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第205話 邪神ちゃんのうっ憤晴らし
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突然、ドラコが何かを思いついたようだ。
「そうじゃ。コネッホたちに相談がある」
「どうしたっていうのさ」
ドラコがにやりと笑うので、コネッホが何となく警戒をし始める。
「なに、わしがちょちょっと出てくる間、お前さんたちにここの世話を頼もうと思うんじゃよ。薬草の勉強になるじゃろうし、わしも動けて一石二鳥じゃぞ」
「……相当にストレス溜めてるのね」
にこやかに言うドラコに対して、コネッホは冷ややかな視線を送っていた。
「まあそう言うなて。わしとて長年動かなかった事があるから別にどうって事はないのだがのう。いかんせん最近は動きたくて仕方がないのじゃよ。誰のせいじゃろうなぁ……」
ドラコがそんな事を言うものだから、コネッホはもう文句を言う気力すらなくなってしまった。
「はあ、仕方ないわね。とはいえ、あたいの薬草への知識なんてたかが知れている。基本的な事だけは教えてくれないかしら」
「そのくらい構わんぞ。基本的には普通の植物と同じじゃが、生長が安定するまでは細かく見てやらねばならん。注意点はそこくらいじゃのう」
コネッホがジト目をドラコに向けると、ドラコは丁寧に世話の仕方を教えていく。コネッホがじっと眺める中、ブルムは熱心にメモを取っていた。
「このくらいでいいじゃろう。マイムの奴にでも会ってくるか」
「ああ、留守の間は任せてもらおう」
ドラコが区切りをつけると、コネッホはどんと胸を叩いていた。それを見たドラコは、安心したようにドラゴンへと変身して飛び去っていった。
「はあ、何度見てもドラゴンの姿には驚きます……」
ブルムはそう言って、見えなくなるまでドラコの姿を追っていた。
「ふむ、この辺りじゃな」
ドラコはマイムの住む森に分け入っていた。さすがにドラゴンの姿のまま入るわけにはいかなかったので、いつもの幼女の姿である。
「おーい、マイム。居るかな?」
ドラコの呼び掛けに、泉の水が少しずつ振動し始める。そして、ざざっと巻き上がったかと思えば、人の形を取った。
「誰かと思えば、ドラコですか。お久しぶりですね」
「うむ、実に久しいのう」
相変わらずの無表情のマイムに対し、にこにことしているドラコ。
「それにしても、フェリスにしてもドラコにしても、なぜ私にわざわざ会いに来るのです? あなたたちなら別に自由にして頂いて構いませんのに」
「いやいや、さすがに友人を無視して好き勝手にはできんじゃろうて。わしらの仲といえど、弁えというのは必要じゃろうが」
呆れたようにしているマイムに対して、ドラコは反論を入れている。親しき仲にも礼儀ありというわけである。邪神だから横柄というかというと、まったくそんな事はなかったのである。気にしないのは多分ルディくらいだ。だから、ルディはマイムに嫌われているのである。
「はあ、あの犬にも見習ってもらいたいものです……」
フェリスとドラコの態度には、さすがに感服するマイムであった。
「それでは、適当に狩らせてもらうぞ」
「ええ、ドラコの事ですから大丈夫だとは思いますが、ほどほどでお願いしますね」
「分かっておる。これでも知恵ある古龍じゃからな!」
そう言うと、ドラコは森の中を駆け出していった。マイムは手を振りながらその姿を見送る。
「はあ、本当に邪神と言われているのが信じられませんよ」
森の中にドラコが消えていったのを確認すると、頬に手を当てながらマイムは微笑みながら呟いていた。
ドラコは森の中を移動し、アクアバットの群れを見つける。
「ひー、ふー、みー……、大体15匹ほどか。数としては十分じゃな」
ドラコはざざっと駆け寄っていく。
「キキッ?!」
アクアバットの方もドラコの接近に気が付いたようで、格上と認識したらしく、逃げる挙動を見せている。
「ふむ、さすがの反応速度じゃの。しかし、逃げられると思うておるのか?」
ぎゅんとドラコの移動速度が上がる。これでお嬢様スタイルなのだから、どんな脚力と体幹を持っているのだろうか。
「さて、消し飛ばんように手加減はするからの。……往生せい」
さっきまで明るそうな表情が一変、ギンと獲物を狙う鋭い表情に変わるドラコ。それと同時にまとう空気も一変し、その影響でアクアバットはその動きを鈍らせてしまった。
「ギギッ!?」
アクアバットたちが一瞬鳴いたかと思うと、ぼとぼとと地面に落ちていく。一体何が起きたというのだろうか。
「ふう、うまくいったようじゃのう。髪の毛を針のようにして飛ばして仕留めるには、このくらいの魔力を込めればよいのか。しかし、これではまるで暗殺術じゃのう。ラータじゃあるまいし、わしには似合わんのう」
ドラコはそう言いながら、地面に落ちたアクアバットを回収していく。しかし、解体はしない、というかできない。さっきも本人が言っていた通り、ドラコが相手を攻撃すれば、大体の魔物は消し飛んでしまっているからだ。
「冒険者組合にでも頼むか。ヘンネを巻き込めば話くらいは通じるじゃろうて」
ドラコは回収したアクアバットを、ポイポイと亜空間へと放り込んでいき、回収が終わると文字通り飛んで帰っていったのだった。
「むぅ、こうあっさり終わってしまっては、大したうっ憤晴らしにならん。困ったものよな」
しかし、重要肝心な課題が片付かずに、すごく不満げな帰宅となったのであった。
「そうじゃ。コネッホたちに相談がある」
「どうしたっていうのさ」
ドラコがにやりと笑うので、コネッホが何となく警戒をし始める。
「なに、わしがちょちょっと出てくる間、お前さんたちにここの世話を頼もうと思うんじゃよ。薬草の勉強になるじゃろうし、わしも動けて一石二鳥じゃぞ」
「……相当にストレス溜めてるのね」
にこやかに言うドラコに対して、コネッホは冷ややかな視線を送っていた。
「まあそう言うなて。わしとて長年動かなかった事があるから別にどうって事はないのだがのう。いかんせん最近は動きたくて仕方がないのじゃよ。誰のせいじゃろうなぁ……」
ドラコがそんな事を言うものだから、コネッホはもう文句を言う気力すらなくなってしまった。
「はあ、仕方ないわね。とはいえ、あたいの薬草への知識なんてたかが知れている。基本的な事だけは教えてくれないかしら」
「そのくらい構わんぞ。基本的には普通の植物と同じじゃが、生長が安定するまでは細かく見てやらねばならん。注意点はそこくらいじゃのう」
コネッホがジト目をドラコに向けると、ドラコは丁寧に世話の仕方を教えていく。コネッホがじっと眺める中、ブルムは熱心にメモを取っていた。
「このくらいでいいじゃろう。マイムの奴にでも会ってくるか」
「ああ、留守の間は任せてもらおう」
ドラコが区切りをつけると、コネッホはどんと胸を叩いていた。それを見たドラコは、安心したようにドラゴンへと変身して飛び去っていった。
「はあ、何度見てもドラゴンの姿には驚きます……」
ブルムはそう言って、見えなくなるまでドラコの姿を追っていた。
「ふむ、この辺りじゃな」
ドラコはマイムの住む森に分け入っていた。さすがにドラゴンの姿のまま入るわけにはいかなかったので、いつもの幼女の姿である。
「おーい、マイム。居るかな?」
ドラコの呼び掛けに、泉の水が少しずつ振動し始める。そして、ざざっと巻き上がったかと思えば、人の形を取った。
「誰かと思えば、ドラコですか。お久しぶりですね」
「うむ、実に久しいのう」
相変わらずの無表情のマイムに対し、にこにことしているドラコ。
「それにしても、フェリスにしてもドラコにしても、なぜ私にわざわざ会いに来るのです? あなたたちなら別に自由にして頂いて構いませんのに」
「いやいや、さすがに友人を無視して好き勝手にはできんじゃろうて。わしらの仲といえど、弁えというのは必要じゃろうが」
呆れたようにしているマイムに対して、ドラコは反論を入れている。親しき仲にも礼儀ありというわけである。邪神だから横柄というかというと、まったくそんな事はなかったのである。気にしないのは多分ルディくらいだ。だから、ルディはマイムに嫌われているのである。
「はあ、あの犬にも見習ってもらいたいものです……」
フェリスとドラコの態度には、さすがに感服するマイムであった。
「それでは、適当に狩らせてもらうぞ」
「ええ、ドラコの事ですから大丈夫だとは思いますが、ほどほどでお願いしますね」
「分かっておる。これでも知恵ある古龍じゃからな!」
そう言うと、ドラコは森の中を駆け出していった。マイムは手を振りながらその姿を見送る。
「はあ、本当に邪神と言われているのが信じられませんよ」
森の中にドラコが消えていったのを確認すると、頬に手を当てながらマイムは微笑みながら呟いていた。
ドラコは森の中を移動し、アクアバットの群れを見つける。
「ひー、ふー、みー……、大体15匹ほどか。数としては十分じゃな」
ドラコはざざっと駆け寄っていく。
「キキッ?!」
アクアバットの方もドラコの接近に気が付いたようで、格上と認識したらしく、逃げる挙動を見せている。
「ふむ、さすがの反応速度じゃの。しかし、逃げられると思うておるのか?」
ぎゅんとドラコの移動速度が上がる。これでお嬢様スタイルなのだから、どんな脚力と体幹を持っているのだろうか。
「さて、消し飛ばんように手加減はするからの。……往生せい」
さっきまで明るそうな表情が一変、ギンと獲物を狙う鋭い表情に変わるドラコ。それと同時にまとう空気も一変し、その影響でアクアバットはその動きを鈍らせてしまった。
「ギギッ!?」
アクアバットたちが一瞬鳴いたかと思うと、ぼとぼとと地面に落ちていく。一体何が起きたというのだろうか。
「ふう、うまくいったようじゃのう。髪の毛を針のようにして飛ばして仕留めるには、このくらいの魔力を込めればよいのか。しかし、これではまるで暗殺術じゃのう。ラータじゃあるまいし、わしには似合わんのう」
ドラコはそう言いながら、地面に落ちたアクアバットを回収していく。しかし、解体はしない、というかできない。さっきも本人が言っていた通り、ドラコが相手を攻撃すれば、大体の魔物は消し飛んでしまっているからだ。
「冒険者組合にでも頼むか。ヘンネを巻き込めば話くらいは通じるじゃろうて」
ドラコは回収したアクアバットを、ポイポイと亜空間へと放り込んでいき、回収が終わると文字通り飛んで帰っていったのだった。
「むぅ、こうあっさり終わってしまっては、大したうっ憤晴らしにならん。困ったものよな」
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