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第249話 邪神ちゃんたちの気ままな旅
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センティアを発ったマイオリー一行。ラータはその姿が目立つので、マイオリーの影に潜んで移動している。おかげでマイオリーとシンミアの二人で旅をしている状態となってしまった。
それにしても、聖女がセンティアを離れるというのに、護衛や世話役の一人も居ないとは一体どういう事なのだろうか。結論から言うとマイオリーが全部断ったのだ。あまりに人がぞろぞろとついてくると目立って仕方がない。今回はできる限り秘密裏に移動したかったので、マイオリーはそのすべてを断ったのである。荷物もすべてラータが持っていて、その特技である影潜りのおかげで荷物も見た目に少なくて済むのである。なんて羨ましいスキルの数々なのだろうか。
マイオリーがまず目的地にしたのは王都だ。フェリスたちに迷惑をかけた王国料理協会とかいう胡散臭い団体に抗議を入れるためである。
「うふふふ、フェリス様とペコラ様に無礼を働いたというのなら、それは十分制裁するに値します。まったく、しっかりと抗議を入れておきませんとね」
休憩で休んだ時に見せていたその時のマイオリーの表情に、シンミアは恐怖を感じて震え上がっていた。まったく、表情だけで邪神を怖がらせるとは、この聖女はやはりただ者ではないのである。こういう状態ゆえに、状況によってはラータが影から出てきてシンミアを落ち着かせている。
「聖女様、これでは落ち着いて旅ができないのではないですか?」
ラータは心配のあまり、マイオリーに確認と取る。すると、
「いえいえ。このままで構いません。私としてはシンミア様とも仲良くさせて頂きたいと考えておりますので、二人きりの方がよろしいのです。それに、ラータも影に潜っている方が荷物も一緒にしまえますから楽でしょうし」
笑顔でこのように答えていた。ラータに表に出てきてほしくないのではなく、とにかく荷物の量を考えるとその方が楽だからだ。
「いえ、私の持つ闇魔法を使えば、荷物だけをしまう事も可能です。正直このままではシンミアの状態が心配ですので、表に出させて頂きたく存じます」
だが、ラータの方もシンミアの事が心配でたまらなかったようだ。しかも、闇魔法を使えば収納鞄や収納魔法と同じような事ができるのだという。ここまで聞かされたら、さすがにマイオリーも少し考え始めたようだった。
しかしながら、ここで問題になるのはやはりラータの姿である。
ラータの本来の姿は人と同じ身体構造となったネズミである。耳と尻尾の他に突き出た鼻と前歯が特徴的である。このくらいなら獣人も珍しくない世界なので問題はない。つまり、問題なのは服装だった。
ちなみにその格好はどういうものか。ラータは隠密に長けた能力を持つがゆえに、それを活かせるようにと全身が忍者装束のような服装になっているのである。さすがにこれでは普通に出歩くとかえって目立ってしまうのだ。
そんなわけで、途中にある街に寄って、ラータの服を購入する事になった。お金はシンミア持ちである。
その結果、ラータの服装は護衛任務を行う冒険者風の格好となった。隠密用の忍者装束をベースにして、外で出歩いていても違和感のない服装に仕上げたのである。ちなみにこのコーディネートをしたのはマイオリーだった。聖教会にほとんど閉じこもってばかりで心配になったものだが、服装の感性は一般人たちと変わらなかったのである。
「これは聖女様、素晴らしい服をありがとうございます」
跪いて礼を言うラータ。その様子をあんぐりとした様子でシンミアは見守っていたのである。
一連のやり取りが終わると、ラータは闇魔法を展開して荷物をしまう。そして、改めて最初の目的地である王都へと向かうのだった。
その道中では、魔物やら盗賊やら出たのだが、さすがに邪神であるラータとシンミアに敵うわけもなく、あっさり撃退されていた。しかも、マイオリーによるバフが二人には有効だったし、なおかつマイオリー自身もかなりの戦力になっていた。一般人ではなかったので、この三人に狙いを定めた盗賊たちはご愁傷さまと言わざるを得なかった。移動にはラータの闇魔法が使われ、引き渡されるまでの間、散々と暗所に閉じ込められていた。
「さて、王都に到着しましたね」
整備された街道を進んでやって来た大きな城壁に囲まれた場所。そこがブランシェル王国の王都である。
まずは街の入口で、襲い掛かってきた盗賊の引き渡しが行われる。そのこてんぱんにされた盗賊を見て、兵士たちが驚いていた姿にはマイオリーたちの方が驚いていた。
「あの盗賊ども、それなりに悪名でも通ってたんかな」
「どうなのでしょうね。私には興味ありませんけれど」
のんきに話しているラータとシンミアである。
それにしても、兵士たちがマイオリーに気が付かないとは、この国における聖女の知名度というのが疑われてしまう。だが、マイオリーは笑って唇に人差し指を当てていた。どうやら秘密のようである。
ようやく兵士が戻ってきたかと思うと、マイオリーたちは城へと案内される事になってしまったのだった。これは面倒事が起きそうだと、シンミアはちょっと顔をしかめるのだった。
それにしても、聖女がセンティアを離れるというのに、護衛や世話役の一人も居ないとは一体どういう事なのだろうか。結論から言うとマイオリーが全部断ったのだ。あまりに人がぞろぞろとついてくると目立って仕方がない。今回はできる限り秘密裏に移動したかったので、マイオリーはそのすべてを断ったのである。荷物もすべてラータが持っていて、その特技である影潜りのおかげで荷物も見た目に少なくて済むのである。なんて羨ましいスキルの数々なのだろうか。
マイオリーがまず目的地にしたのは王都だ。フェリスたちに迷惑をかけた王国料理協会とかいう胡散臭い団体に抗議を入れるためである。
「うふふふ、フェリス様とペコラ様に無礼を働いたというのなら、それは十分制裁するに値します。まったく、しっかりと抗議を入れておきませんとね」
休憩で休んだ時に見せていたその時のマイオリーの表情に、シンミアは恐怖を感じて震え上がっていた。まったく、表情だけで邪神を怖がらせるとは、この聖女はやはりただ者ではないのである。こういう状態ゆえに、状況によってはラータが影から出てきてシンミアを落ち着かせている。
「聖女様、これでは落ち着いて旅ができないのではないですか?」
ラータは心配のあまり、マイオリーに確認と取る。すると、
「いえいえ。このままで構いません。私としてはシンミア様とも仲良くさせて頂きたいと考えておりますので、二人きりの方がよろしいのです。それに、ラータも影に潜っている方が荷物も一緒にしまえますから楽でしょうし」
笑顔でこのように答えていた。ラータに表に出てきてほしくないのではなく、とにかく荷物の量を考えるとその方が楽だからだ。
「いえ、私の持つ闇魔法を使えば、荷物だけをしまう事も可能です。正直このままではシンミアの状態が心配ですので、表に出させて頂きたく存じます」
だが、ラータの方もシンミアの事が心配でたまらなかったようだ。しかも、闇魔法を使えば収納鞄や収納魔法と同じような事ができるのだという。ここまで聞かされたら、さすがにマイオリーも少し考え始めたようだった。
しかしながら、ここで問題になるのはやはりラータの姿である。
ラータの本来の姿は人と同じ身体構造となったネズミである。耳と尻尾の他に突き出た鼻と前歯が特徴的である。このくらいなら獣人も珍しくない世界なので問題はない。つまり、問題なのは服装だった。
ちなみにその格好はどういうものか。ラータは隠密に長けた能力を持つがゆえに、それを活かせるようにと全身が忍者装束のような服装になっているのである。さすがにこれでは普通に出歩くとかえって目立ってしまうのだ。
そんなわけで、途中にある街に寄って、ラータの服を購入する事になった。お金はシンミア持ちである。
その結果、ラータの服装は護衛任務を行う冒険者風の格好となった。隠密用の忍者装束をベースにして、外で出歩いていても違和感のない服装に仕上げたのである。ちなみにこのコーディネートをしたのはマイオリーだった。聖教会にほとんど閉じこもってばかりで心配になったものだが、服装の感性は一般人たちと変わらなかったのである。
「これは聖女様、素晴らしい服をありがとうございます」
跪いて礼を言うラータ。その様子をあんぐりとした様子でシンミアは見守っていたのである。
一連のやり取りが終わると、ラータは闇魔法を展開して荷物をしまう。そして、改めて最初の目的地である王都へと向かうのだった。
その道中では、魔物やら盗賊やら出たのだが、さすがに邪神であるラータとシンミアに敵うわけもなく、あっさり撃退されていた。しかも、マイオリーによるバフが二人には有効だったし、なおかつマイオリー自身もかなりの戦力になっていた。一般人ではなかったので、この三人に狙いを定めた盗賊たちはご愁傷さまと言わざるを得なかった。移動にはラータの闇魔法が使われ、引き渡されるまでの間、散々と暗所に閉じ込められていた。
「さて、王都に到着しましたね」
整備された街道を進んでやって来た大きな城壁に囲まれた場所。そこがブランシェル王国の王都である。
まずは街の入口で、襲い掛かってきた盗賊の引き渡しが行われる。そのこてんぱんにされた盗賊を見て、兵士たちが驚いていた姿にはマイオリーたちの方が驚いていた。
「あの盗賊ども、それなりに悪名でも通ってたんかな」
「どうなのでしょうね。私には興味ありませんけれど」
のんきに話しているラータとシンミアである。
それにしても、兵士たちがマイオリーに気が付かないとは、この国における聖女の知名度というのが疑われてしまう。だが、マイオリーは笑って唇に人差し指を当てていた。どうやら秘密のようである。
ようやく兵士が戻ってきたかと思うと、マイオリーたちは城へと案内される事になってしまったのだった。これは面倒事が起きそうだと、シンミアはちょっと顔をしかめるのだった。
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