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第202話 邪神ちゃんの頭の痛い問題
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コネッホが商業組合に着くと、そこでは何やらざわついている様子が見られた。一体何があったというのだろうか。
「まったく、何があったんだ、この騒ぎは」
コネッホが近くに居た職員に問い掛ける。
「あの、クレアールから来られた商業組合の方とけんかになってしまいまして……」
「はあ?」
職員の証言でコネッホは眉をひそめた。そんなわけがないのである。ヘンネは理性的な邪神なのだから。一体どういう事かと、コネッホは中へと急いだ。
中に入ったコネッホは驚かされた。けんかとはいっても口げんかをしていたのだった。一体何があってこうなったというのだろうか。
「ちょっと、一体何があったのさ」
慌てたコネッホが間に入る。すると、モスレの商業組合の職員がすぐにコネッホに気が付いた。
「あ、コネッホさん、ちょうどいいところに来て下さいました」
「ちょっとコネッホ。モスレの商業組合って、いつもこんなにいい加減なのですか?!」
双方から声を掛けられて、さすがのコネッホも慌ててしまう。近くにはビジーも居るのだが、彼は知らんぷりである。その姿を確認したコネッホはさすがにキレかけた。
「ビジー、あんたをあたいの取引から撤退させるわよ? この状況を説明してくれないか?」
コネッホはぎりっとビジーを睨み付ける。コネッホに脅されたビジーは、仕方なく事情の説明のために近付いてきた。
「いやあ、どう言ったらいいのやらという感じはありますね」
「いいから、細かく説明しなさい。大体ヘンネを怒らせるっていったら、フェリス並みの失礼をやらかしたって事なんだらね?」
さりげなくディスられるフェリス。泣いていいと思う。だが、ビジーはどういうわけかそれで納得してしまう。本気で泣いていいと思う。
それにしても、モスレの商業組合は、どうしてこうも邪神とトラブルを起こしてくれるのだろうか。以前もフェリスとドラコを呆れさせたくらいだ。だけどもあの時はコネッホも言葉を失うくらいの杜撰な物品管理があったから、完全な商業組合側の落ち度である。なので、今回ヘンネが怒っているのも、同様の状況が想像できてしまうのである。ビジーの態度から、コネッホはそれを覚悟して仕方ないのだ。
「ヘンネ、こいつらはどうしようもなく適当な連中だ。街を造った者として謝罪しておくよ。本当にすまない」
「ええ、まったくですよ。本当に、それでよく商業組合の職員を名乗っていられるものです。恥を知りなさい、恥を!」
コネッホの謝罪があってもこの通りである。まったくどんな事をやらしてくれたのやら……。
「ヘンネがここまで怒るとなると、相当な事だぞ。今後はあたいとの一切の取引をやめようか?」
さすがに見てられなくなったか、コネッホは商標組合に対してすっぱりと言い出した。これには商業組合の面々は慌ててしまう。なにせコネッホあってのモスレの商業組合なのだ。コネッホに抜けられては、はっきり言って何もできなくなってしまうのだ。
「そ、そんな。コネッホさんに見限られたら、私たちはどうすればいいんですか!」
「知らないわよ。自分たちの怠惰を人のせいにしないでくれないか?」
商業組合の職員たちが泣きつくが、そんな事にも厳しいコネッホである。ばっさりと斬り捨てている。コネッホは街の基礎を作っただけなので、今は街の運営には関係していないのだ。泣きつかれても困るというものである。これだけはっきりと言われてしまったのだから、職員たちはしっかり反省してもらいたいものである。
「それでヘンネ。彼らがろくでもない事を言ったのは想像がつくのだが、一体何を言ってくれたんだ?」
「このドラコの育てた薬草を買い叩こうとしたのですよ。まったくこんなものを見る目のない連中に、物など売りたくなくなるのは当然でしょう?」
「ああ、そういう事か……」
事情が分かったコネッホは、頭を抱えた。
「お前たち……」
「は、はい……」
コネッホのただならぬ雰囲気に飲み込まれる、モスレの商業組合の職員たち。彼女に怒られたのなら、ただただ黙り込むしかないのである。なにせ、コネッホはモスレの要なのだから、機嫌を損ねてしまえば、それこそモスレの存続危機なのである。そう、コネッホには逆らえないのである。
「おとなしくコネッホの言う通りに改善するのなら、私はこれ以上何も言いません。ただ、商業組合の人間として、基本的な事ができていないようでしたら、私は遠慮なくモスレの街とは手を切りますからね。よく覚えておいて下さい」
「は、はいっ!!」
ヘンネに言い渡されると、職員たちは大きな声で返事をしていた。
「そういうわけです、コネッホ。ドラコの薬草園の薬草はしばらくあなたに直接卸させてもらいますね」
「ああ、そうしてもらえると助かる。フェリスと違ってあたいは神経質だからな。こんな感じのポーションができたんだ」
そういってコネッホは、さっき作ったポーションを取り出す。それを鑑定したヘンネは、ものすごく驚いていた。
「さすがは錬金術師。フェリスのですらかなりの良品でしたのに、それを軽く上回ってくるとは……」
「本職を舐めないでほしいな」
そう言って、コネッホとヘンネは笑っていた。その後ろで、モスレの商業組合の職員たちは戦々恐々としているのだった。
「まったく、何があったんだ、この騒ぎは」
コネッホが近くに居た職員に問い掛ける。
「あの、クレアールから来られた商業組合の方とけんかになってしまいまして……」
「はあ?」
職員の証言でコネッホは眉をひそめた。そんなわけがないのである。ヘンネは理性的な邪神なのだから。一体どういう事かと、コネッホは中へと急いだ。
中に入ったコネッホは驚かされた。けんかとはいっても口げんかをしていたのだった。一体何があってこうなったというのだろうか。
「ちょっと、一体何があったのさ」
慌てたコネッホが間に入る。すると、モスレの商業組合の職員がすぐにコネッホに気が付いた。
「あ、コネッホさん、ちょうどいいところに来て下さいました」
「ちょっとコネッホ。モスレの商業組合って、いつもこんなにいい加減なのですか?!」
双方から声を掛けられて、さすがのコネッホも慌ててしまう。近くにはビジーも居るのだが、彼は知らんぷりである。その姿を確認したコネッホはさすがにキレかけた。
「ビジー、あんたをあたいの取引から撤退させるわよ? この状況を説明してくれないか?」
コネッホはぎりっとビジーを睨み付ける。コネッホに脅されたビジーは、仕方なく事情の説明のために近付いてきた。
「いやあ、どう言ったらいいのやらという感じはありますね」
「いいから、細かく説明しなさい。大体ヘンネを怒らせるっていったら、フェリス並みの失礼をやらかしたって事なんだらね?」
さりげなくディスられるフェリス。泣いていいと思う。だが、ビジーはどういうわけかそれで納得してしまう。本気で泣いていいと思う。
それにしても、モスレの商業組合は、どうしてこうも邪神とトラブルを起こしてくれるのだろうか。以前もフェリスとドラコを呆れさせたくらいだ。だけどもあの時はコネッホも言葉を失うくらいの杜撰な物品管理があったから、完全な商業組合側の落ち度である。なので、今回ヘンネが怒っているのも、同様の状況が想像できてしまうのである。ビジーの態度から、コネッホはそれを覚悟して仕方ないのだ。
「ヘンネ、こいつらはどうしようもなく適当な連中だ。街を造った者として謝罪しておくよ。本当にすまない」
「ええ、まったくですよ。本当に、それでよく商業組合の職員を名乗っていられるものです。恥を知りなさい、恥を!」
コネッホの謝罪があってもこの通りである。まったくどんな事をやらしてくれたのやら……。
「ヘンネがここまで怒るとなると、相当な事だぞ。今後はあたいとの一切の取引をやめようか?」
さすがに見てられなくなったか、コネッホは商標組合に対してすっぱりと言い出した。これには商業組合の面々は慌ててしまう。なにせコネッホあってのモスレの商業組合なのだ。コネッホに抜けられては、はっきり言って何もできなくなってしまうのだ。
「そ、そんな。コネッホさんに見限られたら、私たちはどうすればいいんですか!」
「知らないわよ。自分たちの怠惰を人のせいにしないでくれないか?」
商業組合の職員たちが泣きつくが、そんな事にも厳しいコネッホである。ばっさりと斬り捨てている。コネッホは街の基礎を作っただけなので、今は街の運営には関係していないのだ。泣きつかれても困るというものである。これだけはっきりと言われてしまったのだから、職員たちはしっかり反省してもらいたいものである。
「それでヘンネ。彼らがろくでもない事を言ったのは想像がつくのだが、一体何を言ってくれたんだ?」
「このドラコの育てた薬草を買い叩こうとしたのですよ。まったくこんなものを見る目のない連中に、物など売りたくなくなるのは当然でしょう?」
「ああ、そういう事か……」
事情が分かったコネッホは、頭を抱えた。
「お前たち……」
「は、はい……」
コネッホのただならぬ雰囲気に飲み込まれる、モスレの商業組合の職員たち。彼女に怒られたのなら、ただただ黙り込むしかないのである。なにせ、コネッホはモスレの要なのだから、機嫌を損ねてしまえば、それこそモスレの存続危機なのである。そう、コネッホには逆らえないのである。
「おとなしくコネッホの言う通りに改善するのなら、私はこれ以上何も言いません。ただ、商業組合の人間として、基本的な事ができていないようでしたら、私は遠慮なくモスレの街とは手を切りますからね。よく覚えておいて下さい」
「は、はいっ!!」
ヘンネに言い渡されると、職員たちは大きな声で返事をしていた。
「そういうわけです、コネッホ。ドラコの薬草園の薬草はしばらくあなたに直接卸させてもらいますね」
「ああ、そうしてもらえると助かる。フェリスと違ってあたいは神経質だからな。こんな感じのポーションができたんだ」
そういってコネッホは、さっき作ったポーションを取り出す。それを鑑定したヘンネは、ものすごく驚いていた。
「さすがは錬金術師。フェリスのですらかなりの良品でしたのに、それを軽く上回ってくるとは……」
「本職を舐めないでほしいな」
そう言って、コネッホとヘンネは笑っていた。その後ろで、モスレの商業組合の職員たちは戦々恐々としているのだった。
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