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第158話 邪神ちゃんと工房の片付け
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お風呂から上がったフェリスたちは、改めてコネッホの家の中を見回す。コネッホの部屋は思ったよりも散らかっていた。錬金術師というのもあるのだろうが、ここまで物があふれているとは思わなかった。だが、そのくらいにコネッホは様々な錬金を行ってきたのだろう。このくらいの散らかり具合なら許容範囲である。
「しかし、改めて見ると部屋の中が汚いのう。わしも溜め込む習性があるが、ここまでは散らからんぞ」
ドラコが呆れるくらいの状態だった。
「うるさいな。そんなに言うのなら片付けを手伝ってくれ」
食事を作って持って来たコネッホは、ドラコのお小言に文句を言っている。
「まったく、毎日どれだけの薬や道具を作っていると思っているんだ。それこそ片付ける時間が惜しいほどになるぞ。そっちに出向いた時は物もなかったから余裕があったのだがな」
段々と言い訳染みた事を言い始めるコネッホ。
「とはいっても、錬金術は材料の配合とか精密なものでしょ? そんな散らかった中で行ったら危険じゃないのかしらね、コネッホ?」
「うう……っ!」
フェリスに痛いところを突かれて、コネッホは思わず口をつぐんでしまった。そして、黙ったまま料理をテーブルへと配膳していくコネッホ。痛いところを突かれたので、もう何も言うまいという事だろう。結局そのまま、黙り込んだまま料理を平らげたのであった。
食べ終わった後片付けを終えると、
「いろいろあって疲れたから今日はもう寝るよ。何をするにしても明日からだ。明日から本気出す」
コネッホはこう言って自室へと入っていった。自室の方は眠れるくらいには片付いているのだろう。何にしても確かに今日はもう遅いので、フェリスたちも眠る事にしたのだった。なにぶん、新しい街から1日半ほどかけて飛んできたのだ。ゆっくり休むのもたまにはいいだろう。フェリスとドラコも客室へと移動すると、一応結界は張り巡らせてからベッドに入って眠りに就いたのだった。
翌朝、まだ日の昇らないうちに目を覚ましたフェリスは、顔を洗って工房へとやって来た。相変わらずの散らかり具合である。コネッホの特徴としてはとても記憶力がいい。なので、作った薬のなどの配合などを記録した紙などがない。その割には棚を見ればごちゃごちゃしているのである。保管がどうのこうの言っていた割には、機材などがすごく乱雑に置かれていた。
「まったく、あたしよりもずぼらじゃないのよ。本当にしょうがない奴だわね」
というわけで、起きてこないコネッホを待つ事なく、フェリスは工房の中を片付け始めたのだ。壊さないように慎重に、時に魔法を使いながら物を浮かせたり、棚を増やしたりして手際よく片付けていく。汚れているなら洗浄魔法だって使ってやる。
フェリスにもコネッホほどではないが錬金術の知識がある。ドラコやコネッホたちとはリーダーと部下のような関係にあるフェリスなのだ。部下である邪神たちの能力は、フェリスもある程度使う事ができるし、知識だって若干の制限が入るとはいっても共有されている。だからこそ、フェリスはコネッホの機材を正しく扱えるのだ。とはいっても、錬金の作業自体はできないのがフェリスなのだ。
フェリスが工房を片付けている間に、徐々に空が白み始めている。そうすると、ようやくここでコネッホが起きてくる。工房に姿を現したコネッホは、その現状にものすごく驚いている。
「あら、コネッホおはよう。悪いけど片付けさせてもらっているわ」
「ふぇ、フェリス?」
「まったく、メモ書きとかそういった紙の類が1枚もないのが驚きなんだけど。弟子を取るならそういう錬金レシピとかは残しておくべきだと思うわよ。みんな、あんたみたいに記憶力がいいわけじゃないんだから」
フェリスが諭すようにお小言を言っているのだが、驚きの方が勝ってしまってしまい、コネッホは実に反応に困っていた。
「え、ええ。そ、そうかしらね」
予想外に早くに起きて片付けを始めたフェリスに、コネッホはどう反応したらいいのか分からずに呆然と立ち尽くしていた。
「ほらほら、顔洗って服を着替えたら、あたしの片付けた後を確認してちょうだい。配置の注文とか受けるからさ」
「わ、分かったわ」
コネッホは返事をすると、自室へと戻っていった。今のコネッホの服装はネグリジェのような状態だったのだ。着替えて戻ってきたコネッホの衣装は、ポケットの多い袖なしジャケットにハーフパンツ、ボーダー柄の長袖ハイネック、それに厚底のミドルブーツだった。研究者のイメージの強い白衣は着ていなかった。
「それにしても、ずいぶんとすっきりしたもんだな。フェリスは片付けが得意なイメージがなかったんだが?」
「しょうがないわよ。今は新しい環境で暮らしているし、新しい眷属はそういう点で真面目なのよ。あとヘンネもかなりうるさいから、完全に習慣づいちゃったわ」
「なるほどな」
フェリスの現状に納得がいったコネッホは、
「よし、そろそろ片付きそうだし、朝もあたいが飯を用意しよう。ドラコはどうしておく?」
と言って台所へと向かいながらも、扉の前で立ち止まって振り返った。
「そのうち起きてくるからそのままでいいわよ。これでいいのかは食事の後ででも確認してちょうだい」
「了解。いやまぁ、こうやって他の邪神と食事をするのも悪くはない」
フェリスの返答に満足したコネッホは、改めて台所へと移動していった。
こうして、モスレでの2日目の朝を迎えたのだった。
「しかし、改めて見ると部屋の中が汚いのう。わしも溜め込む習性があるが、ここまでは散らからんぞ」
ドラコが呆れるくらいの状態だった。
「うるさいな。そんなに言うのなら片付けを手伝ってくれ」
食事を作って持って来たコネッホは、ドラコのお小言に文句を言っている。
「まったく、毎日どれだけの薬や道具を作っていると思っているんだ。それこそ片付ける時間が惜しいほどになるぞ。そっちに出向いた時は物もなかったから余裕があったのだがな」
段々と言い訳染みた事を言い始めるコネッホ。
「とはいっても、錬金術は材料の配合とか精密なものでしょ? そんな散らかった中で行ったら危険じゃないのかしらね、コネッホ?」
「うう……っ!」
フェリスに痛いところを突かれて、コネッホは思わず口をつぐんでしまった。そして、黙ったまま料理をテーブルへと配膳していくコネッホ。痛いところを突かれたので、もう何も言うまいという事だろう。結局そのまま、黙り込んだまま料理を平らげたのであった。
食べ終わった後片付けを終えると、
「いろいろあって疲れたから今日はもう寝るよ。何をするにしても明日からだ。明日から本気出す」
コネッホはこう言って自室へと入っていった。自室の方は眠れるくらいには片付いているのだろう。何にしても確かに今日はもう遅いので、フェリスたちも眠る事にしたのだった。なにぶん、新しい街から1日半ほどかけて飛んできたのだ。ゆっくり休むのもたまにはいいだろう。フェリスとドラコも客室へと移動すると、一応結界は張り巡らせてからベッドに入って眠りに就いたのだった。
翌朝、まだ日の昇らないうちに目を覚ましたフェリスは、顔を洗って工房へとやって来た。相変わらずの散らかり具合である。コネッホの特徴としてはとても記憶力がいい。なので、作った薬のなどの配合などを記録した紙などがない。その割には棚を見ればごちゃごちゃしているのである。保管がどうのこうの言っていた割には、機材などがすごく乱雑に置かれていた。
「まったく、あたしよりもずぼらじゃないのよ。本当にしょうがない奴だわね」
というわけで、起きてこないコネッホを待つ事なく、フェリスは工房の中を片付け始めたのだ。壊さないように慎重に、時に魔法を使いながら物を浮かせたり、棚を増やしたりして手際よく片付けていく。汚れているなら洗浄魔法だって使ってやる。
フェリスにもコネッホほどではないが錬金術の知識がある。ドラコやコネッホたちとはリーダーと部下のような関係にあるフェリスなのだ。部下である邪神たちの能力は、フェリスもある程度使う事ができるし、知識だって若干の制限が入るとはいっても共有されている。だからこそ、フェリスはコネッホの機材を正しく扱えるのだ。とはいっても、錬金の作業自体はできないのがフェリスなのだ。
フェリスが工房を片付けている間に、徐々に空が白み始めている。そうすると、ようやくここでコネッホが起きてくる。工房に姿を現したコネッホは、その現状にものすごく驚いている。
「あら、コネッホおはよう。悪いけど片付けさせてもらっているわ」
「ふぇ、フェリス?」
「まったく、メモ書きとかそういった紙の類が1枚もないのが驚きなんだけど。弟子を取るならそういう錬金レシピとかは残しておくべきだと思うわよ。みんな、あんたみたいに記憶力がいいわけじゃないんだから」
フェリスが諭すようにお小言を言っているのだが、驚きの方が勝ってしまってしまい、コネッホは実に反応に困っていた。
「え、ええ。そ、そうかしらね」
予想外に早くに起きて片付けを始めたフェリスに、コネッホはどう反応したらいいのか分からずに呆然と立ち尽くしていた。
「ほらほら、顔洗って服を着替えたら、あたしの片付けた後を確認してちょうだい。配置の注文とか受けるからさ」
「わ、分かったわ」
コネッホは返事をすると、自室へと戻っていった。今のコネッホの服装はネグリジェのような状態だったのだ。着替えて戻ってきたコネッホの衣装は、ポケットの多い袖なしジャケットにハーフパンツ、ボーダー柄の長袖ハイネック、それに厚底のミドルブーツだった。研究者のイメージの強い白衣は着ていなかった。
「それにしても、ずいぶんとすっきりしたもんだな。フェリスは片付けが得意なイメージがなかったんだが?」
「しょうがないわよ。今は新しい環境で暮らしているし、新しい眷属はそういう点で真面目なのよ。あとヘンネもかなりうるさいから、完全に習慣づいちゃったわ」
「なるほどな」
フェリスの現状に納得がいったコネッホは、
「よし、そろそろ片付きそうだし、朝もあたいが飯を用意しよう。ドラコはどうしておく?」
と言って台所へと向かいながらも、扉の前で立ち止まって振り返った。
「そのうち起きてくるからそのままでいいわよ。これでいいのかは食事の後ででも確認してちょうだい」
「了解。いやまぁ、こうやって他の邪神と食事をするのも悪くはない」
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こうして、モスレでの2日目の朝を迎えたのだった。
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