でない事を伝えたのだが、やはり簡単に信じてもらえるわけがなかった。
「ご主人様の言いつけは破らないよ。絶対守る」
実は念のためにと、魔物の一匹を連れてきていたのだ。その魔物に証言させる事で、どうにか冒険者組合を納得させようとしたのだ。実際、眷属化した魔物はフェリスにとても懐いているし、自我がはっきりしていて話し合いもできる。そういった要素を見せつけたからこそ、
「……そこまで仰るのでしたら、……まあ、信じましょう」
無理やり感はあるものの納得させる事ができたのだった。
ただ、ひとつだけ条件を付けてきた。冒険者組合にも現地を確認させてほしいとの事で、フェリスたちはそれを了承した。見てもらうのが一番早いからだった。そんなわけで、職員を二名ほど連れてフェリスたちは冒険者組合から出ていった。
「さて、これから起こる事に驚くでないぞ」
レックスの外へ出たドラコは、冒険者組合の職員にひとつだけ断りを入れた。
冒険者組合の職員たちがこくこくと頷くので、ドラコは幼女形態からドラゴンへと姿を変える。それを見た冒険者組合の職員たちは、大口を開けて気絶してしまった。普通の人間に、ドラゴンという存在はやはり衝撃が大きすぎたようである。
「かっかっかっ、冒険者組合に勤めておるのに情けないのう。フェリス、起こしてやれ」
「はいはい、まったく、人使いが荒いわね」
ぶつくさと文句を言いながらも、フェリスは同行する職員を魔法を使って目覚めさせていった。
「かっかっかっ、それでは目的地まで一気に飛んでいくからの。落ちないようにはしておくが、しっかりと掴まっておけ」
目を覚ました職員をフェリスとオピスでどうにかドラコの背中に乗せると、ドラコは一気に急上昇して目的地へ向けて飛んでいくのであった。
「さあ、オピス。レックスに行くわよ」
フェリスがオピスにこう告げる。オピスは全身がボロボロになっており、とてもじゃないが逆らえない状態になっていた。
実は夜中の事、オピスは黙ってこの場を去ろうとしていた。ところが、フェリスや魔物たちに見つかってしまい、ぐるぐる巻きにされてドラコの横に寝かされたのだった。いくら縄抜けの得意な蛇の邪神とはいえ、ドラコの寝相の前では無力だった。
ドラコは普段の寝相は悪くはない。だが、この日のように疲れているとものすごい寝返りを打ってくる。そして、見た目は幼女ながらも寝ている時の重量はドラゴン級。寝返りの下敷きになればあえなく潰されてしまう。オピスは見事にその被害を受け、このようなボロボロの状態となってしまったのだった。
「し、死ぬかと思いましたわ……」
「まったく酷い話じゃな。わしの所に潜り込んできたおぬしが悪いんじゃぞ」
げっそりとしているオピスを、実に不機嫌そうに見ているドラコである。
「あたくしだって、そんなところで寝たくありませんでしたわ。フェリスが放り込んでくれましたのよ!」
オピスはフェリスを指差しながら怒鳴っている。
「逃げようとしたオピスが悪いのよ。とにかく、レックスに出向いてここの事を説明するわよ。じゃないと、冒険者たちに攻撃されて面倒な事になるもの。説明させしておけば、あとは冒険者組合や商業組合を通じて話が広まるでしょうね」
「なんじゃ、逃げようとしたのか。それはオピスが悪いのう。面倒じゃろうが、こういうのは先んじておかねば後々余計に面倒になるばかりぞ。腹を括らんか」
フェリスにばらされ、ドラコには窘められて、オピスは頬を膨らませて明らかに不機嫌にしていた。だが、こればかりはオピスが悪かった。
「静かに暮らしたいんじゃろうが、諦めろ」
「……分かりましたわよ!」
ドラコに説得されながらも、眉を吊り上げた状態でオピスは嫌々承諾していた。やれやれ、見た目は大人びているくせに、精神は一番子どもではないか。フェリスに嫉妬を抱くのもなんとなく納得のいったドラコであった。
「それでは、留守は私と聖女様で預かります」
ようやく話がまとまったところで、ラータが告げてくる。真横に居るマイオリーとその肩に乗るビエールもやる気十分のようだった。
「うむ、任せるとしよう。わしの移動速度ならそう時間は掛かるまいて」
二人の表情を見たドラコだが、こんな場所に長く居させるつもりは毛頭ないようだった。しかし、フェリスを主と慕う魔物たちとはいえ、魔物だけを残してここで全員が離れるのも考え物だ。だからこそ、マイオリーとラータは残る事を選んだのである。
二人の決意を見届けたフェリスたちは、ドラゴンの姿に戻ったドラコの背に乗って、一路レックスを目指して移動を始めたのだった。
ドラコの背に乗って移動すると、それはもう速いの一言である。本気を出せばあっという間に世界一周もできるとか豪語しているだけの事はある。
レックスまで戻ってきたフェリスたちは、レックスから東の地に魔物たちの集落がある事を伝える。そこにはフェリスたちに同行している蛇の邪神であるオピスが居て、集落に住む魔物たちは危険でない事を伝えたのだが、やはり簡単に信じてもらえるわけがなかった。
「ご主人様の言いつけは破らないよ。絶対守る」
実は念のためにと、魔物の一匹を連れてきていたのだ。その魔物に証言させる事で、どうにか冒険者組合を納得させようとしたのだ。実際、眷属化した魔物はフェリスにとても懐いているし、自我がはっきりしていて話し合いもできる。そういった要素を見せつけたからこそ、
「……そこまで仰るのでしたら、……まあ、信じましょう」
無理やり感はあるものの納得させる事ができたのだった。
ただ、ひとつだけ条件を付けてきた。冒険者組合にも現地を確認させてほしいとの事で、フェリスたちはそれを了承した。見てもらうのが一番早いからだった。そんなわけで、職員を二名ほど連れてフェリスたちは冒険者組合から出ていった。
「さて、これから起こる事に驚くでないぞ」
レックスの外へ出たドラコは、冒険者組合の職員にひとつだけ断りを入れた。
冒険者組合の職員たちがこくこくと頷くので、ドラコは幼女形態からドラゴンへと姿を変える。それを見た冒険者組合の職員たちは、大口を開けて気絶してしまった。普通の人間に、ドラゴンという存在はやはり衝撃が大きすぎたようである。
「かっかっかっ、冒険者組合に勤めておるのに情けないのう。フェリス、起こしてやれ」
「はいはい、まったく、人使いが荒いわね」
ぶつくさと文句を言いながらも、フェリスは同行する職員を魔法を使って目覚めさせていった。
「かっかっかっ、それでは目的地まで一気に飛んでいくからの。落ちないようにはしておくが、しっかりと掴まっておけ」
目を覚ました職員をフェリスとオピスでどうにかドラコの背中に乗せると、ドラコは一気に急上昇して目的地へ向けて飛んでいくのであった。
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