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第196話 邪神ちゃんたちはお酒好き
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お酒を造り始めたが、魔法で熟成をしているために、フェリスはヒッポスについて行って馬たちの様子を見る事にした。畜産業も盛んなフェリスメルなので、馬もちゃんと居るのである。
「なんだ、フェリス。結局私について来たのか」
「ええ。お酒は魔法で管理してるから問題ないだろうし、ヒッポスとクーとはここのところ結構話してないじゃないの。だから久しぶりにゆっくり話をしようと思ってね」
ヒッポスの質問に、フェリスは真顔で答えていた。
「それでどうなの、フェリスメルの馬の様子は」
「まあ、いたって健康だな。フェリスの恩恵があるっていうのは大きい。私だけではあそこまで健康には育たないだろう」
ヒッポスはお世辞なしにまじめに答えていた。馬に関しては専門家であるヒッポスがそう言うのだ。評価は間違いないだろう。
「ふーん……。まあ、実際に馬を見せてもらうから、楽しみにしているわ」
フェリスはそう言ってにこやかに笑顔を見せていた。
フェリスメルで飼われているのは、牛、豚、羊、馬、クルーク、ジャイアントスパイダーの6種類と結構種類に富んでいる。特にクルークとジャイアントスパイダーは特徴的だった。
そうしてやって来たのは、移住者居住区にある牧場だった。フェリスメルで飼われている家畜の中で馬だけはこの区画にしか居ないのである。ちなみに一部の馬はクレアールに移住させられており、ヒッポスはクレアールにも様子を見に行く事があるのである。
馬たちは居住区内の丘に近い場所で放牧されている。そこで馬たちは、のんびり歩いてたり駆けまわっていたり牧草を食べていたりと、実に気ままに過ごしていた。ヒッポスが居るので、何かあってもすぐに対処できるのは大きいのである。
「ヒッポス様、お帰りなさいませ」
「ただいま。変わりはないようだね」
「はい、ヒッポス様のおかげです」
馬の世話をしている住民が、ヒッポスを見つけると挨拶をしてきた。邪神なのは知れ渡ってはいるものの、さすがに普通に会話をしている。最初に見た時はあんなに驚いて腰を抜かしていたのに、これが慣れというものなのだろう。
「餌になるリンゴを貰ってきた。ここでもリンゴを育てられればいいんだが、そうも言ってられないからな」
この移住者居住区では、ヒッポスの言う通りリンゴは育てられていなかった。ほとんどは畑になっているのである。人参や砂糖大根といったものが育てられているのである。
それにしても、この居住区はフェリスメルの他の場所と比べても、結構のんびりとしている。ここだって街道に沿った場所にあるのだが、他の場所に比べると明らかに人の数が違うのだ。
理由としては、お店がないのが一番だろう。あるとはいっても、馬の販売と馬車の手配くらいである。そういった役割は、フェリスメルの本体と職人街が全部請け負ってしまっているのだ。だからこそ、圧倒的に静かなのである。
「おや、フェリス来てたのね」
フェリスが馬と戯れていると、クーが現れた。ちなみにクーはここで畑仕事や丘に広がる森の管理をしているのである。牛の邪神で力があるからである。
「あら、クーじゃないの。どうしたのかしら」
「午前中の仕事がひと通り片付いたので、ヒッポスとちょっと話をしに来たんです。フェリスメルとクレアールの農業と家畜の世話は、私たちの役目ですから」
フェリスが尋ねると、クーからは真面目な顔でそう答えていた。クーはのんびり屋でヒッポスは少しせっかちだけれども、性格自体はどちらも真面目なのでこうやって時々話をしているらしいのだ。
「そうか。だったら、フェリスも居る事だし、お昼にしてしまおうか。フェリスがいろいろやらかしてくれていたらしいし、その話をゆっくり聞いてみたいもんだ」
「あら、フェリスったらまたやらかしていたんですか?」
「ちょっと待ってよ。なんでやらかしって言うのよ。あたしだっていろいろ考えてるんだから!」
ヒッポスとクーにやらかしと言われて怒り出すフェリス。そのやり取りを見た住民が苦笑いをしている。ちなみにこういうやり取りは、別に初めてではないのである。フェリスは昔から何かしらやらかしてきていたのだから。
とりあえず、フェリスが顔を真っ赤にしている間に、クーが昼食の準備を始めたのだった。
「へえ、ドラコが薬草栽培をね」
食事をしながら、その話に食いつくヒッポス。
「あら、ヒッポスが食いつくのね、その話」
「まあな。馬ってのは思ったより繊細だからな。怪我をした時の対処は魔法だけでできない事もあるんだよ」
「へぇ~」
ヒッポスの話に、フェリスは驚いたように聞いている。どうやらフェリスでもこの辺りの事は知らないようだった。
この後も、クーとヒッポスからは居住地や家畜たちの様子を細かく聞く事ができたフェリス。それを聞くに、二人はずいぶんと忙しく奔走していたようである。
「これだけ忙しいからさ、フェリスが造るお酒っていうのはすごく興味がある。エールもさすがに飲み飽きてきたからな」
「そうね。昔はもっとたくさんの種類のお酒があったから、なかなか飽きなかったわよね」
「なあ、クー。ブドウ育てようぜ、ブドウ」
「いいですね。ワインは高級感がありますし」
ルディだけじゃなくて、クーやヒッポスたちも他のお酒を所望しているようだった。これは本気で早くなんとかしないといけない話のようである。
「まあ、ワインを作るにはブドウを植えないといけないから、1週間後にできるシードルで我慢してちょうだいよ」
「そうですね。楽しみにしていますよ」
そんなこんなでいろいろと話の盛り上がるフェリスたちだったのである。
その後、商業組合を通じてブドウの種を取り寄せる事になったのだった。
「なんだ、フェリス。結局私について来たのか」
「ええ。お酒は魔法で管理してるから問題ないだろうし、ヒッポスとクーとはここのところ結構話してないじゃないの。だから久しぶりにゆっくり話をしようと思ってね」
ヒッポスの質問に、フェリスは真顔で答えていた。
「それでどうなの、フェリスメルの馬の様子は」
「まあ、いたって健康だな。フェリスの恩恵があるっていうのは大きい。私だけではあそこまで健康には育たないだろう」
ヒッポスはお世辞なしにまじめに答えていた。馬に関しては専門家であるヒッポスがそう言うのだ。評価は間違いないだろう。
「ふーん……。まあ、実際に馬を見せてもらうから、楽しみにしているわ」
フェリスはそう言ってにこやかに笑顔を見せていた。
フェリスメルで飼われているのは、牛、豚、羊、馬、クルーク、ジャイアントスパイダーの6種類と結構種類に富んでいる。特にクルークとジャイアントスパイダーは特徴的だった。
そうしてやって来たのは、移住者居住区にある牧場だった。フェリスメルで飼われている家畜の中で馬だけはこの区画にしか居ないのである。ちなみに一部の馬はクレアールに移住させられており、ヒッポスはクレアールにも様子を見に行く事があるのである。
馬たちは居住区内の丘に近い場所で放牧されている。そこで馬たちは、のんびり歩いてたり駆けまわっていたり牧草を食べていたりと、実に気ままに過ごしていた。ヒッポスが居るので、何かあってもすぐに対処できるのは大きいのである。
「ヒッポス様、お帰りなさいませ」
「ただいま。変わりはないようだね」
「はい、ヒッポス様のおかげです」
馬の世話をしている住民が、ヒッポスを見つけると挨拶をしてきた。邪神なのは知れ渡ってはいるものの、さすがに普通に会話をしている。最初に見た時はあんなに驚いて腰を抜かしていたのに、これが慣れというものなのだろう。
「餌になるリンゴを貰ってきた。ここでもリンゴを育てられればいいんだが、そうも言ってられないからな」
この移住者居住区では、ヒッポスの言う通りリンゴは育てられていなかった。ほとんどは畑になっているのである。人参や砂糖大根といったものが育てられているのである。
それにしても、この居住区はフェリスメルの他の場所と比べても、結構のんびりとしている。ここだって街道に沿った場所にあるのだが、他の場所に比べると明らかに人の数が違うのだ。
理由としては、お店がないのが一番だろう。あるとはいっても、馬の販売と馬車の手配くらいである。そういった役割は、フェリスメルの本体と職人街が全部請け負ってしまっているのだ。だからこそ、圧倒的に静かなのである。
「おや、フェリス来てたのね」
フェリスが馬と戯れていると、クーが現れた。ちなみにクーはここで畑仕事や丘に広がる森の管理をしているのである。牛の邪神で力があるからである。
「あら、クーじゃないの。どうしたのかしら」
「午前中の仕事がひと通り片付いたので、ヒッポスとちょっと話をしに来たんです。フェリスメルとクレアールの農業と家畜の世話は、私たちの役目ですから」
フェリスが尋ねると、クーからは真面目な顔でそう答えていた。クーはのんびり屋でヒッポスは少しせっかちだけれども、性格自体はどちらも真面目なのでこうやって時々話をしているらしいのだ。
「そうか。だったら、フェリスも居る事だし、お昼にしてしまおうか。フェリスがいろいろやらかしてくれていたらしいし、その話をゆっくり聞いてみたいもんだ」
「あら、フェリスったらまたやらかしていたんですか?」
「ちょっと待ってよ。なんでやらかしって言うのよ。あたしだっていろいろ考えてるんだから!」
ヒッポスとクーにやらかしと言われて怒り出すフェリス。そのやり取りを見た住民が苦笑いをしている。ちなみにこういうやり取りは、別に初めてではないのである。フェリスは昔から何かしらやらかしてきていたのだから。
とりあえず、フェリスが顔を真っ赤にしている間に、クーが昼食の準備を始めたのだった。
「へえ、ドラコが薬草栽培をね」
食事をしながら、その話に食いつくヒッポス。
「あら、ヒッポスが食いつくのね、その話」
「まあな。馬ってのは思ったより繊細だからな。怪我をした時の対処は魔法だけでできない事もあるんだよ」
「へぇ~」
ヒッポスの話に、フェリスは驚いたように聞いている。どうやらフェリスでもこの辺りの事は知らないようだった。
この後も、クーとヒッポスからは居住地や家畜たちの様子を細かく聞く事ができたフェリス。それを聞くに、二人はずいぶんと忙しく奔走していたようである。
「これだけ忙しいからさ、フェリスが造るお酒っていうのはすごく興味がある。エールもさすがに飲み飽きてきたからな」
「そうね。昔はもっとたくさんの種類のお酒があったから、なかなか飽きなかったわよね」
「なあ、クー。ブドウ育てようぜ、ブドウ」
「いいですね。ワインは高級感がありますし」
ルディだけじゃなくて、クーやヒッポスたちも他のお酒を所望しているようだった。これは本気で早くなんとかしないといけない話のようである。
「まあ、ワインを作るにはブドウを植えないといけないから、1週間後にできるシードルで我慢してちょうだいよ」
「そうですね。楽しみにしていますよ」
そんなこんなでいろいろと話の盛り上がるフェリスたちだったのである。
その後、商業組合を通じてブドウの種を取り寄せる事になったのだった。
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