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第五章『思いはひとつ!』
一抹の望みに賭けて
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「そ、そんな……」
ミレルがよろめいている。
「どうしたのですか、ミレル!」
襲い来るミントの腕を弾き、ミレルに近寄るルナル。ミレルはがくがくと震えていて、ただならぬ雰囲気が漂っている。
「ミレル、落ち着きなさい! ミーア、しばらく頼みます!」
「お任せにゃーっ!」
ミーア一人では不安だが、今はミレルの方が心配だ。一人にしておいて、そこを狙われればひとたまりもないからだ。
ルナルはミレルに声を掛けてとにかく落ち着かせる。
「ミレル、一体何を見たのです」
ルナルが優しく声を掛けると、ミレルは驚くべき事を告げた。
「姉さんの心臓……、魔眼石と融合しています……」
なんと、ミントの心臓と魔眼石が融合しているというのだ。
「なんて……事を……」
胸部という目立つ場所に魔眼石があるという事は、単純に攻撃しづらくするためだと思っていた。ところが、現実は魔眼石と融合して肥大した心臓だったというわけなのである。
魔眼石を砕くという事は、つまり、ミントの心臓も砕く事になる。これはルナルたちにとって、とても取る事のできる選択肢ではなかった。
「ディラン……、なんてむごい事をしたのですか……っ!」
ギリッと唇をかみしめるルナル。じんわりと血がにじんでくる。
「ミレル!」
「は、はい!」
「ディスペルは使えますか?」
「精度は高くはないですが、一応は使えます」
ミレルからの返事に、少し希望を見出すルナルである。
ディスペルとは、魔法の種類や属性に関係なく、発動している魔法の効果を打ち消す魔法だ。魔眼石という魔力の塊である物質を心臓と融合させたのであるならば、間違いなくそこには魔法が使われている。ならば、ディスペルを使えば融合を解けるのではないかとルナルは考えたのだ。
「無茶ですよ。私の魔力は弱いです。ディランの魔法に比べれば、おそらくは……」
ミレルは今にも泣きそうな顔をして言葉をつぐんでしまう。
「無理だとしても、できるだけやってみましょう。何もしないうちに諦めるのは……」
ルナルはミントの方へ振り返りつつ槍を構える。
「性に合いませんからね!」
そう言い切ると、ミレルの方にちらりと視線を送る。
「私とミーアで隙を作ります。ミレルはできる限りのディスペルを叩き込んで下さい」
「……はい。分かりました!」
ミレルは涙を拭って元気よく返事をする。
方針が決まれば、ルナルとミレルが戦線に復帰する。
「待ってましたにゃ!」
ミーアが元気よく反応する。
見たところ、ミントの攻撃が時々かすっていたのか、服のあちこちに破れてしまっている。
「さすがミント姉、攻撃が正確にゃ。ミーアじゃ躱すのが精一杯にゃ」
ミーアはこんな風に言っているが、ルナルはすぐに悟った。ミーアが躱しているのではなく、ミントがわざと外しているのだ。あんな状態になりながらも、まだ抗い続けようとしているのだ。
(ミント……。こんな主で本当に申し訳ありません)
ルナルはつい泣きそうになってしまう。しかし、今はその時ではない。気を振り絞って隙を作るためにミントに攻撃を仕掛ける。
「ミーア、ミントの気を逸らすだけ逸らして下さい。もしかしたら、元に戻す事ができるかもしれません」
「了解にゃーっ!」
ミントを戻せるかもと聞いたミーアが、喜びの表情でミントに向かっていく。
「があっ!」
だが、ミントの方はほとんど正気を失っている状態だ。本当にわずかに残る意識でわざと攻撃を逸らしているという状態だった。いつまで続けられるかは分からない。ただでさえかなり無茶苦茶に体を酷使している状態だ。いつ壊れてもおかしくはなかった。
「ルナル様!」
ミレルの声が響き渡る。どうやら魔法の準備ができたようだ。
「お願いしますよ、ミレル!」
ミントの気を引きながら、ミレルに声を掛けるルナル。
「お願い……、ディスペル!」
一度目のディスペルが発動する。
「ぐっ、……があっ!!」
ところが、あえなく弾かれてしまう。ミレルの魔力がうまく溜められなかったのだろうか。
「くっ……、思った以上に魔力が強いようです」
どうやら、魔眼石の魔力の方が強くて届かなかったようだ。それでも、ミントの攻撃が一瞬止まったようで、わずかながら効果はあったようだ。
「もう一度……、ディスペル!!」
二度目のディスペルが放たれる。
「ぐぅうぅ……」
今度はうめき声を上げてしゃがみ込んだ。かなり効いているようだ。
「がああっ!!」
そう思ったのも束の間。ミントは魔法を弾くとミレルに向けて突進を始めた。
「くっ、躱さなきゃ……」
素早く反応して回避を試みるミレル。ところが、思わず体がよろめいてしまった。どうやら魔力を消耗し過ぎたようである。
元々魔法は使えない猫人だ。さすがに大きな魔法をに二発も使えば、簡単に魔力が底をついてしまうのである。
(これは躱せない……)
よろけてしまい、最悪の事態を覚悟するミレル。
だが、ミントの攻撃がミレルに命中する直前で止まった。一体何が起きたというのだろうか。
よく見ると、ミントの手足に蔓のようなものが巻き付いていた。どこからこんなものが飛んできたというのだろうか。
「ふむ、実に面倒な事になっておるようだな」
突然声が聞こえてくる。その声がする方向を見ると、そこには魔法使いのような恰好をした女性が座っていたのだった。
ミレルがよろめいている。
「どうしたのですか、ミレル!」
襲い来るミントの腕を弾き、ミレルに近寄るルナル。ミレルはがくがくと震えていて、ただならぬ雰囲気が漂っている。
「ミレル、落ち着きなさい! ミーア、しばらく頼みます!」
「お任せにゃーっ!」
ミーア一人では不安だが、今はミレルの方が心配だ。一人にしておいて、そこを狙われればひとたまりもないからだ。
ルナルはミレルに声を掛けてとにかく落ち着かせる。
「ミレル、一体何を見たのです」
ルナルが優しく声を掛けると、ミレルは驚くべき事を告げた。
「姉さんの心臓……、魔眼石と融合しています……」
なんと、ミントの心臓と魔眼石が融合しているというのだ。
「なんて……事を……」
胸部という目立つ場所に魔眼石があるという事は、単純に攻撃しづらくするためだと思っていた。ところが、現実は魔眼石と融合して肥大した心臓だったというわけなのである。
魔眼石を砕くという事は、つまり、ミントの心臓も砕く事になる。これはルナルたちにとって、とても取る事のできる選択肢ではなかった。
「ディラン……、なんてむごい事をしたのですか……っ!」
ギリッと唇をかみしめるルナル。じんわりと血がにじんでくる。
「ミレル!」
「は、はい!」
「ディスペルは使えますか?」
「精度は高くはないですが、一応は使えます」
ミレルからの返事に、少し希望を見出すルナルである。
ディスペルとは、魔法の種類や属性に関係なく、発動している魔法の効果を打ち消す魔法だ。魔眼石という魔力の塊である物質を心臓と融合させたのであるならば、間違いなくそこには魔法が使われている。ならば、ディスペルを使えば融合を解けるのではないかとルナルは考えたのだ。
「無茶ですよ。私の魔力は弱いです。ディランの魔法に比べれば、おそらくは……」
ミレルは今にも泣きそうな顔をして言葉をつぐんでしまう。
「無理だとしても、できるだけやってみましょう。何もしないうちに諦めるのは……」
ルナルはミントの方へ振り返りつつ槍を構える。
「性に合いませんからね!」
そう言い切ると、ミレルの方にちらりと視線を送る。
「私とミーアで隙を作ります。ミレルはできる限りのディスペルを叩き込んで下さい」
「……はい。分かりました!」
ミレルは涙を拭って元気よく返事をする。
方針が決まれば、ルナルとミレルが戦線に復帰する。
「待ってましたにゃ!」
ミーアが元気よく反応する。
見たところ、ミントの攻撃が時々かすっていたのか、服のあちこちに破れてしまっている。
「さすがミント姉、攻撃が正確にゃ。ミーアじゃ躱すのが精一杯にゃ」
ミーアはこんな風に言っているが、ルナルはすぐに悟った。ミーアが躱しているのではなく、ミントがわざと外しているのだ。あんな状態になりながらも、まだ抗い続けようとしているのだ。
(ミント……。こんな主で本当に申し訳ありません)
ルナルはつい泣きそうになってしまう。しかし、今はその時ではない。気を振り絞って隙を作るためにミントに攻撃を仕掛ける。
「ミーア、ミントの気を逸らすだけ逸らして下さい。もしかしたら、元に戻す事ができるかもしれません」
「了解にゃーっ!」
ミントを戻せるかもと聞いたミーアが、喜びの表情でミントに向かっていく。
「があっ!」
だが、ミントの方はほとんど正気を失っている状態だ。本当にわずかに残る意識でわざと攻撃を逸らしているという状態だった。いつまで続けられるかは分からない。ただでさえかなり無茶苦茶に体を酷使している状態だ。いつ壊れてもおかしくはなかった。
「ルナル様!」
ミレルの声が響き渡る。どうやら魔法の準備ができたようだ。
「お願いしますよ、ミレル!」
ミントの気を引きながら、ミレルに声を掛けるルナル。
「お願い……、ディスペル!」
一度目のディスペルが発動する。
「ぐっ、……があっ!!」
ところが、あえなく弾かれてしまう。ミレルの魔力がうまく溜められなかったのだろうか。
「くっ……、思った以上に魔力が強いようです」
どうやら、魔眼石の魔力の方が強くて届かなかったようだ。それでも、ミントの攻撃が一瞬止まったようで、わずかながら効果はあったようだ。
「もう一度……、ディスペル!!」
二度目のディスペルが放たれる。
「ぐぅうぅ……」
今度はうめき声を上げてしゃがみ込んだ。かなり効いているようだ。
「がああっ!!」
そう思ったのも束の間。ミントは魔法を弾くとミレルに向けて突進を始めた。
「くっ、躱さなきゃ……」
素早く反応して回避を試みるミレル。ところが、思わず体がよろめいてしまった。どうやら魔力を消耗し過ぎたようである。
元々魔法は使えない猫人だ。さすがに大きな魔法をに二発も使えば、簡単に魔力が底をついてしまうのである。
(これは躱せない……)
よろけてしまい、最悪の事態を覚悟するミレル。
だが、ミントの攻撃がミレルに命中する直前で止まった。一体何が起きたというのだろうか。
よく見ると、ミントの手足に蔓のようなものが巻き付いていた。どこからこんなものが飛んできたというのだろうか。
「ふむ、実に面倒な事になっておるようだな」
突然声が聞こえてくる。その声がする方向を見ると、そこには魔法使いのような恰好をした女性が座っていたのだった。
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