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Mission161
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アリスが国境に到着してから二日後のこと、国境へとアインダードとスーリガンが戻ってくる。そこにはソリエア王国の使者たちも同行していた。
「なんだ、こりゃあ……」
思わず声を出してしまうアインダードだ。
「どうなってるんだ、これは……」
ソリエア王国の使者も驚きを隠せない。なにせ間違いなく殺風景だった国境地帯が緑があふれる状態になっていたのだから。どう見てみても十数日程度で起こりえる変化ではなかったのだ。
驚きで固まるアインダードたちを、アリスたちが出迎える。
「お帰りなさいませ、アインダード殿下、スーリガン殿下」
「アリス?!」
出迎えにやって来たアリスの姿に驚く二人。だが、彼らのオートマタであるドルとアエスはまったくもって驚く様子はなかった。
「どうしてここに来ているんですか。ギルソンのそばにいるのではないのですか?」
スーリガンが近寄って問い質してくる。しかし、アリスはすました表情のままだし、スーリガンのオートマタであるアエスの反応も乏しかった。
「マスター、相手はギルソン殿下のアリスさんですよ。甘く見過ぎなのでは?」
「むぅ、それもそうだな……」
アエスに指摘されて納得してしまうスーリガンである。
(私ってば、そんな風に思われているのですね……)
呆れたような反応を示すアリスだが、それだけの実績があるのだから仕方がない。
「お前たちの方は出迎えか?」
「はっ、ギルソン殿下からの命令でお出迎えに上がりました」
「あいつめ……。本当に食えない弟だな」
兵士たちの返答に思わず苦笑いをするアインダードである。
アリスや迎えの兵士たちから話を聞いたアインダードは、ソリエア王国の使者たちへと声を掛ける。
「お前たちは運がよかったな。こいつらがいれば安心安全に王都まで移動ができる。その様子を見る限り、移動手段はもう確保されているんだろ?」
話をしながらアインダードは、アリスへと視線と微笑みを向ける。
「ええ、もちろんでございます。こちらへどうぞ」
「おいおい、マジかよ……」
振りのつもりだったアインダードだが、アリスの反応には心底驚いたようだった。
そして、アリスに案内された先でもう一度驚く。
「こんなのなかったよな……」
「ええ、ございませんでした」
アインダードですらあんぐりと口を開けて驚いている。
それもそうだろう。目の前には鉄道の駅が建設されていたからだ。アインダードがファルーダンの王都を発ってから二十日経ったかどうかという日数である。その間にこの国境まで鉄道が建設されているのだから、驚くなという方が無理である。
「アエスは知っていましたか?」
「いいえ、知りません。ですが、アリス様ならやりかねないかと存じます」
スーリガンの問い掛けに、アエスは淡々と答えていた。オートマタたちは、アリスの行動にはいちいち驚かなくなっていたのだ。そもそも、オートマタというのはそれほど感情豊かではない。なので、この程度の反応は普通なのである。
「王都に向かわれるのでしたら、早速向かいましょう。試運転のため徐行運転とはなりますが、一日かからずにファルーダンの王都まで移動することができます」
淡々と説明するアリスに、ソリエア王国の使者はもとより、アインダードやスーリガンも理解が追いつかないようだった。
「さあ、早く乗って下さい」
呆然とするアインダードたちを急かすアリス。その様子を前に、アインダードとスーリガンは顔を見合わせている。
「これは現実を受け入れて乗り込んだ方がよさそうだな」
「私も……そう思います」
二人の王子はもう考えるのをやめた。なので、他の面々の説得に回ることにした。
その結果、あっさりと列車に乗り込むことが決まり、アインダードたちは一気に王都へと戻ることになる。もちろん、出迎えに来た兵士たちの馬もだ。
「これが列車か。よく思えば初めて乗ったな」
アインダードが列車の内装を物珍しそうに眺めている。
「このようなものが、ちゃんと動くのでしょうかね」
ソリエア王国の使者たちは疑心暗鬼である。なにせ、鉄道というものを直に見るのはこれが初めてだからだ。動いているところ見ているアインダードたちファルーダンの人間とは、明らかに違う反応である。
しっかりと準備が整ったところで、アリスが合図を送って列車を発進させる。運転手となるオートマタが魔法石に魔力を送り込み、列車がゆっくりと進み始める。
「ううう、動い、動いてるぞ?!」
使者たちが慌てふためいている。
「座っていて下さい。危ないですからね」
アリスに注意されて、驚いて立ち上がった使者たちは座席に座り直す。
「はっはっはっはっ、オートマタの使う魔法の力を甘く見てもらっては困りますな」
なぜか自慢げに大笑いするアインダードである。これにはスーリガンも迎えに来た兵士たちも苦笑いである。アリスもどう反応していいのか対応に困っていた。
アインダードのおかげでなんとも気まずい空気のまま、列車はファルーダンの王都へ向けて走り続けたのだった。
「なんだ、こりゃあ……」
思わず声を出してしまうアインダードだ。
「どうなってるんだ、これは……」
ソリエア王国の使者も驚きを隠せない。なにせ間違いなく殺風景だった国境地帯が緑があふれる状態になっていたのだから。どう見てみても十数日程度で起こりえる変化ではなかったのだ。
驚きで固まるアインダードたちを、アリスたちが出迎える。
「お帰りなさいませ、アインダード殿下、スーリガン殿下」
「アリス?!」
出迎えにやって来たアリスの姿に驚く二人。だが、彼らのオートマタであるドルとアエスはまったくもって驚く様子はなかった。
「どうしてここに来ているんですか。ギルソンのそばにいるのではないのですか?」
スーリガンが近寄って問い質してくる。しかし、アリスはすました表情のままだし、スーリガンのオートマタであるアエスの反応も乏しかった。
「マスター、相手はギルソン殿下のアリスさんですよ。甘く見過ぎなのでは?」
「むぅ、それもそうだな……」
アエスに指摘されて納得してしまうスーリガンである。
(私ってば、そんな風に思われているのですね……)
呆れたような反応を示すアリスだが、それだけの実績があるのだから仕方がない。
「お前たちの方は出迎えか?」
「はっ、ギルソン殿下からの命令でお出迎えに上がりました」
「あいつめ……。本当に食えない弟だな」
兵士たちの返答に思わず苦笑いをするアインダードである。
アリスや迎えの兵士たちから話を聞いたアインダードは、ソリエア王国の使者たちへと声を掛ける。
「お前たちは運がよかったな。こいつらがいれば安心安全に王都まで移動ができる。その様子を見る限り、移動手段はもう確保されているんだろ?」
話をしながらアインダードは、アリスへと視線と微笑みを向ける。
「ええ、もちろんでございます。こちらへどうぞ」
「おいおい、マジかよ……」
振りのつもりだったアインダードだが、アリスの反応には心底驚いたようだった。
そして、アリスに案内された先でもう一度驚く。
「こんなのなかったよな……」
「ええ、ございませんでした」
アインダードですらあんぐりと口を開けて驚いている。
それもそうだろう。目の前には鉄道の駅が建設されていたからだ。アインダードがファルーダンの王都を発ってから二十日経ったかどうかという日数である。その間にこの国境まで鉄道が建設されているのだから、驚くなという方が無理である。
「アエスは知っていましたか?」
「いいえ、知りません。ですが、アリス様ならやりかねないかと存じます」
スーリガンの問い掛けに、アエスは淡々と答えていた。オートマタたちは、アリスの行動にはいちいち驚かなくなっていたのだ。そもそも、オートマタというのはそれほど感情豊かではない。なので、この程度の反応は普通なのである。
「王都に向かわれるのでしたら、早速向かいましょう。試運転のため徐行運転とはなりますが、一日かからずにファルーダンの王都まで移動することができます」
淡々と説明するアリスに、ソリエア王国の使者はもとより、アインダードやスーリガンも理解が追いつかないようだった。
「さあ、早く乗って下さい」
呆然とするアインダードたちを急かすアリス。その様子を前に、アインダードとスーリガンは顔を見合わせている。
「これは現実を受け入れて乗り込んだ方がよさそうだな」
「私も……そう思います」
二人の王子はもう考えるのをやめた。なので、他の面々の説得に回ることにした。
その結果、あっさりと列車に乗り込むことが決まり、アインダードたちは一気に王都へと戻ることになる。もちろん、出迎えに来た兵士たちの馬もだ。
「これが列車か。よく思えば初めて乗ったな」
アインダードが列車の内装を物珍しそうに眺めている。
「このようなものが、ちゃんと動くのでしょうかね」
ソリエア王国の使者たちは疑心暗鬼である。なにせ、鉄道というものを直に見るのはこれが初めてだからだ。動いているところ見ているアインダードたちファルーダンの人間とは、明らかに違う反応である。
しっかりと準備が整ったところで、アリスが合図を送って列車を発進させる。運転手となるオートマタが魔法石に魔力を送り込み、列車がゆっくりと進み始める。
「ううう、動い、動いてるぞ?!」
使者たちが慌てふためいている。
「座っていて下さい。危ないですからね」
アリスに注意されて、驚いて立ち上がった使者たちは座席に座り直す。
「はっはっはっはっ、オートマタの使う魔法の力を甘く見てもらっては困りますな」
なぜか自慢げに大笑いするアインダードである。これにはスーリガンも迎えに来た兵士たちも苦笑いである。アリスもどう反応していいのか対応に困っていた。
アインダードのおかげでなんとも気まずい空気のまま、列車はファルーダンの王都へ向けて走り続けたのだった。
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