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第五章『思いはひとつ!』
先陣を切る
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アイオロスに乗って一路ミント率いる魔物軍団へと迫るルナルたち。
さすがは五色龍最速のスピードを誇るアイオロスである。あっという間にイプセルタの北側、魔族の領域である魔界に到着してしまった。
「今居るのはあの辺だな。土煙が上がってるから、お前らでもよく分かるだろうよ」
アイオロスが言うので、ルナルたちはじっと目を凝らす。
確かにイプセルタへ向かう激しい土埃が見える。どうやらあれがミントが率いる魔物の群れのようだった。
「相当の数ですね。ミントは道具も使うタイプの猫人ですし、あの魔物の数相手では私たちでも厳しいですね」
「俺も居るだろうがよ」
爪をギリッと噛むルナルに、アイオロスはしれっと言ってのけた。それに思わずきょとんとしてしまうルナルである。
「姉さんなら、私でもなんとか相手になります」
「ミント姉と戦えるなんて楽しみだにゃ~」
ミレルは厳しい表情をしながら、ミーアは実に楽しそうに言っている。こういったところを見ても、姉妹でまるっきり性格が違うのがよく分かる。
「ミントはおそらくディランによって何かをされています。いくらあなたたち二人掛かりでも厳しいでしょうね」
「だろうな。嫌な魔力を感じるぜ」
上空に居るというのに、地上の土埃の舞うあたりから禍々しいまでの魔力が感じられる。
「はっきり言ってかなりやばいが、こいつを止めないとマスター様が考えるよりも被害が広まっちまう。地上に降りるが、覚悟はいいか?」
アイオロスがルナルたちに確認をしてくる。
だが、今のルナルたちに退くという選択肢はなかった。互いに確認すると、ミントの率いる魔物の群れへと突っ込んでいったのだった。
「止まりなさい!」
何かを察知したミントは、魔物の群れの進軍を止める。
突如として風が吹き荒れ、緑色の大きなドラゴンが姿を見せた。
「……シッタの五色龍ですか」
ミレルと同様に博識なミントは、五色龍の事を知っていた。険しい表情でアイオロスを眺めている。
「いかにも。俺様は疾風龍アイオロス。お前たちの好き勝手にはさせまいと、邪魔しに来てやったぜ」
「マスタードラゴンの使いっ走りが……。この私たちの邪魔をしようとは、ただではおきませんよ!」
アイオロスに対して、ミントが激高している。ところが次の瞬間、その感情は動揺を見せる事になる。
「それは、お前の本心なのですか?」
「……この声は?!」
そう、アイオロスの背中からルナルの姿に動揺が隠しきれなかったのだ。
「姉さん」
「ミント姉」
ミレルとミーアも姿を見せると、さらに激しく動揺するミントである。予想はしていたものの、まさか三人揃って自分のところへやって来るとは思っていなかった。せいぜいどちらかだけだと思っていたミントは、そのショックによろめいてしまう。
だがしかし、ミントの方も後には退けない状況だった。予想外なのは仕方がないのだが、自分の役目を果たすしかなかった。
「……まったく、ルナル様にミレルとミーアですか。会いたくもない面々が揃いも揃ってやって来るとは……」
顔を押さえてぶつぶつと呟き始める。
「うっ……」
突如としてミントが苦しみ始める。
「姉さん?!」
「ミント姉!」
その様子を見たミレルとミーアが慌てた様子を見せる。だが、ミントはうずくまりながらもそれを制止する。
「ぐぅう……。どうやら、私も、限界のよう、ですね……」
ミントは苦しみながらも顔を上げてルナルたちの方を見る。
「ルナル様、私はもう、魔眼石の魔力、に、飲み込まれます……。もしもの時は、ひと思いに……」
言うだけ言い切ると、ミントはがくんと首を垂れて動かなくなる。
次の瞬間、ミントは立ち上がり、大きな咆哮を轟かせる。
「これは……、魔眼石の魔力に飲み込まれてしまったのですね」
「ふしゅるるるる……」
服はほとんどそのまま残ってはいるものの、ごわごわとした毛に盛り上がった筋肉。瞳の消えた鋭い目は、その狂気のほどを如実に表していた。
「ペンタホーンやゴブリックの時と同じですね。我を忘れて凶暴化してしまっています」
「ぐるわああっ!!」
目の前の光景に思わず歯を食いしばるルナルだが、凶暴化したミントは関係ないといわんばかりに、間髪入れずに襲い掛かってきた。
だが、ルナルたちはそれを難なく躱す。そして、まだ余裕のあるうちにアイオロスへと話しかける。
「アイオロスは魔物たちをお願いします。イプセルタに向かわないように無力化して下さい」
「殺しちまってもいいんだろう?」
「無理やり従わされているのでしょうが、仕方ありませんね。魔界にも被害を出すような魔物ばかりですから、思うようにして下さい」
ルナルから了承を得ると、アイオロスはものすごくご機嫌になった。
「はっ、久々に遠慮なく暴れられるぜ! 覚悟しろよ、この小物どもが!」
ミントの咆哮にも負けないくらいの大声を上げるアイオロス。その瞬間、魔物たちがアイオロス目がけて襲い掛かってきた。
こうして、イプセルタにもほど近い場所で、主従および姉妹との悲しき戦いの幕が切って落とされたのだった。
さすがは五色龍最速のスピードを誇るアイオロスである。あっという間にイプセルタの北側、魔族の領域である魔界に到着してしまった。
「今居るのはあの辺だな。土煙が上がってるから、お前らでもよく分かるだろうよ」
アイオロスが言うので、ルナルたちはじっと目を凝らす。
確かにイプセルタへ向かう激しい土埃が見える。どうやらあれがミントが率いる魔物の群れのようだった。
「相当の数ですね。ミントは道具も使うタイプの猫人ですし、あの魔物の数相手では私たちでも厳しいですね」
「俺も居るだろうがよ」
爪をギリッと噛むルナルに、アイオロスはしれっと言ってのけた。それに思わずきょとんとしてしまうルナルである。
「姉さんなら、私でもなんとか相手になります」
「ミント姉と戦えるなんて楽しみだにゃ~」
ミレルは厳しい表情をしながら、ミーアは実に楽しそうに言っている。こういったところを見ても、姉妹でまるっきり性格が違うのがよく分かる。
「ミントはおそらくディランによって何かをされています。いくらあなたたち二人掛かりでも厳しいでしょうね」
「だろうな。嫌な魔力を感じるぜ」
上空に居るというのに、地上の土埃の舞うあたりから禍々しいまでの魔力が感じられる。
「はっきり言ってかなりやばいが、こいつを止めないとマスター様が考えるよりも被害が広まっちまう。地上に降りるが、覚悟はいいか?」
アイオロスがルナルたちに確認をしてくる。
だが、今のルナルたちに退くという選択肢はなかった。互いに確認すると、ミントの率いる魔物の群れへと突っ込んでいったのだった。
「止まりなさい!」
何かを察知したミントは、魔物の群れの進軍を止める。
突如として風が吹き荒れ、緑色の大きなドラゴンが姿を見せた。
「……シッタの五色龍ですか」
ミレルと同様に博識なミントは、五色龍の事を知っていた。険しい表情でアイオロスを眺めている。
「いかにも。俺様は疾風龍アイオロス。お前たちの好き勝手にはさせまいと、邪魔しに来てやったぜ」
「マスタードラゴンの使いっ走りが……。この私たちの邪魔をしようとは、ただではおきませんよ!」
アイオロスに対して、ミントが激高している。ところが次の瞬間、その感情は動揺を見せる事になる。
「それは、お前の本心なのですか?」
「……この声は?!」
そう、アイオロスの背中からルナルの姿に動揺が隠しきれなかったのだ。
「姉さん」
「ミント姉」
ミレルとミーアも姿を見せると、さらに激しく動揺するミントである。予想はしていたものの、まさか三人揃って自分のところへやって来るとは思っていなかった。せいぜいどちらかだけだと思っていたミントは、そのショックによろめいてしまう。
だがしかし、ミントの方も後には退けない状況だった。予想外なのは仕方がないのだが、自分の役目を果たすしかなかった。
「……まったく、ルナル様にミレルとミーアですか。会いたくもない面々が揃いも揃ってやって来るとは……」
顔を押さえてぶつぶつと呟き始める。
「うっ……」
突如としてミントが苦しみ始める。
「姉さん?!」
「ミント姉!」
その様子を見たミレルとミーアが慌てた様子を見せる。だが、ミントはうずくまりながらもそれを制止する。
「ぐぅう……。どうやら、私も、限界のよう、ですね……」
ミントは苦しみながらも顔を上げてルナルたちの方を見る。
「ルナル様、私はもう、魔眼石の魔力、に、飲み込まれます……。もしもの時は、ひと思いに……」
言うだけ言い切ると、ミントはがくんと首を垂れて動かなくなる。
次の瞬間、ミントは立ち上がり、大きな咆哮を轟かせる。
「これは……、魔眼石の魔力に飲み込まれてしまったのですね」
「ふしゅるるるる……」
服はほとんどそのまま残ってはいるものの、ごわごわとした毛に盛り上がった筋肉。瞳の消えた鋭い目は、その狂気のほどを如実に表していた。
「ペンタホーンやゴブリックの時と同じですね。我を忘れて凶暴化してしまっています」
「ぐるわああっ!!」
目の前の光景に思わず歯を食いしばるルナルだが、凶暴化したミントは関係ないといわんばかりに、間髪入れずに襲い掛かってきた。
だが、ルナルたちはそれを難なく躱す。そして、まだ余裕のあるうちにアイオロスへと話しかける。
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「無理やり従わされているのでしょうが、仕方ありませんね。魔界にも被害を出すような魔物ばかりですから、思うようにして下さい」
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「はっ、久々に遠慮なく暴れられるぜ! 覚悟しろよ、この小物どもが!」
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