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第270話 邪神ちゃんと摩訶不思議な光
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ドラコとフェリスの二人が、オピスの成れの果てである化け物に戦いを挑む。ドラコと化け物に比べれば豆粒のようなフェリスだが、その体の小ささを活かして小刻みに攻撃を命中させている。
「さすがはフェリス。身体能力の高さなら、私たちの中では高い方に入りますからね」
ラータの解説を聞きながら、マイオリーは戦いを見守っている。先程の結界のせいで少し疲れているようである。
「フェリスゥ……、ドコダァーーッ!」
化け物はきょろきょろと辺りを見回しながら、乱暴に腕を振るっている。しかし、その腕の動く範囲に居るのはドラコのみ。しかもドラコは器用にそれを躱していた。巨体になったがゆえに、小さいフェリスが視界に収まらなかったのだ。
「かっかっかっ、図体ばかりでかくなって、肝心の小回りが利かぬか。実に愚かな事よのう……」
「ソンナ目デ見ルナァッ!!」
ドラコが憐みの目を向けると、化け物の目と口が怪しく光る。
「むっ、さっきのやつか?」
ドラコが警戒すると、先程放たれた魔法が再び照射された。
「さすがにそうはいくまいて。二度目が通じると思うでないぞ!」
至近距離ではあるものの、予備動作のおかげで対処が可能になるらしい。
ドラコはブレスを吐き、化け物から放たれた魔法を上空へと逸らせてしまった。
「オノレッ……!」
三発まとめて上空へブレス一発で逸らされたとなると、さすがに頭にきているようである。
「かっかっかっかっ。そうじゃそうじゃ、わしに気を取られ続けるがよいぞ。おぬしが狙う本命の事など忘れてしまえ」
ドラコは化け物を挑発している。化け物も完全に理性をなくしている状態がゆえに、この挑発に簡単に乗ってしまう。咆哮を上げると、化け物は再びドラコに向かって襲い掛かっていた。
その巨体同士の戦いの足元で、フェリスもぺちぺちと化け物を攻撃していた。ただ小さすぎるゆえに、大したダメージにはなっていなかった。
「はあ、さすがにでかすぎて攻撃が通っている感じがしないわ」
フェリスもなんというか半ばやる気をなくしていた。体格差のせいである。
とはいえ、向こうが一方的に妬んでいたとしても、フェリスにとってはオピスも大切な仲間である。こんな状態で勝手に死なれてしまっては正直寝起きが悪くなってしまいかねない。つまり、ほぼ責任感だけで戦っているようなものだった。これは、一緒に戦うドラコも感じていたし、見守っているラータにもしっかり悟られていた。
「やれやれですね」
「どうしたのですか、ラータ」
「フェリスがやる気を失いかけてますね」
「まあ、どうしてなのですか?」
「単純に体格差のせいですね。オピスの奴はあの場に居た魔物たちを取り込んで、醜く膨らんでいます。見た目だけとはいえど、見ての通りドラコに引けを取らない大きさですからね」
ラータの説明を聞いてなるほどと思うマイオリーである。
ところが、その説明を聞いて落ち着いたマイオリーだったが、目の前の光景に何か妙な違和感を感じていた。
「どうされたのですか、聖女様」
「いえ、あの化け物から、不思議な魔力を感じたのです」
ラータは首を傾げながら、マイオリーの指差す方向を見る。その指差した先にあったのは、先程フェリスが殴り飛ばした腕だった。
その腕をラータはじっと眺めてみる。すると、確かに妙な魔力が宿りつつあるのが感じられたのだった。
「なんでしょうかね、あれは」
「分かりません。ですが、確かあそこは先程フェリス様が触れた場所のはずです」
マイオリーとラータが見つめる先にある化け物の腕が、何やら光っている。
「ガァッ?」
「なんじゃ、どうしたというんじゃ?」
突然動きを止めた化け物に、ドラコは首を傾げている。だが、その次の瞬間、化け物の腕が光り始めている事に気が付いた。
(うぬ? あそこは確かさっきフェリスがパンチをしたところよな?)
さすがのドラコも、その光景には戸惑いを隠しきれない。
そうこうしているうちに化け物の腕から放たれる光が強くなり、一気に光が弾け飛んだ。
「ガアアァァッ!」
化け物は痛みのあまり苦痛の声を上げる。しかし、光が消え去った腕の状態は、光る前とまったく変わりがなかった。
「はて、一体何だったんじゃ、今のは……」
不思議な現象にドラコも首を傾げるばかりである。
ところが、異変は足元で起きていた。
「うわっとっとっと……」
光の中から放り出されてきた何かを受け止めるフェリス。
「これって、さっき地下室でちらっと見かけた魔物かしらね……」
なんと、フェリスが受け止めたのは間違いなく魔物だった。しかも、サイコシスの屋敷の地下で見た抜け殻となった魔物だったのだ。これは一体どういう事のなのだろうか。
だが、驚いて止まっている暇はなかった。
先程の腕以外にも、フェリスがぺちぺちと殴っていた場所が順番に光り始めたのである。一体何が起こっているというのだろうか。
「あれはまさか……、浄化の光?」
その様子を見ていたマイオリーが思いもよらない言葉を呟いたのである。邪神たるフェリスが、浄化の力を使っているというのだ。
誰もが訳も分からないまま、新たに光を放った場所からは、さっきと同じように魔物が弾き出されてきたのであった。
「さすがはフェリス。身体能力の高さなら、私たちの中では高い方に入りますからね」
ラータの解説を聞きながら、マイオリーは戦いを見守っている。先程の結界のせいで少し疲れているようである。
「フェリスゥ……、ドコダァーーッ!」
化け物はきょろきょろと辺りを見回しながら、乱暴に腕を振るっている。しかし、その腕の動く範囲に居るのはドラコのみ。しかもドラコは器用にそれを躱していた。巨体になったがゆえに、小さいフェリスが視界に収まらなかったのだ。
「かっかっかっ、図体ばかりでかくなって、肝心の小回りが利かぬか。実に愚かな事よのう……」
「ソンナ目デ見ルナァッ!!」
ドラコが憐みの目を向けると、化け物の目と口が怪しく光る。
「むっ、さっきのやつか?」
ドラコが警戒すると、先程放たれた魔法が再び照射された。
「さすがにそうはいくまいて。二度目が通じると思うでないぞ!」
至近距離ではあるものの、予備動作のおかげで対処が可能になるらしい。
ドラコはブレスを吐き、化け物から放たれた魔法を上空へと逸らせてしまった。
「オノレッ……!」
三発まとめて上空へブレス一発で逸らされたとなると、さすがに頭にきているようである。
「かっかっかっかっ。そうじゃそうじゃ、わしに気を取られ続けるがよいぞ。おぬしが狙う本命の事など忘れてしまえ」
ドラコは化け物を挑発している。化け物も完全に理性をなくしている状態がゆえに、この挑発に簡単に乗ってしまう。咆哮を上げると、化け物は再びドラコに向かって襲い掛かっていた。
その巨体同士の戦いの足元で、フェリスもぺちぺちと化け物を攻撃していた。ただ小さすぎるゆえに、大したダメージにはなっていなかった。
「はあ、さすがにでかすぎて攻撃が通っている感じがしないわ」
フェリスもなんというか半ばやる気をなくしていた。体格差のせいである。
とはいえ、向こうが一方的に妬んでいたとしても、フェリスにとってはオピスも大切な仲間である。こんな状態で勝手に死なれてしまっては正直寝起きが悪くなってしまいかねない。つまり、ほぼ責任感だけで戦っているようなものだった。これは、一緒に戦うドラコも感じていたし、見守っているラータにもしっかり悟られていた。
「やれやれですね」
「どうしたのですか、ラータ」
「フェリスがやる気を失いかけてますね」
「まあ、どうしてなのですか?」
「単純に体格差のせいですね。オピスの奴はあの場に居た魔物たちを取り込んで、醜く膨らんでいます。見た目だけとはいえど、見ての通りドラコに引けを取らない大きさですからね」
ラータの説明を聞いてなるほどと思うマイオリーである。
ところが、その説明を聞いて落ち着いたマイオリーだったが、目の前の光景に何か妙な違和感を感じていた。
「どうされたのですか、聖女様」
「いえ、あの化け物から、不思議な魔力を感じたのです」
ラータは首を傾げながら、マイオリーの指差す方向を見る。その指差した先にあったのは、先程フェリスが殴り飛ばした腕だった。
その腕をラータはじっと眺めてみる。すると、確かに妙な魔力が宿りつつあるのが感じられたのだった。
「なんでしょうかね、あれは」
「分かりません。ですが、確かあそこは先程フェリス様が触れた場所のはずです」
マイオリーとラータが見つめる先にある化け物の腕が、何やら光っている。
「ガァッ?」
「なんじゃ、どうしたというんじゃ?」
突然動きを止めた化け物に、ドラコは首を傾げている。だが、その次の瞬間、化け物の腕が光り始めている事に気が付いた。
(うぬ? あそこは確かさっきフェリスがパンチをしたところよな?)
さすがのドラコも、その光景には戸惑いを隠しきれない。
そうこうしているうちに化け物の腕から放たれる光が強くなり、一気に光が弾け飛んだ。
「ガアアァァッ!」
化け物は痛みのあまり苦痛の声を上げる。しかし、光が消え去った腕の状態は、光る前とまったく変わりがなかった。
「はて、一体何だったんじゃ、今のは……」
不思議な現象にドラコも首を傾げるばかりである。
ところが、異変は足元で起きていた。
「うわっとっとっと……」
光の中から放り出されてきた何かを受け止めるフェリス。
「これって、さっき地下室でちらっと見かけた魔物かしらね……」
なんと、フェリスが受け止めたのは間違いなく魔物だった。しかも、サイコシスの屋敷の地下で見た抜け殻となった魔物だったのだ。これは一体どういう事のなのだろうか。
だが、驚いて止まっている暇はなかった。
先程の腕以外にも、フェリスがぺちぺちと殴っていた場所が順番に光り始めたのである。一体何が起こっているというのだろうか。
「あれはまさか……、浄化の光?」
その様子を見ていたマイオリーが思いもよらない言葉を呟いたのである。邪神たるフェリスが、浄化の力を使っているというのだ。
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