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Mission155
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「おう、ここがソリエア王国だな。相変わらず山の中で辛気くせえ場所だな」
馬に乗ったアインダードが国境に立ってソリエア王国の方向を眺めている。
「な、なんで私が来なければならないんですか……」
付き合わされているのは第三王子のスーリガンだった。
ギルソン、イスヴァン、それとアワードは揃って学園通いのため動けない。となると、残っている王子の誰かが動かざるを得なかったのだ。
そこでどちらかといえば中立派であるスーリガンに来てもらったというわけだ。二人のオートマタであるドルとアエスもついて来ている。オートマタは馬すら乗りこなすのである。
怪しい人物の目撃情報のあったトライ駅で降り、そこから国境までひたすら馬で移動してきた四人。普通に考えれば王族二人にオートマタ二体とはかなり無防備ではある。
だが、今回の事案を考えると少数精鋭の方がいいだろうと考えた結果である。アインダードの立案ではあるが、ここまで特に問題もなく進んでこれていた。
ギルソンとアリスの二人で立て直してきたファルーダンの農業政策も、さすがにソリエア王国の国境付近ではあまり効果がなかった。
「この辺りはまだまだ荒廃している感じだな。まったく、丘一つ越えただけでこうも景色が変わるとはな」
「左様ですな」
アインダードが呟くと、ドルが淡々と頷いていた。
スーリガンが眺めるソリエア王国の状況はかなり厳しいもののようだった。見る限りの荒れ地が広がっているように見える。
「まったくもって酷いですね。ギルソンの元にアリスがやってきた頃のファルーダンと変わらないくらいの荒れっぷりです」
「……本当ですね。内陸の国とはいえど、これだけの惨状とは……」
スーリガンとアエスも、あまりの状況に口が重いようだ。そのくらいにソリエア王国の状況は厳しそうだった。
「とりあえずだ。俺たちはソリエア王国の怪しい動きをぶっ叩けばよかったんだよな」
「左様でございます、マスター。ファルーダンを脅かす不穏因子を黙らせればいいのです」
アインダードの言葉を肯定するドル。まったく不穏な物言いにスーリガンも黙らざるを得なかった。なにせ実際その通りなのだから。
ここで不穏な動きを見せるソリエア王国を黙らせておかないと、ファルーダン王国に何らかの問題が起きる可能性がある。改めて確認したアインダードたちは、ゆっくりとソリエア王国との国境へ向けて歩き出した。
国境となる高い壁までやってきたアインダードたち。
ここにきて、どうやって国境を突破するかを考え始める。
「普通に通ればいいではないですか。こちらはオートマタもいますし、話をしに来ただけではないですか」
スーリガンが悩むアインダードに疑問を投げかけている。だが、アインダードは本気で何かを考えているようだった。
「マスター、ここはスーリガン殿下の仰る通りです。暴れようなど事態を面倒にするだけでございます」
ドルにつっ込まれるアインダードである。
「ちっ、それの方がいいと思うんだけどな」
「マスターは暴れたいだけでしょうが。向こうがケンカ腰とはいえ、こっちまでそれでは事態が悪化します。ギルソン殿下に任せろと仰ったのに、負担をお掛けになるつもりですか?!」
アインダードとドルの間で口げんかが始まっている。その様子にスーリガンとアエスは呆然と事態を見守っている。なにせ脳筋とその相手を務めるオートマタとの言い争いだ。下手に口を出そうものなら手が飛んでくる可能性があるのだ。
まったく、脳筋と一緒の行動は何かと疲れるものだ。
「あの、のんびりしている場合ではなさそうですよ」
急にアエスがスーリガンに声を掛ける。その声に反応して、スーリガンはアエスが向ける視線の先へと顔を向ける。
「アインダード兄様、国境の兵士に動きがありますよ」
「なんだと?! これはゆっくりしてられないな。しょうがない、普通に国境を越えるか」
諦めたかのようにアインダードは頭を押さえている。
ぎろりとドルに視線を向けると、アインダードは馬を駆って国境へと近付いていく。ドルたちもそれを追いかけていく。
「何者だ、止まれ」
当然ながら、国境に差し掛かると警備兵に止められる。
馬を止めてわざわざ降りるアインダード。
「ファルーダン王国第一王子、アインダード・オーロル・ファルーダンだ。末弟ギルソン・アーディリオ・ファルーダンの使いとして、ソリエア王国へとやってきた。ここを通してほしい」
一歩前へ出て名乗るアインダード。その迫力に、兵士たちは気圧されてしまう。
「あ、あの猛犬アインダード王子か?」
「逆らえば、こ、殺されるぞ」
震え上がる兵士たちに、どうしたものか困ってしまうアインダードだ。
「ソリエア王国の兵よ。別に貴国に危害を加えにいくわけではない。私たちは話し合いをしに向かうのです。どうか、ここを通してもらえますでしょうか」
スーリガンも一緒になって頼み込む。
「あ、あなたは?」
「この方は、スーリガン・ブロリエ・ファルーダン。ファルーダン王国の第三王子でございます」
アエスが代わりに答えている。
「なんと、王族が二人も?!」
「ということは、付き添いはオートマタか」
「その通りでございます」
兵士の問い掛けに、堂々と答えるアエスである。やる時はやるのである。
この状況に困った兵士たちは、さすがに王族相手に失礼はできないとおとなしく四人を通すことにしたのだった。
こうして、アインダードたちは無事に国境を越えて、ソリエア王国の地に踏み入れた。
馬に乗ったアインダードが国境に立ってソリエア王国の方向を眺めている。
「な、なんで私が来なければならないんですか……」
付き合わされているのは第三王子のスーリガンだった。
ギルソン、イスヴァン、それとアワードは揃って学園通いのため動けない。となると、残っている王子の誰かが動かざるを得なかったのだ。
そこでどちらかといえば中立派であるスーリガンに来てもらったというわけだ。二人のオートマタであるドルとアエスもついて来ている。オートマタは馬すら乗りこなすのである。
怪しい人物の目撃情報のあったトライ駅で降り、そこから国境までひたすら馬で移動してきた四人。普通に考えれば王族二人にオートマタ二体とはかなり無防備ではある。
だが、今回の事案を考えると少数精鋭の方がいいだろうと考えた結果である。アインダードの立案ではあるが、ここまで特に問題もなく進んでこれていた。
ギルソンとアリスの二人で立て直してきたファルーダンの農業政策も、さすがにソリエア王国の国境付近ではあまり効果がなかった。
「この辺りはまだまだ荒廃している感じだな。まったく、丘一つ越えただけでこうも景色が変わるとはな」
「左様ですな」
アインダードが呟くと、ドルが淡々と頷いていた。
スーリガンが眺めるソリエア王国の状況はかなり厳しいもののようだった。見る限りの荒れ地が広がっているように見える。
「まったくもって酷いですね。ギルソンの元にアリスがやってきた頃のファルーダンと変わらないくらいの荒れっぷりです」
「……本当ですね。内陸の国とはいえど、これだけの惨状とは……」
スーリガンとアエスも、あまりの状況に口が重いようだ。そのくらいにソリエア王国の状況は厳しそうだった。
「とりあえずだ。俺たちはソリエア王国の怪しい動きをぶっ叩けばよかったんだよな」
「左様でございます、マスター。ファルーダンを脅かす不穏因子を黙らせればいいのです」
アインダードの言葉を肯定するドル。まったく不穏な物言いにスーリガンも黙らざるを得なかった。なにせ実際その通りなのだから。
ここで不穏な動きを見せるソリエア王国を黙らせておかないと、ファルーダン王国に何らかの問題が起きる可能性がある。改めて確認したアインダードたちは、ゆっくりとソリエア王国との国境へ向けて歩き出した。
国境となる高い壁までやってきたアインダードたち。
ここにきて、どうやって国境を突破するかを考え始める。
「普通に通ればいいではないですか。こちらはオートマタもいますし、話をしに来ただけではないですか」
スーリガンが悩むアインダードに疑問を投げかけている。だが、アインダードは本気で何かを考えているようだった。
「マスター、ここはスーリガン殿下の仰る通りです。暴れようなど事態を面倒にするだけでございます」
ドルにつっ込まれるアインダードである。
「ちっ、それの方がいいと思うんだけどな」
「マスターは暴れたいだけでしょうが。向こうがケンカ腰とはいえ、こっちまでそれでは事態が悪化します。ギルソン殿下に任せろと仰ったのに、負担をお掛けになるつもりですか?!」
アインダードとドルの間で口げんかが始まっている。その様子にスーリガンとアエスは呆然と事態を見守っている。なにせ脳筋とその相手を務めるオートマタとの言い争いだ。下手に口を出そうものなら手が飛んでくる可能性があるのだ。
まったく、脳筋と一緒の行動は何かと疲れるものだ。
「あの、のんびりしている場合ではなさそうですよ」
急にアエスがスーリガンに声を掛ける。その声に反応して、スーリガンはアエスが向ける視線の先へと顔を向ける。
「アインダード兄様、国境の兵士に動きがありますよ」
「なんだと?! これはゆっくりしてられないな。しょうがない、普通に国境を越えるか」
諦めたかのようにアインダードは頭を押さえている。
ぎろりとドルに視線を向けると、アインダードは馬を駆って国境へと近付いていく。ドルたちもそれを追いかけていく。
「何者だ、止まれ」
当然ながら、国境に差し掛かると警備兵に止められる。
馬を止めてわざわざ降りるアインダード。
「ファルーダン王国第一王子、アインダード・オーロル・ファルーダンだ。末弟ギルソン・アーディリオ・ファルーダンの使いとして、ソリエア王国へとやってきた。ここを通してほしい」
一歩前へ出て名乗るアインダード。その迫力に、兵士たちは気圧されてしまう。
「あ、あの猛犬アインダード王子か?」
「逆らえば、こ、殺されるぞ」
震え上がる兵士たちに、どうしたものか困ってしまうアインダードだ。
「ソリエア王国の兵よ。別に貴国に危害を加えにいくわけではない。私たちは話し合いをしに向かうのです。どうか、ここを通してもらえますでしょうか」
スーリガンも一緒になって頼み込む。
「あ、あなたは?」
「この方は、スーリガン・ブロリエ・ファルーダン。ファルーダン王国の第三王子でございます」
アエスが代わりに答えている。
「なんと、王族が二人も?!」
「ということは、付き添いはオートマタか」
「その通りでございます」
兵士の問い掛けに、堂々と答えるアエスである。やる時はやるのである。
この状況に困った兵士たちは、さすがに王族相手に失礼はできないとおとなしく四人を通すことにしたのだった。
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