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Mission163
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「よくお越し下さいました。ボクがファルーダン王国第五王子ギルソン・アーディリオ・ファルーダンです」
ソリエア王国からの使者を部屋を通すと、中で待ち構えていたギルソンが丁寧に挨拶をしている。その姿に、思わず驚いてしまう使者たちだった。
無理もないだろう。ファルーダン王国の一番の脅威として恐れられている人物が、まだ年端もいかないような少年だったのだから。その意外な事実に、使者たちは思わず言葉を失ってしまっているのである。
「ささっ、長旅でお疲れでしょう。そこにお掛け手になって下さい。アリス、飲み物と食べ物を」
「はい、マイマスター」
ギルソンに命じられて厨房へと移動していくアリス。
朝食にはまだ時間が早いし、いろいろと秘密の話もあるのでギルソンの私室での話というわけだ。
「俺たちもいても構わないか、ギルソン」
「はい、アインダード兄様とスーリガン兄様もご同席して頂いて問題ありません。ここまで使者を連れてきた功労者をないがしろにするわけがないじゃないですか」
「まぁ、そうですね」
にっこりと微笑むギルソンの言葉に、すんなりと納得するスーリガンである。シュヴァリエに付き合わされてギルソンを敵視する側にいたのが嘘のようである。
「それよりも兄様方、アリス、ちゃっかりやらかしてませんでしたか?」
「ギルソン、まるで見てきたかのような言い方だな」
にっこりと微笑みながら確認をしてくるギルソンに、アインダードは困惑しながら反応している。
「ボクがアリスに許可したのは鉄道を敷くことです。ですが、アリスはお節介焼きなので絶対余計なことをしていると確信していますよ」
「なんでしょうね、その妙な信頼感みたいなのは……」
スーリガンも思わず引いている。
「はい、ギルソン殿下の仰る通り、国境付近に緑や穀物をあふれ返させておりました。アリスさんの魔法を直に見るのはそう多くはございませんが、戻ってきた時には驚かされましたね」
反応に困っている王子たちに代わって全部話してしまうアエスである。オートマタは基本的に隠し事は苦手だから仕方がない。
「俺はマスターとしょっちゅう行動していて城にほとんど滞在してなかったからよくは知らなかったが、アリスの魔法はオートマタのそれを軽々と上回っている。俺たちが国境を出てからたかだか十日ほどであんなものを作り上げているんだからな」
両腕を組んでドルもかなり不機嫌そうな様子だった。アインダードのオートマタとして、ちょっとしたプライドがあったのだろう。
だが、アリスがあれだけの規格外な事を連発すれば、それはもうプライドというものはずたずたなのである。
「まったくみなさん酷いですね。私が常識しらずの化け物みたいに言わないで下さいませんか?」
「うおっ!」
部屋の入口を見ると、アリスが厨房からも戻ってきていた。相変わらず規格外の戻ってくるのが早い。
ギルソンの部屋と厨房はそれなりに距離が離れているのだから、ドルですら驚くのは無理もないというものだ。
「しばらくくつろいでいて下さい。朝食の席で父上と話をさせて頂きますので」
ギルソンは使者たちにこう告げるとアリスの方を向く。
「アリス、その間この方たちの事をお願いしますね」
「承知致しました、マイマスター」
アリスが返事をすると、ギルソン、アインダード、スーリガンの三人が朝食のために部屋を出ていく。オートマタ勢はアエスだけがその後をついて行った。
「お迎えの兵士諸君、君たちも持ち場に戻っていいぞ。後のことは俺とアリスに任せておいてくれ」
「はっ、それでは我々はこれで失礼致します」
迎えに来た兵士たちが部屋を出ていく。
部屋にはアリスとドル、それとソリエア王国からの使者だけが残された。彼らの目の前にはアリスが厨房から持ってきた食事が置かれている。
「あら、お召し上がりにならないのですかね」
紅茶は飲んではいたものの食事にまったく手が付けられていなかったので、アリスはつい聞いてしまう。
「紅茶を飲まれたのでしたら、もはや食事に手をつけても変わらないと思いますよ。あなた方はオートマタが毒を仕込むと思ってらっしゃるのかしら」
アリスに少し脅されるような形で声を掛けられると、使者たちは相談するように顔を向き合わせて、仕方がないような感じで食事に手を付け始めた。まったく、警戒し過ぎというものだ。
「おそらくは朝食を済まされると、国王陛下たちとの謁見という運びになりますでしょう。しっかりと心の準備のほどをお願い致します」
「うぐっ!」
アリスの言葉に、思わず食事をのどに詰まらせかける使者たちである。
「おいおい、アリス。あまり脅すもんじゃないぞ」
「……そうでございましたね。失礼致しました」
その後は、使者た食事を済ませるのを淡々と眺めていた。
しばらく待っていると、アエスが部屋に戻ってくる。
「あの、国王陛下がお呼びでございます」
ドアから半分体を覗かせるようにしながら話すアエス。さっきまで堂々としていたというのに、ここにきて気弱なところが顔を覗かせているようだった。
「それでは、参りましょうか」
こうして、ソリエア王国からの使者たちは、いよいよファルーダン国王と謁見することになったのだった。無事に交渉が行えるのか、二人は手と足が同時に出るくらいに緊張しているのだった。
ソリエア王国からの使者を部屋を通すと、中で待ち構えていたギルソンが丁寧に挨拶をしている。その姿に、思わず驚いてしまう使者たちだった。
無理もないだろう。ファルーダン王国の一番の脅威として恐れられている人物が、まだ年端もいかないような少年だったのだから。その意外な事実に、使者たちは思わず言葉を失ってしまっているのである。
「ささっ、長旅でお疲れでしょう。そこにお掛け手になって下さい。アリス、飲み物と食べ物を」
「はい、マイマスター」
ギルソンに命じられて厨房へと移動していくアリス。
朝食にはまだ時間が早いし、いろいろと秘密の話もあるのでギルソンの私室での話というわけだ。
「俺たちもいても構わないか、ギルソン」
「はい、アインダード兄様とスーリガン兄様もご同席して頂いて問題ありません。ここまで使者を連れてきた功労者をないがしろにするわけがないじゃないですか」
「まぁ、そうですね」
にっこりと微笑むギルソンの言葉に、すんなりと納得するスーリガンである。シュヴァリエに付き合わされてギルソンを敵視する側にいたのが嘘のようである。
「それよりも兄様方、アリス、ちゃっかりやらかしてませんでしたか?」
「ギルソン、まるで見てきたかのような言い方だな」
にっこりと微笑みながら確認をしてくるギルソンに、アインダードは困惑しながら反応している。
「ボクがアリスに許可したのは鉄道を敷くことです。ですが、アリスはお節介焼きなので絶対余計なことをしていると確信していますよ」
「なんでしょうね、その妙な信頼感みたいなのは……」
スーリガンも思わず引いている。
「はい、ギルソン殿下の仰る通り、国境付近に緑や穀物をあふれ返させておりました。アリスさんの魔法を直に見るのはそう多くはございませんが、戻ってきた時には驚かされましたね」
反応に困っている王子たちに代わって全部話してしまうアエスである。オートマタは基本的に隠し事は苦手だから仕方がない。
「俺はマスターとしょっちゅう行動していて城にほとんど滞在してなかったからよくは知らなかったが、アリスの魔法はオートマタのそれを軽々と上回っている。俺たちが国境を出てからたかだか十日ほどであんなものを作り上げているんだからな」
両腕を組んでドルもかなり不機嫌そうな様子だった。アインダードのオートマタとして、ちょっとしたプライドがあったのだろう。
だが、アリスがあれだけの規格外な事を連発すれば、それはもうプライドというものはずたずたなのである。
「まったくみなさん酷いですね。私が常識しらずの化け物みたいに言わないで下さいませんか?」
「うおっ!」
部屋の入口を見ると、アリスが厨房からも戻ってきていた。相変わらず規格外の戻ってくるのが早い。
ギルソンの部屋と厨房はそれなりに距離が離れているのだから、ドルですら驚くのは無理もないというものだ。
「しばらくくつろいでいて下さい。朝食の席で父上と話をさせて頂きますので」
ギルソンは使者たちにこう告げるとアリスの方を向く。
「アリス、その間この方たちの事をお願いしますね」
「承知致しました、マイマスター」
アリスが返事をすると、ギルソン、アインダード、スーリガンの三人が朝食のために部屋を出ていく。オートマタ勢はアエスだけがその後をついて行った。
「お迎えの兵士諸君、君たちも持ち場に戻っていいぞ。後のことは俺とアリスに任せておいてくれ」
「はっ、それでは我々はこれで失礼致します」
迎えに来た兵士たちが部屋を出ていく。
部屋にはアリスとドル、それとソリエア王国からの使者だけが残された。彼らの目の前にはアリスが厨房から持ってきた食事が置かれている。
「あら、お召し上がりにならないのですかね」
紅茶は飲んではいたものの食事にまったく手が付けられていなかったので、アリスはつい聞いてしまう。
「紅茶を飲まれたのでしたら、もはや食事に手をつけても変わらないと思いますよ。あなた方はオートマタが毒を仕込むと思ってらっしゃるのかしら」
アリスに少し脅されるような形で声を掛けられると、使者たちは相談するように顔を向き合わせて、仕方がないような感じで食事に手を付け始めた。まったく、警戒し過ぎというものだ。
「おそらくは朝食を済まされると、国王陛下たちとの謁見という運びになりますでしょう。しっかりと心の準備のほどをお願い致します」
「うぐっ!」
アリスの言葉に、思わず食事をのどに詰まらせかける使者たちである。
「おいおい、アリス。あまり脅すもんじゃないぞ」
「……そうでございましたね。失礼致しました」
その後は、使者た食事を済ませるのを淡々と眺めていた。
しばらく待っていると、アエスが部屋に戻ってくる。
「あの、国王陛下がお呼びでございます」
ドアから半分体を覗かせるようにしながら話すアエス。さっきまで堂々としていたというのに、ここにきて気弱なところが顔を覗かせているようだった。
「それでは、参りましょうか」
こうして、ソリエア王国からの使者たちは、いよいよファルーダン国王と謁見することになったのだった。無事に交渉が行えるのか、二人は手と足が同時に出るくらいに緊張しているのだった。
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