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第97話 邪神ちゃんと卵料理
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ヘンネから卵を受け取ってルンルン気分のフェリスは一号店へとやって来ていた。卵の生産量が増えたのでプリンの限定数が増やせるし、プリン以外にも作れるものが増える。これを嬉しく思わずしてなんというのだろうか。
「おや、フェリス、やけにご機嫌なのだ」
一号店ではペコラが昼ピークを前に仕込みを進めている。
「ペコラ、今日も順調そうね」
「まあ、ここのところ大盛況だし、あーしも楽しくて仕方ないのだ」
フェリスが声を掛ければ、ペコラもニコニコの笑顔で対応している。するとペコラは、フェリスの持っている物を見て目を丸くしている。
「おお、それは卵なのだな。しかもたくさんあるのだ」
「ええ、ヘンネが育てているクルークの数が増えて、卵もその分数が増えたみたいなのよ。二号店で使う分は置いてきてるから、残ってるこれは全部一号店の分よ」
「それは助かるのだ。ちょうど新しい料理も試してみたいところだったから、とても助かるのだ」
卵の入った籠を掲げるフェリスを見て、ペコラも目を輝かせている。商人であり料理人でもある羊の邪神ペコラは、とにかく目ざといのだ。
「この分ならケーキとかも作れそうなのだ。本当に貰ってもいいのか、フェリス」
「ヘンネから好きに使っていいって言われてるから大丈夫よ。物品の管理はヘンネに任せておけば安心だし、相談があればすればいいと思うわ」
「だな。フェリスはいい加減だから、ヘンネが来てくれて助かっているのだ」
「ちょっと、正直に言わないでくれない?」
ペコラが本音を漏らすと、フェリスが苦笑いを浮かべてツッコミを入れる。ペコラもしまったという顔をしながらもにこやかに笑っている。けんかにならないあたり、本当にこの邪神たちの仲はとても良いのである。
というわけで、ペコラは早速届けられた卵を使って料理を開始する。数100年前のレシピとはいえど、邪神の記憶力は侮れない。
ペコラが動き出したかと思うと、作り始めたのはさっき言っていたケーキである。スポンジケーキにチーズケーキ、タルトだって同時並行で作ってしまうペコラ。さすが料理人スキルが高いだけの事はある。
「相変らず見事なものね。久しぶりに作ったなんて思えないわ」
「いやぁ、ひやひやしたのだ。なにせまともに作るのは数100年ぶりなのだ。聖女のところでもそれっぽいものは作ったのだけど、本格的なのは本当に久しぶり過ぎるのだ」
ケーキを完成させたペコラは、フェリスと一緒に開店前の従業員たちを集めて早めの昼食を取る。しかし、その昼食として振る舞われたのは試食品のケーキである。食事というよりは味見であった。
「記憶を頼りに再現をしてみたのだ。これも失われた過去のレシピなのだ」
ペコラがそう説明すると、従業員たちはその見た目にわあっと表情を明るくしていた。見た目にはおいしそうなのだ。
「まずは二号店用の料理で済まないのだ。卵レシピは今後増やしていく予定なのだ。アファカやヘンネと相談してから正式に決めるのだ」
ペコラがこういうのも無理はない。一号店はかなり料理の種類が多い。それに比べて、二号店の方は軽食に傾倒しているのでまだ品数が少ないのだ。なので、先に二号店のテコ入れを図ったのである。本当に誰かさんとは違ってペコラには計画性というものがあるのだ。
「一応一号店用に作った料理もあるので、見て欲しいのだ」
そう言ってペコラが前に並べたのはオムレツである。中に何も入っていないプレーンオムレツと、肉や野菜などを閉じ込めたオムレツと二種類出てきた。
「卵の生産量がもっと増えたら、一号店でもじゃんじゃん卵料理を出すのだ。そのためには最低でも500個は卵が欲しいのだ」
ペコラはそう言ってフェリスを見る。
「分かったわ。今日の私は二号店の手伝いはしなくていいみたいだからね、アファカさんとヘンネに伝えておくわ」
「フェリス、頼むのだ」
そういった感じで話がまとまる。一応ペコラの作ったオムレツやケーキなどの評判は良かった。さすがは邪神一の料理人である。確かな手ごたえはそこにあった。
「ペコラ様、この料理のレシピを教えて頂けますか?」
「昼ピークが過ぎた後なら教えても構わないのだ。古の料理の復権を一緒に目指すのだ」
一人が教えを乞うと、ペコラはあっさり了承していた。おいしいものはみんなで共有という意識があるのだ。ただ、一緒の店で働く仲間だからこそ、ペコラはこういう対応をするのである。よそ者だったらかなり金額を吹っかけて売っただろう。忘れてはいけないのは、ペコラは商売人でもあるという事だ。ちなみに聖女のところでは誰にもレシピは教えていない。理由は単純に聞かれなかったからだ。そういうところが料理人であり商売人でもある邪神なのである。
「さあ、そろそろお昼に向けて本格的に準備するのだ」
「おーっ!」
ペコラが声を上げると、店内には元気な返事が響き渡る。そして、それぞれに持ち場に散っていった。それを見届けたフェリスは卵を保存魔法を掛けて倉庫にしまうと、商業組合へと再びを足を向けたのだった。
こうして今日も、一号店は元気に営業を始めたのである。
「おや、フェリス、やけにご機嫌なのだ」
一号店ではペコラが昼ピークを前に仕込みを進めている。
「ペコラ、今日も順調そうね」
「まあ、ここのところ大盛況だし、あーしも楽しくて仕方ないのだ」
フェリスが声を掛ければ、ペコラもニコニコの笑顔で対応している。するとペコラは、フェリスの持っている物を見て目を丸くしている。
「おお、それは卵なのだな。しかもたくさんあるのだ」
「ええ、ヘンネが育てているクルークの数が増えて、卵もその分数が増えたみたいなのよ。二号店で使う分は置いてきてるから、残ってるこれは全部一号店の分よ」
「それは助かるのだ。ちょうど新しい料理も試してみたいところだったから、とても助かるのだ」
卵の入った籠を掲げるフェリスを見て、ペコラも目を輝かせている。商人であり料理人でもある羊の邪神ペコラは、とにかく目ざといのだ。
「この分ならケーキとかも作れそうなのだ。本当に貰ってもいいのか、フェリス」
「ヘンネから好きに使っていいって言われてるから大丈夫よ。物品の管理はヘンネに任せておけば安心だし、相談があればすればいいと思うわ」
「だな。フェリスはいい加減だから、ヘンネが来てくれて助かっているのだ」
「ちょっと、正直に言わないでくれない?」
ペコラが本音を漏らすと、フェリスが苦笑いを浮かべてツッコミを入れる。ペコラもしまったという顔をしながらもにこやかに笑っている。けんかにならないあたり、本当にこの邪神たちの仲はとても良いのである。
というわけで、ペコラは早速届けられた卵を使って料理を開始する。数100年前のレシピとはいえど、邪神の記憶力は侮れない。
ペコラが動き出したかと思うと、作り始めたのはさっき言っていたケーキである。スポンジケーキにチーズケーキ、タルトだって同時並行で作ってしまうペコラ。さすが料理人スキルが高いだけの事はある。
「相変らず見事なものね。久しぶりに作ったなんて思えないわ」
「いやぁ、ひやひやしたのだ。なにせまともに作るのは数100年ぶりなのだ。聖女のところでもそれっぽいものは作ったのだけど、本格的なのは本当に久しぶり過ぎるのだ」
ケーキを完成させたペコラは、フェリスと一緒に開店前の従業員たちを集めて早めの昼食を取る。しかし、その昼食として振る舞われたのは試食品のケーキである。食事というよりは味見であった。
「記憶を頼りに再現をしてみたのだ。これも失われた過去のレシピなのだ」
ペコラがそう説明すると、従業員たちはその見た目にわあっと表情を明るくしていた。見た目にはおいしそうなのだ。
「まずは二号店用の料理で済まないのだ。卵レシピは今後増やしていく予定なのだ。アファカやヘンネと相談してから正式に決めるのだ」
ペコラがこういうのも無理はない。一号店はかなり料理の種類が多い。それに比べて、二号店の方は軽食に傾倒しているのでまだ品数が少ないのだ。なので、先に二号店のテコ入れを図ったのである。本当に誰かさんとは違ってペコラには計画性というものがあるのだ。
「一応一号店用に作った料理もあるので、見て欲しいのだ」
そう言ってペコラが前に並べたのはオムレツである。中に何も入っていないプレーンオムレツと、肉や野菜などを閉じ込めたオムレツと二種類出てきた。
「卵の生産量がもっと増えたら、一号店でもじゃんじゃん卵料理を出すのだ。そのためには最低でも500個は卵が欲しいのだ」
ペコラはそう言ってフェリスを見る。
「分かったわ。今日の私は二号店の手伝いはしなくていいみたいだからね、アファカさんとヘンネに伝えておくわ」
「フェリス、頼むのだ」
そういった感じで話がまとまる。一応ペコラの作ったオムレツやケーキなどの評判は良かった。さすがは邪神一の料理人である。確かな手ごたえはそこにあった。
「ペコラ様、この料理のレシピを教えて頂けますか?」
「昼ピークが過ぎた後なら教えても構わないのだ。古の料理の復権を一緒に目指すのだ」
一人が教えを乞うと、ペコラはあっさり了承していた。おいしいものはみんなで共有という意識があるのだ。ただ、一緒の店で働く仲間だからこそ、ペコラはこういう対応をするのである。よそ者だったらかなり金額を吹っかけて売っただろう。忘れてはいけないのは、ペコラは商売人でもあるという事だ。ちなみに聖女のところでは誰にもレシピは教えていない。理由は単純に聞かれなかったからだ。そういうところが料理人であり商売人でもある邪神なのである。
「さあ、そろそろお昼に向けて本格的に準備するのだ」
「おーっ!」
ペコラが声を上げると、店内には元気な返事が響き渡る。そして、それぞれに持ち場に散っていった。それを見届けたフェリスは卵を保存魔法を掛けて倉庫にしまうと、商業組合へと再びを足を向けたのだった。
こうして今日も、一号店は元気に営業を始めたのである。
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