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第153話 邪神ちゃん、モスレに到着
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「コネッホ、モスレはどっちの方角じゃ?」
空に舞い上がったドラコは、コネッホに方角を確認する。
「あっちがフェリスメルだから、向こうだよ」
「そうか。しっかり捕まっておれ。見えたら蹴飛ばすなりして合図をするといい」
ドラコはそう言って、猛スピードで空を飛んでいく。
ドラゴンは地上最速とまでは言わないまでも、かなり速いスピードで移動できる生き物だ。ドラコはその中ではスピードの遅い部類に入るのだが、その速度はけた違いに速かった。ちなみに最速のドラゴンは世界一周が1週間で終わると言われているのだが、ドラコはその3倍くらいかかるそうだ。
それはさておき、マイムの居る森を出た翌日のお昼過ぎの事、ドラコの背中でコネッホが暴れた。
「おっ、着いたか」
到着の合図と悟ったドラコは、そのまま街の入口へと降下していく。空にこれだけの巨体が浮かんでいるのだから、気付かれない方がまずおかしいわけで、あえて堂々と街の前で降りる事にしたのだ。
当然ながら、モスレの街から攻撃されてしまう。
「うむ、警備隊が機能しておる。かっかっかっ、実に心強い事よなぁ」
あれだけ攻撃の雨あられを食らいながらも、ドラコは涼しい顔をしている。だが、このままでは背中のフェリスとコネッホに迷惑が掛かるので、ドラコは会話を試みる事にした。
「やあやあ、モスレの街の諸君、我は古龍たるドラゴン、ドラコと申す者じゃ。まずはその手を止めてくれぬか?」
すると、モスレの警備隊からの攻撃の手が止まったのである。話を聞いてくれたというよりは、びっくり驚いて止まったという方が正解だろう。
「ふむ、これで話ができるな」
ドラコはゆっくりと降下していく。
「モスレの街の錬金術師コネッホを送り届けに来た。これより着地をするので、吹き飛ばぬように気を付けよ」
ドラコがこう話すと、警備隊は驚きながらも街を取り囲む壁の方へと退いていった。
それを確認したドラコは、一気に地面へと降りる。そして、二人が降りやすいように体を低くした。
スタッと、フェリスとコネッホが背中から降りる。そして、それを見届けたドラコは人間形態へと姿を変えていった。その姿に、モスレの警備隊は驚愕の表情を浮かべていた。そりゃ、あの巨大なドラゴンがフリフリのドレスを着た幼女に変われば、驚くなという方が無理なのである。
「お初にお目にかかる。改めて名乗るが、古龍が一体、邪竜ドラコじゃ。邪神とも邪神龍とも呼ばれておるがな。こちらのコネッホとは古い付き合いのある仲間じゃ。よろしくなのじゃ」
お嬢様っぽい挨拶を決めるドラコ。自己紹介の言葉と行動のギャップで、警備隊たちは固まってしまっていた。
「かっかっかっ、やっぱりそういう反応になるかのう。心配するな、わしの気は長いし、そういう態度は想定の範囲内じゃから怒りはせんぞ」
ドラコは大口を開けて笑っている。
「フェリス、お前さんも自己紹介せんかい」
ドラコに催促されて、フェリスは一歩前に出る。
「みなさん、初めまして。あたしはフェリス、見ての通りの猫の邪神です。コネッホやドラコとは古い付き合いのある邪神です」
「邪神って言ってるけど、やってる事は引きこもりと気のいい人のそれだからな、フェリスは」
「うるさいわね、コネッホ」
くすくすと笑いながら放たれるツッコミに、フェリスは怒って声を荒げる。
そういった漫才を繰り出すフェリスたちに、警備隊たちが歩み寄ってくる。
「な、何よ?」
フェリスが警戒する。しかし、警備隊たちはざっと姿勢を正して敬礼をしてきた。それにはフェリスは驚いて尻尾を逆立てていた。
「失礼致しました。まず、コネッホ殿、お帰りなさいませ。それとフェリス殿、ドラコ殿、お噂はかねがね伺っております。今からモスレの商業組合にご案内させて頂きます」
さっきまでとは打って変わって丁寧な態度の警備隊に、フェリスたちは不思議そうに首を傾げている。だが、
「ほらほら、ぼーっとつっ立ってないでついて行こうじゃないか」
とコネッホに背中を押されてしまう。
「わ、分かったわよ。強く押さないでよ、自分で歩くから!」
騒がしくしながらも、フェリスたちは警備隊について、街の中へと歩み入っていった。
商業組合までの道中、フェリスはモスレの街並みをじっくりと見ていた。初めて来る場所というのもある。一体どんな感じの街なのかをその目で確認するようにしているのである。
ただ、そのじっくりと見る姿は、街の人たちには田舎者のように映っていた。コネッホが居るとはいえど、猫の魔族というのは珍しいので、両方のミスマッチさからなおさら注目を集めているようである。
「こちらがモスレの商業組合でございます」
案内していた警備隊が立ち止まって指差した建物。周りと違ってひと際目立つ立派な建物、これがモスレの商業組合だった。
「へえ、これがそうなのね」
「そうよ。そして、世界有数たるこのあたい、コネッホの作るポーションを数多く提供している商業組合なのよ!」
手を目の上にかぶせるようにして見上げているフェリスに、自慢げに語るコネッホ。だが、コネッホの自慢話はフェリスにとって新鮮味がないので、さらりと聞き流していた。
「ああもう。とりあえず中に入る。あたいは帰還の報告しなきゃいけないからな」
薄味の反応をされて、コネッホは怒り半分な状態で商業組合の中へと入っていく。フェリスとドラコはここまで送ってくれた警備隊を労いながら、コネッホの後について商業組合へと入っていった。
空に舞い上がったドラコは、コネッホに方角を確認する。
「あっちがフェリスメルだから、向こうだよ」
「そうか。しっかり捕まっておれ。見えたら蹴飛ばすなりして合図をするといい」
ドラコはそう言って、猛スピードで空を飛んでいく。
ドラゴンは地上最速とまでは言わないまでも、かなり速いスピードで移動できる生き物だ。ドラコはその中ではスピードの遅い部類に入るのだが、その速度はけた違いに速かった。ちなみに最速のドラゴンは世界一周が1週間で終わると言われているのだが、ドラコはその3倍くらいかかるそうだ。
それはさておき、マイムの居る森を出た翌日のお昼過ぎの事、ドラコの背中でコネッホが暴れた。
「おっ、着いたか」
到着の合図と悟ったドラコは、そのまま街の入口へと降下していく。空にこれだけの巨体が浮かんでいるのだから、気付かれない方がまずおかしいわけで、あえて堂々と街の前で降りる事にしたのだ。
当然ながら、モスレの街から攻撃されてしまう。
「うむ、警備隊が機能しておる。かっかっかっ、実に心強い事よなぁ」
あれだけ攻撃の雨あられを食らいながらも、ドラコは涼しい顔をしている。だが、このままでは背中のフェリスとコネッホに迷惑が掛かるので、ドラコは会話を試みる事にした。
「やあやあ、モスレの街の諸君、我は古龍たるドラゴン、ドラコと申す者じゃ。まずはその手を止めてくれぬか?」
すると、モスレの警備隊からの攻撃の手が止まったのである。話を聞いてくれたというよりは、びっくり驚いて止まったという方が正解だろう。
「ふむ、これで話ができるな」
ドラコはゆっくりと降下していく。
「モスレの街の錬金術師コネッホを送り届けに来た。これより着地をするので、吹き飛ばぬように気を付けよ」
ドラコがこう話すと、警備隊は驚きながらも街を取り囲む壁の方へと退いていった。
それを確認したドラコは、一気に地面へと降りる。そして、二人が降りやすいように体を低くした。
スタッと、フェリスとコネッホが背中から降りる。そして、それを見届けたドラコは人間形態へと姿を変えていった。その姿に、モスレの警備隊は驚愕の表情を浮かべていた。そりゃ、あの巨大なドラゴンがフリフリのドレスを着た幼女に変われば、驚くなという方が無理なのである。
「お初にお目にかかる。改めて名乗るが、古龍が一体、邪竜ドラコじゃ。邪神とも邪神龍とも呼ばれておるがな。こちらのコネッホとは古い付き合いのある仲間じゃ。よろしくなのじゃ」
お嬢様っぽい挨拶を決めるドラコ。自己紹介の言葉と行動のギャップで、警備隊たちは固まってしまっていた。
「かっかっかっ、やっぱりそういう反応になるかのう。心配するな、わしの気は長いし、そういう態度は想定の範囲内じゃから怒りはせんぞ」
ドラコは大口を開けて笑っている。
「フェリス、お前さんも自己紹介せんかい」
ドラコに催促されて、フェリスは一歩前に出る。
「みなさん、初めまして。あたしはフェリス、見ての通りの猫の邪神です。コネッホやドラコとは古い付き合いのある邪神です」
「邪神って言ってるけど、やってる事は引きこもりと気のいい人のそれだからな、フェリスは」
「うるさいわね、コネッホ」
くすくすと笑いながら放たれるツッコミに、フェリスは怒って声を荒げる。
そういった漫才を繰り出すフェリスたちに、警備隊たちが歩み寄ってくる。
「な、何よ?」
フェリスが警戒する。しかし、警備隊たちはざっと姿勢を正して敬礼をしてきた。それにはフェリスは驚いて尻尾を逆立てていた。
「失礼致しました。まず、コネッホ殿、お帰りなさいませ。それとフェリス殿、ドラコ殿、お噂はかねがね伺っております。今からモスレの商業組合にご案内させて頂きます」
さっきまでとは打って変わって丁寧な態度の警備隊に、フェリスたちは不思議そうに首を傾げている。だが、
「ほらほら、ぼーっとつっ立ってないでついて行こうじゃないか」
とコネッホに背中を押されてしまう。
「わ、分かったわよ。強く押さないでよ、自分で歩くから!」
騒がしくしながらも、フェリスたちは警備隊について、街の中へと歩み入っていった。
商業組合までの道中、フェリスはモスレの街並みをじっくりと見ていた。初めて来る場所というのもある。一体どんな感じの街なのかをその目で確認するようにしているのである。
ただ、そのじっくりと見る姿は、街の人たちには田舎者のように映っていた。コネッホが居るとはいえど、猫の魔族というのは珍しいので、両方のミスマッチさからなおさら注目を集めているようである。
「こちらがモスレの商業組合でございます」
案内していた警備隊が立ち止まって指差した建物。周りと違ってひと際目立つ立派な建物、これがモスレの商業組合だった。
「へえ、これがそうなのね」
「そうよ。そして、世界有数たるこのあたい、コネッホの作るポーションを数多く提供している商業組合なのよ!」
手を目の上にかぶせるようにして見上げているフェリスに、自慢げに語るコネッホ。だが、コネッホの自慢話はフェリスにとって新鮮味がないので、さらりと聞き流していた。
「ああもう。とりあえず中に入る。あたいは帰還の報告しなきゃいけないからな」
薄味の反応をされて、コネッホは怒り半分な状態で商業組合の中へと入っていく。フェリスとドラコはここまで送ってくれた警備隊を労いながら、コネッホの後について商業組合へと入っていった。
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