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第二部 王太子妃ゼリア
第47話 忙しさは終わらない
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アレスとゼリアの結婚式が行われてから、気が付けば7日ほど経過していた。結婚だけではなく、いろいろな手続きやら儀式やらがあって、気が付いたらそんなに経ってしまったのである。目が回りそうな日々だったが、アレスやマシュロが気に掛けてくれたし、グミやキャンディ、ガムからの報告の念話もあって結構気が紛らわせられた。
カレン付きの侍女だったルチアは、そのままゼリア付きの侍女へとスライドになっていた。なんだかんだで一番付き合いのあるルチアが侍女になってくれて、ゼリアは正直嬉しかった。
「今日もおきれいですよ、ゼリア様」
「ありがとう、ルチア」
ようやく自由になったゼリアだったが、いきなり王妃からお茶会の誘いである。さすがに義母の誘いは断る事はできず、こうしてルチアに身支度をしてもらっているというわけである。
「本当に、あなたがスライムだなんて信じられませんね。髪の触り心地も私たちと変わりありませんし、怪我をすれば赤い血が流れますものね」
「ははっ、成り切るからには徹底的にするわよ。人間の身体構造は把握してるしね」
「それは、どれだけ……いや、語らない方がいいですね」
「その方が賢明ね」
身支度をしながらの会話だが、ゼリアが魔物のスライムなだけに、ちょっと特殊なようである。うん、多くは語るまい。
「はい、できあがりましたよ」
ルチアの声に、ゼリアは鏡の中を覗き込む。そこにはきっちり髪が結い上げられ、化粧も済ませたゼリアの顔があった。自分でうっとりするくらいのきれいな仕上がりである。
「さすがね、ルチア」
「ありがとうございます」
最初こそ魔物相手という事でかなり冷めた態度を取っていたルチアだが、今ではすっかりお互いに信用できる間柄である。まぁ、ゼリアも今は王太子妃という立場なので、ちゃんと相手しなければならないのではあるが。
「よし、そろそろ参りましょう」
「はい、ゼリア様」
王族の茶会にふさわしいドレスに身を包んだゼリアは、王妃が指定した王族のみの入れる庭へと向かった。
庭園に着いたゼリアの前には、すでに王妃が座って紅茶を嗜んでいた。相当に待たせてしまったようだ。
「遅くなりまして、大変申し訳ございません、お義母様」
遅くなってしまったと思ったゼリアは謝罪の挨拶をする。すると、王妃は実に穏やかな顔をしてゼリアに声を掛けた。
「いいえ、天気が良かったので私が早めに来すぎてしまっただけです。気になさらないで、ゼリア」
王妃は特に咎めなかった。というわけで、ゼリアはもう一度頭を下げると、王妃の向かいに座り、その後ろにルチアが陣取った。向かい合う王妃の後ろには、以前からの侍女であるパラサとゼリアの眷属の一体であるマシュロが立っていた。マシュロはゼリアが座るタイミングで頭を下げてきた。さすがに自分の主人を無視するわけにもいかなかったようだ。
「それで、今日はどのようなお話なのでしょうか、お義母様」
ゼリアは一旦躊躇しながらも、王妃にお茶会を開いた理由を尋ねた。すると、王妃は紅茶を飲み干してからゼリアに微笑みかけた。その表情にゼリアは緊張が高まった。
「いえね、あの子と結婚したでしょ。ひと通りする事も落ち着いたから、早速新婚旅行へ行ってみてはどうかしらという話なの。ただ、おまけで外交もするんだけれどね」
「新婚旅行?」
王妃の言葉に一度は首を傾げたゼリアだったが、意味を理解すると、途端に顔を赤くしていった。まるで自分の髪色のような赤さである。
「あらあら、なかなか初々しい反応ね」
王妃が驚いたように反応している。ゼリアは魔物とはいえ、今はれっきとした純情乙女である。あまりの初心さに新婚旅行という単語の意味に悶えているのである。なに、この人間くさすぎる魔物は。
「それで、あの子とも旅行先を相談したのよ。そしたらどこを選んだと思う?」
「アレス様が決めた場所ですか? ごめんなさい、まだ人間の世界には疎くて場所がよく分からないんです」
王妃の質問に、ゼリアは恥ずかしそうにそう答えた。あれだけ書庫で本を読んでいたにもかかわらず、その辺りの知識は乏しいようだった。
すると、王妃はくすくすとおかしそうに笑いながら話を続ける。
「あらあら、そうなのね。じゃあ言うわね」
王妃から続けて出た言葉に、ゼリアは驚いた。
「ショークア王国よ。せっかく国交ができた事だし、新婚の挨拶を兼ねて外交をする事になったのよ」
「な、なんですって?」
「それに、ショークアにはこの国にはない海もあるし、あなたの眷属も居るのでしょう? だからいろいろ都合がよさそうという事で、旅行先に選んだそうよ」
驚きで固まるゼリアに、王妃はいろいろと話をしてくれた。確かに、マシュロは王妃付きの侍女とあってか顔を合わせる事が多いが、キャンディとガムは送り込んでいこう直に顔を見ていない。自分の眷属だから気に掛けてあげないと拗ねてしまいそうである。
「確かに、楽しくやってるみたいな事は言ってますけれど、会ってあげないと可哀想ですね。あと、海ですか?」
ゼリアは腕組みをしながら頭を捻っている。
「ええ、なんでも水は塩辛いらしいわね」
「塩……。うーん、スライムってほとんど水分で塩は苦手なんですよね」
王妃から塩という単語を聞いて、ゼリアはちょっと表情が硬くなった。
「あら、そうなの?」
「はい。過去、海に入って溶けたスライムも居るらしいですから。でも、海水を浴びなければ大丈夫だと思いますよ」
どうやら、塩で溶けたスライムが居たらしい。それはゼリアも警戒するはずである。
「そう、それは残念ね」
王妃は本当に残念そうな顔をしていた。だが、すぐに表情を笑顔に戻すと、
「まぁ、あなたたちの新婚旅行は私も楽しみね。どんなお土産話が出るのか想像するだけでわくわくしちゃうわ」
「は、はあ……。外交もするんですよね?」
「ええ、そうよ。まぁ面倒な事は全部あの子に任せちゃえばいいわよ」
王妃、それでいいのだろうか。ゼリアはこの時点で緊張してきた。
こうして、王太子妃としての最初の仕事が、まさかのショークア王国訪問と決まったのであった。
カレン付きの侍女だったルチアは、そのままゼリア付きの侍女へとスライドになっていた。なんだかんだで一番付き合いのあるルチアが侍女になってくれて、ゼリアは正直嬉しかった。
「今日もおきれいですよ、ゼリア様」
「ありがとう、ルチア」
ようやく自由になったゼリアだったが、いきなり王妃からお茶会の誘いである。さすがに義母の誘いは断る事はできず、こうしてルチアに身支度をしてもらっているというわけである。
「本当に、あなたがスライムだなんて信じられませんね。髪の触り心地も私たちと変わりありませんし、怪我をすれば赤い血が流れますものね」
「ははっ、成り切るからには徹底的にするわよ。人間の身体構造は把握してるしね」
「それは、どれだけ……いや、語らない方がいいですね」
「その方が賢明ね」
身支度をしながらの会話だが、ゼリアが魔物のスライムなだけに、ちょっと特殊なようである。うん、多くは語るまい。
「はい、できあがりましたよ」
ルチアの声に、ゼリアは鏡の中を覗き込む。そこにはきっちり髪が結い上げられ、化粧も済ませたゼリアの顔があった。自分でうっとりするくらいのきれいな仕上がりである。
「さすがね、ルチア」
「ありがとうございます」
最初こそ魔物相手という事でかなり冷めた態度を取っていたルチアだが、今ではすっかりお互いに信用できる間柄である。まぁ、ゼリアも今は王太子妃という立場なので、ちゃんと相手しなければならないのではあるが。
「よし、そろそろ参りましょう」
「はい、ゼリア様」
王族の茶会にふさわしいドレスに身を包んだゼリアは、王妃が指定した王族のみの入れる庭へと向かった。
庭園に着いたゼリアの前には、すでに王妃が座って紅茶を嗜んでいた。相当に待たせてしまったようだ。
「遅くなりまして、大変申し訳ございません、お義母様」
遅くなってしまったと思ったゼリアは謝罪の挨拶をする。すると、王妃は実に穏やかな顔をしてゼリアに声を掛けた。
「いいえ、天気が良かったので私が早めに来すぎてしまっただけです。気になさらないで、ゼリア」
王妃は特に咎めなかった。というわけで、ゼリアはもう一度頭を下げると、王妃の向かいに座り、その後ろにルチアが陣取った。向かい合う王妃の後ろには、以前からの侍女であるパラサとゼリアの眷属の一体であるマシュロが立っていた。マシュロはゼリアが座るタイミングで頭を下げてきた。さすがに自分の主人を無視するわけにもいかなかったようだ。
「それで、今日はどのようなお話なのでしょうか、お義母様」
ゼリアは一旦躊躇しながらも、王妃にお茶会を開いた理由を尋ねた。すると、王妃は紅茶を飲み干してからゼリアに微笑みかけた。その表情にゼリアは緊張が高まった。
「いえね、あの子と結婚したでしょ。ひと通りする事も落ち着いたから、早速新婚旅行へ行ってみてはどうかしらという話なの。ただ、おまけで外交もするんだけれどね」
「新婚旅行?」
王妃の言葉に一度は首を傾げたゼリアだったが、意味を理解すると、途端に顔を赤くしていった。まるで自分の髪色のような赤さである。
「あらあら、なかなか初々しい反応ね」
王妃が驚いたように反応している。ゼリアは魔物とはいえ、今はれっきとした純情乙女である。あまりの初心さに新婚旅行という単語の意味に悶えているのである。なに、この人間くさすぎる魔物は。
「それで、あの子とも旅行先を相談したのよ。そしたらどこを選んだと思う?」
「アレス様が決めた場所ですか? ごめんなさい、まだ人間の世界には疎くて場所がよく分からないんです」
王妃の質問に、ゼリアは恥ずかしそうにそう答えた。あれだけ書庫で本を読んでいたにもかかわらず、その辺りの知識は乏しいようだった。
すると、王妃はくすくすとおかしそうに笑いながら話を続ける。
「あらあら、そうなのね。じゃあ言うわね」
王妃から続けて出た言葉に、ゼリアは驚いた。
「ショークア王国よ。せっかく国交ができた事だし、新婚の挨拶を兼ねて外交をする事になったのよ」
「な、なんですって?」
「それに、ショークアにはこの国にはない海もあるし、あなたの眷属も居るのでしょう? だからいろいろ都合がよさそうという事で、旅行先に選んだそうよ」
驚きで固まるゼリアに、王妃はいろいろと話をしてくれた。確かに、マシュロは王妃付きの侍女とあってか顔を合わせる事が多いが、キャンディとガムは送り込んでいこう直に顔を見ていない。自分の眷属だから気に掛けてあげないと拗ねてしまいそうである。
「確かに、楽しくやってるみたいな事は言ってますけれど、会ってあげないと可哀想ですね。あと、海ですか?」
ゼリアは腕組みをしながら頭を捻っている。
「ええ、なんでも水は塩辛いらしいわね」
「塩……。うーん、スライムってほとんど水分で塩は苦手なんですよね」
王妃から塩という単語を聞いて、ゼリアはちょっと表情が硬くなった。
「あら、そうなの?」
「はい。過去、海に入って溶けたスライムも居るらしいですから。でも、海水を浴びなければ大丈夫だと思いますよ」
どうやら、塩で溶けたスライムが居たらしい。それはゼリアも警戒するはずである。
「そう、それは残念ね」
王妃は本当に残念そうな顔をしていた。だが、すぐに表情を笑顔に戻すと、
「まぁ、あなたたちの新婚旅行は私も楽しみね。どんなお土産話が出るのか想像するだけでわくわくしちゃうわ」
「は、はあ……。外交もするんですよね?」
「ええ、そうよ。まぁ面倒な事は全部あの子に任せちゃえばいいわよ」
王妃、それでいいのだろうか。ゼリアはこの時点で緊張してきた。
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