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第114話 邪神ちゃんの広がる理解
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「うおおおっ! 伝説の料理番が帰って来たぞおおおおっ!」
厨房からはそんな声が響いていた。ペコラが聖教会に居たのは数年前までである。どうやら料理人たちにはすっかり覚えられていたらしいし、ペコラもその時に居た料理人たちの事をしっかり覚えていた。懐かしさのあまりに大騒ぎになっているようだ。それにしても聖教会の中でも奥まったところにあるマイオリーの部屋まで聞こえてくるって、どれだけ大声で騒いでいるのだろうか。
「ここまで聞こえるだなんて、これはちょっとお説教ですね」
マイオリーは笑顔で笑っていた。現役聖女様の説教はご褒美だと思うけれど、
(はあ、ご愁傷さまで……)
フェリスはドアの方を見ながら遠い目をしていた。
こんな感じで再会を終えたフェリスとマイオリー。その後、別の聖教会の職員の案内で部屋へと案内された。聖教会内で泊まれるとは、フェリスたちは貴賓待遇である。
「何か御用がございましたら、そちらの鈴でお呼び下さいませ。すぐに駆け付けます」
「ありがとうございます。でも、できる限りご迷惑はお掛けしませんので、気を楽にしておいて下さいな」
案内してくれた職員に、笑顔で話すフェリス。そのフェリスの顔と態度を見て、職員は驚いた表情で固まっている。やはり、邪神のイメージとフェリスはかなり乖離しているのである。
「あたしは残虐な魔族の眷属だっただけで、性格自体はものすごく丸いんですよ。見栄で邪神を名乗ってるだけですからね」
フェリスはまさにテヘペロと言わんばかりの可愛さを発揮していた。だが、その可愛さは職員にクリティカルヒットしたようだった。
「うぶうっ!」
変な声を出して悶絶していた。大丈夫かなとフェリスは心配になってしまった。
「ほら、人間と魔族の戦いは終焉したんですから、あたしとしては平和にやっていきたいですよ。聖女様にご招待頂けたのも、あたしが認められたって事ですよね」
「こほん、確かにそうですね。フェリスと申しましたか、聖女様の正式な客人として迎えますが、ここは聖教会の中です。油断はなされませんように」
「ええ、あたしたち魔族を嫌う人はまだまだ多いですからね。過去の歴史もありますし、他の魔族たちが築いてきたイメージがありますからね」
「フェリス様なら大丈夫です。見た目は確かに魔族でしょうけれど、私の村をよくして下さってますもの」
さっきまで黙っていたメルが、ここぞとばかりにアピールしていた。そのメルの勢いに、職員は吹き出していた。
「わわ、なんでですかーっ!?」
メルがもの凄く混乱している。一生懸命アピールして盛大に笑われれば、そうなるのも仕方がない。フェリスも一緒になって笑っているせいで、恥ずかしくなったメルはフェリスに文句を言っている。
「フェリス様、フェリス様まで笑わないで下さいーっ!」
フェリスをポコポコと殴るメル。その可愛らしい姿に、ポコポコと殴られながらもフェリスは笑顔を浮かべていた。これを見る限り、フェリスは恐ろしい魔族だなんてとてもじゃないが思えなかった。
(ああ、聖女様はこの姿を見られて、この魔族を受け入れたのですね)
職員はフェリスの事をマイオリーから聞かされていた。最近出回るっているスパイダーヤーンという糸は、このフェリスという魔族が関わっている事も聞いていた。一体どんな魔族なのかと思っていたのだが、その実物が今目の前に居るのだ。その実物の言動を見せられてしまっては、マイオリーの判断を受け入れざるを得なかった。
「魔族というのは恐ろしいと聞かされていましたが、あなたのような方もいらっしゃるのですね」
「うーん、多分少数派だとは思いますよ。こんなあたしでも、いたずらに明け暮れた時期がありますからね」
必死に笑いをこらえる職員に対して、苦笑いで答えるフェリス。その間にはギスギスとした空気はまったく存在していなかった。
「フェリスー、メルー、料理を手伝ってくれなのだーっ!」
その空気をぶち壊すかのように、ペコラの声が聞こえてきた。
「あらあら、まったくどうしたのやら。メル行きましょうか」
「はい、フェリス様」
フェリスとメルは荷物を部屋に置くと、案内してくれた職員と一緒に部屋を出る。
「ちょっとお呼ばれしてしまったので、厨房まで案内して頂けませんか?」
「はい、畏まりました。お料理はなさるので?」
「ええ、これでもフェリスメル、この子の故郷で食堂もしていますのでね。料理は得意なんですよ」
職員の質問に、フェリスはにこやかに答えている。そこには嘘偽りはまったくないのである。
そして、案内された厨房で他の料理人に驚かれながらも、フェリスはペコラやメルと一緒に料理を作ってしまったのだった。その鮮やかな手つきに、料理人たちはついつい見とれてしまっていた。これには案内役の職員もびっくりである。
「うふふ、あたしたちが来たからには、聖女様の生誕祭は成功させてみせますよ」
びしっと料理を完成させたフェリスは、自信満々にそう言い放ったのだった。
職員に確認したところ、聖女マイオリーの生誕祭まで残り3日である。フェリスたちは生誕祭を無事に平穏に成功させる事はできるのだろうか。
厨房からはそんな声が響いていた。ペコラが聖教会に居たのは数年前までである。どうやら料理人たちにはすっかり覚えられていたらしいし、ペコラもその時に居た料理人たちの事をしっかり覚えていた。懐かしさのあまりに大騒ぎになっているようだ。それにしても聖教会の中でも奥まったところにあるマイオリーの部屋まで聞こえてくるって、どれだけ大声で騒いでいるのだろうか。
「ここまで聞こえるだなんて、これはちょっとお説教ですね」
マイオリーは笑顔で笑っていた。現役聖女様の説教はご褒美だと思うけれど、
(はあ、ご愁傷さまで……)
フェリスはドアの方を見ながら遠い目をしていた。
こんな感じで再会を終えたフェリスとマイオリー。その後、別の聖教会の職員の案内で部屋へと案内された。聖教会内で泊まれるとは、フェリスたちは貴賓待遇である。
「何か御用がございましたら、そちらの鈴でお呼び下さいませ。すぐに駆け付けます」
「ありがとうございます。でも、できる限りご迷惑はお掛けしませんので、気を楽にしておいて下さいな」
案内してくれた職員に、笑顔で話すフェリス。そのフェリスの顔と態度を見て、職員は驚いた表情で固まっている。やはり、邪神のイメージとフェリスはかなり乖離しているのである。
「あたしは残虐な魔族の眷属だっただけで、性格自体はものすごく丸いんですよ。見栄で邪神を名乗ってるだけですからね」
フェリスはまさにテヘペロと言わんばかりの可愛さを発揮していた。だが、その可愛さは職員にクリティカルヒットしたようだった。
「うぶうっ!」
変な声を出して悶絶していた。大丈夫かなとフェリスは心配になってしまった。
「ほら、人間と魔族の戦いは終焉したんですから、あたしとしては平和にやっていきたいですよ。聖女様にご招待頂けたのも、あたしが認められたって事ですよね」
「こほん、確かにそうですね。フェリスと申しましたか、聖女様の正式な客人として迎えますが、ここは聖教会の中です。油断はなされませんように」
「ええ、あたしたち魔族を嫌う人はまだまだ多いですからね。過去の歴史もありますし、他の魔族たちが築いてきたイメージがありますからね」
「フェリス様なら大丈夫です。見た目は確かに魔族でしょうけれど、私の村をよくして下さってますもの」
さっきまで黙っていたメルが、ここぞとばかりにアピールしていた。そのメルの勢いに、職員は吹き出していた。
「わわ、なんでですかーっ!?」
メルがもの凄く混乱している。一生懸命アピールして盛大に笑われれば、そうなるのも仕方がない。フェリスも一緒になって笑っているせいで、恥ずかしくなったメルはフェリスに文句を言っている。
「フェリス様、フェリス様まで笑わないで下さいーっ!」
フェリスをポコポコと殴るメル。その可愛らしい姿に、ポコポコと殴られながらもフェリスは笑顔を浮かべていた。これを見る限り、フェリスは恐ろしい魔族だなんてとてもじゃないが思えなかった。
(ああ、聖女様はこの姿を見られて、この魔族を受け入れたのですね)
職員はフェリスの事をマイオリーから聞かされていた。最近出回るっているスパイダーヤーンという糸は、このフェリスという魔族が関わっている事も聞いていた。一体どんな魔族なのかと思っていたのだが、その実物が今目の前に居るのだ。その実物の言動を見せられてしまっては、マイオリーの判断を受け入れざるを得なかった。
「魔族というのは恐ろしいと聞かされていましたが、あなたのような方もいらっしゃるのですね」
「うーん、多分少数派だとは思いますよ。こんなあたしでも、いたずらに明け暮れた時期がありますからね」
必死に笑いをこらえる職員に対して、苦笑いで答えるフェリス。その間にはギスギスとした空気はまったく存在していなかった。
「フェリスー、メルー、料理を手伝ってくれなのだーっ!」
その空気をぶち壊すかのように、ペコラの声が聞こえてきた。
「あらあら、まったくどうしたのやら。メル行きましょうか」
「はい、フェリス様」
フェリスとメルは荷物を部屋に置くと、案内してくれた職員と一緒に部屋を出る。
「ちょっとお呼ばれしてしまったので、厨房まで案内して頂けませんか?」
「はい、畏まりました。お料理はなさるので?」
「ええ、これでもフェリスメル、この子の故郷で食堂もしていますのでね。料理は得意なんですよ」
職員の質問に、フェリスはにこやかに答えている。そこには嘘偽りはまったくないのである。
そして、案内された厨房で他の料理人に驚かれながらも、フェリスはペコラやメルと一緒に料理を作ってしまったのだった。その鮮やかな手つきに、料理人たちはついつい見とれてしまっていた。これには案内役の職員もびっくりである。
「うふふ、あたしたちが来たからには、聖女様の生誕祭は成功させてみせますよ」
びしっと料理を完成させたフェリスは、自信満々にそう言い放ったのだった。
職員に確認したところ、聖女マイオリーの生誕祭まで残り3日である。フェリスたちは生誕祭を無事に平穏に成功させる事はできるのだろうか。
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