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第一章
第21話 魔界鳥を連れに
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オーソンに頼んだのは正解だった。
暫定的にではあるものの、今居るオーソンの部下を数名回してもらえる事になった。
「ありがとうございます。そちらも大変でしょうに、わざわざ人を回して頂きまして……」
非常に申し訳なさそうに言うミルフィ。
「いえいえ。それにしても意外ですね、そこまで謙虚な方だとは思いませんでしたよ。年齢の割にはしっかりしておられるので、安心できますね」
思わず微笑んでしまうオーソンだった。
バタバタと出て行くミルフィを見送るオーソン。
「……この街は魔界とは近い場所ですが、魔界の一部にでもするおつもりですかね、ミルフィさんは……」
一人残ったオーソンはそんな事を呟いたのだった。
―――
オーソンとのやり取りを終えたミルフィは、単独で魔界の森へと飛んでいく。魔族の姫様だから、飛行魔法くらい当たり前の芸当である。
魔界鳥が多く生息する地域にやって来たミルフィ。
「さて、ピレシーは引っ込んでいて。食いちぎられちゃうわ」
”うむ、そうだな。気を付けるのだぞ、主”
ミルフィの気遣いに従って姿を消すピレシー。
改めてふんすと鼻息荒くしながら魔界鳥の群れを見るミルフィ。それにしても、魔界鳥と言いながらも、見た目は実におっとりとしていている。この鳥は魔界にしか住んでいないから魔界鳥と呼ばれるのである。
この中からとりあえず一組の番を連れて帰るのが本日のミッションである。
(できる限りはぐれてそうなのがいいかしらね……)
おっとりしているものの、仲間意識が強い。下手に襲い掛かると集団で反撃を仕掛けてくるのがこの魔界鳥なのだ。
覚悟を決めて魔界長に近付いていくミルフィ。どう見てもはぐれている個体が居なさそうなので、反撃覚悟で乗り込んだのである。
ミルフィが姿を見せると、魔界鳥が一斉に視線を向けてくる。その光景に、思わず足を止めてしまうミルフィである。
ところが、次の瞬間に信じられない光景を見る事になる。
魔界鳥たちがきょろきょろと自分たちを見た後、4羽ほどがミルフィに近付いたのだ。
思わず驚いてしまうミルフィだったが、魔界鳥の様子を見て察してしまう。
「もしかして、私について来てくれるの?」
「クエッ」
ミルフィが声を掛けると、鳴いて答えてくれる。魔界鳥の意外な行動に、ミルフィはつい涙が出そうになってしまう。
「ありがとうね」
ミルフィは目の前に来てくれて魔界鳥たちの頭を1羽ずつ撫でておいた。
「みんなも、わざわざ私のためにありがとう」
ちょっとした祝福の魔法を掛けて、ミルフィは4羽の魔界鳥を連れて街へと戻っていった。
―――
商会へと戻ったミルフィは、早速裏庭にあるピレシーの建てた鳥小屋へと急ぐ。ちなみに今のミルフィの姿はというと、両肩と両腕に魔界鳥を止まらせるというとんでもない姿である。
「戻りました。ティア、ティアは居ますか?」
「はい、こちら……に?!」
呼び出されて反応したティアがぎょっとした表情でミルフィを見ている。魔界鳥を自分の体に止まらせているのだから、ティアが驚くのも無理はないというものだ。
「ミルフィ様、そのお姿は?!」
「まあ、気にしないで下さいな。それよりも、餌になりそうなものを持ってきて下さい」
「か、畏まりました」
気持ちの落ち着かないティアは、とりあえずミルフィの言う通りに、魔界鳥の餌を取りに行った。
「ふふっ、今日からここがお前たちの家ですよ。……ピレシー」
”なんですかな、主”
「この子たちの巣に使えそうなものを作る事はできるかしら」
”お任せあれ。鳥の飼育も食事に関連した事。余裕で我の力の及ぶ範囲だ”
ミルフィの問い掛けに、あっという間に藁やら木の枝やらを作り出してしまうピレシー。これらもすべてミルフィの魔力を使って作り出したものだ。ミルフィが生きている限り無くなる事はない。
小屋の中に入った魔界鳥は、早速巣を整え始める。おとなしいとはいえ、普通ならばこんな事は起きないはずである。これが魔族の姫たるミルフィの能力なのだろうか。ピレシーも空中に浮かびながら、改めてミルフィという存在を考えさせられる光景だった。
意外とあっさりだったものの、これで魔界鳥の卵も少しずつ手に入るようになるはずである。最初に産んだ卵は数を増やすためにそのまま孵化させる予定である。飼育する魔界鳥の数を増やさない事には、卵の供給が増やせないから仕方のない話なのである。
最初のうちはミルフィたちとティアとで交代しながら様子を見る事になった。
それから数日後のこと、商会にオーソンがやって来た。数名の人員を引き連れての事である。
「オーソンさん、ようこそいらっしゃいました。今日はどのようなご用件ですか?」
魔界鳥の世話を終えて、ミルフィは服装を整えながらオーソンに対応する。
「先日頼まれました人員を連れて参りました。商業組合からの紹介もありますが、人員的には信用できる人たちばかりですよ」
オーソンが用件を話すと、連れられてきた人物たちが一斉に頭を下げていた。
暫定的にではあるものの、今居るオーソンの部下を数名回してもらえる事になった。
「ありがとうございます。そちらも大変でしょうに、わざわざ人を回して頂きまして……」
非常に申し訳なさそうに言うミルフィ。
「いえいえ。それにしても意外ですね、そこまで謙虚な方だとは思いませんでしたよ。年齢の割にはしっかりしておられるので、安心できますね」
思わず微笑んでしまうオーソンだった。
バタバタと出て行くミルフィを見送るオーソン。
「……この街は魔界とは近い場所ですが、魔界の一部にでもするおつもりですかね、ミルフィさんは……」
一人残ったオーソンはそんな事を呟いたのだった。
―――
オーソンとのやり取りを終えたミルフィは、単独で魔界の森へと飛んでいく。魔族の姫様だから、飛行魔法くらい当たり前の芸当である。
魔界鳥が多く生息する地域にやって来たミルフィ。
「さて、ピレシーは引っ込んでいて。食いちぎられちゃうわ」
”うむ、そうだな。気を付けるのだぞ、主”
ミルフィの気遣いに従って姿を消すピレシー。
改めてふんすと鼻息荒くしながら魔界鳥の群れを見るミルフィ。それにしても、魔界鳥と言いながらも、見た目は実におっとりとしていている。この鳥は魔界にしか住んでいないから魔界鳥と呼ばれるのである。
この中からとりあえず一組の番を連れて帰るのが本日のミッションである。
(できる限りはぐれてそうなのがいいかしらね……)
おっとりしているものの、仲間意識が強い。下手に襲い掛かると集団で反撃を仕掛けてくるのがこの魔界鳥なのだ。
覚悟を決めて魔界長に近付いていくミルフィ。どう見てもはぐれている個体が居なさそうなので、反撃覚悟で乗り込んだのである。
ミルフィが姿を見せると、魔界鳥が一斉に視線を向けてくる。その光景に、思わず足を止めてしまうミルフィである。
ところが、次の瞬間に信じられない光景を見る事になる。
魔界鳥たちがきょろきょろと自分たちを見た後、4羽ほどがミルフィに近付いたのだ。
思わず驚いてしまうミルフィだったが、魔界鳥の様子を見て察してしまう。
「もしかして、私について来てくれるの?」
「クエッ」
ミルフィが声を掛けると、鳴いて答えてくれる。魔界鳥の意外な行動に、ミルフィはつい涙が出そうになってしまう。
「ありがとうね」
ミルフィは目の前に来てくれて魔界鳥たちの頭を1羽ずつ撫でておいた。
「みんなも、わざわざ私のためにありがとう」
ちょっとした祝福の魔法を掛けて、ミルフィは4羽の魔界鳥を連れて街へと戻っていった。
―――
商会へと戻ったミルフィは、早速裏庭にあるピレシーの建てた鳥小屋へと急ぐ。ちなみに今のミルフィの姿はというと、両肩と両腕に魔界鳥を止まらせるというとんでもない姿である。
「戻りました。ティア、ティアは居ますか?」
「はい、こちら……に?!」
呼び出されて反応したティアがぎょっとした表情でミルフィを見ている。魔界鳥を自分の体に止まらせているのだから、ティアが驚くのも無理はないというものだ。
「ミルフィ様、そのお姿は?!」
「まあ、気にしないで下さいな。それよりも、餌になりそうなものを持ってきて下さい」
「か、畏まりました」
気持ちの落ち着かないティアは、とりあえずミルフィの言う通りに、魔界鳥の餌を取りに行った。
「ふふっ、今日からここがお前たちの家ですよ。……ピレシー」
”なんですかな、主”
「この子たちの巣に使えそうなものを作る事はできるかしら」
”お任せあれ。鳥の飼育も食事に関連した事。余裕で我の力の及ぶ範囲だ”
ミルフィの問い掛けに、あっという間に藁やら木の枝やらを作り出してしまうピレシー。これらもすべてミルフィの魔力を使って作り出したものだ。ミルフィが生きている限り無くなる事はない。
小屋の中に入った魔界鳥は、早速巣を整え始める。おとなしいとはいえ、普通ならばこんな事は起きないはずである。これが魔族の姫たるミルフィの能力なのだろうか。ピレシーも空中に浮かびながら、改めてミルフィという存在を考えさせられる光景だった。
意外とあっさりだったものの、これで魔界鳥の卵も少しずつ手に入るようになるはずである。最初に産んだ卵は数を増やすためにそのまま孵化させる予定である。飼育する魔界鳥の数を増やさない事には、卵の供給が増やせないから仕方のない話なのである。
最初のうちはミルフィたちとティアとで交代しながら様子を見る事になった。
それから数日後のこと、商会にオーソンがやって来た。数名の人員を引き連れての事である。
「オーソンさん、ようこそいらっしゃいました。今日はどのようなご用件ですか?」
魔界鳥の世話を終えて、ミルフィは服装を整えながらオーソンに対応する。
「先日頼まれました人員を連れて参りました。商業組合からの紹介もありますが、人員的には信用できる人たちばかりですよ」
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