メシマセ!魔王女ちゃん

未羊

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おまけ

番外編2 ピレシーの独り語り(第16話時点)

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 我の名前はピレシー。すべて世界のすべての食に関する知識を有する魔導書ぞ。
 そんなに構えなくともよい。我は諸君の脳内に直接語り掛けているのだ。我の力を持ってすれば、この程度赤子の手をひねるより簡単ぞ。
 なに、我に掛かれば次元の壁を飛び越えるなど造作もない事よ。我はどこにでも居り、またどこにも存在しないのだからな。我は概念のような存在よ。諸君には分かりやすい形で魔導書という体を取っているにすぎぬ。

 さて、我についていろいろと諸君も気になっている事だろう。
 そこで今回は我について少々話をしようと思うぞ。

 先程も申した通り、我はすべての世界のすべての食に通じる存在だ。すべてのというのは文字通りだ。この世に存在するすべての世界を指す。今の主たるミルフィ殿の世界はもちろんだが、諸君の世界はおろか、諸君の創作世界にも通じておる。
 料理にしてみても、その調理法から必要な材料の分量も完璧に把握しておる。それに加えて材料の確保の仕方に育て方など、すべての根源からすべて網羅しているのだ。ふはははは、どうだすごかろう?
 ……おほん、柄にもない笑い方をしてしまったな。気分を害したのであれば謝罪しよう。

 我の能力というのは留まるところを知らぬ。
 劇中でも披露しておるが、主の魔力を使用する事で、あらゆるものを再現する事もできる。ただし、主の魔力の質と量によってその限度というものはあるがな。
 今の主はさすが魔族の姫様とあってか、質も量も目を見張るものがある。今までに主としてきた人物の中では最高クラスではないだろうかな。
 だからこそ、獣肉の再現もする事ができた。本当に素晴らしい限りぞ。
 今までの主の中には魔力も持たぬ者も居たからな。その時はさすがに苦戦した覚えがあるぞ。

 チョコレートという名称からも分かるが、諸君の世界において、チェチェカの実はカカオ、スェトーは砂糖に該当するものだ。
 だが、スェトーの種類自体はイネや小麦のように穂先に実を付けるタイプの植物だ。その殻を剥いで中身をすり潰すと、砂糖のような甘味を持つ粉末ができ上がるというわけだ。
 もちろん、すり潰さなくとも実のままでもそれなり甘みを持ってはいるがな。ただ、その場合は思ったよりは甘くはならない。すり潰す事で初めて甘みが強く出るようになるのだよ。
 チェチェカの実の方は、カカオそのものだな。加工自体は面倒だが、そこはこの世界の場合、魔法でもどうとでもできる。ご都合主義というものだ、あまり気にするな。

 我から見て今の主、ミルフィ殿というのは可能性の塊という評価だ。
 我を呼び出すほどに、食へのこだわりが強いのだからな。
 調理法などもかなり厳しめに教えているのだが、それでもしっかりついて来ている。今までの主もそうだったが、それだけ食に対して真剣だという事だな。
 まったく、食の魔導書としてこれほどまでに嬉しいものはない。悔しいものだが、我自身では何もできぬのだからな。しょせん魔導書は魔導書というわけだ。実にもどかしいものだ。

 しかし、食による世界征服か。主も大きく出たものだ。
 ここまでの様子を見ている限り、主の人望は悪くはない。料理の腕前も大したものだ。これならば主は成し遂げるやもしれぬ。
 問題に直面しても諦めぬその精神もある。それゆえ、我もできる限り力を貸してやろうと考えておるのだ。
 今までにないタイプ主ゆえに我も戸惑うところはあるが、この主であるがゆえに我も期待をしてしまうというもの。
 その行く末、最後まで近くで見届けさせてもらうとしようか。
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