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第253話 邪神ちゃんのお節介な企み
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フェリスは2日間を掛けてモスレに到着する。コネッホと再会してからというもの、一体何度目の訪問となるのだろうか。
いろいろ思うところはあるものの、フェリスは真っすぐにコネッホの家へと向かったのだった。
だが、その前に時間は少し遡る。
フェリスを確実に呼び出すと言ってコネッホは、商業組合を通じて手紙を出していた。ヘンネ経由であれば、確実にフェリスに届くはずだからだ。
「また面倒な方法を取るのね」
「あたいはここでポーションを作っているし、今は弟子も居るからな。このモスレを簡単に離れるわけにはいかないんだ」
「へえ、あんたが弟子をね……。ずぼらなところが似なければいいんだけど」
「言ってくれるな、オピス。さすがに商業組合のような失敗は二度としたくはないさ」
茶化すように言うオピスだったが、すでに失敗した経験があると聞いて驚いていた。妖麗な顔が台無しである。
改めてローブを脱いだオピスを見ると、大方の世の女性たちが羨むような容姿をしている。背の高さならヒッポスやクーには及ばないものの、ラータと並ぶくらいの長身である。スタイルもいわゆるボンキュッボンといったところだ。顔立ちもとても整っていて、美人という他ない。さすがは蛇の邪神である。
「それにしても、これだけひとところに留まるのは久しぶりじゃないのか、オピス」
「まあね。この容姿を利用して、流しの踊り子やら占い師やらやってあちこち転々としてきたものね」
そう言いながら、オピスは何かを思い出したようである。
「そうそう、その最中にシンミアに会ったわよ。さすがにあたくしの魔法がきっちり効いていたのか、まったくあたくしに気付かなかったけれどね。その時はローブに身を包んでいた事もあるけど」
「へえ、あのお宝好きとね……。相変わらずだった?」
オピスの話を聞きながら、コネッホは意地の悪そうな笑みを浮かべながらオピスに尋ねる。
「ええ、相変わらずの単細胞って感じね。ちょちょっと唆して、バルボルに向かってもらったわよ。あの辺りにはあたくしの求めるものが眠っているとも聞くものですからね」
「ああ、魔物が多くて調査もままにならないって話だっけか。新しく来た冒険者組合の長もずいぶんと興味を持っていたようだな。で、その後はどうなった?」
コネッホは何か思い当たる話があったようで少しバルボルの事で反応する。しかし、それよりもシンミアの名前が出てきた事が気になったようで、その事を尋ねていた。
「……その後、シンミアと出会う事がなかったのよ。何らかのきっかけで、あたくしの仕掛けた催眠が解けたのね。まったく何なのかしらね」
「……そうか、シンミアのその後は分からないか。それは残念だな」
コネッホは本当に残念そうな顔をしていた。
シンミアとコネッホの仲はそれほど悪くはないのだ。それというのも、シンミアは何かと珍しいものや面白いものを持って帰ってきてくれたからだ。錬金術師であるコネッホにとって、そのシンミアの持ち込むものはとても魅力的だったのである。
「シンミアの事はとりあえず諦めて、フェリスが来るのを楽しみに待つとするか。ドラコの能力が使えるから、フェリスが今居るフェリスメルにしてもクレアールにしても、2日もあれば飛んでこれるからな」
「あら、それは早いわね」
オピスの表情が少し明るくなる。
「ああ。でも、手紙は普通に出すから、馬を使ったとしても4日掛かる。もろもろを込めれば、まあ7日ほど日にちを見ておいてくれ」
「しょうがないわね。だったらその間、このモスレで少し稼がせてもらうわよ」
ところが、思った以上に日数が掛かる事が判明すると、オピスは肘をついてふて腐れたかのような顔をしていた。
「正直、あたいはいい加減にお前さんも丸くなってくれと思ってるんだ。フェリスを敵視するのは分かるんだが、そのサイコシスはすでに死んでるんだ」
「うるさいわね。あいつはあたくしの立場を奪い去った憎たらしい泥棒猫なのよ。和解なんてあり得ないわ」
コネッホが諭すように話し掛けると、オピスはヒステリックに言い返してきた。これにはコネッホもやれやれと思う次第である。
「だからこそ、あたいはオピスに協力してフェリスを呼んでやったんだ。街に迷惑をかけるのは勘弁してほしいが、あれから200年も経つんだ。一度気の済むまでやり合うといい」
「ふん、ありがたいけど迷惑な話ね!」
コネッホは真顔でオピスに話を続けるものの、オピスは腕を組んで頬を膨らませて顔を背けていた。これは相当にフェリスに対して悪い感情が拗れてしまっているようだった。
「やれやれ。頑固なものだな」
オピスの態度に、さすがのコネッホも呆れるしかなかった。ここまで意固地では、いくら説得してみても無駄だからだ。
それはともかくとして、コネッホの狙い通りなら、7日もすればフェリスがやって来る。コネッホは頭を切り替えて、その時に向けた準備へと入るのだった。
フェリスとオピスの時を超えた因縁は、ここに終止符を見る事ができるのか。コネッホはどことなく気が気でならない気分になっていったのだった。
いろいろ思うところはあるものの、フェリスは真っすぐにコネッホの家へと向かったのだった。
だが、その前に時間は少し遡る。
フェリスを確実に呼び出すと言ってコネッホは、商業組合を通じて手紙を出していた。ヘンネ経由であれば、確実にフェリスに届くはずだからだ。
「また面倒な方法を取るのね」
「あたいはここでポーションを作っているし、今は弟子も居るからな。このモスレを簡単に離れるわけにはいかないんだ」
「へえ、あんたが弟子をね……。ずぼらなところが似なければいいんだけど」
「言ってくれるな、オピス。さすがに商業組合のような失敗は二度としたくはないさ」
茶化すように言うオピスだったが、すでに失敗した経験があると聞いて驚いていた。妖麗な顔が台無しである。
改めてローブを脱いだオピスを見ると、大方の世の女性たちが羨むような容姿をしている。背の高さならヒッポスやクーには及ばないものの、ラータと並ぶくらいの長身である。スタイルもいわゆるボンキュッボンといったところだ。顔立ちもとても整っていて、美人という他ない。さすがは蛇の邪神である。
「それにしても、これだけひとところに留まるのは久しぶりじゃないのか、オピス」
「まあね。この容姿を利用して、流しの踊り子やら占い師やらやってあちこち転々としてきたものね」
そう言いながら、オピスは何かを思い出したようである。
「そうそう、その最中にシンミアに会ったわよ。さすがにあたくしの魔法がきっちり効いていたのか、まったくあたくしに気付かなかったけれどね。その時はローブに身を包んでいた事もあるけど」
「へえ、あのお宝好きとね……。相変わらずだった?」
オピスの話を聞きながら、コネッホは意地の悪そうな笑みを浮かべながらオピスに尋ねる。
「ええ、相変わらずの単細胞って感じね。ちょちょっと唆して、バルボルに向かってもらったわよ。あの辺りにはあたくしの求めるものが眠っているとも聞くものですからね」
「ああ、魔物が多くて調査もままにならないって話だっけか。新しく来た冒険者組合の長もずいぶんと興味を持っていたようだな。で、その後はどうなった?」
コネッホは何か思い当たる話があったようで少しバルボルの事で反応する。しかし、それよりもシンミアの名前が出てきた事が気になったようで、その事を尋ねていた。
「……その後、シンミアと出会う事がなかったのよ。何らかのきっかけで、あたくしの仕掛けた催眠が解けたのね。まったく何なのかしらね」
「……そうか、シンミアのその後は分からないか。それは残念だな」
コネッホは本当に残念そうな顔をしていた。
シンミアとコネッホの仲はそれほど悪くはないのだ。それというのも、シンミアは何かと珍しいものや面白いものを持って帰ってきてくれたからだ。錬金術師であるコネッホにとって、そのシンミアの持ち込むものはとても魅力的だったのである。
「シンミアの事はとりあえず諦めて、フェリスが来るのを楽しみに待つとするか。ドラコの能力が使えるから、フェリスが今居るフェリスメルにしてもクレアールにしても、2日もあれば飛んでこれるからな」
「あら、それは早いわね」
オピスの表情が少し明るくなる。
「ああ。でも、手紙は普通に出すから、馬を使ったとしても4日掛かる。もろもろを込めれば、まあ7日ほど日にちを見ておいてくれ」
「しょうがないわね。だったらその間、このモスレで少し稼がせてもらうわよ」
ところが、思った以上に日数が掛かる事が判明すると、オピスは肘をついてふて腐れたかのような顔をしていた。
「正直、あたいはいい加減にお前さんも丸くなってくれと思ってるんだ。フェリスを敵視するのは分かるんだが、そのサイコシスはすでに死んでるんだ」
「うるさいわね。あいつはあたくしの立場を奪い去った憎たらしい泥棒猫なのよ。和解なんてあり得ないわ」
コネッホが諭すように話し掛けると、オピスはヒステリックに言い返してきた。これにはコネッホもやれやれと思う次第である。
「だからこそ、あたいはオピスに協力してフェリスを呼んでやったんだ。街に迷惑をかけるのは勘弁してほしいが、あれから200年も経つんだ。一度気の済むまでやり合うといい」
「ふん、ありがたいけど迷惑な話ね!」
コネッホは真顔でオピスに話を続けるものの、オピスは腕を組んで頬を膨らませて顔を背けていた。これは相当にフェリスに対して悪い感情が拗れてしまっているようだった。
「やれやれ。頑固なものだな」
オピスの態度に、さすがのコネッホも呆れるしかなかった。ここまで意固地では、いくら説得してみても無駄だからだ。
それはともかくとして、コネッホの狙い通りなら、7日もすればフェリスがやって来る。コネッホは頭を切り替えて、その時に向けた準備へと入るのだった。
フェリスとオピスの時を超えた因縁は、ここに終止符を見る事ができるのか。コネッホはどことなく気が気でならない気分になっていったのだった。
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