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第142話 邪神ちゃんと建設現場
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数日後、フェリスは、アファカとヘンネの商業組合とボーゲンたち冒険者組合の面々と一緒に、新しい街の候補地に赴いた。きれいに整えられた地面が違和感を放つ更地、それこそが新しい街の候補地なのである。
さて、この場所の開発に時間が掛かった理由は、とにかく資材を集める事が大変だったからだ。フェリスのいつものやらかしのせいだから、すべてが急なのである。だからこそ、準備に手間取ってしまったのだ。すべてはフェリスが悪いのである。
それはさておき、アファカたちは地面の整地具合を再確認しながら建てる建物を割り振っていく。橋に近いところから商店街を建設して、奥まった丘の麓や商店の裏などに民家を建てていく。そういう方針らしい。
商業組合の人間が指揮を執り、冒険者組合の人間が資材を運び、フェリスメルの職人が建設をしていく。実に手際が良いものだ。
「時に、なんであたしはここに呼ばれてるわけかしら」
「責任を取りなさい、フェリス。あなたがめちゃくちゃしてくれたから、私たちが迷惑を被っているんです。食事の世話でもして下さい」
ヘンネにこう言われると、フェリスも反論できなかった。こうなったのは自分の責任なのは間違いない事なのだから。
「へいへい、分かりましたよーだ」
フェリスは諦めたように頷いていた。耳と尻尾とひげが、分かりやすいくらいにしょげしょげと垂れていて、さすがのフェリス信者であるメルも苦笑いするくらいだった。
こうして、新しい土地に街を建設する作業が始まった。
建物用の土地は基礎の柱を建てる際に、フェリスやメルに言って、柱の部分の土だけをえぐり取ってもらった。整地でガッチガチに固められており、そのままでは柱が立てられなかったのだ。うん、やりすぎだったようである。
こうして、初日だけでもかなりの建物の基礎ができ上がった。というか、骨格と一階部分が完成していた。かなり速いペースと思われる。一棟まるまる最初に作って次という感じではなく、一斉に基礎となる骨格だけを作っていき、そこから一棟一棟建てていくという感じの建設のようである。最初に全体の雰囲気を掴んでおくために、そんな手法を取っているのだそうだ。
初日だけでもずいぶんと進んだのだが、夜は一度作業を中断するようだ。人間、そんなに働き詰めはできないのだから仕方のない事である。フェリスメルに戻る面々と、そのまま建設現場で寝泊まりする面々とはほぼ半々のようである。人によっては他の仕事だってあるのだから、これは当然である。建設現場に留まるのは、暇だった村人と冒険者たちだけで、商業組合の面々はアファカとヘンネも含めて村へと戻っていった。
ちなみにだが、フェリスとメルはその場に留まらされた。原因となったのだから、最後までずっと面倒を見ろという事である。メルは完全にとばっちりだった。それでも、フェリスと一緒に居られるという事で、メルは別に文句は言わなかった。まあ、邪神たちの影響を受けているメルも、能力は高いので自衛くらいはできるのである。まあ冒険者の方だってそこまで馬鹿な人たちばかりじゃないので、フェリスたちに手を出せばどういう事になるか分かっているはずである。
フェリスは空いたスペースに土魔法で簡易の家を建てる。魔法で作ってしまえば、実は潰すのも簡単である。建設中の簡易詰所なので、それほど凝ったものを建てる必要はないのだ。
とはいえども、建物を数棟あっさりと魔法で造ってしまうフェリスに、冒険者たちは呆然とした視線を送るのだった。「これって俺たち要らなくね?」という視線だった。
フェリスもその視線に気が付く。
「簡単に作れるとはいっても、あたしだって一度に作れるのは数棟が精一杯よ。それに土魔法だから味気ないし、木の温もりには敵わないわよ」
フェリスは簡易の小屋をぺしぺしと叩きながら冒険者たちに語っている。
「それに、魔法なんだから使った人物に万一の事があれば、そこで崩れ去るっていう危険性だってないとは言えないわ。だからこそ、ちゃんと家を建てて欲しいのよ」
フェリスが真剣に語り終えると、冒険者たちはどういうわけか号泣していた。多くは筋肉マッチョのせいで、その号泣の絵面はかなり暑苦しかった。メルは拍手をしているし、フェリスはドン引きだった。
何はともあれ、フェリスは夕食も調理して振る舞った。周りのほとんどはむさ苦しいマッチョ軍団だったが、まあなかなかに楽しい食事だった。
それにしても、困ったものである。
「はあ、木材が足りないわ。あれだけ建てちゃえば、そりゃ足りなくなっちゃうわね」
フェリスは簡易の小屋の屋根の上から、建設現場を見回してみる。50棟くらいの建物の骨格ができ上がってしまっている。しかも、商業施設などとなれば2階建て、3階建ては当たり前なのだ。そんな建築をしていれば、当然ながら木材が不足してしまうのである。フェリスはため息を吐いていた。
と、その時だった。地上に突然影が落ちた。月明かりであまり明るくないとはいえ、急に暗くなれば猫であるフェリスは敏感なのである。
フェリスが上を見ると、そこには見知った物体が浮かんでいたのだった。
さて、この場所の開発に時間が掛かった理由は、とにかく資材を集める事が大変だったからだ。フェリスのいつものやらかしのせいだから、すべてが急なのである。だからこそ、準備に手間取ってしまったのだ。すべてはフェリスが悪いのである。
それはさておき、アファカたちは地面の整地具合を再確認しながら建てる建物を割り振っていく。橋に近いところから商店街を建設して、奥まった丘の麓や商店の裏などに民家を建てていく。そういう方針らしい。
商業組合の人間が指揮を執り、冒険者組合の人間が資材を運び、フェリスメルの職人が建設をしていく。実に手際が良いものだ。
「時に、なんであたしはここに呼ばれてるわけかしら」
「責任を取りなさい、フェリス。あなたがめちゃくちゃしてくれたから、私たちが迷惑を被っているんです。食事の世話でもして下さい」
ヘンネにこう言われると、フェリスも反論できなかった。こうなったのは自分の責任なのは間違いない事なのだから。
「へいへい、分かりましたよーだ」
フェリスは諦めたように頷いていた。耳と尻尾とひげが、分かりやすいくらいにしょげしょげと垂れていて、さすがのフェリス信者であるメルも苦笑いするくらいだった。
こうして、新しい土地に街を建設する作業が始まった。
建物用の土地は基礎の柱を建てる際に、フェリスやメルに言って、柱の部分の土だけをえぐり取ってもらった。整地でガッチガチに固められており、そのままでは柱が立てられなかったのだ。うん、やりすぎだったようである。
こうして、初日だけでもかなりの建物の基礎ができ上がった。というか、骨格と一階部分が完成していた。かなり速いペースと思われる。一棟まるまる最初に作って次という感じではなく、一斉に基礎となる骨格だけを作っていき、そこから一棟一棟建てていくという感じの建設のようである。最初に全体の雰囲気を掴んでおくために、そんな手法を取っているのだそうだ。
初日だけでもずいぶんと進んだのだが、夜は一度作業を中断するようだ。人間、そんなに働き詰めはできないのだから仕方のない事である。フェリスメルに戻る面々と、そのまま建設現場で寝泊まりする面々とはほぼ半々のようである。人によっては他の仕事だってあるのだから、これは当然である。建設現場に留まるのは、暇だった村人と冒険者たちだけで、商業組合の面々はアファカとヘンネも含めて村へと戻っていった。
ちなみにだが、フェリスとメルはその場に留まらされた。原因となったのだから、最後までずっと面倒を見ろという事である。メルは完全にとばっちりだった。それでも、フェリスと一緒に居られるという事で、メルは別に文句は言わなかった。まあ、邪神たちの影響を受けているメルも、能力は高いので自衛くらいはできるのである。まあ冒険者の方だってそこまで馬鹿な人たちばかりじゃないので、フェリスたちに手を出せばどういう事になるか分かっているはずである。
フェリスは空いたスペースに土魔法で簡易の家を建てる。魔法で作ってしまえば、実は潰すのも簡単である。建設中の簡易詰所なので、それほど凝ったものを建てる必要はないのだ。
とはいえども、建物を数棟あっさりと魔法で造ってしまうフェリスに、冒険者たちは呆然とした視線を送るのだった。「これって俺たち要らなくね?」という視線だった。
フェリスもその視線に気が付く。
「簡単に作れるとはいっても、あたしだって一度に作れるのは数棟が精一杯よ。それに土魔法だから味気ないし、木の温もりには敵わないわよ」
フェリスは簡易の小屋をぺしぺしと叩きながら冒険者たちに語っている。
「それに、魔法なんだから使った人物に万一の事があれば、そこで崩れ去るっていう危険性だってないとは言えないわ。だからこそ、ちゃんと家を建てて欲しいのよ」
フェリスが真剣に語り終えると、冒険者たちはどういうわけか号泣していた。多くは筋肉マッチョのせいで、その号泣の絵面はかなり暑苦しかった。メルは拍手をしているし、フェリスはドン引きだった。
何はともあれ、フェリスは夕食も調理して振る舞った。周りのほとんどはむさ苦しいマッチョ軍団だったが、まあなかなかに楽しい食事だった。
それにしても、困ったものである。
「はあ、木材が足りないわ。あれだけ建てちゃえば、そりゃ足りなくなっちゃうわね」
フェリスは簡易の小屋の屋根の上から、建設現場を見回してみる。50棟くらいの建物の骨格ができ上がってしまっている。しかも、商業施設などとなれば2階建て、3階建ては当たり前なのだ。そんな建築をしていれば、当然ながら木材が不足してしまうのである。フェリスはため息を吐いていた。
と、その時だった。地上に突然影が落ちた。月明かりであまり明るくないとはいえ、急に暗くなれば猫であるフェリスは敏感なのである。
フェリスが上を見ると、そこには見知った物体が浮かんでいたのだった。
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